AkaiKKRでコバルトの格子定数

AkaiKKR(Machikaneyama)を用いて、全エネルギー最小化の条件からhcp構造をもつコバルトの格子定数(a, c/a)を計算しました。
この際、入力ファイルがたくさんになるため、シェルスクリプトを用いてテンプレートとなる入力ファイルの中の格子定数を順次置き換えるようにしました。
計算結果に対して、Scilabでスプライン補間を行い、カラーコンターでプロット、及び全エネルギーが最小になるときの平衡格子定数を計算しました。その結果は、文献値と良い一致を示しました。

000_20140323150909952.png

Fig.1: AkaiKKRによるコバルトの平衡格子定数。第一原理計算でエネルギーが最小となる格子定数(白丸)と文献値(赤クロス: 鮫島研究室電気電子材料講義ノート(PDF), 黄クロス: GitHub Co-Cobalt.cif)



平衡格子定数


AkaiKKRで鉄の安定相と格子定数では、AkaiKKR(Machikaneyama)を用いて、体心立方構造(bcc)や面心立方構造(fcc)の鉄の格子定数aを変化させる計算を行いました。
この計算から求められた全エネルギーが最も小さくなる格子定数が、ゼロ気圧(≒大気圧)におけるその物質の格子定数になります。

鉄はbcc構造、ニッケルはfcc構造を取りますが、これらの他にコバルトなどが取る六方最密充填構造(hcp)も重要な結晶構造です。しかしながら、前者二つが格子定数としてaだけを可変させれば計算できるのに対して、hcp構造ではaとcの二つの格子定数を持つので作らなければならない入力ファイルの数がたくさんになります。

前回の第24回CMDワークショップで、私はアドバンストコースにて、小口先生のHiLAPWの演習と赤井先生のAkaiKKR(Machikaneyama)の演習を受講させていただきました。
その際に、小口先生にシェルスクリプトを利用して入力ファイルの格子定数を置き換える方法を教えていただきました。今回はこのテクニックを応用して、AkaiKKRでhcp構造を持つコバルトの格子定数を計算してみます。
(なお、シェルスクリプトの入門書に関しては坂本文著続・たのしいUNIXを紹介していただきました。)

入力ファイル


入力ファイルのテンプレートはAkaiKKRでニッケル・鉄・コバルトをベースに以下の様にしました。(Co0.in)

 go  data/co_4.75_1.633
hcp 4.75, 1.633, , , , ,
0.001 1.0 sra gga91 mag 2nd
update 4 200 0.024
1
Co 1 0 0 2 27 100

2
0.33333a 0.66667b 0.25c Co
0.66667a 0.33333b 0.75c Co


シェルスクリプト


上記のテンプレートの中の格子定数をシェルスクリプトを使って順次置き換えながらAkaiKKRに第一原理計算を行わせます。
第一原理計算を実行した後のアウトプットファイルに色々な細かい情報が書き出されるわけですが、その中で特に重要な格子定数aと全エネルギーと磁気モーメントの3つは、ポテンシャルファイルと同じdata/フォルダの中にco_4.700_1.600.infoと言ったように拡張子に.infoが付くファイルとして保存されます。
そこで第一原理計算が終わったら、最後の計算結果を表示するようにしました。(なお、状態密度の計算dosでも.infoに追記がされるようですが、その値は読んではいけない値との事。)

#!/bin/csh -f
set path=($path ~/kkr/cpa2002v009c )

set A_LIST=( 4.700 4.705 4.710 4.715 4.720 4.725 4.730 4.735 4.740 4.745 4.750 4.755 4.760 4.765 4.770 4.775 4.780 4.785 4.790 )
set ETA_LIST=( 1.600 1.605 1.610 1.615 1.620 1.625 1.630 1.635 1.640 1.645 1.650 1.655 1.660 1.665 1.670 1.675 1.680 1.685 1.690 )

set A0=4.75
set ETA0=1.633

specx < in/Co.in
specx < in/Co-DOS.in >out/Co-DOS.out

foreach A ( ${A_LIST} )
foreach ETA ( ${ETA_LIST} )
echo " A,ETA= "${A}" "${ETA}
if ( ! -e data/co_${A}_${ETA}.info ) then
cp data/co data/co_${A}_${ETA}
sed '1,6s/'${A0}'/'${A}'/g' in/Co0.in | sed '1,6s/'${ETA0}'/'${ETA}'/g' > in/Co_${A}_${ETA}.in
specx < in/Co_${A}_${ETA}.in > out/Co_${A}_${ETA}.out
endif
tail -n 1 data/co_${A}_${ETA}.info
end
end


