ecaljでシリコンのバンド構造(LDA計算)

これまでecaljのインストール(Ubuntu + gfortran)ではecaljをインストールし、ecaljの実行手順(LDA計算)で計算の具体的な手順を確認しました。
今回は、最初の計算例としてダイヤモンド構造を持ったシリコンのバンド構造の計算を局所密度近似(LDA)の範囲で行いました。


001_20150916211725117.png
Fig.1: LDA計算によるシリコンのバンド構造



ecaljの計算に必要なファイル


ecaljは最低限、結晶構造を記述する ctrls.si だけユーザーが作成すれば第一原理計算が可能です。バンド構造を描画するところまで含めても、ユーザーが追加で作成しなければならないファイルは計算するk点のパスを指定する syml.si だけです。
それ以外は ctrlgenM1.py などのスクリプトがテンプレートを半自動的に作成してくれるので、ユーザー側ではそれをそのままコピーするか、多少編集する程度です。

今回は、早速、ダイヤモンド構造のシリコンのバンド構造を計算してみます。

ダイヤモンド構造の結晶構造ファイル


ecaljの結晶構造ファイル ctrls.si は以下の3つの情報だけで作成することができます。
  • 格子定数 a (Bohr)
  • 基本並進ベクトル
  • 基底の原子位置


AkaiKKRでダイヤモンド型構造半導体で書いた通り、ダイヤモンド構造は面心立方格子のそれぞれの格子点に(0 0 0)と(1/4 1/4 1/4)の2原子の基底をもつ結晶構造です。

AkaiKKR(machikaneyama)では格子を指定する際に、ブラべ格子を気ワード指定する方法と基本並進ベクトルを使う方法の2通りがありました。(参考: AkaiKKRのブラベ格子, AkaiKKRの基本並進ベクトル その1, その2)
ecaljでは、基本並進ベクトルを使います。

面心立方格子の基本並進ベクトルは以下のように表すことができます。

\begin{equation}
\begin{pmatrix}
0 & 1/2 & 1/2 \\
1/2 & 0 & 1/2 \\
1/2 & 1/2 & 0
\end{pmatrix}
\end{equation}

ecaljでもAkaiKKRと同様に、格子定数の単位はBohr(原子単位系)で与えます。今回はAkaiKKRでダイヤモンド型構造半導体のときと同様に a = 10.26 Bohr としました。
ecaljのパッケージに付属しているシリコンの結晶構造ファイルは、もう少しいろいろと書いてありますが、今回のエントリでは最も簡素な入力ファイルの例として、以下のものを用意しました。

STRUC   ALAT=10.26
PLAT=0.0 1/2 1/2
1/2 0.0 1/2
1/2 1/2 0.0
SITE ATOM=Si POS=0.0 0.0 0.0
ATOM=Si POS=1/4 1/4 1/4


以降はecaljの実行手順(LDA計算)の2.以降を実行することでLDA計算を行うことができます。

バンド構造の描画


バンド構造の計算も状態密度の計算と同様にポスト処理ということになります。
バンド構造の計算には、あらかじめk点のパスを指定する syml.si を用意しておく必要があります。
内容は、左から順に分割数、k点の開始座標、終了座標、」これらの座標に付ける名前です。
今回は、以下のようなファイルを作成しました。

# num  from            to                name
41 0.5 0.5 0.5 0.0 0.0 0.0 L Gamma
41 0.0 0.0 0.0 1.0 0.0 0.0 Gamma X
21 1.0 0.0 0.0 1.0 0.5 0.0 X W
41 1.0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 W Gamma
0


なお syml.si の方では、分数を使わない方が良さげです。

gnuplot用ファイルの編集


バンド構造の計算が終わるとgnuplotのウインドウが立ち上がってバンド図が描画されます。この描画スクリプトはbandplot.isp1.gltというなまえで保存されているので、後から以下のようなコマンドで簡単に再描画できます。

gnuplot -persist bandplot.isp1.glt


また、ファイルの中身はただのgnuplotのスクリプトなので、自分で編集することも簡単です。
冒頭のFig.1も自分で編集して、多少見栄えをよくしてあります。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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