Scilabで数値微分 その2

Scilabで数値微分 その1に引き続き数値計算の常識に従ってf(x)=sin(x)の数値微分を行いました。

今回は刻み幅hを可変させたときのf(x,h)の値の変化から、誤差が最小となるhの最適値を探しました。


Scilabで数値微分 その1では数値計算の常識に従ってf(x)=sin(x)のx=0.3πにおける微分値を計算しf'(x)=cos(x)との比較を行いました。

その結果、微分を差分に置き換える際の刻み幅hには最適値があり、大きすぎても小さすぎても良くないということがわかりました。

Scilabで数値微分 その1はf(x)=sin(x)のような簡単な関数だったので、あらかじめ解析的に微分を行うことが出来ました。しかしながらScilabで金属の電子比熱の様にf(x)の計算自体に非線形方程式ソルバを使うような複雑な場合は、真の値と比較して最適なhを探すことは出来ません。むしろ、解析的に微分が出来るような場合は、そもそも数値的に微分をする必要が無いとも言えるので、解析的に微分できないときにどのように最適なhを探すのかというのは重要な問題です。

実践的な刻み幅の決定法


数値計算の常識には以下の様にあります。

実践的には,f1(x,h)とf1(x,2h)との"差"を観察して,
「hを半分にしたとき"差"が約半分になる傾向が保たれる範囲でもっとも小さなh」
をえらぶのがよい.


そこでこの計算をScilabで行います。

Scilabプログラム


作成したScilabのプログラムはdiff2_sce.txtとなりました。

clear;

// *** 刻み幅の設定 ***
n = [0:1:50];
h = 2 ^ (- n);

x = 0.3 * %pi;

// *** 微分の近似値 ***
// 前進差分
f1 = (sin(x + h) - sin(x)) ./ h;
f12 = (sin(x + 2 * h) - sin(x)) ./ (2 * h);
// 中心差分
f2 = (sin(x + h) - sin(x - h)) ./ (2 * h);
f22 = (sin(x + 2 * h) - sin(x - 2 * h)) ./ (4 * h);
// 前進差分に対するRomberg 1段公式
romberg1 = 2 * ((sin(x + h) - sin(x)) ./ h - 0.5 * (sin(x + 2 * h) - sin(x)) ./ (2 * h));
romberg12 = 2 * ((sin(x + 2 * h) - sin(x)) ./ (2 * h) - 0.5 * (sin(x + 4 * h) - sin(x)) ./ (4 * h));
// 中心差分に対するRomberg 1段
romberg2 = ((sin(x + h) - sin(x - h)) ./ (2 * h) - 0.25 * (sin(x + 2 * h) - sin(x - 2 * h)) ./ (4 * h)) / 0.75;
romberg22 = ((sin(x + 2 * h) - sin(x - 2 * h)) ./ (4 * h) - 0.25 * (sin(x + 4 * h) - sin(x - 4 * h)) ./ (8 * h)) / 0.75;

// *** グラフの軸設定 ***
a = gca();
a.data_bounds = [0,1E-14;50,1];
a.log_flags = "nl";

// *** グラフのプロット ***
plot(n,abs(f1 - f12),'-sr');
plot(n,abs(f2 - f22),'-sm');
plot(n,abs(romberg1 - romberg12),'-sb');
plot(n,abs(romberg2 - romberg22),'-sg');

// *** グラフの体裁 ***
xlabel("n");
ylabel("Err");
legend(['f1(x)','f2(x)','Romberg f1(x)','Romberg f2(x)'],4);


結果


Scilabで数値微分 その1で計算した数値微分と解析解の比較「f(x,h)-f'(x)」をFig.1に、今回計算した「f(x,h)-f(x,2h)」をFig.2に示します。これらは非常に良く似た形をしていますが全くの別物です。

001_20131110042107c73.png

Fig.1: 数値微分と解析解の比較

002_20131110080640da7.png
Fig.2: 数値微分の刻み幅を2倍にしたときの変化の度合い


数値計算の常識には以下の様にあります。

このような"差分"が「規則的に変化している」ことが,「打切り誤差が丸め誤差より優越していて,通常の打切り誤差の漸近理論が適用できる」ことの実際的な判別法として役立つ.


Fig.2をみるとnを大きくしていっても(つまりhを小さくしていっても)規則的に"差分"が小さくなっていっている部分が、丸め誤差の影響を受けず、打切り誤差が支配的となっている領域です。この範囲でもっとも大きなn(もっとも小さなh)を選んだとき、実際の誤差がほぼ最小になっていることがFig.1との比較から読み取れます。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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