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回路シミュレーションと実測の比較

回路シミュレータの使いどころでシミュレーションを行った2石弛張発振回路を実際に製作し、オシロスコープPDS5022で測定した波形との比較を行いました。
その結果、波形の定性的な波形や動作原理はシミュレーションが実験を良く再現していることが分かりました。反面、シミュレーションモデルのパラメータに強く依存する発振周波数などは無視できない差がでました。

001_20100206191236.png 002_20100206191236.png


実測の必要性


回路シミュレータの使いどころでは、挙動の分からない回路は実際に製作を行う前にシミュレーションを行うべきであると書き、2石弛張発振回路のシミュレーションを行いました。


003_20100111051422.png
fig.1: シミュレーション回路

004_20100111051422.png
fig.2: シミュレーション結果


一方で、シミュレーション結果は本当に現実の回路の挙動を完全に再現しているかと言うと疑問が残ります。そこで、ブレッドボード上に製作した2石弛張発振回路をオシロスコープPDS5022で測定し、シミュレーションと波形の比較を行いました。

PDS5022での電流波形測定法


RCサーボモータの電流波形では、0.1Ωのセメント抵抗を電流測定用のシャント抵抗とし、その両端の電圧をOPアンプで増幅して電流プローブとしました。
今回は、さらに簡易的に1Ωの抵抗を電流経路に挿入し、その両端の電圧波形をオシロスコープで観察することで電流波形を求める事としました。


001_20100206191236.png
fig.3: コンデンサ電圧,LED電流測定回路


コンデンサの両端電圧との同時測定を行うためにfig.3のようにやや変則的な位置にオシロスコープのGNDプローブを接続しました。
LEDに流れる電流波形は、CH1の測定電圧からオームの法則を用いて以下のように算出しました。


_eq_mk9l.png


測定結果


実際に測定した波形をfig.4に示します。


002_20100206191236.png
fig.4: 実測波形


赤のラインがLEDに流れる電流波形で、緑のラインがコンデンサの両端の電圧波形です。

シミュレーションとの比較


実測波形(fig.4)とシミュレーション結果(fig.2)を比較すると、LED電流波形がパルス状であること、コンデンサ電圧波形がのこぎり波状であることが共通しているのがわかります。
回路シミュレータの使いどころで主な問題としていたのは、コンデンサの両端にかかる電圧の極性でしたが、極性に関してはシミュレーションは現実の回路を再現していることが分かります。

一方で、発振周波数、LEDのピーク電流、コンデンサ電圧の振幅などは実測とシミュレーションの間で無視できないほど大きな違いがあります。
発振周波数はコンデンサの端子間電圧の振幅に依存しますし、この振幅はトランジスタのLEDの順電圧とベースエミッタ間電圧に依存します。したがって、今回の実測とシミュレーションの違いは、これらの素子のモデルパラメータに強く依存すると言うことだと思います。

いずれにせよ、シミュレーションを行う際には、そのシミュレーションからどこまでの議論ができるのかを考えておく必要があります。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したBSch3V形式回路図ファイルと測定データを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


参考文献/使用機器




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tag: LTspice PDS5022 

comment

Secret

GNDプローブ

fig 3 の回路図で,GNDプローブがコレクタにつながっていますが,これはおすすめできません.オシロスコープのGNDは,意外にインピーダンスが低いので,発振に影響を与えてしまいます.
プローブをもう一本使って,プローブ間電圧を引き算するのが常套手段なのですが,そうなると4現象オシロスコープが欲しくなっちゃいますね.

Re: GNDプローブ

のりたんさん、こんにちは。

やはり変則的なプローブの接続はおすすめできませんか。
特にこの回路は、新しいものを繋ぐたびに(シャント抵抗、プローブなど)点滅の挙動が変わる厄介な回路でした。LTspice紹介用記事の題材に選んだのは失敗だったかもしれません。

お恥ずかしながら「GNDプローブのインピーダンス」というのがよく理解できておりません。これはどういった経路のインピーダンスを考えればよいのでしょうか。

Re: GNDプローブ

「GNDプローブのインピーダンス」は,私もすごく説明しづらいのですが,「地球に対するACインピーダンス」のようなものなんじゃないかと思っています.
AC的に見ると,プローブのインピーダンスは微小です.10Mオームの抵抗と数pFのコンデンサが付いたぐらいのモデルです.
それに対してGNDの「みの虫クリップ」は,その先に測定器がぶら下がります.そのため,「被測定装置」側から見たインピーダンスが低くなります.で,それはどこに対するインピーダンスかというと,おそらく,大地に対するインピーダンスになると思います.

