反転DCDCを昇降圧DCDCのように使う

1.5Vの乾電池を直列にしてつかう場合、電池の本数と電源電圧によっては、使用中にバッテリー電圧が電源電圧をまたぐような設計になる場合があります。
しかしながら、昇降圧電源は回路が複雑で面倒です。

そういった場合は、反転型のスイッチングレギュレータを使うとシンプルな電源回路になることがあります。

002_20110501044330.png


電池の数と出力電圧


バッテリ動作のマイコン電源に関するメモでは『理想的には』回路動作に必要なエネルギーから必要なバッテリーの本数が決まるが、『現実的には』他の要因にも影響を受けると書きました。

今回のエントリでは、電池の本数と出力電圧にかかわる問題について考えます。

一般的なアルカリ乾電池の公称電圧は1.5Vと言う事になっていますが、実際の初期電圧は1.6V程度あります。また(もはや入手できませんが)オキシライド乾電池は1.7Vもの初期電圧を持っており、これを使った懐中電灯の電球が切れてしまうというような問題もありました。

逆に、エネループなどのニッケル水素電池の公称電圧は1.2Vと低いですし、普通のアルカリ電池であっても消耗と共に端子電圧が下がってります。多くの乾電池で、終止電圧を1V程度と見積もるのが妥当なようです。


001_20110501044321.png

fig.1: エネループの放電量と端子電圧の関係


従って、バッテリ動作する回路の電源を設計する場合、電池1本あたりの電圧は1V程度から1.6V(あるいは1.7V)程度まで変化しても、電源電圧が変動しないようにする必要があります。
これが、複数本の直列となるとかなりの電圧差となります。


直列数終止電圧(V)アルカリ初期電圧(V)オキシ初期電圧(V)
11.01.61.7
22.03.23.4
33.04.85.1
4 4.06.46.8
5 5.088.5
table.1: 電池の直列数と初期・終止電圧


具体例として、4本の乾電池から5Vを作ることを考えます。
この場合、初期電圧付近では目標とする電圧よりも高い入力電圧を持ち、終止電圧近くでは出力電圧よりも入力電圧が低くなることになります。

反転型DCDCコンバータで正電源


入力電圧より高い出力電圧を得るためには、昇圧型のスイッチングレギュレータが必要になります。
逆に、入力電圧より低い出力電圧を得るにはこう圧型のスイッチングレギュレータや三端子レギュレータなどのリニアレギュレータを利用します。

では、入力電圧が出力電圧よりも高いときと低いのと気の両方で出力電圧を安定させるにはどのようにすればよいでしょうか?

常識的に考えれば、昇降圧型のスイッチングレギュレータを使うという回答になると思います。昇降圧コンバータの回路形式は、SEPICやZetaと呼ばれるものがあるらしいのですが、少し難しそうです。

また、まず昇圧をしてから、降圧をするという手段もありますが、これは実質的にDCDCコンバータをふたつ用意するということなので、手間がかかります。

そこで、今回は負電源三端子レギュレータを正電源用にするとドロップ分が負電源になると似たような発想の転換から、反転型スイッチングレギュレータの負電圧出力を正電源として使うことを考えて見ます。


002_20110501044330.png
fig.2: 負電源を正電源と考える


上に示したfig.2がこの考え方の全てです。
バッテリーのマイナス電極をGNDと考えると反転コンバータの出力が-5Vとなりますが、反転コンバータの出力を0Vと考えれば、バッテリーのマイナス極が+5Vという事になります。

もちろんこの方法には問題がある場合もあるでしょう。

  • 同じバッテリーからOPアンプ用の±12Vをつくりたい
  • 入力電圧は他の危機から供給されている


等の原因で、電池のマイナス側をGND電位としなければならないときには使えません。
しかし、そういった適用の限界を理解していれば応用範囲はたくさんあるのでは無いかと思います。

制御ICの入手性とSPICEモデル


秋葉原でのスイッチングレギュレータ制御ICの入手には、鈴商が安くて種類も豊富なようです。また、千石電商もそこそこの品揃えがあるようですし、値段を気にしなければマルツもありでしょう。

