超音波距離計 第五回:ドライバの出力抵抗

超音波素子の等価回路でモデル化した超音波送信回路のLTspiceシミュレーションから、ドライバの出力抵抗が送信強度に与える影響を調べました。
その結果、200Ωの出力抵抗に対しても出力強度は1割り程度しか減衰しないことが分かりました。

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超音波素子の等価回路で、超音波素子のSPICE等価回路モデルをかきました。今回は、送信用ドライバの出力抵抗が、出力エネルギーに与える影響をLTspiceを利用してシミュレーションします。

出力抵抗ゼロのときの駆動電流


秋月電子通商の超音波デジタル距離計キットでは、その出力ドライバにCMOS4000シリーズの4069を並列にしたものを用いています。


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fig.1: 秋月超音波距離計の出力ドライバ


4000シリーズの標準ロジックが利用されているのは、74HCシリーズなどと比較して高い電源電圧で使える(≒送信強度を上げられる)ためだとおもいます。
このときの出力抵抗をゼロと仮定して、電源電圧VDD=9Vで駆動したときの定常状態におけるシミュレーション結果をfig.2-3に示します。


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fig.2-3: 出力抵抗ゼロのときの電流波形


スパイク状の電流部分を除いて、およそ4mAp-0の正弦波となっていることが分かります。

4000シリーズの出力抵抗


CMOS4050の出力抵抗にて、4050の出力抵抗の測定を行いました。


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fig.4: 4050の出力抵抗


その結果、電源電圧VDD=9Vで、出力電流が~10mA以下の領域では、出力抵抗が定抵抗的な振る舞いをすることが分かりました。
秋月超音波距離計で使用されているドライバは同じ4000シリーズの4069なので、特性が比較的似ているはずです。


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fig.5: 4069の出力電流特性

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fig.6: 4050の出力電流特性


東芝セミコンダクタ4000シリーズCMOSロジックIC一覧表から4069と4050の出力電流特性の項目を比較したところ、電源電圧VDD=10Vで25℃のときの出力電圧降下ΔV=0.5Vという(実際の超音波距離計の使用条件に近い)条件における出力電流は、4069でIoh=-2.2mA,Iol=3.2mAと4050のIoh=-2.5mAと近い値でありました。

したがって今後のエントリでは、9V動作時の4069の出力抵抗は測定した4050の特性と近いと仮定します。
fig.4より、出力電流が4mA以下の領域では、出力抵抗は定抵抗的であり、バッファ1個あたりでおよそ200Ωです。これを2並列・2直列として、トータルで(200//200)+(200//200)=200Ωの出力抵抗としてモデル化します。

出力抵抗による出力強度への影響


超音波素子の等価回路での考察から、R1における消費電力が超音波の送信強度の指標となると考えます。
出力抵抗の効果を見るために、0Ω(1mΩ),100Ω,200Ωと出力抵抗のパラメータをスイープしてシミュレーションを行いました。


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fig.7-8: 送信強度に対するドライバの出力抵抗の影響


赤・緑・青の順に出力抵抗が大きくなります。
200Ωのときの出力抵抗の存在は、定性的に送信強度を1割り程度小さくすることが分かります。
最も重要な問題は、このR1における消費電力の変化が、現実の測定可能距離に対してどの程度の影響を与えるかという点ですが、それは残念ながらシミュレーションだけから判断するのは難しいでしょう。

しかしながら、私には、200Ωという直感的に言って大きく感じられる出力抵抗と比較して、受ける影響が小さいと感じられました。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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