これらのファイルを置くためのディレクトリ構成は、以下の様にしました。
Co/─┬─in/─┬─Co.in
    │     ├─Co-DOS.in
    │     └─Co0.in
    ├─out/
    ├─data/
    └─Co-AE.sh


平衡格子定数の計算


第一原理計算が出来たら、その結果をScilabで処理して、全エネルギーが最小になるときの格子定数を決定します。
第一原理計算の出力を多少整形しScilabで読みやすいマトリクスの形にしたのがEnergy.txtです。

このデータを読み込んで、カラーコンターとしてプロットするScilabスクリプトが下記のenergy.sceで、その計算結果が冒頭のFig.1です。

clear;
format('v',16)
bohr = 0.5291772108 // 1 bohr = 0.529 A

// *** データの読み込み ***
e = fscanfMat("Energy.txt")';
// 第一原理計算の格子定数
a = [4.70:0.005:4.79];
c = [1.60:0.005:1.69];

// *** スプライン補間 ***
E = splin2d(a,c,e);
aa = [4.70:0.001:4.79];
cc = [1.60:0.001:1.69];
[AA,CC] = ndgrid(aa,cc);
ee = interp2d(AA, CC, a, c, E);

// *** カラーコンターのプロット ***
// グラフを正方形に
isoview(4.70,4.79,1.60,1.69);
// 色の設定
xset("colormap",jetcolormap(64))
// カラコンターのプロット
Sgrayplot(aa, cc, ee - min(ee));
// カラーバーの表示
colorbar(0, max(ee) - min(ee));
// グラフの軸ラベル
xlabel("a (bohr)");
ylabel("c/a");

// *** 平衡格子定数の計算 ***
// 補間データから最小値を探す
[emin,ind] = min(ee);
// 平衡格子定数のプロット(白丸)
plot(aa(ind(1)),cc(ind(2)),'ow');
// 文献値(実験データ)のプロット
// http://www.tuat.ac.jp/~sameken/lecture/2012raremetal.pdf
plot(2.514 / bohr, 4.105 / 2.514,'xr'); // 赤クロス
// https://github.com/cryos/avogadro/blob/master/crystals/elements/Co-Cobalt.cif
plot(2.5071 / bohr, 4.0686 / 2.5071,'xy'); // 黄クロス


カラーコンターは、全エネルギーが小さいほど青くなり、その格子定数が安定であることを意味しています。
第一原理計算の計算点を補完するために二次元のスプライン補間を行いました(参考: splin2d)。

こうして得られた平衡格子定数が白丸としてプロットしてあります。
これに対して、コバルトの平衡格子定数の文献値は、赤と黄色のクロスシンボルで示してあります。第一原理計算により得られた平衡格子定数は、これらの値と良い一致を示しています。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したAkaiKKRの入力ファイルとシェルスクリプト、Scilabスクリプトファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




注意事項


私は、AkaiKKRの開発者である赤井先生、及び、大阪大学の固体電子論グループとは何の関係も無い一個人であり、自分の固体物理の勉強のためにAkaiKKRを利用させていただこうとしている身です。更に言うなら、バンド計算屋さんではなくただの電子工作趣味人です。従って、このブログの内容の正しさに関しては一切保障できませんので、真似をされる方は自己責任でお願いします。おそらくブログ内の記述には、間違っている点もたくさんあると思います。間違いを見つけられた方は、このブログのコメント欄にてお知らせください。

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tag: Scilab AkaiKKR machikaneyama KKR シェルスクリプト 第一原理計算 

Scilabで一次元のラプラス方程式 その3

Scilabで一次元のラプラス方程式 その1その2では一次元のラプラス方程式を 0 ≦ x ≦ 1 の範囲で以下の様なディリクレの境界条件で解きました。

一次元ラプラス方程式:
\frac{\partial^2 u}{\partial x^2} = 0

ディリクレ境界条件:
u = 1 (x = 0)
u = 0 (x = 1)

今回は、同様の方程式を x = 0 に関して以下の様なノイマンの境界条件で解きました。

ノイマン境界条件:
∂u/∂x = -1 (x = 0)


ラプラス方程式と境界条件


Scilabで一次元のラプラス方程式 その1その2では一次元のラプラス方程式をScilabを用いて数値的に解きました。

\frac{\partial^2 u}{\partial x^2} = 0

偏微分方程式を解くためには、この式のほかに幾つかの境界条件が必要です。
偏微分方程式の数値解法入門によると偏微分方程式の境界条件に関して以下の様に書かれています。

境界上においてuの値(関数値)が指定されている境界条件を第1種の境界条件あるいディリクレ(Dirichlet)の境界条件という.
一方,境界上でその境界の外向き法線方向nの微分係数∂u/∂nが指定されている場合がある.これを第2種の境界条件あるいはノイマン(Neumann)の境界条件という.

