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セメント抵抗の温度特性 その2

セメント抵抗の温度特性 その1から、セメント抵抗の抵抗値が温度によって変化するという説を立てました。今回は、定性的に異なる温度条件での抵抗値測定を行い、抵抗値の変化が温度に起因するものであると確認しました。

また、抵抗値変化を温度計として、セメント抵抗のパッケージの熱的特性に関する議論のアイデアについても触れました。

003_20091202040304.png 004_20091202040303.png 005_20091202040303.png


その1の再確認


セメント抵抗の温度特性 その1では、セメント抵抗を基板上に四端子接続し、その特性を測定しました。
その結果は、測定電流によって抵抗値が異なると言うものでした。


003_20091117050949.png
fig.1: 測定電流-抵抗値


抵抗は温度によって抵抗値が変わると言う性質があります。そのため、この抵抗値の変化は、測定電流による自己発熱の結果であると考えました。

今回のエントリでは、定性的ではありますが、異なる温度条件での抵抗値測定を行い、前述の抵抗値の変化が温度変化に起因するものであることを確認しました。

初期温度と抵抗値


まず、三段階(冷たい・普通・熱い)の温度に対して抵抗値を求めることを考えました。
回路構成は、fig.2のとおりで前回と同じです。測定電流はすべて約5Aで固定としました。


002_20091117050949.png
fig.2: 回路構成


冷たい条件での測定は、抵抗を冷蔵庫にしばらくおいておいたあと、「できるだけ手早く測定する」と言う方法で行いました。
普通の条件は、しばらく室温においておいた抵抗を、「できるだけ手早く測定」しました。
「できるだけ手早く測定」というのは、自己発熱によって温度が上がってしまわないうちにと言う意味です。
最後に、熱い条件は通電状態で10分程度放置したものを測定しました。

table.1に結果を示します。


条件電流[A]電圧[mV]抵抗[mOhm]
冷蔵庫4.9951494.999.08
室温4.9950495.999.28
触れないほど熱い4.9966506.9101.4
table.1: 温度と抵抗値


温度が高い条件の方が抵抗値が高いことが確認できました。

通電時間と温度の関係


次にデジタルマルチメータR6452Aをパソコンとシリアル接続し、連続的にデータをサンプリングしました。
fig.3に横軸に通電開始時間、縦軸に抵抗値の変化を示すグラフを掲載します。
測定電流は5Aです。


003_20091202040304.png
fig.3: 時間-抵抗値変化


熱のローパスフィルタ


これまでの考察から、セメント抵抗の抵抗値の変化は、抵抗の温度変化を表しているであろうという結論に至りました。そこで、この抵抗値の変化を温度変化とみなして、抵抗器の熱的特性に関して議論を行います。

熱抵抗を電気抵抗に、熱容量を静電容量に、熱源を電流源にそれぞれ置き換えれば、熱的特性は電気回路でモデル化することができます。このモデル化では、温度と電圧が対応します。

抵抗での発熱は、抵抗値の変化が小さいため一定と考えると、定電流源のモデルで表せます。セメント抵抗のパッケージを熱抵抗と熱容量が1つずつのもっとも単純なモデルとして考えると、fig.4のようになります。


004_20091202040303.png
fig.4: 熱のローパスフィルタモデル

005_20091202040303.png
fig.5: パッケージの温度変化


ここで、R1はセメント抵抗の発熱部とパッケージ間の熱抵抗、R2はパッケージと大気間の熱抵抗で、C1はパッケージの熱容量です。Tjは発熱部の温度、Tpがパッケージの表面温度、GNDに相当するのが大気温度です。

LTspiceでのシミュレーション結果から、fig.3の抵抗値変化の波形と形の似たパッケージ温度の波形が得られました。

デジタルマルチメータに熱電対を接続し、抵抗値変化の代わりにパッケージ温度を測定すれば、フィッティングからR1,R2,C1の値が得られるのではないかと思っています。(が、実際にやるつもりはありません。)

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルと実測データを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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tag: LTspice 温度解析 熱設計 HP6632A R6452A 

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熱容量

熱容量が大きくなると抵抗値の上昇時定数が長くなるということになるわけですね.すると,セメント抵抗の周りに追加でセメントを塗りつけてやるともっと熱容量が大きくなり,時定数が長くなるでしょうか.

でも,セメントを塗りつけると熱抵抗も変わっちゃうから,比較にならないか.なかなか,モデル化も難しいですね.

Re: 熱容量

のりたんさん、こんにちは。

実際のところ、どのようなモデル化が適切か私は知りません。そもそも熱抵抗と熱容量が三次元的に連続したネットワークとなっているでしょうし。

逆に、似たような方法で物質の熱伝導率を測定している人たちもいるみたいですね。

電気回路と違って、「熱抵抗だけのもの」「熱容量だけのもの」と言うのが存在せず、あるのは「RCネットワーク」だけと言うのはめんどくさそうです。
電気回路で、RCローパスフィルタのRとCを別々に求めようと思ったら、電圧と時間のほかに電流も測ればいけるでしょう。ということは、熱回路(?)において熱抵抗と熱容量を分離しようと思ったら、温度と時間と熱量を測る必要があるということになりますね。
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