デシベルという単位 その1

デシベル(dB)という言葉は、OPアンプ回路に関する文章をはじめとして、いろいろな場面ででてきます。
このようなもろもろの用語は、分かるような分からないようなものが多くて困ります。
デシベルという単位は、そのような定義を知っていてもあまりピンと来ない言葉の一つではないでしょうか。

デシベルは、基本的には二つの値の比を表す単位で、[倍]という単位に似たものです。[dB]は値が対数に圧縮されているという点において[倍]と異なっています。[倍]という表記をする代わりに[dB]表記をすることの利点はいろいろ考えられるのでしょうが、現実的には様々なところで使われてしまっているのでとりあえず覚えましょう。

A[倍]のゲインをG[dB]に変換するための式は以下の式になります。

G=20*log|A|

logは常用対数なので底は10です。
[dB]表記の特徴を以下にあげます。特徴は長所にも短所にもなりえます。

(1)大きな値の変化を小さな値の範囲に圧縮して表現できる
(2)数値間の乗除算が加減算に変換される
(3)正負のゲインが区別できない

少し具体的な話をしましょう。以下に示すのはRs=1k,Rf=100kとしてゲイン-100倍のOPアンプを用いた反転増幅回路です。




G=20*log|-100|=40dB

以上の計算式から、この回路のゲインは40[dB]となります。反転増幅回路なので、[倍]の表現では-100[倍]と負の符号をつけることが出来ますが、デシベル表現ではゲインの絶対値しか表現できないことが分かります。

次に示すのは、Rs=1k,Rf=100kの101倍のゲインを持つ非反転増幅回路です。




G=20*log(101)=40.086≒40dB

反転増幅回路のときと同様に[倍]の表現から[dB]の表現に変換してみました。今回の例では同じ抵抗値を使ったので、ゲインの絶対値が100倍と101倍で1だけ非反転増幅回路のほうが大きくなっています。これをデシベル表現のほうで比べると40dBと40.086dBとなり、なんというかデシベル表現をしたほうが違いが小さくなったように見えます。
もちろん、小さくなったように見えるのは表現方法が違うだけで、現実のゲインの差が小さくなるわけではないのですが、こんなふうに見えるというのも対数表現の特徴でしょう。
したがって、10倍なのか11倍なのかといった議論をする場合にはデシベル表現は適当ではありません。一方、10倍なのか1,000倍なのかといった、値の範囲が広い議論にはデシベル表現が使われることがよくあります。

最後に数値間の乗除算が加減算に変換される例を挙げます。




破線内の回路は、それぞれ絶対値で100倍のゲインを持つ反転増幅回路です。個々のゲインをデシベル表現すると40dBになります。
これを直列に接続した回路は、トータルで10,000倍のゲインを持つ非反転増幅回路になりますが、これをデシベル表現すると80dBとなります。

G=20*log(100*100)=20*(log100 + log100)=80dB

これは、対数の基本的な性質によるものです。



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