負電源三端子レギュレータを正電源用にするとドロップ分が負電源になる
PIC等のマイコンとLM358等のOPアンプを使った、006P乾電池(9V)を電源とする携帯機器の電源回路を考えます。
回路の電源として5Vを正電源用三端子レギュレータ7805で作ると以下のような回路になります。
ここで、汎用単電源OPアンプLM358の入出力電圧範囲は0~VCC-2V程度なので3V以上のアナログ信号を直接扱えません。これに対してはレールtoレールOPアンプを使うなど、いろいろな対策が考えられます。しかし、今回のケースでは三端子レギュレータ以前の電源がバッテリーであるので三端子レギュレータを通さないものをOPアンプの電源とするという方法が簡単です。
LM358などの単電源OPアンプは負電源端子に入力した電圧まで出力をスイングできると謳っていますが、現実的には負電源付近での出力には非線形性がともないます。この対策には信号にバイアスをかける方法とOPアンプを両電源で利用する方法があります。
上で示した、正電源電圧に起因するOPアンプの入出力電圧範囲の上限が制約される問題に対する対策法と同じ考え方で、この負電源電圧に起因するOPアンプの入出力電圧範囲の下限が制約される問題にも対処できます。
この方法には、負電源三端子レギュレータ7905を正電源生成に使います。
負電源三端子レギュレータのドロップ分を回路上の負電源として使っていると考えれば、この方法は負電源を用意する対処法だととらえることができます。(回路のGND電位自体をバッテリーのマイナス端子電圧に対してバイアスをかけていると捕らえると、バイアス法とも考えられるでしょうか。)
負電源を生成していると考えれば、単電源OPアンプだけでなく両電源を要求するOPアンプ(たとえばOP07など)を使うこともできます。
負電源を用意する方法であるという考え方でまとめます。
上の図の一番左が、素の006P乾電池の9Vです。
これに対して左から二番目がごく普通に7805をつかって5Vを作るときの電位の関係です。乾電池のマイナス端子側をGNDと考えてこの点から安定した5Vを生成しています。この記事の2番目の回路ではドロップ分の4Vが加わった点(乾電池のプラス端子側)をVCC-2(9V)として使っています。
次に、左から3番目が負電源用三端子レギュレータ7905を普通の使い方で使ったときの電位の関係です。乾電池のプラス端子をGNDとして安定した5Vを負電源として利用します。この方法では、ドロップ分の4Vは利用されません。
最後に、一番右がこの記事で紹介した7905を正電源生成用に使いドロップ分を負電源であると考えるときの電位の関係です。負電源三端子レギュレータの出力端子をGNDであると考えています。
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