AkaiKKRでSrTiO3ペロフスカイト

AkaiKKR(Machikaneyama)を用いてSrTiO3ペロフスカイトのバンド構造を計算しました。ついでにバンド構造を計算するための補助に使うScilabスクリプトも載せます。かなり未完成ですが、とりあえずアップロードしてしまいます。動作は無保証です。


SrTiO3.png
Fig.1: SrTiO3のバンド構造



ペロフスカイト構造


VESTAでLaMnO3ペロフスカイトでは、ペロフスカイト構造を持つLaMnO3の結晶をVESTAで描画しました。ペロフスカイト構造をもつ物質は様々な物性を持つため、物質科学ではよく研究対象になります。

第一原理計算入門 AkaiKKRのページで立方晶SrTiO3ペロフスカイトと、Tiを1%のNi及び2%のTaと置換したものの入力ファイルが公開されているのでこれを計算します。(後者に関してはTiは97%ではないのかとも思いましたが、計算の後で気づいたのでそのまま利用させていただきます。)
既に公開されている入力ファイルを使用するので、go計算とdos計算は簡単です。


stoDOS.png

nitastoDOS.png
Fig. 2-3: SrTiO3とそれにNi, Ta不純物を加えた物質の全状態密度。


バンド構造計算補助のScilabスクリプト


AkaiKKRではspcモードを利用して、ブロッホスペクトル関数の計算ができます。これを計算したいk点のパスに沿って指定すればいわゆるバンド構造(電子のエネルギー分散)の図を描くことができます。
ただし、充分きれいな図を描こうと考えるならば、結構な数のk点を指定しなくてはいけないので、手入力で指定するのは手間がかかります。そこで特徴的なk点を指定すれば、その間をn分割したk点をアウトプットするScilabスクリプトを書きました。

まだ書き散らかした状態のスクリプトでb/aなども指定できるようになっていますが本当に動作するかはわかりません。別にこのエントリに限った話ではありませんが、動作は未保証です。

スクリプトの本体は、下記に示すkvector.sceです。
前述したとおり、指定されたk点をn分割して出力します。出力した結果は2つのテキストファイルに書き込まれます。
akaikkr.txtは、入力ファイルの末尾に挿入するk点のリストです。gnuplot.txtはgnuplotのpm3d mapやplot with imageなどで描きだしたバンド構造に特徴的なk点の名前を入れるべきx座標のリストです。

clear;
// *** 設定ファイルの読み込み ***
// bcc Fe
//exec('bccFe.sce');
// fcc Ni
//exec('fccNi.sce');
// hcp Co
//exec('hcpCo.sce');
// Simple cubic SrTiO3 (perovskite)
exec('scSrTiO3.sce');

// *** 各k点間の分割数 ***
n = 101;

// *** k点のグリッドを作成 ***
kpath = [linspace(k(1,1),k(2,1),n)', linspace(k(1,2),k(2,2),n)', linspace(k(1,3),k(2,3),n)'];

for i = 2:(size(k,'r') - 1) do
kx = linspace(k(i,1),k(i + 1,1),n)';
ky = linspace(k(i,2),k(i + 1,2),n)';
kz = linspace(k(i,3),k(i + 1,3),n)';
kpath = [kpath;
[kx(2:$), ky(2:$), kz(2:$)]];
end

// *** k点をつなぐパスの表示 ***
param3d(kpath(:,1),kpath(:,2),kpath(:,3));

// *** k点をつなぐパスの道のり ***
klength = [0];

for i = 2:size(k,'r') do
dkx = (k(i,1) - k(i - 1,1)) * %pi / a;
dky = (k(i,2) - k(i - 1,2)) * %pi / (boa * a);
dkz = (k(i,3) - k(i - 1,3)) * %pi / (coa * a);
klength = [klength, (klength($) + sqrt(dkx ^ 2 + dky ^ 2 + dkz ^ 2))];
end

// *** ファイルの書き出し ***
fprintfMat("akaikkr.txt",kpath);
fprintfMat("gnuplot.txt",klength);


このスクリプトファイルに対して、個別の結晶構造に関するパラメータの部分だけを別ファイルにしたものを読み込ませます。
例えば今回の立方晶SrTiO3ペロフスカイトの場合は、下記のscSrTiO3.sceを作成します。

// 格子定数 bohr
a = 7.38; // 格子定数 a (bohr)
boa = 1; // b/a
coa = 1; // c/a

// *** 計算するk点のパス ***
// sc
// kx ky kz
k = [(1 / 2), (1 / 2), 0 ; // M
(1 / 2), (1 / 2), (1 / 2); // R
0 , 0 , 0 ; // Gamma
(1 / 2), 0 , 0 ; // X
(1 / 2), (1 / 2), 0 ; // M
0 , 0 , 0 ] // Gamma