と,いうのは,私の勝手な解釈ですが,回路の信号線に「みの虫クリップ」をつなぐと,まともな波形が得られないという実験は,色々と見てきました.今は,理屈ぬきで「信号線にみの虫を付けてはいけない」とインプットされています.

テクトロニクスさんが,プローブの使い方入門書を持っておられるので,ちょっと,探してみます.

Re: Re: GNDプローブ

のりたんさん

ありがとうございます。
プローブのインピーダンスに関してですが、CQ出版のPSpice入門編では、10MegΩ//8pFとモデル化しているようです。

インピーダンスの高いノードにミノムシクリップを接続すると、信号波形が乱れると言うのは、私にも確かに心当たりのある現象です。
ウエブ上には、GNDリードがノイズを拾うアンテナとして働くのではないかと言う解釈をしている方もおられるようです。

オシロのプローブのGNDリード
http://www.ops.dti.ne.jp/~ishijima/sei/elec-turedure/probe.htm

いずれにせよ、計測は奥が深く難しいと感じました。

R1にかかる電圧について

初めまして、takenakaと申します。
訳あってアナログ回路の勉強を始めました。

ここに書かれている回路と同じモノをブレッドボード上に構築してLEDを光らせてみてます(トランジスタは、2SA1015と2SC1815です)
LEDの点滅は確認できたのですが、どこにどんな電流がどの位流れて、どう動いているか視覚で確認したくて、Ltspiceに行き着きました。
LTspiceXVIIで、上記の図と同じ回路を構築し、R1、VBE、LED等への電圧、電流、時間軸などを見ながら理解を進めています。

やっている中で1つおかしな事を発見したのですが、理屈が解らず困っております。もし、おわかりになったら教えてください。

私がシミュレーションした所R1の両端にかかる電圧が、3.65Vになってしまいました。電源電圧の3Vを上回っています。
これは、LTspiceXVIIの使い方が間違っているのでしょうか?
試しにコンデンサを削除し回路を構成したところ、R1の両端電圧は 電源電圧-VBEとなりました。

Re: R1にかかる電圧について

Takenakaさん、こんにちは。

ご質問の件ですが、少なくともLTspiceの使い方は間違っていないと思います。R1の両端にかかる電圧が電源電圧を超える、すなわちQ1のベース電圧がエミッタ(GND)を基準にして負の値になるタイミングがあります。さもなければQ1をターンオフできません。

ここ数年電子工作からかなり遠ざかってしまっているので、ちゃんとした説明ができる知識がなくなってしまっています。本当は、きちんと動作を理解して説明できない状態で回路シミュレータを使うのは危険なのですが。

re:Re: R1にかかる電圧について

Takenakaです。
>R1の両端にかかる電圧が電源電圧を超える、
>すなわちQ1のベース電圧がエミッタ(GND)を
>基準にして負の値になるタイミングがあります。
>さもなければQ1をターンオフできません。
Q1のベースに逆電圧がかかることは、なんとなく
理解できてきました。ただ、R1の両端電圧がここ
まで高くなる件は、いまだ解明できていません。
LTSpiceだけで追いかけてもよくわからないので、
Tina-tiでもやろうとしています。ただ、Tina-Ti
だと R1を1MΩにしないとLEDが点きっぱなし
になるので???と思いながら調査しております。

ありがとうございました。

R1の電圧が3V以上だったコメントの件

古い記事へのコメントですみません。

たまたま、弛張発振のまとめというのを作っているのですが、NPNのベース、220kの合流点はスパイク時に負電圧になることもあるので3V-(-0.65V)という計算で3.65Vというやつじゃないですかね?私もぜんぜん詳しくないんですが。

こんな感じでとりあえずまとめています。素人なので本当のことはわかりらないのですが。

http://blendermappython.web.fc2.com/LTspice-relax/relax-ltspice.html

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