LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その2

LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その1では、LTspice標準のMC関数が一様分布のシミュレーションを行っているということを確認しました。
一方で、現実の抵抗などの定数分布は、一般に正規分布になっていることが知られています。今回は、10kΩの抵抗98本に対して抵抗値測定を行い、抵抗値のばらつきが正規分布に従っていることを確認しました。

001_20090506142046.png


○現実の部品の定数分布
LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その1では、LTspice標準のMC関数が一様分布のシミュレーションを行っているということを確認しました。
モンテカルロ解析は、部品定数のばらつきに起因する製品の歩留まりの見積もりなどに利用されます。この見積もりの精度を高めるためには、現実の部品定数の分布に近い分布関数を用いたシミュレーションが必要になります。

○測定
そこで、現実の抵抗器の抵抗値を測定し、その分布を調べました。

抵抗は秋月電子通商で購入したカーボン抵抗(炭素皮膜抵抗)1/4W 10KΩ(100本入)誤差5%を98本つかいました。(すでに2本使ってしまっていたので)

抵抗値測定には、MASTECH MAS830Lを20kΩレンジで行いました。
(Resolution:10Ω Accuracy:±0.8% of rdg ± 3 digits)

○結果
測定結果をOpenOffice.org Calcでヒストグラム化し、gnuplotでグラフ化しました。(fig.1)
横軸が階級で、縦軸が度数です。階級の幅はMAS830Lの分解能の10Ωとしました。


001_20090506142046.png
fig.1: 測定結果のヒストグラム(赤)と正規分布関数(緑)


グラフから以下のようなことが読み取れます。

  • 分布が山なりの形を成している
  • 山なりの中心が10kΩからずれている
  • 測定したすべての抵抗値が5%よりはるかによい誤差範囲に収まっている


○正規分布
結果から、分布が平坦な一様分布ではなく、山なりの形をしていることが分かりました。
一般的に、抵抗などの工業製品の部品定数は正規分布に従うとされています。

正規分布は以下の確率密度関数の形を持つ分布です。

_eq001.png


ここで、μが平均、σが標準偏差をあらわします。

翻って測定データについても、OpenOffice.orgをもちいて平均と標準偏差を求めました。AVERAGE関数で平均が、STDEVP関数で標準偏差がそれぞれ求められます。

μ=9903.27
σ=32.48

求められた平均と標準偏差から、測定した抵抗の分布関数を求めfig.1の緑のラインとして描画しました。グラフの高さは、赤の面積と緑の面積が等しくなるように規格化しました。

二つのグラフの比較から、秋月の抵抗袋の抵抗は、正規分布にそっていることが分かります。

○関連エントリ


○参考URL


○使用機器



○付録
このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。

実測した抵抗値データを添付します。1列目が抵抗値の生データ、2列目と3列目が階級の幅と度数です。


○電子工作ブログランキング参加中
にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ
1クリックお願いします。


tag: LTspice モンテカルロ解析 

comment

Secret

No title

がんばるなぁ

3σ=97.5
カーボン抵抗ってもう少しばらついているものかと思ってた

Re: No title

のさん、こんばんは。
測定は、はじめてみるとさほど時間はかかりませんでした。

> 3σ=97.5
> カーボン抵抗ってもう少しばらついているものかと思ってた
標準偏差が思いのほか小さいのは、母集団が秋月の100本袋(≒すべて同一ロット)だからだと思います。ロットごとにμがばらつくことを考えると、トータルではもっと悪い値になるだろうと予想されます。

ばらつき

同一ロットであれば、ばらつきは小さくなると思います。

ロット間ばらつきの他には、経年変化ばらつき、温度変化ばらつき、など様々な要因が考えられるので、それらを全て加味して5%というのは凄いことなんだろうと思います。

Re: ばらつき

のりたんさん、こんばんは。
話を抵抗に限っても難しい話なのだろうと思います。
温度変化のほうはまだしも、経年変化は対策方法も見積もり方法も私にはわかりません。
(アマチュアの身としては経年変化を見込んだ回路設計などやろうと思ったこともないのですが。)
FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoCOPアンプCPA強磁性PICモンテカルロ解析常微分方程式odeトランジスタecalj状態密度DOSインターフェース定電流スイッチング回路PDS5022半導体シェルスクリプト乱数レベルシフトHP6632A温度解析分散関係I2Cトランジスタ技術R6452A可変抵抗ブレッドボードセミナーバンドギャップ数値積分確率論反強磁性偏微分方程式バンド構造絶縁熱設計非線形方程式ソルバフォトカプラシュミットトリガLEDLM358カオスISO-I2C三端子レギュレータGW近似A/Dコンバータカレントミラーアナログスイッチ数値微分マフィンティン半径TL431発振回路サーボPC817CUSB直流動作点解析74HC4053補間FFTBSch開発環境パラメトリック解析2ちゃんねるチョッパアンプ量子力学bzqlty電子負荷イジング模型LDA標準ロジックアセンブラ基本並進ベクトルブラべ格子単振り子熱伝導位相図TLP621キュリー温度繰り返し状態方程式MaximaVESTAスイッチト・キャパシタ相対論FETランダムウォークスピン軌道相互作用SMP六方最密充填構造抵抗不規則合金ewidthスレーターポーリング曲線GGAラプラス方程式cygwingfortranQSGW失敗談コバルト条件分岐TLP521テスタLM555Writer509TLP552格子比熱マントルデータロガー自動計測詰め回路ガイガー管ダイヤモンドQNAPMCUFXA-7020ZR過渡解析三角波UPSNE555固有値問題熱力学ブラウン運動フェルミ面awk起電力第一原理計算OpenMPfsolveubuntu最大値xcrysden最小値最適化仮想結晶近似VCA差し込みグラフスーパーセル井戸型ポテンシャル平均場近似シュレディンガー方程式FSMフラクタルOPA2277固定スピンモーメント2SC1815全エネルギー合金multiplotgnuplotc/aTeX結晶磁気異方性interp1ウィグナーザイツ胞初期値マンデルブロ集合疎行列面心立方構造fcc不純物問題非線型方程式ソルバフィルタL10構造PGA半金属二相共存SICZnOウルツ鉱構造BaO重積分クーロン散乱磁気モーメント電荷密度三次元CIF岩塩構造CapSenseノコギリ波デバイ模型ハーフメタル正規分布フォノンquantumESPRESSOルチル構造スワップ領域リジッドバンド模型edelt縮退キーボード軸ラベルグラフの分割凡例トラックボールPC不規則局所モーメント片対数グラフトランス両対数グラフCK1026MAS830L直流解析Excel円周率パラメータ・モデルヒストグラム日本語最小二乗法等価回路モデルGimp線種シンボルTS-110TS-112PIC16F785LMC662化学反応文字列specx.f入出力ifortマテリアルデザインヒストグラム確率論Realforce等高線ジバニャン方程式P-10Ubuntuナイキスト線図Crank-Nicolson法陰解法熱拡散方程式HiLAPWAACircuit連立一次方程式負帰還安定性境界条件EAGLEMBE関数フィッティング

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