また、ほかのサンプルとしてニッケル・鉄・コバルトの入力ファイルに対応するデータも載せておきます。(参照: AkaiKKRでニッケル・鉄・コバルト)


結局、AkaiKKRの入力ファイルはSrTiO3_in.txtSrTiNiTaO3_in.txtになります。

バンド構造


出力されたspcファイルからGNUPLOTを用いてプロットしたバンド構造を示します。


SrTiNiTaO3_up.png

SrTiNiTaO3_dn.png
Fig.4-5: Sr(Ti,Ni,Ta)O3のバンド構造。上がupスピン、下がdownスピンです。


比較用としてはABINITによる第一原理電子構造計算例:ABO3(PDF)にSrTiO3ペロフスカイトのバンド構造の計算例が載っています。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したAkaiKKRの入力ファイルなどを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




フィードバック



にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ

 ↑ 電子工作ブログランキング参加中です。1クリックお願いします。


コメント・トラックバックも歓迎です。 ↓      


 ↓ この記事が面白かった方は「拍手」をお願いします。


tag: AkaiKKR machikaneyama KKR CPA Scilab 

comment

Secret

FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoC強磁性CPAPICOPアンプecalj状態密度常微分方程式モンテカルロ解析トランジスタodeDOSインターフェーススイッチング回路定電流PDS5022分散関係半導体シェルスクリプト乱数レベルシフトHP6632A温度解析ブレッドボード可変抵抗I2Cトランジスタ技術R6452A確率論バンド構造セミナーバンドギャップ反強磁性数値積分熱設計絶縁非線形方程式ソルバ偏微分方程式PWscfA/Dコンバータマフィンティン半径フォトカプラカオスISO-I2CGW近似LM358LEDシュミットトリガ三端子レギュレータ74HC4053アナログスイッチUSBサーボ数値微分直流動作点解析補間カレントミラーTL431PC817C発振回路FFT電子負荷VESTA開発環境量子力学単振り子bzqlty基本並進ベクトル2ちゃんねるチョッパアンプ標準ロジックパラメトリック解析アセンブラブラべ格子BSchQuantumESPRESSOイジング模型LDA状態方程式GGA仮想結晶近似VCA熱伝導SMPスイッチト・キャパシタキュリー温度Quantum_ESPRESSOスーパーリーグTLP621トレーナーバトルewidth最適化Maxima抵抗失敗談相対論コバルト繰り返し位相図六方最密充填構造ポケモンGOスピン軌道相互作用gfortranランダムウォークFETスレーターポーリング曲線cygwinQSGW不規則合金ラプラス方程式MCU条件分岐データロガーマントルUPS固有値問題格子比熱シュレディンガー方程式熱力学詰め回路ガイガー管QNAP井戸型ポテンシャルダイヤモンドOpenMPTLP521ハーフメタルLM555ubuntu平均場近似ブラウン運動フェルミ面NE555ZnOゼーベック係数TLP552xcrysdenCIF最小値最大値awkfsolveテスタ第一原理計算Ubuntu差し込みグラフFXA-7020ZR三角波過渡解析Writer509自動計測スーパーセル起電力トランスCK1026MAS830LフィルタPGAP-10MBEOPA2277ナイキスト線図ノコギリ波AACircuitEAGLE2SC1815PIC16F785LMC662CapSense負帰還安定性入出力固定スピンモーメントFSMTeX結晶磁気異方性全エネルギーc/a合金multiplotgnuplot非線型方程式ソルバL10構造正規分布等高線ジバニャン方程式初期値interp1fcc面心立方構造ウィグナーザイツ胞半金属デバイ模型磁気モーメント電荷密度重積分SIC不純物問題擬ポテンシャル状態図cif2cellPWgui二相共存ウルツ鉱構造edeltquantumESPRESSOフォノンリジッドバンド模型スワップ領域BaO岩塩構造ルチル構造ヒストグラム確率論マテリアルデザインフラクタルマンデルブロ集合キーボードRealforceクーロン散乱三次元疎行列縮退化学反応関数フィッティング最小二乗法Excel直流解析PCTS-110TS-112日本語パラメータ・モデル等価回路モデル文字列不規則局所モーメント陰解法熱拡散方程式HiLAPWCrank-Nicolson法連立一次方程式specx.fifort境界条件両対数グラフ片対数グラフGimp円周率ヒストグラムシンボル線種グラフの分割軸ラベル凡例トラックボール

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