Scilabで一次元のラプラス方程式 その1その2、及びScilabで熱拡散方程式 その1その2その3は全てディリクレの境界条件でした。そこで今回は、一次元のラプラス方程式を境界の片側をノイマンの境界条件で、反対側をディリクレの境界条件として数値的に解くことにします。

連立方程式の立て方はScilabで一次元のラプラス方程式 その1の流儀で行きます。

問題設定


解くべき方程式は、一次元のラプラス方程式です。

\frac{\partial^2 u}{\partial x^2} = 0

ただし 0 ≦ x ≦ 1
境界条件は

x = 0 にて
\frac{\partial u}{\partial x} = -1

x = 1 にて
u = 0

とします。


001_20140220011035c9c.png
Fig.1: 計算の設定(と計算結果)


まず前回までと同様にディリクレ境界条件と偏微分方程式から以下の連立方程式が立ちます。

u1 - 2u2 + u3 = 0
u2 - 2u3 + u4 = 0
u3 - 2u4 + u5 = 0
u5 = 0

当然ながらこれだけでは変数の数に対して方程式の数が足りないので、ノイマンの境界条件についても考えます。1階の偏微分をを前進差分近似で表すと以下の様になります。

\frac{\partial u}{\partial x} = \frac{u_{i+1} - u_{i}}{\Delta x}

より良い精度で計算をするためには(-Δx,u0)の点も用意して中心差分近似を使うべきなのでしょうが、今回は前進差分近似で済ませることにします。

これがx = 0 で ∂u/∂x = -1 なので

\frac{u_2 - u_1}{\Delta x} = -1

したがって

u1 - u2 = Δx

結局、連立方程式は以下の様になります。

u1 - u2 = Δx
u1 - 2u2 + u3 = 0
u2 - 2u3 + u4 = 0
u3 - 2u4 + u5 = 0
u5 = 0

これをScilabで連立一次方程式の方法で解くプログラムがLaplace1d3_sce.txtです。

clear;

// xの刻み幅
dx = 1 / 4;
// グラフ用のx座標
x = [0:dx:1];

// *** 連立方程式の定義 ***
A = [1 -1 0 0 0;
1 -2 1 0 0;
0 1 -2 1 0;
0 0 1 -2 1;
0 0 0 0 1];
b = [dx;
0;
0;
0;
0];

// *** ラプラス方程式の解 ***
u = A \ b;

// *** グラフのプロット ***
// グラフのプロット
plot(x,u,'-ob');
// グラフの装飾
xlabel("x");
ylabel("u");
zoom_rect([0,0,1.2,1.2]);


境界条件の意味


ラプラス方程式は、熱拡散方程式や波動方程式の時間微分の項をゼロと置いたものでした。従って一次元のラプラス方程式自体の物理的なイメージは、例えば、充分に長い時間を置いた針金の中の温度分布などとして理解できます。

Scilabで熱拡散方程式 その1その2その3で分かるとおり、ディリクレの境界条件は、境界での温度を指定することに対応します。
一方で、ノイマンの境界条件は、境界での温度勾配を指定することに対応します。熱伝導に対するフーリエの法則は以下の様に表すことができます。

q = k \frac{\partial T}{\partial x}

(q: 熱フラックス, k: 熱伝導度, T: 温度, x: 位置)

フーリエの法則の式から明らかなように、境界での温度勾配を指定するということは、境界での熱流量を指定することと同じです。特に ∂T/∂x = 0 の場合は、熱流量がゼロということなので、境界が断熱的であることを意味しています。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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tag: Scilab 偏微分方程式 ラプラス方程式 境界条件 

