PSoC/GPIOのしきい値と電源電圧

PSoC/GPIOのしきい値とヒステリシスではPSoCのGPIOのしきい値電圧をVdd=5.0Vの条件で測定しました。
今回は、電源電圧を可変することによりしきい値電圧に変化が見られるかの測定を行い、上下のしきい値ともに電源電圧に対する直線的な依存性があることが分かりました。

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CMOSインバータのしきい値と電源電圧


PSoC/GPIOのしきい値とヒステリシスのエントリのコメント欄でのりたんさんに以下のような指摘をいただきました。

記事で提示されていたデータシートのVIL/VIH測定条件にこんな記述があります。

Vdd = 3.0 to 5.25

普通のCMOSインバータだと、Vddの値の影響を直接受けるので、いつでもTTLレベル入力というわけにはいかなくなります。そのため、74HCTシリーズの電源電圧は、TTLと同じ5V+/-10%と定められています。もし、Vddに依存しないようにVTL/VTHを定めようとすると、定電圧源とコンパレータで構成される、かなり重い回路が必要です。
もし、余力がありましたら、VddとVTL/VTHの関係も見てくださいませ。


前回のエントリでは、電源電圧Vdd=5Vさえ測定しておけば、他の電源電圧でも当てはめて考えることができると考えていましたが、電源電圧に依存してGPIOの入力しきい値が変化する可能性がでてきたため、追試を行いました。

測定回路の構成


PSoC/GPIOのしきい値とヒステリシスと同様、以下の回路構成で行いました。


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fig.1: 測定回路構成


PSoCのGlobal Resourcesは、以下のように設定しました。

Power Setting [Vcc / SysClk freq] : 3.3V/24MHz
Trip Voltage [LVD (SMP)] : 2.92V (3.02V)

電源電圧は、3.0V,3.3V,3.6V,3.9V,4.2V,4.5V,5.0V,5.5Vとしました。
(5.5Vは動作定格外でした。やってから気づきました。)

電圧測定にはPDS5022Sを、電源はHP6632Aシステム電源を用いました。
データの解析には、Microsoft Excelとgnuplotを用いました。

ヒステリシス曲線


測定結果を以下に示します。


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fig.2: ヒステリシス曲線


fig.2より、しきい値電圧が電源電圧に依存していることが分かります。


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fig.3: ヒステリシス曲線(Vdd=3.0V)


fig.3は電源電圧が3.0Vの条件のヒステリシス曲線を抜き出したものです。スレッショルド電圧付近でもノイズが大きく、上下のしきい値がそれぞれ一意に読み取ることができません。
VTL/VTHの代表値として、それぞれ出力遷移前の最小値/最大値を選びました。

しきい値の電源電圧特性


fig.4にしきい値の電源電圧特性を示します。
しきい値と電源電圧の間に線形関係が見えました。


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fig.4: しきい値-電源電圧特性


測定データに対して線型方程式の最小二乗法フィッティングを行ったところ、以下の係数が得られました。

VTL = 199.606 * Vdd + 511.626
VTH = 190.739 * Vdd + 713.202

ただし、VTL,VTHの単位は[mV]で、Vddの単位は[V]です。

ヒステリシスの電源電圧特性


VTHとVTLの差から求めたヒステリシス電圧VHの電源電圧特性をfig.5に示します。


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fig.5: ヒステリシス電圧-電源電圧特性


ほぼすべての電源電圧範囲で、ヒステリシス電圧VHは160mV前後でした。
ただし、まともな議論をするには電圧分解能不足です。
誤差棒として±1LSBをつけました。これは、誤差が1LSB以内であると言うわけではなくあくまで比較用です。

いま、Vdd=3.0V時のヒステリシス電圧が200mV、Vdd=3.3V時のヒステリシス電圧が160mVとなっていますが、この差は1LSBしかなく、fig.2-3を見ても1LSB以上の測定誤差があることは明らかです。

今の測定精度ではヒステリシス電圧が電源電圧に比例して拡大しているのか縮小しているのか、あるいは変化していないのかの議論は残念ながら出来そうにありません。

最後に、しきい値電圧とヒステリシス電圧の表を示します。

Vdd[V]VTL[mV]VTH[mV]VH[mV]
3.010801280200
3.312001360160
3.612401400160
3.912801440160
4.213601520160
4.514001560160
5.015201680160
5.516001760160
table.1


関連エントリ




付録


このエントリで使用したBSch3V形式回路図ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


参考文献




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