Scilabでラグランジェ補間 その1

Scilabでデータの補間ではScilabの標準のコマンドであるinterp1を用いて線形補間やスプライン補間などを行いました。
今回は、補間の考え方の勉強をするために、(実際にはあまり使われない)ラグランジェ補間(多項式補間)をやってみました。

001_20140629231048c59.png

Fig.1: 関数f(x)=2exp(x-1)-1 (青実線)とその3点(赤四角)を通るように計算した多項式補間(黒破線)、及び関数と補間値の誤差(下パネル)。



補間(内挿)とは


数値計算の常識には、内挿に関して以下の様に書かれています。(ただしnの番号付けだけはScilabでスクリプトを書くことを考慮し0からではなく1からに変更しました。これ以降も同様です。)

関数f(x)の値が, 変数xのとびとびの異なる値 x1, x2, …, xN+1に対して与えられているとき, すなわち

fn ≡ f(xn) (n = 1,2, …, N+1)

のみが与えられているとき, xn以外のxに対するf(x)の値を"推測"しようというのが広い意味での"補間"(interpolation; "内挿"ともいう)である.


補間はいろいろな場面で利用されます。例えばScilabでデータの補間AkaiKKRでコバルトの格子定数などです。

今回も例によって数値計算の常識を教科書に補間について勉強します。数値計算の常識の補間に関する大雑把な内容は、以下の通りです。

  1. 最初に考え付くのは多項式(ラグランジェ)補間。しかし、上手く行かない場合も多い。
  2. 次に思いつくのが線形補間。でも折れ曲がりが気になる。
  3. 結局良く使われているのがスプライン補間。


2と3の線形補間とスプライン補間に関してはScilabに標準の命令がありScilabでデータの補間で紹介しています。
そこで今回は(あまり使われない)ラグランジェ補間について書きます。

多項式補間(ラグランジェ補間)


多項式補間の基本的な考え方は N+1 個のデータ点 fn(n=1, 2, …, N+1) を全て通るようなN次多項式は必ず一意に決まるはずなので、それを近似式としましょうと言うものです。

数値計算の常識より

\omega (x) = (x - x_1)(x - x_2) \cdots (x - x_{N+1})

\omega_n (x) = \frac{\omega (x)}{x - x_n}

とおくと、求める多項式 PNは以下の様に求められます。

P_N (x) = \sum_{n=1}^{N+1} \frac{\omega_n (x)}{\omega_n (x_n)} f_n

Scilabスクリプト


Scilabで学ぶわかりやすい数値計算法サポートページにて公開されているlagrange.sceを流用して以下の様なスクリプトを作成しました。(Lagrange_sce.txt)
clear;

// *** 近似する元の関数 ***
function y = f(x)
// y = 2 .* exp(x - 1) - 1
y = 2 ./ (1 + 9 .* x .^ 2) - 1
endfunction

// *** データ点 ***
N = 10; // データ数
Xn = linspace(-1, 1, N + 1); // xのデータ点
Fn = f(Xn); // yのデータ点
X = linspace(-1, 1, 100); // プロット用のx

// *** 多項式(ラグランジュ)補間 ***
Pn = zeros(X);
for m = 1:length(X)
for i = 1:(N + 1)
Z(i) = 1;
for j = 1:(N + 1)
if i <> j
Z(i) = Z(i) * (X(m) - Xn(j)) / (Xn(i) - Xn(j));
end
end
Pn(m) = Pn(m) + Fn(i) * Z(i);
end
end

// *** グラフのプロット ***
subplot(2,1,1);
plot(X, f(X));
plot(X, Pn, '--k');
plot(Xn, Fn, 'sr');

// *** 誤差のプロット ***
subplot(2,1,2);
plot(X, Pn - f(X));


結果


近似する関数は数値計算の常識に倣って以下の2種類を行いました。

f(x)=2 \exp(x-1) - 1

f(x)=\frac{2}{1+9x^2}-1

定義域はともに -1 ≦ x ≦ 1 です。
以下に示すように、前者は上手く補間できるのですが、後者はイマイチです。

002_20140629231048cb2.png

Fig.2: 関数f(x)=2exp(x-1)-1 (青実線)とその7点(赤四角)を通るように計算した多項式補間(黒破線)、及び関数と補間値の誤差(下パネル)。Fig.1と比較して、通るべき点の数を増やすことによって近似の誤差が少なくなっていることが読み取れる。


003_20140629231048721.png

Fig.3: 関数 2/(1+9x2)-1 (青実線)とその11点(赤四角)を通るように計算した多項式補間(黒破線)、及び関数と補間値の誤差(下パネル)。通るべき点の数を増やしても近似の誤差が小さくならない問題点がある。


Fig.1-2は補間が上手く行っている例です。しかしながら、Fig.3の様に補間するもとの関数によっては誤差が大きくなってしまうことがあるのがラグランジェ補間の問題点です。

スプライン補間


もう少し優等生なスプライン補間を用いた結果も比較のため載せておきます。(spline_sce.txt)

004_20140629233541671.png

Fig.4: スプライン補間。図の読み方はFig.3と同じ。Fig.3と比較して誤差が少なくなっていることが分かる。


Fig.3とFig.4を比較するとスプライン補間のほうが良い結果を示していることがわかります。
ただ、「スプライン補間さえ使ってればいつでもオッケー」と言うわけではないと言うことも覚えておかなければいけません。

数値計算の常識曰く

どだい, f(xn) (n = 1, 2, …, N+1) から f(x) (x≠xn)を知ろうというのは, 関数fがよっぽど良い性質を持っていなければ"原理的に"無理であるのは明らかであろう. (x = x1, …, xN+1 で一致するけれど他のxでは値が異なる関数はいくらでもありうる.)


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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