Scilabで一次元のラプラス方程式 その2

Scilabで一次元のラプラス方程式 その1ではラプラス方程式を差分化し連立一次方程式にした後、Scilabで連立一次方程式の方法で計算しました。

今回もほぼ全く同じ事を行うのですが、境界条件の部分を連立方程式にあらかじめ代入してしまうことで行列の大きさを少しだけ小さくしました。


001_20140217071734b51.png
Fig.1: ラプラス方程式の数値解



問題設定


Scilabで一次元のラプラス方程式 その1と同様に、一次元のラプラス方程式を数値的に解きます。

\frac{\partial^2 u}{\partial x^2} = 0

ただし 0 ≦ x ≦ 1 で境界条件は以下の通りです。

u = 1 (x = 0)
u = 0 (x = 1)

ここまでは前回と完全に同じです。

別解


前回とほぼ同じ内容ですが、行列のサイズを小さくするために表記を少し工夫します。

問題設定自体は同じですが、空間の分割数をひとつ増やします。それに伴って添え字を1からでは無く0からに変更しています。すなわち境界条件は u0=1, u4=0 です。

境界条件の部分を除いた連立方程式は以下の様になります。

u0 - 2u1 + u2 = 0
u1 - 2u2 + u3 = 0
u2 - 2u3 + u4 = 0

これに境界条件 u0=1, u4=0 を代入すると

-2u1 + u2 = -1
u1 - 2u2 + u3 = 0
u2 - 2u3 = 0

となります。

A = \begin{pmatrix} -2 & 1 & 0 \\ 1 & -2 & 1 \\ 0 & 1 & -2 \\ \end{pmatrix}

\mathbf{u} = \left( \begin{array}{c} u_1 \\ u_2 \\ u_3 \end{array} \right)

\mathbf{b} = \left( \begin{array}{c} -1 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right)

とおけば、連立方程式を行列の形式で表すことができ

Au = b

やはりScilabで連立一次方程式の方法で計算することが出来ます。

今回の計算では、空間分解能が高くなったにもかかわらず、行列の大きさが小さくなっていることが分かると思います。まあ、あらかじめ境界条件の部分を代入して連立する方程式の数を2つ減らしただけですが。

Scilabで熱拡散方程式 その3 (陰解法)では、Octaveの精義の流儀に従っていますが、これは今回の方法と同じです。

一方、偏微分方程式の差分解法入門(PDF)前回の様に境界条件まで行列の中に含める方法を採っています。

関連エントリ




参考URL




付録


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Scilabで一次元のラプラス方程式 その1

Scilabで熱拡散方程式 その1その2その3では一次元の熱拡散方程式をScilabで数値的に解きました。今回はこれらプログラムをよりよく理解するために、より簡単な一次元のラプラス方程式を解いてみます。

\frac{\partial^2 u}{\partial x^2} = 0

実を言うと一次元のラプラス方程式は、Scilabで連立一次方程式で計算した連立一次方程式になってしまうので簡単に計算することが出来ます。


ラプラス方程式


ラプラス方程式は、熱拡散方程式や波動方程式に対して、時間の偏微分の項をゼロとしたものです。

2u=0

一次元の場合は

\frac{\partial^2 u}{\partial x^2} = 0

です。

時間による偏微分がゼロということなので、この式は定常状態の物理現象を表しています。

ラプラス方程式の解法


一次元のラプラス方程式を、0 ≦ x ≦ 1 の範囲で、下記の境界条件で解くことを考えます。

u = 1 (x = 0)
u = 0 (x = 1)

この解は、数値計算をするまでもなく直感的に (x,u)=(0,1) と (1,0) を通る直線となることが想像できます。

つまり

u = 1 - x

です。

このことを実際に差分化を行った数値計算から確認します。
簡単のため、空間の分割数は極端に少なくすることにします。(Fig.1)


001_201402170611560b6.png
Fig.1: ラプラス方程式の差分化


2u/∂x2 を差分化すると

\frac{\partial^2 u}{\partial x^2} = \frac{1}{(\Delta x)^2} (u_{i+1} - 2u_{i} + u_{i-1})

ラプラス方程式は ∂2u/∂x2 = 0 なので差分化したラプラス方程式は

ui+1 - 2ui + ui+1 = 0

となります。(参考:偏微分方程式の数値解法入門)

先ほどの境界条件とあわせると

u1 = 1
u1 - 2u2 + u3 = 0
u2 - 2u3 + u4 = 0
u4 = 0

となり、これは実のところScilabで連立一次方程式で解いた連立一次方程式以外の何物でもありません。

よって行列Aとベクトルu, bを以下の様におくと

A = \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 & 0 \\ 1 & -2 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & -2 & 1 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \\ \end{pmatrix}

