レベルシフト 第二回:分圧型と入力レベル

前回、いろいろなパターンのレベルシフト回路を列挙しました。今回はその中で抵抗分圧を用いているタイプについて書きます。

5V出力→3.3V入力



出力電圧は以下の通り。



LTspiceでのシミュレーションは、以下の様になりました。






グラフ中の緑が入力信号の波形、青が出力信号の波形です。

出力電圧の式


において、R1=2.2k,R2=3.3k(誤差なし)とおきVinはLレベルとして0V、Hレベルとして5Vを入力という理想的な条件でシミュレーションしてあります。この条件では、分圧後の出力は3Vとなります。

±5V出力→5V入力



出力電圧は以下の通り。



LTspiceでのシミュレーションは、以下の様になりました。






グラフ中の緑が入力信号の波形、青が出力信号の波形です。

TTL互換バッファとCOMSバッファ

さて、この3Vという出力は、電源電圧の3.3Vより少し低い電圧ですが、きちんとHレベルと判断されるのでしょうか?
3.3V系の議論をする前に、5V系のデジタル回路の入力レベルの話をします。

理由は知りませんが、デジタル回路の動作電圧としては5Vが昔から一般的に利用されています。5V系の入力レベルとしてはTTL互換レベルとCMOSレベルが代表的です。(ただし例外もあります。)
TTL互換のことをTTLコンパチなどということもあります。

***

以下に示すのは、TTL互換入力レベルの代表例である74HCT04のデータシートからの抜粋です。




入力電圧"H"レベルVihの項を見ると、2.0Vが最小値であるとされています。74HCT04の入力端子に2.0V異常の電圧がかけられると、"H"レベルであると判断するということです。一方で入力"L"レベルVihの最大値は0.8Vとなっています。
ではこのICに0.8V~2.0Vの間の電圧、たとえば1.5Vの入力を与えたら"H"と"L"のどちらであると判断をされるのでしょうか。その答えは、「実際に電圧をかけてみるまで分からない」です。
74HCT04をはじめとするデジタルICは、入力電圧がある一定の電圧を上回ると"H"下回ると"L"と判断する基準を持っています。この基準値をしきい値とよびます。74HCT04のしきい値は0.8V~2.0Vの間のどこかにあります。しかしながら、具体的にどこにあるかは個体差や動作環境の違いにより変化します。
したがって、デジタルICに入力される電圧は確実に"H"または"L"と判断できる領域におさまっている必要があります。

***

以下に示すのは、COMS入力レベルの代表例である74HC04のデータシートからの抜粋です。




入力電圧"H"レベルVihの項を見ると、電源電圧Vccに依存していることが分かります。電源電圧Vccと入力"H"レベル電圧の最小値Vihの関係をプロットし、線形フィッティングしたのが以下のグラフです。
Vccが5VのときのVihは、約3.5Vと見積もることが出来ます。




Vccに対する"H"レベル入力電圧の最小値および、"L"レベル入力電圧の最大値をグラフにプロットし、線形フィッティングしたものが以下のグラフです。




74HC04のしきい値は、この2本の直線の間(のどこか)にあるということになります。

実際の設計(5V→3.3V)

実際の設計として、5V動作の74HC04から3.3V動作の74HC04へ信号を送るための分圧レベルシフト回路を考えます。
以下に示すのが、74HC04の電源電圧Vccと"H"レベル電圧の最小値Vinの関係のグラフです。Vcc=5Vのときの値に加えてVcc=3.3Vのときの値を示す破線を追加してあります。




5V出力3.3V入力のレベルシフタの実際の設計では、分圧後の"H"レベル出力電圧が誤差要因を含めて2.37V以上になればよいことが分かります。

***

誤差要因としては、出力電圧の降下と抵抗誤差を考えます。

まずは出力電圧の降下について。
"H"レベル出力電圧Vohは、電源電圧Vccと出力電流Iohに依存することが分かります。Vcc=4.5V,Ioh=-4mAやVcc=6.0V,Ioh=-5.2mAはGNDへの負荷抵抗Rlに換算すると約1kΩに相当します。この条件での電源電圧Vccと"H"レベル出力電圧Vohの関係を表したのが下のグラフになります。




