LTspiceで温度勾配のある回路

トランジスタやダイオード、サーミスタといった電子部品は、その温度条件によって特性が変化します。LTspiceで温度解析では、回路全体が一様に温度変化をする場合についてシミュレーションをする方法を書きました。
今回は、個別の素子ごとに温度を設定することによって、回路中に温度差がある場合のシミュレーションを行いました。

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LTspiceの温度解析


LTspiceで温度解析では、.tempを用いて異なった温度条件でのシミュレーションを行う方法を書きました。この方法では、回路全体が一様の温度であるという条件を暗黙のうちに考えていますが、現実の回路では個々の素子がそれぞれ異なった温度条件で動作しています。

LTspiceのtempは、そもそもローカル変数(と言う表現が適切化は知りませんが)なので、おのおのの素子に別々の温度を設定することによって、基板内で温度差のある回路のシミュレーションを行うことができます。

一様温度条件


fig.1-2は、従来の方法で、1つのトランジスタを持つ回路に対して、異なる温度条件で3回の繰り返しシミュレーションを行った結果です。


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fig.1: 一様温度のスケマティック

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fig.2: 一様温度のグラフ


温度勾配条件


fig.3-4は、1つの回路基板上に3つのトランジスタを並列に接続したスケマティックで、それぞれのトランジスタが別々の温度で動作しているシミュレーションです。


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fig.3: 温度勾配条件下のスケマティック

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fig.4: 温度勾配条件下のグラフ


個別温度の設定方法


それぞれの素子の温度を個別に設定するには、各素子の名前のあとに、temp=<温度>の形式で指定します。<温度>の部分は摂氏です。

スケマティック上の名前の上の辺り(この例では2N22222と書いてある辺り)で右クリックをすると、fig.5のようなウインドウが立ち上がるので、値を書き込みます。


005_20091210062008.png
fig.5: 個別温度の設定方法


関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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tag: LTspice トランジスタ 温度解析 

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面内分布

面内分布というと,聞き慣れない言葉かもしれませんが,ICのウェハの中に存在する特性の偏りの事です.同じウェハから取り出されたチップでも,ウェハの場所によって特性の異なるチップがとれます.ウェハのサイズが大きくなるとなおさらです.
じゃあ,チップの中なら均一かというと,そうでもないようです.特にチップ内で熱を出す所と出さない所との間では,チップ内温度勾配が存在します.バイポーラトランジスタの場合には,温度が高い方により多く電流が流れて熱暴走の原因になります.
このシミュレーションでも,Q1,Q2,Q3を並列に接続して,どのトランジスタがより多くの電力を消費するかというのが,わかると思います.

Re: 面内分布

のりたんさん、こんにちは。
いつも勉強になるコメントをありがとうございます。

> チップ内温度勾配

定本OPアンプ回路の設計には、OPアンプICをすっぽりと覆う形の恒温槽が紹介されていましたね。

> このシミュレーションでも,Q1,Q2,Q3を並列に接続して,どのトランジスタがより多くの電力を消費するかというのが,わかると思います.

MOSFETのON抵抗は温度係数が正なので並列にすることができるが、トランジスタやダイオードは温度係数が負なので並列に接続することができない、少なくとも電流容量増強のための並列化は推奨されない、とよく聞きます。

LEDも同様に、高温になるほどVFが下がると考えていたのですが、LTspiceのLEDモデルは温度とともにVFがあがる挙動を示します。(シリコンダイオード1N4148のモデルは温度とともにVFが下がります。)
先日、簡単な温度試験として、LEDをドライヤーにあてながらVFを測ると言うことをやってみたのですが、結果は加熱とともにVFが下がる挙動となりました。
LTspiceのLEDモデルは、温度特性が間違っているのでしょうか?
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