\mathbf{u} = \left(   \begin{array}{c}     u_1 \\     u_2 \\     u_3 \\     u_4   \end{array} \right)

\mathbf{b} = \left(   \begin{array}{c}     1 \\     0 \\    0 \\     0   \end{array} \right)

連立方程式は、以下の様に行列の式で表現することが出来ます。

Au=b

Scilabで連立一次方程式と同様に計算すればラプラス方程式が解けたことになります。

clear;

// *** 連立方程式の定義 ***
A = [1 0 0 0;
1 -2 1 0;
0 1 -2 1;
0 0 0 1];
b = [1;
0;
0;
0];

// *** ラプラス方程式の解 ***
u = A \ b;

// *** グラフのプロット ***
// グラフ用のx座標
x = linspace(0,1,4);
// グラフのプロット
plot(x,u,'-ob');
// グラフの装飾
xlabel("x");
ylabel("u");
zoom_rect([0,0,1.2,1.2]);


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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tag: Scilab 偏微分方程式 ラプラス方程式 

PSoCはアナログマイコンでは無いという考え方

アナログ・マイコン!? PSoCに目覚める本(28ピンDIP型PSoC&書き込み器&CD-ROM付き) (マイコンと電子工作)のタイトルには、PSoCを指してアナログ・マイコンと言う言葉を使っています。



マイコンというのは、そもそもデジタル回路なので、アナログ・マイコンとは一体なんなのだ?と読者に感じさせる興味深いタイトルです。
この本に限らずPSoCのアピールポイントを強調するために良くなされるのが「PSoCは普通のマイコンではない」とか「PSoCの主役はアナログブロックとデジタルブロックであってCPUでは無い」というような話です。

こういった説明は、今までに存在しなかった新しい存在に挑戦するワクワク感を与えます。

しかしながら、その反面、これまでPICやAVRといった「普通の」マイコンを何不自由なく使っていた方の中には、今更新しいものに手を出すのは面倒くさいや、と思う方もいるかもしれません。

そういった方には、むしろ以下の様な説明をするほうが気が楽かもしれません。
つまりPSoCは、(恐ろしく汎用的な)アナログブロックとデジタルブロックと呼ばれる、たった2種類の内部モジュールしか持たない普通のマイコンである、というものです。(厳密に言えばアナログブロックとデジタルブロックにもそれぞれ種類がありますし、これら以外にも内部モジュールはあるのですが)

こういった見方は「今までに無い新しいものを、無理やり既存の枠組みの中で解釈しようとする可哀想な考え方」なのかもしれませんが、ひとつの捉え方としては間違ってはいないはずですし、こういった考え方でPSoCを触ることに対するハードルが下がる人もいるのなら有意義だと思っています。

尤も、私自身はPSoC1しか触ったことが無いので、上位モデルはもっと別世界なのかもしれませんし、そのPSoC1にしてもほんの少ししか触っていないので、偉そうな事は言えませんが。

tag: PSoC 

回路シミュレータは考察をしてくれない

2ちゃんねるの回路シミュレータスレの>>184以降の流れに関してのコメント。

電子回路系シミュレータの部屋
http://ai.2ch.net/test/read.cgi/denki/1380085010/184-

現実の回路と比べて、シミュレーションがどの程度現実的なのかは人間が判断しなければいけません。


これは、本当に大事な話なのですが、なかなかこういう話は記事にはし難いです。

ねがてぃぶろぐは、回路シミュレーションをメインのひとつに掲げているので、(自分を含む)電子工作初級者にも回路シミュレーションはとても有用である、との主張を行っています。
この主張自体にはもちろん嘘はなくて、例えば回路シミュレータの使いどころの記事などを読んでいただければ、そのことが分かっていただけると思っています。

ただし、この話には続きがあって、回路シミュレーションを走らせたら、それだけで満足してはいけませんよ、と言うことです。この事も既にエントリにまとめてあって回路シミュレーションと実測の比較がそれにあたるわけなのですが、この事はどんなに強調しても強調し足りないです。

これは、シミュレーションをしたら、その結果が現実の回路をどの程度再現しているのかを、何らかの方法でチェックしましょうという話です。もちろん一番の正攻法は、実際に同様の回路を作成して、測定をしてみることです。(電子回路上級者ならば、実際に製作を行わなくても、ある程度、妥当性を見極めることが出来るのでしょうが・・・)

「回路シミュレータは初級者にも有用」は事実だと思っています。
しかし、時々勘違いされている感があるのですが「回路シミュレータがあれば初級者でも上級者と同レベルの回路設計が出来る」は明らかに間違いです。

tag: LTspice 

Scilabで連立一次方程式

中学校で習った連立一次方程式は行列を使うと

Ax = b

と表すことができます。

Scilabを利用すれば
x = A \ b

と書くだけで解くことが出来ます。


連立一次方程式


数値計算の常識には以下の様にあります。

A = [aij]は正則なn次正方行列,b=[bi]はn次元のベクトルで,両者が与えられたとき

Ax=b

を満たすn次元ベクトルx=[xi]を計算する問題は,線形計算の最も基本的な問題である.


