LTspiceで高耐圧ボルテージフォロワ

岡村 廸夫著定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている、高耐圧のボルテージフォロワのシミュレーションをLTspiceにて行いました。

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OPアンプの動作電源範囲


最近では、秋月電子通商などのアマチュアが簡単にアクセスできる店舗でもレールtoレール入出力OPアンプ―――OPアンプに入力する負電源と正電源に対してぎりぎりの電圧まで入力電圧・出力電圧を設定できるもの―――が入手できるようになりました。

これは、OPアンプは±15Vの両電源を用意して使うという常識がもはや成り立たなくなってしまっている事を意味します。(僕が電子工作を始めた頃には既に成り立っていなかったという話もありますが・・・)

こういった単電源・低電圧で動作するOPアンプは、しかしながら、多くの場合耐圧が低いため、高耐圧が要求されるアプリケーションでは、従来の汎用OPアンプにもまだ需要があるはずです。

更に、100Vを超えるような電源電圧でOPアンプを動作させたい場合は、OPアンプの動作回路にも一工夫が必要です。
今回は、定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている、高耐圧のボルテージフォロワのシミュレーションをLTspiceにて行いました。

ブートストラップによる電源作成


定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている多少複雑な回路図(fig.2)の前に、基本的な(しかしそのままでは動作しない)回路の説明をします。


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fig.1: 原理的な回路図


この回路の考え方は、極めて単純で、出力電圧を中心に、ツェナーダイオードをOPアンプの電源端子に向けて対称に配置することにより、OPアンプの電源電圧をVout±Vzとなるようにするものです。
こうすることにより、VinをOPアンプの同相入力電圧範囲内に収めつつ、正電源端子と負電源端子の間の電位差ΔVを Vz ≦ ΔV ≦ 2*Vz とすることができます。

同様に入力電圧に応じて出源電圧を自動調整する回路としてハイサイド電流測定回路があげられます。

高耐圧ボルテージフォロワのシミュレーション


定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている回路に対して、シミュレーションに都合のよい定数を入力した回路図がfig.2です。


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fig.2: 高耐圧ボルテージフォロワのスケマティック

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fig.3: 出力電圧、及び各素子の消費電力


シンプルな回路(fig.1)から追加された要素は、OPアンプの電源用トランジスタQ3,Q4とOPアンプの出力ブースーターとなるQ1,Q2です。回路は基本的に上下対称なので、ハイサイド側に限って説明をします。

fig.3に示したグラフは、出力電圧(赤)と各素子の消費電力(緑:D1, 青:Q1, 紫:Q3)です。
こういった類の高電圧を扱う回路では、素子の耐圧と許容損失が重要になってきます。(参考:LTspiceで素子の発熱を見る)

なお、原典では電源電圧は±120Vとなっています。LTspiceで標準的に付属しているトランジスタモデルの中で、最も高耐圧である2N5550/2N5401でも耐圧は150Vだったので、シミュレーションでの電源電圧は差し当たり単電源100Vとしておきましたが、定本 OPアンプ回路の設計には、いつもどおりの景気のよさで下記の通りの記述があります。

Tr1~Tr4の耐電圧さえ許せば,図示の範囲に限らず500Vでも1,000Vでも振ることができます.この方法で製造された高耐圧OPアンプも市販されています.


赤で示した出力電圧は、0V付近と100V付近で多少飽和しています。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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