PSoC/GPIOのしきい値とヒステリシス

デジタルオシロスコープPDS5022SをもちいてPSoCのGPIOの入力バッファの特性を測定しました。
その結果VTH=1.68V,VTL=1.52V,VH=160mVと言う値が得られました。

001_20090830113043.png 002_20090830113042.png


マイコンのデジタル入力端子


マイコンのデジタル入力端子は、CPUと外部回路をつなぐ最も基本的なインターフェースです。
レベルシフト 第二回:分圧型と入力レベルのエントリのとおり、そのしきい値電圧は、デジタル回路を設計する上で非常に重要なパラメータです。

シュミットトリガ入力


シュミットトリガ入力は、入力電圧がL→Hに変化するときと、H→Lに変化するときで、しきい値が異なる回路です。
デジタル回路と言えど、その信号電圧の変化は連続的なアナログ値ですが、シュミットトリガ回路を用いると、入力信号の変化速度が遅かったり、ノイズが重畳している場合などでも出力をばたつかせずに切り替えることができます。

これまでにシュミットトリガに関するエントリはたくさん書いたので、以下に示しておきます。



PSoC/GPIO入力特性


PSoCのGPIOは入力端子として使う場合は、すべてシュミットトリガ入力です。
その入力ロジックレベルは(ほぼ)5VTTL互換です。

以下にCY8C29466のデータシートの引用を示します。

SymbolDescriptionMinTypMaxUnitNotes
VILInput Low Level--0.8VVdd = 3.0 to 5.25.
VIHInput High Level2.1--VVdd = 3.0 to 5.25.
VHInput Hysterisis-60-mV
table.1: DC GPIO Specifications


ここで、L→Hへのしきい値をVTL、H→Lのしきい値をVTHとすると

VIL < VTL < VTH < VIH

となり、
VTH - VTL = VH

となります。

本エントリでは、VTHとVTLを実測し、VHを求めました。

測定回路と計測器の構成


1Hz正弦波発振回路からの出力をPSoCのGPIOに入力し、Interconnectで直接他のGPIOへ出力したものをデジタルオシロスコープPDS5022Sで測定し、取得したデータをgnuplotで横軸に入力電圧、縦軸に出力電圧としてヒステリシス曲線をプロットしました。

1Hz正弦波発振回路は、PSoCでLED正弦波駆動の正弦波出力に対して、簡単なRCローパスフィルタ(147kΩ,0.1uF)をかけたものとしました。定数はブレッドボードで差し替えながらおおよそ滑らかな波形になるように選びました。

結果


結果のヒステリシス曲線をfig.1に示します。


001_20090830113043.png
fig.1: ヒステリシス曲線


実測の結果を以下にまとめます。

SymbolDescriptionVoltageUnit
VTL下側しきい値1.52V
VTH上側しきい値1.68V
VHヒステリシス幅160mV
table.2: しきい値とヒステリシス実測値


誤差要因の考察


本来は直流電圧源とデジタルマルチメータで行うべき測定ですが、今回は手間が省けるので交流電圧源とオシロスコープでやってしまいました。
そのため、そのことに起因する誤差が考えられます。

ひとつめは、「PSoCのInterconnectの遅延」です。
入力正弦波が1Hzとかなり遅いため、影響は小さいと考えています。

ふたつめが、「オシロスコープの電圧分解能不足」です。
fig.2に、fig.1の上下のしきい値付近を拡大したものを示します。


002_20090830113042.png
fig.2: ヒステリシス曲線拡大図


十字型のマーカーで示したのがデータ点で、X軸方向のデータ間隔が入力信号の電圧分解能です。
ヒステリシス幅の測定値160mVや公称値60mVに対して、分解能不足の感は否めません。

とはいうものの、
  • ほぼTTL互換入力であること
  • シュミットトリガ入力であること
  • ヒステリシス幅が100mV程度であること

が確認できました。

関連エントリ




参考文献/使用機器




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Vddは?

インターコネクトですか。面白そうな機能ですね。PSoC、本格的に手を出してみようかな?

今回の記事には、Vddの値が書いてありませんでした。たぶん、5Vで実験されたのだろうと想像しますが、記事で提示されていたデータシートのVIL/VIH測定条件にこんな記述があります。

Vdd = 3.0 to 5.25

普通のCMOSインバータだと、Vddの値の影響を直接受けるので、いつでもTTLレベル入力というわけにはいかなくなります。そのため、74HCTシリーズの電源電圧は、TTLと同じ5V+/-10%と定められています。もし、Vddに依存しないようにVTL/VTHを定めようとすると、定電圧源とコンパレータで構成される、かなり重い回路が必要です。
もし、余力がありましたら、VddとVTL/VTHの関係も見てくださいませ。

Re: Vddは?

のりたんさん、こんにちは。
とても重要な情報を書き漏らしてすみません。ご想像のとおりVdd=5Vです。

「Vdd = 3.0 to 5.25」の条件があったので、Vdd=5Vだけ調べればよいかなと思ったのですが、言われてみれば確かに「かなり重い回路」が必要そうですね。
私としても気になるので、近々Vddを振って測定してみようと思います。

> PSoC、本格的に手を出してみようかな?
PSoCは、必ずしも高性能ではありませんが、とっても面白いマイコンです。
のりたんさんになら気に入っていただけると思います。

No title

こちらの記事を参考に、周波数カウンタの入力回路の定数を決めました。
測定ありがとうございました。

Re: No title

edyさん、こんにちは。
コメント&トラックバックありがとうございます。

設計に活かしていただけたとなると、測定した意味もあったということでうれしいです。
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