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ADCの並列動作 その2

ADCの並列動作 その1では単一のA/Dコンバータに対して周波数特性を調べるためLTspiceでシミュレーションを行いました。その結果、SAR型A/Dコンバータの入力段のS&H回路はローパスフィルタの特性を持つため変換可能な信号の帯域に制約を与えることが分かりました。
今回は、ADCを並列動作によるサンプリングレート向上とともに上記の特性の影響が大きくなることをLTspieを用いたシミュレーションで示しました。

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ADC並列動作のLTspiceシミュレーション


ADCの並列動作 その1では単一のA/Dコンバータに対して周波数特性を調べるためLTspiceでシミュレーションを行いました。
今回は、過渡解析を用いてサンプリングスイッチの動作も含めたADCの並列動作をシミュレーションします。


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fig.1: 単一のA/Dコンバータ

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fig.2: A/Dコンバータの並列化


fig.1が並列化前のスケマティックです。fig.2はfig.1の点線内部の回路をコピーし、サンプリングスイッチのタイミングパルスの位相をずらしたものです。

1kHzのシミュレーション



003_20090111235010.png
fig.3: 1kHzの入力信号(黄緑)と出力データ(青)


黄緑のラインが1kHzの入力信号で、青のラインが出力データを示したものです。
位相の回転と量子化ノイズが見られます。位相回転の要因は、ローパスフィルタとしての特性よりもサンプリング時とA/D変換完了までのタイムラグが主要だと思います。
このタイムラグは一定であるので、ソフトウエアで後から補正することができるでしょう。

10kHzのシミュレーション



004_20090111235016.png
fig.4: 並列化スケマティック10kHz

005_20090111235021.png
fig.5: 10kHzの入力信号(黄緑)と出力データ(青)


前述のとおり、タイムラグに起因する位相の回転はソフトウェアで補正できます。量子化ノイズが相対的に大きくみえるのも我慢するとします。
とすると、やはり問題は振幅の減衰です。

AVRのS/H回路モデル


私がAVRを使ったことがないので、S/H回路の動作タイミングのモデルはかなりいい加減です。
AVRのADCにおけるS/H回路への充電のためのサンプリングスイッチ開閉動作をよく知らないので、最悪値として、トラ技のタイミングチャートの中から「A-D変換の開始指示」から「実際のA-D変換スタート」までの1.6usをサンプリングスイッチを閉じておく時間として採用しました。
しかし、各々のマイコンに関しては1chしかADCを使っていないので、変換以外の時間をすべて蓄積時間として使うことができるはずです。よって、実際の帯域はもっとマシだと思います。

結論


蓄電時間の見積もりが適当なことと、サンプリング抵抗のばらつきがあることなどから、AVRのADC並列動作でどこまで高速なデジタルオシロが作れるかということに関して定量的な評価ができているかという点は疑わしいと思います。
しかし、デジタルオシロスコープの周波数特性は、サンプリングレートのみによっては決まらないということを説明することはできたと思います。
また、このエントリで示した具体的な数値に関しても、ADCを並列使用するに際してのワーストケースとしては意味のあるものだと思います。

また、オシロスコープを使うときに少し意識すべきこととして、出力の表示は必ずしも入力信号と相似形をしているとは限らないということです。アナログオシロでは、帯域外の高周波信号は減衰しますし、デジタルオシロスコープではサンプリングレートしか書かれていない場合もあります。
なんにせよ、計測器を使うときには性能の限界に対して余裕のある領域で使っていることを確認する必要があります。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


参考文献




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tag: LTspice A/Dコンバータ 

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