FETを用いたUSB機器の電池/Vbus切り替え回路

逆さまトランジスタ2SC2878の記事では、バイポーラトランジスタはベース電流と同じ方向にしかコレクタ電流を流せないという話をしました。

一方FETの場合は、ON状態ではどちらの方向にも電流が流れます。
とはいっても、MOSFETはドレイン-ソース間にボディダイオードを持っているため片側は常に導通になります。




しかしながら、OFF状態でボディダイオード経由で電流を流すのとONにして積極的にFET本体を電流を流す場合では、損失に差が出ます。普通はボディダイオードのVf分の損失のほうがFETのON抵抗による損失よりも大きいためです。
同期整流スイッチングレギュレータでは、このボディダイオードを還流ダイオードの代わりにする用途などがあります。

こういったことを踏まえて、Pch MOS-FETを直列に接続して双方向のスイッチとした面白い例を紹介します。
初心者質問スレ その44にて質問に上がった回路です。

172 名前:774ワット発電中さん[] 投稿日:2008/05/16(金) 18:32:00 ID:ufqX9KSt
質問です。



は、USB機器の電池<>VBUS切替回路なのですが、図中Q2の存在理由が分かりませんダイオードがあるべきと思うのですが、なにかメリットがあるのでしょうか?
分かる人教えて!

173 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 18:51:23 ID:MEu1CgPf
>>172ダイオードだと、電池(3V)で駆動するとき、そのダイオードのVFの分だけVDDが下がる。Q2だと、電池で駆動するとき、Q2のドレイン・ソース間抵抗(RDS)による電圧降下の分だけVDDが下がる。VFはショットキーダイオードを使った場合で0.3Vくらい。RDSはFETの品種によるが、仮に1Ωのものを使ったとして、RDSによる電圧降下は100mA流れると0.1V。もっとRDSが低いか電流が少ないなら、電圧降下はもっと少なくなる。電池駆動で大電流を使いつづけることは少ないので、ダイオードを使うよりもFETでスイッチするほうが電圧降下が少なく有利になることが多い。



>>173に書かれている回路図をボディダイオードを含むFETのシンボルに書き換えて見ました。




Q2の部分に>>173の言うダイオードが並列に入っていることが分かります。
さて、たった19分で適切な解答がついてしまっていますが、LTspiceによるシミュレーションをみて確認してみましょう。






0sの時点では、USBに接続されておらずバッテリー電源がVCCに供給されています。このときのM1のゲート-ソース間電圧はグラフの濃い青のラインになり、M1がONします。
するとM1とM2のドレインの電位が3Vとなります。この段階でVCCの電圧がこれよりも低い場合はM2のボディダイオードを通じて電流が流れM2のソース電圧も約3Vとなります。M2のゲート-ソース間電圧も、グラフの黄緑のラインのようにM2をONさせるのに十分な電圧にあります。
1sの時点から、USBからバス電源である5Vを供給されはじめます。するとD1を通じてGATEの電圧が上がりM1,M2をOFFにします。D2を通じてVCCに電源が供給されます。

これと同じ要領でN-ch MOS-FETを使って、I2Cの双方向レベルシフタを構成することが出来ることを異なる電圧レベル間でI2Cのコメント欄にてhatoさんに指摘されています。hatoさんありがとうございます。


tag: LTspice FET USB 

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教えてください

かなり前のですけど、教えてください。

・D1は、何のためにあるのでしょうか?

・FETがONしている時にVBUSが入った場合、FETがOFFするまでの間、電源衝突が起きると思いますが、ダイオード無しで大丈夫でしょうか?

Re: 教えてください

のぶどんさん、こんにちは。

> ・D1は、何のためにあるのでしょうか?

短絡でも動作するように見えますね。
何か意図があって入れているのかもしれませんが、私には分かりません。

> ・FETがONしている時にVBUSが入った場合、FETがOFFするまでの間、電源衝突が起きると思いますが、ダイオード無しで大丈夫でしょうか?

