超音波距離計 第六回:送信パルス数

超音波素子の等価回路のSPICEモデルを用いて、超音波距離計の測定用送信パルスの数を変化させたときの出力エネルギーの変化をLTspiceを用いた過渡解析から調べました。

その結果、定常状態へ至るまえにオーバーシュート様の消費電力ピークが見られ、此処まで到達するためには30程度の送信パルスが必要であることがわかりました。
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送信パルス数と計測距離の関係


超音波距離計 第五回:ドライバの出力抵抗では、超音波送信素子での消費電力に対するドライバの出力抵抗の影響を調べ、影響があまり大きくないことが分かりました。

一方で、計測可能距離に大きく影響するパラメータとして、ドライバの送信パルス数が知られています。
基本的には送信パルス数を増やす方が、最大計測可能距離が増します。しかしながら、実際の測定距離が短いときに過剰に長くパルスを送信すると、反射波が到達するときにまだ送信を続けていて、送信波形の回り込みと反射波の見分けが付かなくなるという問題もあります。
そこで秋月距離計では、3m以下を測定する場合は5パルス程度、10mまで測定することを目標にする場合は、30パルス程度を送信するしようとなっているようです。

今回のエントリでは、LTspiceを用いた過渡解析からパルス数と送信素子における消費電力の関係をシミュレーションしてみます。

シミュレーション結果


シミュレーションしたパルス数は、秋月超音波距離計に倣って5パルス・30パルス・1000パルス(実質的に無限)としました。fig.1-2にシミュレーションのスケマティックとR1での消費電力を示します。


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fig.1: ドライブ回路のスケマティック

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fig.2: パルス数による送信出力の変化


過渡解析では、共振が安定するまでに消費電力の激しいオーバーシュートが見られます。
5パルスではオーバーシュートの頂点まで達しませんが、30パルスは頂点まで達していますが、波形が安定するまでは至っていません。

パルス数と測定可能領域


パルス数を増していっても、いずれ出力強度が安定する定常状態へと達します。
一方で、受信回路の過渡解析における検波回路の出力もパルス数に応じて出力電圧が上昇した後に安定するという挙動を示しています。
したがって、パルス数を増して行ってもいずれかの時点で測定可能距離が増加しなくなることが予想されます。
このことを、模式的に表したのがfig.3のピンクのラインです。星型のシンボルで表したのが測定可能距離が飽和するパルス数です。


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fig.3: パルス数-測定距離特性による測定可能領域


ピンクのラインに加えて、反射による測定距離の下限を考慮すると、超音波距離計の測定可能距離は定性的にピンクと青のラインに囲まれた領域となることが分かります。
マイコン制御で広い測定可能領域をもつ超音波距離計を作成するならば、測定距離に応じて送信パルス数を可変するアルゴリズムを取り入れるのが効果的でしょう。

反射による下限のラインは定量的に引くことができるので、問題は計測可能距離が飽和する星型のシンボルであらわした点の送信パルス数です。

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付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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