AkaiKKRでLDAとGGA その2

AkaiKKRでLDAとGGA その1と同様に、強磁性の体心立方構造(bcc)鉄の全エネルギーとスピン磁気モーメントを格子定数の関数としてAkaiKKR(machikaneyama)で計算しました。

FeMult.png

Fig.1: 鉄の格子定数と全エネルギー、スピン磁気モーメントの関係


前回と同様に、LDA(mjw)は格子定数を過小評価、GGA(pbe)は過大評価しました。


強磁性bcc鉄


AkaiKKRでLDAとGGA その1では非磁性の面心立方構造(fcc)の銅の格子定数をLDA(mjw)とGGA(pbe)で、それぞれ計算しました。その結果、LDAは格子定数を過小評価し、GGAは過大評価することが確認できました。

今回は、スピン分極を考慮した強磁性の体心立方構造(bcc)の鉄に対して、同様の計算を行います。

結果


結果をFig.1に示します。AkaiKKRでLDAとGGA その1と同様に、格子定数に関してはLDA(mjw)が過小評価、GGA(pbe)が過大評価となりました。実験値との比較では、GGA(pbe)の方が近い値となっていることが分かります。

同時にスピン磁気モーメントもプロットしてあります。磁性入門―スピンから磁石まで (材料学シリーズ)に書いてある鉄の磁気モーメントの実験値は M = 2.218 μB です。

LDA(mjw)によって得られた格子定数のときのLDAの磁気モーメントは、かなり実験値に近い値ですで、ほんのわずかに過小評価してるようです。LDAの磁気モーメントは、格子定数が大きくなるほど大きくなっています。GGA(pbe)によって得られた格子定数でのスピン磁気モーメントは、実験値に対して過大評価で、そのずれはLDAによるものよりも大きくなりました。

そんなわけで、強磁性bcc鉄のスピンモーメントの計算に、LDAの代わりにGGAを使うと、一見すると実験との一致が悪くなるという見方もできます。しかし、GGAは一般的にLDAよりも磁性体の計算を改善する傾向にあるということが、知られているようです。
第一原理計算の結果の正しさを検証する上で、実験値のと比較を行うというのは、最も王道的な方法ではありますが、どの程度の確度で議論ができるのかはよく考えないといけないかもしれません。いずれにせよ、今回の計算ではLDA、GGAどちらも格子定数、磁気モーメントをそれなりに良い確度で再現できていると考えられると思っています。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器







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