ecaljでシリコンのバンド構造(GW近似)

LDA計算では、半導体のバンドギャップを過小評価するという欠点が広く認知されており、GW近似はこの問題点を改善することが期待されます。今回はecaljでシリコンのバンド構造を計算し、GW近似によりバンドギャップの大きさが改善されていることを確認しました。


001_20150917001717f58.png
Fig.1: シリコンのバンド構造。緑はGW近似による計算、赤はLDAによる計算。GW近似によりバンドギャップの大きさが改善されていることが分かる。



GW近似計算に必要なファイル


ecaljでシリコンのバンド構造(LDA計算)ではecaljを用いてダイヤモンド構造のシリコンのバンド図を局所密度近似(LDA)の範囲で描画しました。ecaljは、更にGW近似を用いた計算も可能です。

この際にecaljは、LDA計算に利用した結晶構造ファイル ctrls.si とバンド図のためのk点指定ファイル syml.si を無編集でそのまま使うことができます。

STRUC   ALAT=10.26
PLAT=0.0 1/2 1/2
1/2 0.0 1/2
1/2 1/2 0.0
SITE ATOM=Si POS=0.0 0.0 0.0
ATOM=Si POS=1/4 1/4 1/4

# num  from            to                name
41 0.5 0.5 0.5 0.0 0.0 0.0 L Gamma
41 0.0 0.0 0.0 1.0 0.0 0.0 Gamma X
21 1.0 0.0 0.0 1.0 0.5 0.0 X W
41 1.0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 W Gamma
0


これらのファイルを使ってecaljの実行手順(GW近似)に従ってGW近似計算を行いました。

結果


以下のFig.2に緑のラインで描かれたものが、QSGW計算によって得られたシリコンのバンド構造です。対比のためにecaljでシリコンのバンド構造(LDA計算)で計算したLDAの結果をFig.3に示します。


002_20150917001716541.png
Fig.2: GW近似を用いたダイヤモンド構造のシリコンのバンド図

001_20150916211725117.png
Fig.3: LDAを用いたダイヤモンド構造のシリコンのバンド図


更にこれらを同時にプロットしたものが冒頭のFig.1です。

密度汎関数理論(DFT)と局所密度近似(LDA)を組み合わせた第一原理計算パッケージには、半導体のバンドギャップを過小評価するなどの問題点がある事が広く知られています。
この問題を克服するための試みもまた、広く行われており「LDAを超える試み」のキャッチフレーズで色々な方法論が提案されています。
GW近似は、これらの方法の中でもっとも有名なもののひとつで、実際に色々な半導体のバンドギャップの計算結果が、実験により得られている値に対して、LDAによる計算よりもはるかに近くなることが知られています。

実際、今回行ったecaljの計算ではGW近似によるバンドギャップはLDA計算よりも大きく、実験値である1.11eVに近い値となっていることが確認できます。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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tag: ecalj GW近似 半導体 バンドギャップ バンド構造 分散関係  

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