TL431で低抵抗測定用10mA定電流源

TL431の内部ブロック図を眺めていたら、低抵抗測定用10mA定電流源と構成が似ていることに気がつきました。
そこで、TL431をつかって低抵抗測定用10mA定電流回路を設計しました。(実際には極性が逆で、以前の定電流回路はシリーズレギュレータっぽい挙動、一方でTL431はシャントレギュレータっぽい挙動です。)

002_20090925235238.png 003_20090925235238.png


TL431と定電流回路


TL431の内部ブロック図をfig.1に示します。


001_20090925235228.png
fig.1: TL431の内部ブロック図


基準電圧源と誤差増幅器が接続されていて、NPNトランジスタを駆動している回路と考えれば、この回路は、100mA定電流源の回路図と似ています。


002_20090416005732.png


この定電流回路の構成は、居酒屋ガレージ日記さんの低抵抗測定用10mA定電流源です。負荷が低抵抗であるとき、すなわち電流を流したときの電圧降下が小さいときは、TL431と抵抗だけで定電流回路が作れることに気がつきました。

低抵抗測定用10mA定電流源


TL431と抵抗だけで構成した10mA定電流回路のLTspiceシミュレーションをfig.2-3に示します。


002_20090925235238.png
fig.2: TL431使用低抵抗測定用10mA定電流源のスケマティック

003_20090925235238.png
fig.3: R2の抵抗値(横軸)、R2の両端の電圧降下(緑)、R1の電流(青)


TL431のSPICEモデルはテキサスインスツルメンツのものを利用しました。

利点と欠点


定電流回路は多くの場合、基準電圧源とシャント抵抗の電圧降下を比較することによって成り立っています。TL431は、こういった基準電圧源として最もポピュラーなICのひとつですが、今回の回路では、TL431自身にエラーアンプの役割を担わせているため部品点数を削減することができます。

一方で、シャント抵抗の両端の電位差が必ず2.5Vとなってしまうと言う制約があります。こういった理由から、可変電流源のアプリケーションには適さないと思います。
電流値の微調整は、シャント抵抗の大きさを微調整することによって可能です。とはいえ、もともと基準電圧用ICなので、そこそこの精度のシャント抵抗を用意して、無調整で使うぐらいがよいのではないでしょうか。

定電流シンク


テキサスインスツルメンツのTL431のデータシートを最後の方まで見ていくと、NPNトランジスタを1石追加した定電流シンクが載っています。


004_20090925235228.png
fig.4: データシートの定電流シンク


この回路では、TL431でレギュレーションしなければならないのがNPNトランジスタのベース電流だけなので、R1を小さく大きくすることができます。

内部ブロック図レベルの理解でも、思わぬところでICが使えて、回路を簡略化することが出来ることがあります。よく使われるICはさすがによくできていると考えさせられました。

関連エントリ




参考URL




フィードバック



にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ

 ↑ 電子工作ブログランキング参加中です。1クリックお願いします。


コメント・トラックバックも歓迎です。 ↓      


 ↓ この記事が面白かった方は「拍手」をお願いします。


tag: LTspice 定電流 TL431 

comment

Secret

データシートの定電流シンク

> R1を小さくすることができます。
電流を小さく→R1を大きく、ですよね。

fig4の回路は、ベース電流が誤差要因になってしまうので、スーパーベータまたは、ダーリントンを使う必要があるかと思います。さらに、TL431の精度まで考慮すると、0.1%誤差のRsは、やりすぎの感があります。
ベース電流の影響を小さくするためには、MOSFETを使うと良いでしょうか。

Re: データシートの定電流シンク

のりたんさん、こんにちは。

> > R1を小さくすることができます。
> 電流を小さく→R1を大きく、ですよね。
ご指摘ありがとうございます。そのとおりです。すみません。

> fig4の回路は、ベース電流が誤差要因になってしまうので、スーパーベータまたは、ダーリントンを使う必要があるかと思います。さらに、TL431の精度まで考慮すると、0.1%誤差のRsは、やりすぎの感があります。
> ベース電流の影響を小さくするためには、MOSFETを使うと良いでしょうか。