グラフからVcc=5Vのときの出力電圧はVoh=4.68Vと読み取れます。

次に抵抗値の誤差を考えます。炭素皮膜抵抗の誤差は5%です。Voutが最小になるのは、R1が最大でR2が最小になるときです。




上の出力電圧の式にR1=2.2k*1.05、R2=3.3k*0.95を代入して




が得られます。これは2.37V以上という条件を満たします。

***

回路シミュレータLTspiceを使って視覚的に確認する方法もあります。以下はモンテカルロ解析を用いて抵抗の誤差が分圧後の出力にどの程度影響するのかをシミュレーションしたものです。






上のグラフから抵抗値のばらつきにより、分圧後の電圧がばらつくことが分かります。このばらつきがあったとしても、下のグラフのV(tx)とV(rx)をみると信号が正しく伝達していることが分かります。

手計算で最悪値を求めるにせよシミュレータで大雑把に見るにせよ、自分がどのようなモデルを考えていて他にどのような要因が考えられるかを把握しておくことが必要です。



tag: レベルシフト インターフェース LTspice 

comment

Secret

FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoC強磁性OPアンプPICCPAecaljモンテカルロ解析常微分方程式odeトランジスタ状態密度DOSインターフェース定電流PDS5022スイッチング回路半導体シェルスクリプト乱数レベルシフト分散関係HP6632AI2C可変抵抗トランジスタ技術ブレッドボード温度解析R6452A反強磁性確率論バンドギャップセミナー数値積分熱設計非線形方程式ソルババンド構造絶縁偏微分方程式ISO-I2CLM358マフィンティン半径フォトカプラシュミットトリガカオスLED三端子レギュレータGW近似A/Dコンバータ発振回路PC817C直流動作点解析USBTL431数値微分アナログスイッチカレントミラー74HC4053サーボ量子力学単振り子チョッパアンプ補間2ちゃんねる開発環境bzqltyFFT電子負荷LDAイジング模型BSch基本並進ベクトルブラべ格子パラメトリック解析標準ロジックアセンブラ繰り返し六方最密充填構造SMPコバルトewidthFET仮想結晶近似QSGW不規則合金VCAMaximaGGA熱伝導cygwinスレーターポーリング曲線キュリー温度スイッチト・キャパシタ失敗談ランダムウォークgfortran抵抗相対論位相図スピン軌道相互作用VESTA状態方程式TLP621ラプラス方程式TLP552条件分岐NE555LM555TLP521マントル詰め回路MCUテスタFXA-7020ZR三角波過渡解析ガイガー管自動計測QNAPUPSWriter509ダイヤモンドデータロガー格子比熱熱力学起電力awkブラウン運動スーパーセルUbuntu差し込みグラフ第一原理計算フェルミ面fsolveCIFxcrysden最大値最小値ubuntu最適化平均場近似OpenMP井戸型ポテンシャル固有値問題シュレディンガー方程式TeX2SC1815結晶磁気異方性OPA2277フラクタルFSM固定スピンモーメントc/a非線型方程式ソルバgnuplot全エネルギーfcc初期値マンデルブロ集合縮退正規分布interp1ウィグナーザイツ胞L10構造multiplotフィルタ面心立方構造PGAハーフメタル二相共存ZnOウルツ鉱構造BaOSIC重積分磁気モーメント電荷密度化学反応クーロン散乱岩塩構造CapSenseノコギリ波デバイ模型キーボード半金属フォノンquantumESPRESSOルチル構造スワップ領域リジッドバンド模型edelt合金Realforce軸ラベルグラフの分割凡例線種シンボルMAS830LCK1026LMC662PIC16F785トランス関数フィッティングトラックボールPC等価回路モデルヒストグラムパラメータ・モデル不規則局所モーメント最小二乗法TS-112TS-110直流解析ExcelGimp円周率片対数グラフ両対数グラフspecx.f疎行列三次元ifort文字列不純物問題P-10等高線ジバニャン方程式ヒストグラム確率論マテリアルデザイン入出力境界条件陰解法AACircuit熱拡散方程式HiLAPWMBEEAGLE連立一次方程式ナイキスト線図負帰還安定性Crank-Nicolson法日本語

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