AkaiKKRでLDAとGGA その1

密度汎関数理論(DFT)を用いた第一原理計算において交換相関ポテンシャルに何を使うかは、最も経験的に決めなければならないパラメータのひとつです。AkaiKKR(machikaneyama)でもLDA/GGAのなかからいくつかの選択肢があります。今回はmjw型のLDAとpbe型のGGAを使って面心立方構造(fcc)の銅の格子定数を計算してみました。

Cu.png

Fig.1: 銅の格子定数と全エネルギーの関係


その結果、LDAは格子定数を過大評価し、GGAは過小評価する傾向にあることが確認できました。


交換相関ポテンシャル


密度汎関数理論(DFT)を利用した第一原理計算ソフトでは、その交換相関項を表すために何らかの近似を行います。非常に良く使われるのが局所密度近似(LDA)と一般勾配近似(GGA)です。

ありていに言うとGGAの方がLDAよりも一歩進んだ「えらい」近似であるということになっています。しかしながら、実際に物性値を計算してみると必ずしもGGAのほうが良い結果になるとも限らないようです。更に言うならば、GW近似などの、更に進んだ計算手法と比べるとLDAもGGAも五十歩百歩としてどちらも一まとめにLDAと扱われることもあるようです。

AkaiKKR(machikaneyama)も交換相関項にLDAとGGAのどちらかを選ぶことができます。LDA/GGAの中にもいくつかの定式化があるようでAkaiKKRでは以下の選択肢があります。(詳しくは source/potenv.f のコメントを参照)

LDA: vbh, mjw, vwn
GGA: gga91, pbe, ev

いずれにせよ、交換相関ポテンシャルの項に対して、LDA/GGAといった近似を持ち込むことが、DFT計算において最も程度の大きい近似であるので、これらの項にどの近似を使うことによって、結果にどのような影響があるのかは知っておいたほうが良いです。

今回は面心立方構造(fcc)の銅の格子定数を全エネルギーの最小化から求めました。LDAの代表として mjw を選び、GGAの代表としては pbe を選びました。

計算結果


Fig.1に銅の格子定数と全エネルギーの関係をグラフに示します。mjw型のLDAでは格子定数が a=6.75 Bohr 程度になることが分かります。
これに対してpbe型のGGAを用いると a=6.95 Bohr 付近に全エネルギーの最小が存在します。グラフの中に垂直の破線で示したところが、実験から得られている格子定数です。
LDAは格子定数を過小評価、GGAは過大評価していることが分かります。

この傾向は、銅に限った話ではなくLDAは密度の高い相を導きやすくGGAはより隙間の大きい構造を好む様です。(参考: 物質の電子状態〈下〉 (SPRINGER UNIVERSITY TEXTBOOKS))

なおグラフの縦軸は任意目盛りです。そして、LDAとGGAでも別の軸を取っているので、相対的な比較はできません。それぞれの曲線の中で全エネルギーが最小となる格子定数がどの程度になるのかだけ見てください。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器






フィードバック



にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ

 ↑ 電子工作ブログランキング参加中です。1クリックお願いします。


コメント・トラックバックも歓迎です。 ↓      


 ↓ この記事が面白かった方は「拍手」をお願いします。


tag: AkaiKKR machikaneyama KKR LDA GGA 

comment

Secret

FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoC強磁性CPAPICOPアンプecalj状態密度常微分方程式モンテカルロ解析odeトランジスタインターフェースDOSPDS5022スイッチング回路定電流半導体分散関係シェルスクリプト乱数レベルシフトHP6632A可変抵抗温度解析トランジスタ技術ブレッドボードR6452AI2C確率論セミナー数値積分反強磁性バンドギャップ熱設計非線形方程式ソルバ絶縁バンド構造偏微分方程式三端子レギュレータフォトカプラカオスマフィンティン半径ISO-I2CGW近似LM358A/DコンバータシュミットトリガLEDUSB数値微分サーボアナログスイッチ補間発振回路カレントミラー直流動作点解析TL43174HC4053PC817C単振り子FFTVESTA開発環境bzqlty電子負荷量子力学基本並進ベクトルパラメトリック解析標準ロジックチョッパアンプBSchLDAアセンブラブラべ格子2ちゃんねるイジング模型PWscf状態方程式仮想結晶近似キュリー温度Quantum_ESPRESSO熱伝導VCAスイッチト・キャパシタewidth最適化QSGWTLP621GGASMPMaxima失敗談位相図六方最密充填構造繰り返しスピン軌道相互作用相対論ランダムウォークFETgfortranコバルトスレーターポーリング曲線ラプラス方程式抵抗cygwin不規則合金格子比熱熱力学マントル条件分岐MCU井戸型ポテンシャルダイヤモンドQNAPUPS固有値問題シュレディンガー方程式自動計測ガイガー管詰め回路OpenMPTLP521ハーフメタルLM555ubuntufsolveブラウン運動平均場近似NE555ZnOTLP552QuantumESPRESSOxcrysdenCIF最小値最大値awkフェルミ面テスタ第一原理計算Ubuntu差し込みグラフFXA-7020ZR三角波過渡解析Writer509データロガースーパーセル起電力CK1026AACircuitMAS830LフィルタMBEP-10PGAトランスナイキスト線図ノコギリ波負帰還安定性EAGLEOPA2277PIC16F785CapSenseLMC6622SC1815入出力固定スピンモーメントFSMTeX結晶磁気異方性全エネルギーc/a合金multiplotgnuplot非線型方程式ソルバL10構造正規分布等高線ジバニャン方程式初期値interp1fcc面心立方構造ウィグナーザイツ胞半金属デバイ模型磁気モーメント電荷密度重積分SIC不純物問題ゼーベック係数cif2cellPWgui擬ポテンシャル二相共存ウルツ鉱構造edeltquantumESPRESSOフォノンリジッドバンド模型スワップ領域BaO岩塩構造ルチル構造ヒストグラム確率論マテリアルデザインフラクタルマンデルブロ集合キーボードRealforceクーロン散乱三次元疎行列縮退化学反応関数フィッティング最小二乗法Excel直流解析PCTS-110TS-112日本語パラメータ・モデル等価回路モデル文字列状態図陰解法熱拡散方程式HiLAPW両対数グラフCrank-Nicolson法連立一次方程式specx.fifort境界条件片対数グラフグラフの分割円周率ヒストグラム不規則局所モーメントGimpシンボル軸ラベル凡例線種トラックボール

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