またぞろ難しげな書き方となっていますが、すこぶる簡単に言うとつるかめ算は行列を使うと簡単に解けますよという意味です。

中学校の数学で見たように連立一次方程式とは以下の様なものです。

ax+by=\xi

cx+dy=\eta

この問題自体は、中学校で解き方を習うものでありますし、勉強熱心な家庭の場合、小学生のうちにつるかめ算としてならう子供もいる訳で、簡単に解くことが出来ます。

物理数学の直観的方法には以下の様にあります。

線形代数という分野は,もともとそれほど難しくない内容のことを,上手い表現方法を用いたことで数学の中で地位を占めたといった性格を持っており,内容それ自体よりも表記法のほうが独創的であったといえる。


先ほどの連立方程式も

A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}

\mathbf{x} = \left( \begin{array}{c} x \\ y end{pmatrix} \right)

\mathbf{b} = \begin{array}{c} \xi \\ \eta end{pmatrix}


の様におくと下記の様に行列で表すことができるようになります。

Ax=b

一度この様な行列で表現してしまえばこの方程式の解となるベクトルxは、逆行列A-1を利用して

x = A-1b

と表すことができ、逆行列A-1を求めるルーチンワークさえ出来るようになれば、連立する方程式の数がたくさんに増えても簡単に計算できるようになる。

・・・というのが、線形代数の謳い文句です。

連立一次方程式の数値計算


連立する方程式の数が2つや3つの場合はともかく、10とか100とか大きな値になると手計算で解くのは大変になるので数値計算をするわけですが、数値計算の常識などの数値計算の教科書を読むと、逆行列を計算してから解を計算するというような方法は、実際には効率的でないとのことです。

逆行列を計算する方法として偏微分方程式の数値解法入門ではガウス-ジョルダンの消去法が紹介されています。しかしながら数値計算の常識によるとガウス-ジョルダンの消去法の計算時間はO(n8)のオーダーが必要であるのに対して、逆行列を計算する事無く連立一次方程式を解くことの出来るLU分解を用いればO(n8/3)のオーダーに高速化できるとあります。

また、偏微分方程式の数値解法入門ではガウス-ジョルダンの消去法の他にガウス-ザイデルの反復法も紹介されています。

他の二つは連立一次方程式を式変形して解を求めるアプローチであるのに対して、反復法は解の近似値を代入して誤差が少なくなるように計算を繰り返し、解の近似値を収束させる方法を取ります。

Scilabでの連立一次方程式の解法


Scilabで学ぶわかりやすい数値計算法にはガウス-ジョルダンの消去法とガウス-ザイデルの反復法を含む幾つかのスクリプトが解説されています。このスクリプト自体はScilabで学ぶわかりやすい数値計算法のサポートページで公開されています。

しかし、実を言うと、Scilabを使って連立一次方程式を解くためのもっとも簡単な(そして恐らくもっとも高速な)方法は左行列除算を用いる方法です。Scilabで学ぶわかりやすい数値計算法のスクリプトに倣って行列Aとベクトルbをプロンプトから入力させるようにしたプログラムが以下の通りになります。

clear;

// *** 連立一次方程式の係数入力 ***
// 行列のサイズの入力
printf("n = ?\n"); n = mscanf("%d");
printf("\n")
// A の要素の入力
for i = 1:n
for j = 1:n
printf("a%d%d = ?\n",i,j); A(i,j) = mscanf("%f");
printf("\n");
end
end
// b の要素の入力
for i = 1:n
printf("b%d = ?\n",i); b(i) = mscanf("%f");
printf("\n");
end

// *** 連立一次方程式の計算 ***
A \ b


見ての通り係数を入力させる部分がほとんどを占めて、実際に連立一次方程式を解いている部分は

A \ b


の一行のみです。

参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器






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tag: Scilab 連立一次方程式 

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