今回の例ではNJM2360が便利です。
NJM2360はオンセミコンダクタのMC34063のセカンドソースで、入手性もよいため、少なくともどちらかは秋葉原で購入できると思います。
また、100円ショップの315円携帯充電器を分解すると中に入っていることがあるようです。

NJM2360には、他にもメリットがあります。

一つ目は、新日本無線が出しているICなので日本語のデータシートがダウンロードできるという点です。

また、オンセミコンダクタがmc34063.libを公開しているのでSPICEシミュレーションを行うことが出来ます。

神木一也さんのLTspice メモのMC34063の項目にあるシンボルファイルとあわせてLTspiecでも使うことが出来ます。


003_20110501044321.png
004_20110501044321.png

fig.3-4: NJM2360(MC34063)のシミュレーション


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したBSch3V形式の回路図ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


フィードバック



にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ

 ↑ 電子工作ブログランキング参加中です。1クリックお願いします。


コメント・トラックバックも歓迎です。 ↓      


 ↓ この記事が面白かった方は「拍手」をお願いします。


tag: LTspice スイッチング回路 

comment

Secret

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRScilabmachikaneyamaKKRPSoCOPアンプPICCPA強磁性モンテカルロ解析常微分方程式トランジスタode状態密度インターフェースDOSPDS5022ecaljスイッチング回路定電流半導体シェルスクリプトレベルシフト乱数HP6632A温度解析ブレッドボードI2CR6452A分散関係トランジスタ技術可変抵抗確率論数値積分反強磁性セミナー非線形方程式ソルバ絶縁バンドギャップ熱設計偏微分方程式バンド構造GW近似カオス三端子レギュレータLEDフォトカプラシュミットトリガISO-I2CA/DコンバータLM358USBカレントミラーTL431マフィンティン半径PC817C数値微分アナログスイッチ発振回路サーボ直流動作点解析74HC40532ちゃんねる標準ロジックチョッパアンプLDAアセンブラFFTbzqltyイジング模型ブラべ格子開発環境補間量子力学電子負荷BSchパラメトリック解析単振り子基本並進ベクトル熱伝導繰り返しGGAMaximaTLP621ewidthSMP相対論抵抗位相図ランダムウォークスピン軌道相互作用六方最密充填構造不規則合金FETコバルト失敗談QSGWcygwinスレーターポーリング曲線スイッチト・キャパシタラプラス方程式gfortranキュリー温度状態方程式条件分岐格子比熱TLP552LM555TLP521三角波NE555過渡解析FXA-7020ZRWriter509テスタ詰め回路MCUマントルダイヤモンドQNAPデータロガーガイガー管自動計測UPS井戸型ポテンシャルawk第一原理計算仮想結晶近似ブラウン運動差し込みグラフ平均場近似fsolve起電力熱力学OpenMPスーパーセル固有値問題最適化最小値VCAシュレディンガー方程式VESTAubuntu最大値面心立方構造PGAOPA2277L10構造非線型方程式ソルバ2SC1815fccフェルミ面等高線ジバニャン方程式ヒストグラム確率論マテリアルデザイン正規分布結晶磁気異方性interp1フィルタ初期値ウィグナーザイツ胞c/aルチル構造岩塩構造スワップ領域リジッドバンド模型edeltBaOウルツ鉱構造重積分SIC二相共存ZnOquantumESPRESSOCapSensegnuplotmultiplot全エネルギー固定スピンモーメントFSM合金ノコギリ波フォノンデバイ模型ハーフメタル半金属TeXifortTS-110不規則局所モーメントTS-112等価回路モデルパラメータ・モデルヒストグラムExcel円周率GimpトラックボールPC直流解析入出力文字列マンデルブロ集合キーボードフラクタル化学反応三次元Realforce縮退日本語最小二乗法関数フィッティング疎行列シンボル線種ナイキスト線図陰解法負帰還安定性熱拡散方程式EAGLECrank-Nicolson法連立一次方程式P-10クーロン散乱Ubuntu境界条件MBEHiLAPW軸ラベルトランスCK1026MAS830L凡例PIC16F785LMC662AACircuit両対数グラフ片対数グラフグラフの分割specx.f

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