少なくとも、この回路を設計した人の用途では、電源衝突の回避よりもダイオードの順電圧分の損失の回避の方が重要だったと考えていたことは分かります。
とは言うものの、いついかなる回路構成でも問題ないかと言うと分かりません。

何の答えにもなってないですね。すみません。

Re: Re: 教えてください

回答ありがとうございます。
また、了解しました。

電池とACアダプタの切換回路を考えているのですが、妙案が考え付きません・・・もうちょっと自分で考えてみます。

Re: Re: Re: 教えてください

のぶどんさん、こんにちは。

以下は、アドバイスと言うよりはコメントですが・・・

切り替え時の電源瞬断が許容されるならbreak-before-makeな回路になりますね。この場合は当然、ACアダプタからの給電の前に挿入が検出できるような機構が必要になります。

逆に瞬断が許容されないなら、make-before-breakとなるわけですが、FETのような両方向に電流を流せるスイッチを使うなら必然的に電源の衝突になりますね。
そう考えると、Q2の代わりにできるだけVFの小さいショットキーダイオードを使い多少の損失には目を瞑る、あるいは、瞬間的な電源の衝突が問題とならないようなACアダプタとバッテリーを選ぶ、と言った選択の方が現実的な気がします。

ちなみに私程度の趣味の電子工作でなら、電源が衝突すると言っても極短時間なので気にしない、というのが普通だと思います。

D1の役目

面白そうなので参戦させてください.

この回路では, VBAT が VBUS に切り替わるところで, VDD が一旦低下します.これは, PMOS の VGS (の絶対値)がかなり大きいためです.

もし, D1 が無かったと仮定すると, VBUS が VBAT よりも 1.0V 程度低い所で切り替わってしまいます. D2 の電圧降下と合わせると VDD は, VBAT よりも 1.6V ほど低くなってしまいます. VBAT=3.0V とすると, VDD=1.4V となり,これでは電源として役に立ちません.

そこで,切り替え時の VBUS 電圧をちょっとだけ高くするために入れられたのが, D1 です. D1 を入れると切り替え時の VBUS の電圧が VF=0.6V ほど高くなるので, VDD の下限を 2.0V ほどにすることができます.つまり, D1 は,順方向電圧降下がある事を期待されているので, 1N4148 などのシリコンダイオードでなくてはなりません.

一方, D2 は,単に VBAT から VBUS への電流を防ぐ目的で付けられているので,電圧降下の小さい 1N5818 などのショットキーダイオードにしておくと,より VDD の落ち込みが抑えられます.

このように, D2 が ON するよりも先に MOSFET が OFF する仕組みになっているので,電源衝突は起こらないはずです.

実は,この現象は, gomisai さんの回路図では,再現しません.それは, VDD に負荷が無いためです.抵抗か電流源で引っ張ってやると,電源が切り替わる時に VDD が低下する現象が見られます.また,ミリアンペアオーダの電流を流す場合には, "pmos" モデルでは間に合いませんので, IRF7233 などの適当な PMOS モデルをあてがうと良いでしょう.

ちなみに,二つの P-ch MOSFET を直列につなぐ事を back-to-back と言います.「背中合わせ」という意味ですね.

Re: D1の役目

のりたんさん、こんにちは。
参戦だなんて・・・いつも助けていただき、ありがとうございます。

> このように, D2 が ON するよりも先に MOSFET が OFF する仕組みになっているので,電源衝突は起こらないはずです.

なるほど、D1のVFを何かに利用しているのではないかと言う気はしていたのですが、電源の切り替わり時のシーケンスを定めていたのですね。
VBUSは「接続されている」と「接続されていない」の2値だけしか頭に無く、過渡的なことを考慮していませんでした。

No title

USB供給電圧が3Vを超える事が前提ならQ1は要らないよね。なんで入れてるんだろう?

No title

> USB供給電圧が3Vを超える事が前提ならQ1は要らないよね。なんで入れてるんだろう?

Q1 が無いと VBAT がずっと VDD に繋がれたままの気がします(Q2 があるので VBUS から逆流はしないが)。VBAT と VBUS が同時に電力を供給してしまうのを防ぐためではないでしょうか(VBUS から電力を取れる状態で VBAT を使いたくない)。

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