LTspiceで温度勾配のある回路

トランジスタやダイオード、サーミスタといった電子部品は、その温度条件によって特性が変化します。LTspiceで温度解析では、回路全体が一様に温度変化をする場合についてシミュレーションをする方法を書きました。
今回は、個別の素子ごとに温度を設定することによって、回路中に温度差がある場合のシミュレーションを行いました。

003_20091210062018.png 004_20091210062018.png


LTspiceの温度解析


LTspiceで温度解析では、.tempを用いて異なった温度条件でのシミュレーションを行う方法を書きました。この方法では、回路全体が一様の温度であるという条件を暗黙のうちに考えていますが、現実の回路では個々の素子がそれぞれ異なった温度条件で動作しています。

LTspiceのtempは、そもそもローカル変数(と言う表現が適切化は知りませんが)なので、おのおのの素子に別々の温度を設定することによって、基板内で温度差のある回路のシミュレーションを行うことができます。

一様温度条件


fig.1-2は、従来の方法で、1つのトランジスタを持つ回路に対して、異なる温度条件で3回の繰り返しシミュレーションを行った結果です。


001_20091210062008.png
fig.1: 一様温度のスケマティック

002_20091210062008.png
fig.2: 一様温度のグラフ


温度勾配条件


fig.3-4は、1つの回路基板上に3つのトランジスタを並列に接続したスケマティックで、それぞれのトランジスタが別々の温度で動作しているシミュレーションです。


003_20091210062018.png
fig.3: 温度勾配条件下のスケマティック

004_20091210062018.png
fig.4: 温度勾配条件下のグラフ


個別温度の設定方法


それぞれの素子の温度を個別に設定するには、各素子の名前のあとに、temp=<温度>の形式で指定します。<温度>の部分は摂氏です。

スケマティック上の名前の上の辺り(この例では2N22222と書いてある辺り)で右クリックをすると、fig.5のようなウインドウが立ち上がるので、値を書き込みます。


005_20091210062008.png
fig.5: 個別温度の設定方法


関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


フィードバック



にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ

 ↑ 電子工作ブログランキング参加中です。1クリックお願いします。


コメント・トラックバックも歓迎です。 ↓      


 ↓ この記事が面白かった方は「拍手」をお願いします。


tag: LTspice トランジスタ 温度解析 

comment

Secret

面内分布

面内分布というと,聞き慣れない言葉かもしれませんが,ICのウェハの中に存在する特性の偏りの事です.同じウェハから取り出されたチップでも,ウェハの場所によって特性の異なるチップがとれます.ウェハのサイズが大きくなるとなおさらです.
じゃあ,チップの中なら均一かというと,そうでもないようです.特にチップ内で熱を出す所と出さない所との間では,チップ内温度勾配が存在します.バイポーラトランジスタの場合には,温度が高い方により多く電流が流れて熱暴走の原因になります.
このシミュレーションでも,Q1,Q2,Q3を並列に接続して,どのトランジスタがより多くの電力を消費するかというのが,わかると思います.

Re: 面内分布

のりたんさん、こんにちは。
いつも勉強になるコメントをありがとうございます。

> チップ内温度勾配

定本OPアンプ回路の設計には、OPアンプICをすっぽりと覆う形の恒温槽が紹介されていましたね。

> このシミュレーションでも,Q1,Q2,Q3を並列に接続して,どのトランジスタがより多くの電力を消費するかというのが,わかると思います.

MOSFETのON抵抗は温度係数が正なので並列にすることができるが、トランジスタやダイオードは温度係数が負なので並列に接続することができない、少なくとも電流容量増強のための並列化は推奨されない、とよく聞きます。

LEDも同様に、高温になるほどVFが下がると考えていたのですが、LTspiceのLEDモデルは温度とともにVFがあがる挙動を示します。(シリコンダイオード1N4148のモデルは温度とともにVFが下がります。)
先日、簡単な温度試験として、LEDをドライヤーにあてながらVFを測ると言うことをやってみたのですが、結果は加熱とともにVFが下がる挙動となりました。
LTspiceのLEDモデルは、温度特性が間違っているのでしょうか?
FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoCOPアンプPICCPA強磁性常微分方程式モンテカルロ解析odeトランジスタ状態密度インターフェーススイッチング回路ecaljPDS5022DOS定電流半導体シェルスクリプト乱数レベルシフトHP6632Aブレッドボード分散関係温度解析R6452Aトランジスタ技術I2C可変抵抗反強磁性セミナー数値積分確率論偏微分方程式バンド構造非線形方程式ソルババンドギャップ絶縁熱設計シュミットトリガLEDA/Dコンバータ三端子レギュレータLM358ISO-I2CGW近似カオスフォトカプラマフィンティン半径TL431数値微分PC817Cアナログスイッチ直流動作点解析発振回路USBサーボカレントミラー74HC4053パラメトリック解析LDAbzqltyチョッパアンプ量子力学FFT2ちゃんねるアセンブラBSch開発環境電子負荷ブラべ格子イジング模型補間基本並進ベクトル標準ロジック単振り子キュリー温度繰り返しMaxima状態方程式失敗談相対論スピン軌道相互作用FETランダムウォーク熱伝導六方最密充填構造コバルトewidthTLP621GGAQSGW不規則合金位相図抵抗SMPcygwinラプラス方程式スレーターポーリング曲線gfortranスイッチト・キャパシタ詰め回路TLP552三角波格子比熱TLP521条件分岐LM555MCUNE555QNAPマントルテスタ過渡解析FXA-7020ZRダイヤモンドデータロガーガイガー管自動計測Writer509UPSシュレディンガー方程式ブラウン運動awk差し込みグラフ熱力学平均場近似仮想結晶近似VCAfsolve井戸型ポテンシャルVESTA起電力スーパーセルOpenMP第一原理計算ubuntu固有値問題L10構造OPA2277interp12SC1815fccウィグナーザイツ胞面心立方構造フィルタジバニャン方程式ヒストグラム確率論マテリアルデザインspecx.f等高線正規分布PGAフェルミ面非線型方程式ソルバ初期値固定スピンモーメントスワップ領域ルチル構造リジッドバンド模型edeltquantumESPRESSO岩塩構造BaOSIC二相共存ZnOウルツ鉱構造フォノンデバイ模型c/aノコギリ波全エネルギーFSMTeXgnuplotmultiplotハーフメタルCapSense半金属合金結晶磁気異方性Ubuntu文字列入出力TS-110TS-112疎行列Excel直流解析ヒストグラム円周率不規則局所モーメントトラックボールPC等価回路モデルパラメータ・モデルキーボードRealforce三次元マンデルブロ集合フラクタル化学反応重積分縮退日本語最小二乗法関数フィッティングGimpMAS830LHiLAPW熱拡散方程式両対数グラフナイキスト線図負帰還安定性陰解法Crank-Nicolson法P-10クーロン散乱境界条件連立一次方程式片対数グラフEAGLEPIC16F785LMC662トランスシンボルCK1026線種凡例MBEAACircuitグラフの分割軸ラベルifort

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