超音波距離計 第四回:超音波素子の等価回路

超音波送信・受信素子を抵抗、コイル、コンデンサの組み合わせで表した等価回路を用いて、LTspiceによるシミュレーションを行い、その周波数特性の確認を行いました。
その結果、送受信感度が高くなる周波数範囲は、狭そうだという予想が立ちました。

また、等価回路中の抵抗成分における消費電力が、超音波送信強度の評価基準になるのではないかと予想しましたが、うまく説明できませんでした。
暫定的に、周波数を固定した条件では、抵抗成分における消費電力が送信強度の指標になると考えることにしました。

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受信感度と送信強度


計測距離を伸ばす方法は、大雑把に言うと受信感度を上げる方法と、送信強度を増す方法の2通りがあります。

第二回第三回と超音波距離計の受信回路のシミュレーションを行ってきました。

今回と次回は、送信素子およびそのドライブ回路をLTspiceでシミュレーションすることにより、どうすれば送信強度を上げることができるかについて考えます。

超音波送信・受信素子のSPICE等価回路モデル


日セラの超音波発振素子T40-16のデータシートによると、水晶発振子などと同様に抵抗・インダクタ・コンデンサの回路網を用いて等価回路をかくことができます。
fig.1のL1+C1+R1//C2で表した部分が超音波素子の等価回路です。


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fig.1: 超音波送受信素子の等価回路

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fig.2: 周波数特性


トランジスタ技術2006年1月号によると、送信強度が最高になる周波数は直列共振周波数であるfsのとき、受信感度が最高になるのは並列共振周波数であるfpのときです。
送信素子と受信素子の特性をわずかにずらして設計することにより、送信素子のfsと受信素子のfpが40kHz前後で一致するように作られています。

送信強度の相対的評価


さて、次にどのような条件下で超音波の送信強度が最大になるかを回路シミュレーションからどのように評価するかを考えたいと思いますが、実を言うと、此処こそが私が2008年からずっと引っかかっていて、更新ができなかったところでもあり、現時点でもよく分からないので、悩んでいるところです。

私は、次のように考えました。
常識的に考えれば、素子から外部へ放出される超音波のエネルギーは、等価回路中で消費されなければなりません。ここで、RLC回路網の中のキャパシタンス成分やインダクタンス成分は電力を消費しないため、外部に放出される超音波のエネルギーは抵抗成分で消費されるようにモデル化されるはずです。等価回路モデルの中で抵抗成分はR1しかないのでこの抵抗における消費電力が最大になるとき(≒消費電流が最大になるとき)が送信強度が最大になるのではないか、と。


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fig.3-4: 共振周波数とR1の消費電流が最大となる周波数


しかしながら結果は予想と反して、fig.3-4に示したとおり、抵抗R1の消費電流が最大となるのは、送信強度が最大となるはずの直列共振周波数fsよりも、むしろ並列共振周波数fpに近い周波数となりました。

次回以降に向けて


等価回路のSPICEシミュレーションからは、fsが最大強度となる周波数であることが確認できませんでした。
ただ、いずれにせよ、周波数を固定した場合の送信強度は、R1における消費電力が大きい方が大きくなるはずと考えて次回のエントリを進めようと思います。

また、送信・受信素子ともに40kHz付近における特性は周波数の変化に応じて激しく変化するため、送信強度や受信感度がもっともよくなる周波数帯域はかなり狭いのではないかとも予想できます。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


参考文献/使用機器




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tag: LTspice 

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送信強度の相対的評価について

送信強度の相対的評価についてです。

ピーク位置に疑問があったのでシミュレーションをしてみました。結論から言うと、R2を小さくすると無事40kHz付近にR1の消費電力のピークが出ます。

R2は発振器の出力インピーダンスに対応しますが、このインピーダンスと(周波数依存する)超音波送信素子のインピーダンスの大小によってf_sとf_pのどちらに消費電力ピークが出るかが変わると理解できます。

R2が大きい場合、かなりいい加減な近似としてはR2と発振器の組み合わせは定電流源と見なせます。そのときはP=I^2Rより超音波送信素子のインピーダンスが高い方が消費電力が大きく、fpにピークが出ます。
逆にR2が小さい場合には、発振器は定電圧源と見なせ、P=V^2/Rより超音波送信素子のインピーダンスが低い方が消費電力が大きく、fsにピークが出ます。

R1で消費される電力の大きさは、R2=10Ohmで1mW程度、R2=10kOhmで20uW程度で。R2を大きくするにしたがって単調に減少する傾向がありました。

実際に超音波送信素子を使う場合には、インピーダンスが低い(と期待される)発振器をつなぐので、実用上は「送信強度が最高になる周波数は直列共振周波数であるfs」と言えるのだと思います。

Re: 送信強度の相対的評価について

HirakuTOIDAさん、こんにちは。
追試をしていただいてありがとうございます。

R1を10kΩとしたのは、トランジスタ技術に載っていた特性試験回路がそうなっていたからでした。
わたしも追試をしてみました。
R2の代わりに、0.1uFのコンデンサを挿入した場合なのですが、確かに消費電力のピークが低周波側にシフトしました。一方で、必ずしも40kHzが最大出力というわけでもないようです。

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