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LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その3

LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その1その2を通じて、「現実の部品定数は正規分布であること」「LTspice標準のMC関数は一様分布であること」がわかりました。
今回は、LTspiceのモンテカルロシミュレーションをより現実の部品のばらつきに近づけるためにLTspice標準のガウス関数をもちいた正規分布のモンテカルロ解析を行い、得られたヒストグラムが現実のばらつきに近いものであることを確認しました。

001_20090506222543.png 002_20090506222543.png 003_20090506222543.png


○LTspiceで正規分布モンテカルロ解析
LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その1その2を通じて、「現実の部品定数は正規分布であること」「LTspice標準のMC関数は一様分布であること」がわかりました。
今回は、現実の部品の実測から求められた平均μと標準偏差σをgauss関数に適用して正規分布のモンテカルロ解析を行うこととします。

○LTspiceのgauss関数
LTspiceには標準でgauss関数が用意されています。引数はひとつで、標準偏差σです。
平均μ=0の正規分布関数です。

gauss(x)
Random number from Gaussian distribution with sigma of x.


_eq_001_20090506222553.png


LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その2で、秋月の10kΩ誤差5%カーボン皮膜抵抗98本の抵抗値の平均と標準偏差を測定しました。

μ=9903.27
σ=32.48

これらを代入すると、抵抗値は以下のようになります。


9903.27+gauss(32.48)


○LTspiceシミュレーション
上記のガウス関数を用いて、抵抗のばらつきのシミュレーションをしました。


001_20090506222543.png
fig.1: 抵抗のばらつきを調べるためのスケマティック

002_20090506222543.png
fig.2: 抵抗のばらつき


○ヒストグラム
OpenOffice.orgとgnuplotをもちいてLTspiceの結果からヒストグラムを描きました。


003_20090506222543.png
fig.3: 実測(赤) 正規分布関数(緑) LTspiceモンテカルロシミュレーション(青)


LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その2でかいた赤のラインと緑のラインに加えて、今回のLTspiceシミュレーションの結果を青のラインとして描画しました。

現実の抵抗のばらつき(赤)よりもシミュレーション(青)のほうが、きもちきれいな(?)形をしていますが、およそ現実の分布に近いモデル化が出来ているといえるでしょう。

○関連エントリ


○付録
このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。
gauss.txtはヒストグラムを描くためのデータです。一列目がLTspiceの出力データ、2列目と3列目が階級と度数です。



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tag: LTspice モンテカルロ解析 

comment

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No title

 実測の抵抗値で3×σ÷μ=1%だから、仕様の+-5%よりばらつきが少ないみたいですね。サンプル数を増やしたら出てくるかも知れんけど(抵抗の保障する信頼度がどの程度かによるけど)。

Re: No title

はやしさん、おはようございます。
同一ロット内でのばらつきではそのようです。
ただしμが公称値から1%ずれているので、ロット間でのばらつきを考えるともっと悪い値になると思っています。
さらに温度変化・経年変化を考慮すると5%という値になるのだろうという感じです。

この一連の議論は、その2(http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-380.html)のコメント欄でも行いました。

No title

>この一連の議論は、その2(http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-380.html)のコメント欄でも行いました

あら、ほんと。

抵抗の保障する信頼度がわかれば(つまり全体の何%の抵抗が公称5%以内に入るのか)、σを幾つにして解析すれば良いかわかるのではないかと思いました。逆もまた然りですが。

Re: No title

> 抵抗の保障する信頼度がわかれば(つまり全体の何%の抵抗が公称5%以内に入るのか)、σを幾つにして解析すれば良いかわかるのではないかと思いました。逆もまた然りですが。

抵抗の誤差は最悪値なので、100%すべての抵抗が公称5%以内に入るはずです。

いっぽう、正規分布関数ではσをどんなに小さくとっても、公称誤差から外れる値をとる可能性をゼロに出来ないという点は問題です。そのため、正規分布関数を用いたモンテカルロ解析で、他と大きく傾向の異なるシミュレーション結果が出た場合は、そのシミュレーションが部品定数の誤差範囲内で起こったことであるかどうかの確認をしなければならないことになります。

私のブログには次回予告をすると、その記事はかかれることがないというジンクスがあるのであまりやりたくないのですが、「その5」では公称誤差が3σとなるようにした正規分布関数でのモンテカルロ解析を、「その6」ではすべての部品定数が公称誤差範囲内になるように三角分布を用いたモンテカルロ解析を試すつもりです。

No title

>抵抗の誤差は最悪値なので、100%すべての抵抗が公称5%以内に入るはずです。

 これは、5%以上の誤差の品は検査ではじいているということですか?しかし、温度変化や経年変化があるなら、検査ではすべて除去できないのでは??
 このような場合の抵抗値の保証すべき信頼度が、規格か何かで定められていれば、それに対応するようにσを決められるなあ、というのが前コメントの趣旨でした(その2の流れを見る限り、見積もりは難しそうですね)。
 とはいえ、5%を外れる抵抗が表れる確率は、とても小さいようなので、三角形分布のような有限領域で値を持つ解析は興味深いです。
 この件に関してこの辺で。

Re: No title

>  これは、5%以上の誤差の品は検査ではじいているということですか?しかし、温度変化や経年変化があるなら、検査ではすべて除去できないのでは??

メーカーが具体的ににどのような方法で誤差の最悪値を保証しているのかは知りませんが、動作を保証する温度範囲や保証期間はデータシートを見れば書いてあるはずです。多分。
(現実的には、アマチュア用途のカーボン抵抗に関して、メーカーと型番を意識して使っているという人はほとんどいないと思いますが。)

全くの余談ですが、外国製の金属皮膜抵抗の中にはカラーコードで表示されている誤差を上回る誤差をもつものも出回っているようです。極端に安い金属皮膜抵抗は抵抗値を測ってみたほうがよいかもしれません。

>  とはいえ、5%を外れる抵抗が表れる確率は、とても小さいようなので、三角形分布のような有限領域で値を持つ解析は興味深いです。

今回の一連のエントリでは、分布のモデル化の方法/LTspiceでのシミュレーション方法の紹介を主眼にしています。実際にLTspiceでモンテカルロ解析をするときにどのモデルを採用するかは読者の皆さんにお任せします。
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