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AkaiKKRでリチウムイオン電池の起電力

2014年の2月末に行われた第24回CMD®ワークショップではAkaiKKR(machikaneyama)のアドバンストコースを受講させていただきました。その際のマテリアルデザインのテーマのひとつとして、リチウムイオン二次電池の起電力の計算があります。今回のエントリでは、リチウムイオン二次電池の正電極材料である LiCoO2のコバルトをニッケルやコバルトニッケルマンガンに置き換えたときの起電力の計算を行いました。

01-150p-01.jpg
Fig.1 リチウムイオン二次電池はモバイル機器に使われる。



リチウムイオン二次電池


二次電池(充電して再利用できる電池)には、ニッケル水素電池(エネループなど)や鉛蓄電池(自動車のバッテリーなど)といろいろな種類が存在しています。
その中でリチウムイオン電池は、小型で大容量という特長を生かして携帯電話やノートパソコンのバッテリーとして利用されています。

LiCoO2 ⇔ Li1-xCoO2 + xLi + xe-

リチウムイオン二次電池の正極で起きている化学反応は、上記の様に表すことができます。リチウムイオン二次電池は高性能なバッテリーなのですが、材料のコバルトが高価であるという欠点があります。そこでコバルトを別の遷移金属で代替する研究が行われてきました。

以前受講させていただいたCMD®ワークショップでは、AkaiKKR(machikaneyama)のアドバンストコースにて、リチウムイオン二次電池のコバルトを他の遷移金属(Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn,Al, etc.)に置き換えたときに、その起電力がどのように変化するかのマテリアルデザインを行いました。

入力ファイルと起電力の計算


今回はリチウムイオン二次電池の正電極の材料になるLiCoO2のコバルトをニッケルに置換した場合とコバルトニッケルマンガンに1/3ずつ置換した場合の起電力を計算します。

起電力は充電状態と放電状態のエネルギー差から計算できます。第一原理計算入門AkaiKKRには以下の様に書かれています。

起電力の計算
-V = Total Energy (LiCoO2) - Total Energy (CoO2) - Total Energy (Li)
結果は 13.6 * Ry = eV となるが、1e あたりにすると、Vとなる。

コバルトをニッケルに置き換えた計算、及び、コバルトの一部をニッケルとマンガンに置き換えた計算では差し当たり格子定数などを変更しないことにします。LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2の計算もコヒーレントポテンシャル近似(CPA)を用いて下記の様なインプットファイルを作成することが出来ます。

c---------------------LiCoNiMnO2-----------------------------
go data/LiCoNiMnO2
c------------------------------------------------------------
c brvtyp a c/a b/a alpha beta gamma
rhb 9.373 , , , 32.97 , , ,
c------------------------------------------------------------
c edelt ewidth reltyp sdftyp magtyp record
0.001 1.7 sra mjwasa mag 2nd
c------------------------------------------------------------
c outtyp bzqlty maxitr pmix
update 4 200 0.02
c------------------------------------------------------------
c ntyp
3
c------------------------------------------------------------
c type ncmp rmt field mxl anclr conc
Li 1 1 0.000 2
3 100
CoNiMn 3 1 0.000 2
27 33
28 33
25 33
O 1 1 0.000 2
8 100
c------------------------------------------------------------
c natm
4
c------------------------------------------------------------
c atmicx atmtyp
0 , 0 , 0 , CoNiMn
0.5a , 0.5b , 0.5c , Li
0.26a , 0.26b , 0.26c , O
0.74a , 0.74b , 0.74c , O
c------------------------------------------------------------


結果


計算の結果得られた起電力をTable. 1に示します。起電力(電圧)として表にしてありますが、結局の所、計算しているのは全エネルギーの差なので、満充電から完全放電までに取り出せる電力と言うこともできます。

正極材料実験値(Wikipedia)計算値(AkaiKKR)
LiCoO23.7 V3.72 V
LiNiO23.5 V 2.94 V
LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O23.6 V3.28 V
table.1: 正極材料と起電力。
実験値はWikipediaのリチウムイオン二次電池より。


差し当たり起電力の大きさでコバルトを使ったときが最大、次がコバルトニッケルマンガンが混ざった状態で、全てニッケルに置き換えたときが最小であると言うことは再現しています。現実の系のことを定量的に予想するには、もう少し色々と考えないといけないと思います。bzqltyしかり、格子定数しかり、充放電の中間の状態しかり。

なおCMD®ワークショップの際は、受講者それぞれに異なった遷移金属を割り当てて、計算結果を持ち寄って比較すると言うことをやっていました。私に割り当てられたのはコバルトを10%スカンジウムに置き換えたもの、すなわちLiCo0.9Sc0.1O2だったのですが、計算してみるとewidthがcoreに引っかかってなかなか上手く収束してくれませんでした。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したAkaiKKRの入力ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器





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tag: AkaiKKR machikaneyama KKR CPA 起電力 マテリアルデザイン 

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