やはり、ベース電流やTL431自体の精度まで考えると、「ものすごく高精度の電流源」という感じではないですね。Rsの0.1%品の指定も、「1%よりは高精度だよ」と言った程度の意味と受けとった方がいいのかもしれません。

ベース電流分が気になるところにはMOSFETを、というのは教科書的にいっても模範解答だとは思うのですが、私はほとんどMOSFETを使ったことが無いので、正直なんともいえない感じです。
FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoC強磁性CPAPICOPアンプecalj常微分方程式モンテカルロ解析状態密度トランジスタodeDOSインターフェース定電流スイッチング回路PDS5022半導体シェルスクリプト分散関係レベルシフト乱数HP6632AR6452A可変抵抗トランジスタ技術温度解析ブレッドボードI2C反強磁性確率論数値積分セミナーバンドギャップバンド構造偏微分方程式非線形方程式ソルバ熱設計絶縁ISO-I2Cカオス三端子レギュレータLM358GW近似マフィンティン半径A/DコンバータフォトカプラシュミットトリガLEDPC817C発振回路数値微分直流動作点解析サーボカレントミラーTL431アナログスイッチUSB74HC4053bzqltyVESTA補間電子負荷アセンブライジング模型BSch量子力学単振り子2ちゃんねるチョッパアンプLDA開発環境基本並進ベクトルFFT標準ロジックブラべ格子パラメトリック解析抵抗SMPMaxima失敗談ラプラス方程式繰り返し位相図スイッチト・キャパシタ熱伝導状態方程式キュリー温度gfortranコバルトTLP621不規則合金Quantum_ESPRESSO六方最密充填構造ランダムウォーク相対論ewidthスピン軌道相互作用FETQSGWVCAcygwinスレーターポーリング曲線GGA仮想結晶近似PWscfシュレディンガー方程式LM555ハーフメタル固有値問題NE555最小値ガイガー管QNAPUPS自動計測ダイヤモンドマントルTLP552格子比熱最適化MCU井戸型ポテンシャル最大値xcrysdenCIF条件分岐詰め回路フェルミ面差し込みグラフスーパーセルfsolveブラウン運動awk過渡解析起電力三角波第一原理計算FXA-7020ZRWriter509Ubuntuテスタ熱力学データロガーTLP521OpenMPubuntu平均場近似MAS830LトランスCK1026PIC16F785PGA2SC1815EAGLEノコギリ波負帰還安定性ナイキスト線図MBEOPA2277P-10フィルタCapSenseAACircuitLMC662文字列固定スピンモーメントFSMTeX結晶磁気異方性全エネルギーc/a合金multiplotgnuplot非線型方程式ソルバL10構造正規分布等高線ジバニャン方程式初期値interp1fcc面心立方構造ウィグナーザイツ胞半金属デバイ模型電荷密度重積分SIC二相共存磁気モーメント不純物問題PWgui擬ポテンシャルゼーベック係数ZnOウルツ鉱構造edeltquantumESPRESSOフォノンリジッドバンド模型スワップ領域BaO岩塩構造ルチル構造ヒストグラム確率論マテリアルデザインフラクタルマンデルブロ集合キーボードRealforceクーロン散乱三次元疎行列縮退化学反応関数フィッティング最小二乗法Excel直流解析PCTS-110TS-112日本語パラメータ・モデル等価回路モデルcif2cell入出力陰解法熱拡散方程式HiLAPW両対数グラフCrank-Nicolson法連立一次方程式specx.fifort境界条件片対数グラフグラフの分割円周率ヒストグラム不規則局所モーメントGimpシンボル軸ラベル凡例線種トラックボール

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