Scilabで乱数による関数の積分

Scilabには関数の積分の計算を行うintegrateがあるため簡単な関数の積分には必要が無いのですが、乱数を使った積分の方法について書きます。
[0,1]の範囲で一様分布な乱数列を{Xk}k=1,2...nとすると関数f(x)の積分は以下のようにして計算することが出来ます。

\begin{eqnarray}\int_a^b f(x) \mathrm{d}x & = & \int_0^1 f(a+(b-a)r)(b-a)\mathrm{d}r \\ & = & \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}f(a+(b-a)X_k)(b-a) \end{eqnarray}


乱数による積分の考え方


[0,1]の範囲の一様分布な乱数列{Xk}k=1,2...nはScilabを使うと簡単に得られます。(参考:Scilabで乱数の生成,Scilabでコイン投げ)

このとき関数f(x)の積分は、f(Xk)の平均から求めることが出来るでしょう。

\int_{0}^{1}f(x)\mathrm{d}x = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n}f(X_k)

例として、以下に挙げる具体的な関数f(x)に対して積分の計算をします。

f(x) = \exp(-x^2)

関数f(x)のグラフはFig.1のような形になります。積分は0≦x≦1の範囲の面積を求めることと同じです。


001_20130926022100898.png
Fig.1: 関数f(x)=exp(-x2)のグラフ


Scilabで楽しむ確率論(PDF)では、本文中に書いてある数式と実際にScilabで計算している数式が異なっています。本エントリではプログラムの方にあわせることにします。

モンテカルロ法以外の計算法


実際のところ、この程度の関数なら乱数を用いたモンテカルロ法を使うよりも、素直に数値積分をするほうがはるかに良い結果が得られます。

Scilabではintegrateをつかって簡単に数値積分が出来ます。(参考:Scilabで数値積分: 固体の比熱)
また、もっと基本的な方法として、解析的に原始関数を決められないか考えるという方法もあります。Maximaを使って不定積分を行うと以下のような結果が得られました。

\int f(x)\mathrm{d}x = \frac{\sqrt{\pi} \mathrm{erf}(x)}{2} + C(C: 積分定数)

まあこの場合は誤差関数erfが入っているので数値積分から逃れられてはいないというのも事実ではありますが。

数値積分、解析的な積分、乱数を使った積分のそれぞれの方法で積分値を計算するScilabのプログラムがfunc_sce.txtです。
数値積分と解析的な積分の両方の方法で、積分の値は0.7468241となりました。モンテカルロ法で求めた値もおおよそ同じくらいになります。

clear;

// *** 関数の定義 ***
// 関数f(x)
deff('y = f(x)','y = exp(- x .^ 2)');
// 原始関数F(x)
deff('y = F(x)','y = sqrt(%pi) .* erf(x) ./ 2');

X = linspace(0,5);

// *** グラフの描画 ***
plot(X,f(X));
xlabel("x");
ylabel("f(x)");

// *** 積分の計算 ***
// 解析的な積分
F(1) - F(0)
// 数値積分
integrate('f(x)','x',0,1)
// モンテカルロ積分
n = 1000;
mean(f(rand(1,n)))


ヒストグラム


このモンテカルロ法による積分を複数回行ったときのヒストグラムをFig.2へ示します。
確かにintegrateで求めた値を中心にばらついていることが分かります。


002_20130926022059bb7.png
Fig.2: 積分結果のばらつきを示すヒストグラム


積分範囲の変更


次に積分範囲がa≦x≦bの場合へ拡張します。方法は単純モンテカルロ積分 (2)の通りです。

a \leq x \leq b
0 \leq x - a \leq b - a
0 \leq \frac{x - a}{b - a} \leq 1

\frac{x-a}{b-a} = r

とおくと0≦r≦1となるので、置換積分を考えればよいことになります。

x = a+(b-a)r
\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}r} = b-a
\mathrm{d}x=(b-a)\mathrm{d}r

したがって

\begin{eqnarray}\int_a^b f(x) \mathrm{d}x & = & \int_0^1 f(a+(b-a)r)(b-a)\mathrm{d}r \\ & = & \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}f(a+(b-a)X_k)(b-a) \end{eqnarray}

となります。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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