AkaiKKRでγ-Mnの反強磁性

AkaiKKR(machikaneyama)を用いて、L10型構造のようにスピンが配置されている面心立方構造(fcc)のマンガン(γ-Mn)の全エネルギーと局所モーメントを計算しました。
AkaiKKRで反強磁性クロムAkaiKKRで反強磁性fcc鉄のときとは異なり、ちゃんと反強磁性状態がエネルギー的に安定であるという結果が得られました。

001_201506221048228b2.png 002_20150622104821ee3.png



γ-Mnの反強磁性


マンガンは室温で体心立方構造(bcc)に近い結晶構造を持つ複雑な反強磁性体です(α-Mn)。温度を上げていくとβ-Mnへ相転移しますが、この結晶構造もやはり複雑なものです。
しかしながら1095℃以上では、単純なfcc構造を持つ単純な反強磁性体に相転移します(γ-Mn)。このときの局所磁気モーメントはAkaiKKRで反強磁性fcc鉄で考えた第1種反強磁性と同じくL10型の配置をしています。

001_20150616101545812.png

Fig.1: fcc鉄の第一種反強磁性。異なる向きのスピンをもつ原子がL10型構造のように配置されている。FCC鉄の磁気構造より。γ-Mnも同様の磁気構造を持つ。


入力ファイルとシェルスクリプト


基本的にはAkaiKKRで反強磁性fcc鉄で行っているものと同じ計算です。入力ファイルのテンプレートとシェルスクリプトを以下に示します。


#!/bin/csh -f

## *** フォルダ構造 ***
## fccMn/─┬─analysis/
## ├─in/─L10fccMn_FMG.in
## ├─out/
## ├─data/
## ├─template/┬─L10fccMn_AFM_Template.in
## │ ├─L10fccMn_NMG_Template.in
## │ └─L10fccMn_FMG_Template.in
## ├─L10fccMn
## ├─L10fccMn.sh
## └─L10fccMn-Result.sh

## *** 格子定数のリスト ***
set ABOHR_LIST=( 7.4 7.3 7.2 7.1 7.0 6.9 6.8 6.7 6.6 6.5 6.4 6.3 6.2 6.1 6.0 )

## *** プロジェクト名 ***
set PROJECT="L10fccMn"
## ポテンシャルファイル名
set POTENTIAL=${PROJECT}

## *** 強磁性初期ポテンシャルの作成 ***
if ( ! -e data/${POTENTIAL}_AFM ) then
specx < in/${PROJECT}_FMG.in > out/${PROJECT}_FMG.out
fmg < ${PROJECT}
endif

## *** 繰り返し計算 ***
foreach ABOHR ( ${ABOHR_LIST} )
## 強磁性
if ( ! -e data/${POTENTIAL}_FMG_${ABOHR} ) then
if ( -e data/${POTENTIAL}_FMG ) then
cp data/${POTENTIAL}_FMG data/${POTENTIAL}_FMG_${ABOHR}
endif
endif
sed 's/'ABOHR'/'${ABOHR}'/g' template/${PROJECT}_FMG_Template.in > in/${PROJECT}_FMG_${ABOHR}.in
specx < in/${PROJECT}_FMG_${ABOHR}.in > out/${PROJECT}_FMG_${ABOHR}.out
cp data/${POTENTIAL}_FMG_${ABOHR} data/${POTENTIAL}_FMG

## 反強磁性
if ( ! -e data/${POTENTIAL}_AFM_${ABOHR} ) then
if ( -e data/${POTENTIAL}_AFM ) then
cp data/${POTENTIAL}_AFM data/${POTENTIAL}_AFM_${ABOHR}
endif
endif
sed 's/'ABOHR'/'${ABOHR}'/g' template/${PROJECT}_AFM_Template.in > in/${PROJECT}_AFM_${ABOHR}.in
specx < in/${PROJECT}_AFM_${ABOHR}.in > out/${PROJECT}_AFM_${ABOHR}.out
cp data/${POTENTIAL}_AFM_${ABOHR} data/${POTENTIAL}_AFM

## 非磁性
if ( ! -e data/${POTENTIAL}_NMG_${ABOHR} ) then
if ( -e data/${POTENTIAL}_NMG ) then
cp data/${POTENTIAL}_NMG data/${POTENTIAL}_NMG_${ABOHR}
endif
endif
sed 's/'ABOHR'/'${ABOHR}'/g' template/${PROJECT}_NMG_Template.in > in/${PROJECT}_NMG_${ABOHR}.in
specx < in/${PROJECT}_NMG_${ABOHR}.in > out/${PROJECT}_NMG_${ABOHR}.out
cp data/${POTENTIAL}_NMG_${ABOHR} data/${POTENTIAL}_NMG
end


結果と議論


以下に計算した全エネルギーと局所モーメントを示します。


001_201506221048228b2.png
Fig.2: 全エネルギー

002_20150622104821ee3.png
Fig.3: 局所磁気モーメント


反強磁性状態が最安定になりました。
AkaiKKRで反強磁性クロムAkaiKKRで反強磁性fcc鉄のときには、複雑な反強磁性の代わりとして、単純な反強磁性の計算を行いました。
これに対して、今回のγ-Mnは本当に単純な反強磁性が実験的にわかっている系だけあって、第一原理計算からもこのことが確認できました。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したAkaiKKR関連のファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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