Scilabで川を渡る船

Scilabで2次元の放物運動Scilabでマグヌス効果では、Scilabの乗微分方程式ソルバodeを使って2次元空間内での物体の運動の時間変化を計算しました。

今回も同様にして、川を渡る船(微分方程式による物理現象のモデル化(PDF)の問題18)をテーマに2次元空間の運動を計算します。

船が川岸の一点P からl 離れた真正面の対岸の一点O に進むとき,船の進路を求めなさい.
ただし,川は一定速度vR で流れ,船の推進速度はvB で船は常にO 点に向かっているものとします.

001_20130715174552.jpg

Fig.1: 川を渡る船。船はその推力によってvBで進みますが、陸から見ると川の流れvRによって流されてもいる。写真は(c)松江周辺の観光地壁紙集



問題設定


この問題の解答となるScilabプログラムはYahoo!知恵袋で2件ほど報告されています。(参考:Scilabのプログラムについて質問です。以下のPDFの問題18(川を渡る船)をScilabで解くプログラムを作成してほしいです。)

元PDFでは、解くべき微分方程式がyをxで微分する形で示されていますが、前々回前回と時間tで微分する形でプログラミングしてきたので、今回も前回までと同じように時間で微分した形で計算する場合のコードを書いてみます。

river.png

Fig.2: 問題設定。ある点Qにいる船の速度は、そのx成分であるvBxとy成分であるvByに分けられる。


船の推進速度は常にvBであり、進行方向は常に原点O目指します。そこでvBをx方向とy方向の成分に分解すると

v_{Bx} = - v_B \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}
v_{By} = - v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}}

となります。
これに加えてy方向には川が流れているので陸地から見た船の速度は

v_x = - v_B \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}
v_y = - v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}} + v_R

となります。vR = b vBとして、位置の時間微分が速度なのでScilabのode関数で解くことが出来るdx/dt = ...の形で書き下すと

\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t} = v_x = -v_B \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}
\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t} = v_y = -v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}} + b v_B

数値シミュレーション


計算結果を以下に示します。boat_sce.txt

元PDFでは、横軸にy、縦軸にxをとっていて気持ち悪いので、横軸をx、縦軸をyとしてプロットしています。


002_20130715181904.png
Fig.3: 計算結果


模範解答


元PDFの通りに

\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} = \frac{y - b \sqrt{x^2 + y^2}}{x}

と、解析解

y(x) = \frac{l}{2}\left\{ \left(\frac{x}{l}\right)^{1-b} - \left(\frac{x}{l}\right)^{1+b}\right\}

をプロットするスクリプトも公開します。boat2_sce.txt

003_20130715184746.png

Fig.4: 元PDFの指揮に従った計算結果


また、本エントリの前半部分の式からdy/dx = ...の形に変形するには

\begin{eqnarray*}<br />\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} & = & \frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t} \frac{\mathrm{d}t}{\mathrm{d}x}\\ & = & \frac{- v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}}+bv_B}{-v_B\frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}}\\ & = & \frac{y - b \sqrt{x^2+y^2}}{x}\end{eqnarray*}

どちらのプログラムを採用するにせよ、微分方程式の分母がゼロになる付近(原点O周辺)ではゼロ除算が発生するので計算結果が怪しくなるようです。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




フィードバック



にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ

 ↑ 電子工作ブログランキング参加中です。1クリックお願いします。


コメント・トラックバックも歓迎です。 ↓      


 ↓ この記事が面白かった方は「拍手」をお願いします。


tag: Scilab 常微分方程式 ode 

comment

Secret

FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoCOPアンプCPA強磁性PICモンテカルロ解析常微分方程式odeトランジスタecalj状態密度DOSインターフェース定電流スイッチング回路PDS5022半導体シェルスクリプト乱数レベルシフトHP6632A温度解析分散関係I2Cトランジスタ技術R6452A可変抵抗ブレッドボードセミナーバンドギャップ数値積分確率論反強磁性偏微分方程式バンド構造絶縁熱設計非線形方程式ソルバフォトカプラシュミットトリガLEDLM358カオスISO-I2C三端子レギュレータGW近似A/Dコンバータカレントミラーアナログスイッチ数値微分マフィンティン半径TL431発振回路サーボPC817CUSB直流動作点解析74HC4053補間FFTBSch開発環境パラメトリック解析2ちゃんねるチョッパアンプ量子力学bzqlty電子負荷イジング模型LDA標準ロジックアセンブラ基本並進ベクトルブラべ格子単振り子熱伝導位相図TLP621キュリー温度繰り返し状態方程式MaximaVESTAスイッチト・キャパシタ相対論FETランダムウォークスピン軌道相互作用SMP六方最密充填構造抵抗不規則合金ewidthスレーターポーリング曲線GGAラプラス方程式cygwingfortranQSGW失敗談コバルト条件分岐TLP521テスタLM555Writer509TLP552格子比熱マントルデータロガー自動計測詰め回路ガイガー管ダイヤモンドQNAPMCUFXA-7020ZR過渡解析三角波UPSNE555固有値問題熱力学ブラウン運動フェルミ面awk起電力第一原理計算OpenMPfsolveubuntu最大値xcrysden最小値最適化仮想結晶近似VCA差し込みグラフスーパーセル井戸型ポテンシャル平均場近似シュレディンガー方程式FSMフラクタルOPA2277固定スピンモーメント2SC1815全エネルギー合金multiplotgnuplotc/aTeX結晶磁気異方性interp1ウィグナーザイツ胞初期値マンデルブロ集合疎行列面心立方構造fcc不純物問題非線型方程式ソルバフィルタL10構造PGA半金属二相共存SICZnOウルツ鉱構造BaO重積分クーロン散乱磁気モーメント電荷密度三次元CIF岩塩構造CapSenseノコギリ波デバイ模型ハーフメタル正規分布フォノンquantumESPRESSOルチル構造スワップ領域リジッドバンド模型edelt縮退キーボード軸ラベルグラフの分割凡例トラックボールPC不規則局所モーメント片対数グラフトランス両対数グラフCK1026MAS830L直流解析Excel円周率パラメータ・モデルヒストグラム日本語最小二乗法等価回路モデルGimp線種シンボルTS-110TS-112PIC16F785LMC662化学反応文字列specx.f入出力ifortマテリアルデザインヒストグラム確率論Realforce等高線ジバニャン方程式P-10Ubuntuナイキスト線図Crank-Nicolson法陰解法熱拡散方程式HiLAPWAACircuit連立一次方程式負帰還安定性境界条件EAGLEMBE関数フィッティング

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