LTspiceでデジタル回路 その1

LTspiceは、標準でデジタルICのモデルを持っています。
しかしながらデフォルトでは"H"レベルが1Vとなっているので、そのままでは標準的な5Vロジックのシミュレーションには向きません。
そこで、各素子のSpiceLineにパラメータを指定して5V系や3.3V系でのシミュレーションをする方法を書きます。

001_20090312033941.png 003_20090312033958.png



○インバータのシミュレーション
以下のような、単純なインバータのシミュレーション例を示します。


001_20090312033941.png
fig.1: インバータのテストスケマティック

002_20090312033948.png
fig.2: グラフ


まずは、[Component]のなかの[Digital]フォルダからInvを選択して、回路図上に配置します。
次に、Invの上で右クリックします。すると、fig.3のような「Component Attribute Editor」ダイアログが立ち上がります。


003_20090312033958.png
fig.3: Component Attribute Editor ダイアログ


SpiceLineの欄に

Vhigh=5V Vlow=0V Vt=2.5V

と入力します。この際に、となりの「Visible」チェックボックスにチェックを入れるとスケマティック上にSpiceLineに入力した項目が表示されます。
各パラメータの意味は、大体想像通りだと思いますが、以下のとおりです。

Vhigh : "H"レベル出力電圧
Vlow : "L"レベル出力電圧
Vt : しきい値(スレッショルド)電圧

上記の例では、5V動作でしきい値が2.5Vというわけです。

○シュミットトリガインバータのシミュレーション
シュミットトリガインバータの場合、ただのインバータのときに加えてヒステリシス幅を設定する必要があります。


004_20090312034007.png
fig.4

005_20090312034012.png
fig.5

006_20090312034017.png
fig.6


やることは同じで、SpiceLineにVh=0.5Vを追加します。

Vhigh : "H"レベル出力電圧
Vlow : "L"レベル出力電圧
Vt : しきい値(スレッショルド)電圧
Vh : ヒステリシス幅

○付録
このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。



tag: LTspice 

comment

Secret

LTspiceについて

LTspiceを使おうとしていますが、解らない事が多く参考にさせていただいております。有難うございます。
信号源にsin波の絶対値をとった波形(AC信号の全波整流波形)を設定しようとしましたが、設定の仕方がわかりません。
もしお解かりでしたら御教示願えないでしょうか。
あとdigitalのゲートICの回路シンボルが5入力で出てきますが、入力数を変えることは可能なのでしょうか?
御手数をお掛けし申し訳ありませんが、合わせて御教示の程、宜しくお願しいます。

Re: LTspiceについて

YMさん、こんにちは。

絶対値回路は、ビヘイビア電源(bv)で作成可能です。
LTspiceでビヘイビア電源ほかのビヘイビア電源(BV,BI)をご覧ください。
http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-477.html#BV

ディジタル素子の入力数の変更方法は、私にはわかりません。
回路図が複雑になってしまいますが、現実の回路と同様に多段接続したり、不要な入力に論理を固定した信号を入れることでシミュレーションそのものはできると思います。

個人的な好みの話になってしまいますが、私はLTspice標準のディジタル素子を使うことはほとんどありません。
というのも、LTspiceの標準のディジタル素子はアナログ信号を入力すると、収束しにくい傾向がある気がするからです。

最近はアクセスしてないので記憶があいまいですが、Yahoo!のLTspice User Groupに標準のものよりは収束しやすい74HCなどのモデルがあった気がします。これらは、現実のICと同じ入力数だったと思います。

参考になれば幸いです。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRScilabmachikaneyamaKKRPSoCCPA強磁性PICOPアンプecalj状態密度常微分方程式モンテカルロ解析トランジスタodeDOSインターフェース定電流PDS5022半導体スイッチング回路分散関係確率論シェルスクリプトレベルシフト乱数バンド構造HP6632A温度解析可変抵抗R6452AI2CPWscfバンドギャップブレッドボードトランジスタ技術セミナー数値積分反強磁性絶縁非線形方程式ソルバ熱設計偏微分方程式A/DコンバータLM358フォトカプラシュミットトリガ三端子レギュレータLEDGW近似マフィンティン半径順列・組み合わせカオスISO-I2Cカレントミラー発振回路USBサーボ74HC4053PC817C直流動作点解析補間アナログスイッチ固体電子論QuantumESPRESSO数値微分TL431チョッパアンプ開発環境2ちゃんねるFFT単振り子アセンブラ量子力学BSchパラメトリック解析標準ロジック電子負荷トレーナーバトルbzqltyポケモンGO状態方程式スーパーリーグ基本並進ベクトルLDAブラべ格子イジング模型VESTA相対論スピン軌道相互作用位相図繰り返し熱伝導ラプラス方程式キュリー温度TLP621FETスレーターポーリング曲線抵抗失敗談SMPスイッチト・キャパシタMaximaGGAVCAewidth最適化cygwin仮想結晶近似Quantum_ESPRESSOランダムウォークgfortranQSGW六方最密充填構造コバルト不規則合金ダイヤモンドQNAPデータロガーUPSマントル条件分岐自動計測シュレディンガー方程式固有値問題格子比熱井戸型ポテンシャルテスタTLP521LM555NE555TLP552Writer509FXA-7020ZRMCU詰め回路三角波過渡解析ガイガー管UbuntuZnO熱力学フォノンハーフメタル最小値最大値ゼーベック係数xcrysdenCIFfsolveubuntuOpenMP第一原理計算差し込みグラフ平均場近似起電力スーパーセルawkフェルミ面ブラウン運動文字列疎行列入出力不規則局所モーメントヒストグラム縮退フラクタルマンデルブロ集合キーボード円周率クーロン散乱三次元化学反応熱拡散方程式RealforceHiLAPW陰解法Crank-Nicolson法連立一次方程式両対数グラフ片対数グラフ線種シンボル凡例軸ラベルグラフの分割Gimpトラックボール負帰還安定性ナイキスト線図EAGLEMBELMC662AACircuitP-10フィルタノコギリ波CapSense2SC1815OPA2277PGAPIC16F785トランス等価回路モデルTS-112パラメータ・モデル日本語最小二乗法TS-110ExcelMAS830LCK1026境界条件PC直流解析関数フィッティングfcccif2cellPWgui状態図ハイパーリーグPvP擬ポテンシャル不純物問題SIC二相共存重積分電荷密度磁気モーメントEMTO-CPASPR-KKRBroydenTchebyshevルチル構造gnuplot面心立方構造pmixPbTeLmtARTFPLOAMULETsedOpenPBSウルツ鉱構造BaOウィグナーザイツ胞interp1L10構造非線型方程式ソルバ結晶磁気異方性初期値正規分布マテリアルデザインspecx.fヒストグラム確率論ジバニャン方程式等高線TeXFSMedeltquantumESPRESSOリジッドバンド模型スワップ領域岩塩構造デバイ模型半金属全エネルギー固定スピンモーメントc/amultiplot合金ifort

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