Scilabで条件分岐:テント写像

Scilabで繰り返し計算: ロジスティック写像ではforを使ったループを利用してカオス理論に現れるロジスティック写像の図を描くプログラムを作成しました。

今回は、更に条件分岐をプラスしてテント写像のプログラムを作成します。

001_20130718113839.png

Fig.1: テント写像の分岐図



Wikipediaのテント写像の項にある通り、テント写像は以下の式で表されます。

texclip20130718112739.png


条件分岐はScilabではifを使って実現することが出来ます。(参考:if then else)
Scilabで繰り返し計算: ロジスティック写像の繰り返し計算を入れ子にしたものに少し手を加えるだけでテント写像のプログラムになります。

nmax = 200;
nout = 100;

Mu = [1:0.001:2];
X = 0.5 * ones(nmax,length(Mu));

for m = 1:length(Mu) do
for n = 1: nmax - 1 do
if X(n,m) < 0.5 then
X(n+1,m) = Mu(m) * X(n,m);
else
X(n+1,m) = Mu(m) * (1 - X(n,m));
end
end
end

plot(Mu,X(nout:nmax,:),'.r','markersize',1)
xlabel("$\mu$");
ylabel("$x_n$");


なお、Scilabのグラフのラベルには$記号で囲うことによってTeX形式で文字を書くことが出来ます。(参考:Scilabのグラフの凡例)

関連エントリ




参考URL




付録


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tag: Scilab 条件分岐 繰り返し カオス 

Scilabで川を渡る船

Scilabで2次元の放物運動Scilabでマグヌス効果では、Scilabの乗微分方程式ソルバodeを使って2次元空間内での物体の運動の時間変化を計算しました。

今回も同様にして、川を渡る船(微分方程式による物理現象のモデル化(PDF)の問題18)をテーマに2次元空間の運動を計算します。

船が川岸の一点P からl 離れた真正面の対岸の一点O に進むとき,船の進路を求めなさい.
ただし,川は一定速度vR で流れ,船の推進速度はvB で船は常にO 点に向かっているものとします.

001_20130715174552.jpg

Fig.1: 川を渡る船。船はその推力によってvBで進みますが、陸から見ると川の流れvRによって流されてもいる。写真は(c)松江周辺の観光地壁紙集



問題設定


この問題の解答となるScilabプログラムはYahoo!知恵袋で2件ほど報告されています。(参考:Scilabのプログラムについて質問です。以下のPDFの問題18(川を渡る船)をScilabで解くプログラムを作成してほしいです。)

元PDFでは、解くべき微分方程式がyをxで微分する形で示されていますが、前々回前回と時間tで微分する形でプログラミングしてきたので、今回も前回までと同じように時間で微分した形で計算する場合のコードを書いてみます。

river.png

Fig.2: 問題設定。ある点Qにいる船の速度は、そのx成分であるvBxとy成分であるvByに分けられる。


船の推進速度は常にvBであり、進行方向は常に原点O目指します。そこでvBをx方向とy方向の成分に分解すると

v_{Bx} = - v_B \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}
v_{By} = - v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}}

となります。
これに加えてy方向には川が流れているので陸地から見た船の速度は

v_x = - v_B \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}
v_y = - v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}} + v_R

となります。vR = b vBとして、位置の時間微分が速度なのでScilabのode関数で解くことが出来るdx/dt = ...の形で書き下すと

\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t} = v_x = -v_B \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}
\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t} = v_y = -v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}} + b v_B

数値シミュレーション


計算結果を以下に示します。boat_sce.txt

元PDFでは、横軸にy、縦軸にxをとっていて気持ち悪いので、横軸をx、縦軸をyとしてプロットしています。


002_20130715181904.png
Fig.3: 計算結果


模範解答


元PDFの通りに

\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} = \frac{y - b \sqrt{x^2 + y^2}}{x}

と、解析解

y(x) = \frac{l}{2}\left\{ \left(\frac{x}{l}\right)^{1-b} - \left(\frac{x}{l}\right)^{1+b}\right\}

をプロットするスクリプトも公開します。boat2_sce.txt

003_20130715184746.png

Fig.4: 元PDFの指揮に従った計算結果


また、本エントリの前半部分の式からdy/dx = ...の形に変形するには

\begin{eqnarray*}<br />\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} & = & \frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t} \frac{\mathrm{d}t}{\mathrm{d}x}\\ & = & \frac{- v_B \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}}+bv_B}{-v_B\frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}}\\ & = & \frac{y - b \sqrt{x^2+y^2}}{x}\end{eqnarray*}

どちらのプログラムを採用するにせよ、微分方程式の分母がゼロになる付近(原点O周辺)ではゼロ除算が発生するので計算結果が怪しくなるようです。

関連エントリ




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tag: Scilab 常微分方程式 ode 

テンキーレスキーボードRealforce NG0100

Realforceのブランド名で非常に有名な東プレ NG0100 REALFORCE91Uを購入してから約半年がたったので、使用感をレビューします。


001_201310202259443a3.jpg
Fig.1: 東プレNG0100 Realforce


Realforceは非常に軽いキータッチかつキータイプの際にキーが物理的にほとんどぶれないという特徴のため使用者に心地の良い打鍵感を与えていると考えられます。結論から言うと、東プレ NG0100 REALFORCE91Uの選択は正解でした。


高級キーボードの選択肢


デスクトップPCを購入すると、普通はキーボードとマウスが付属してきます。多くの場合付いてくるキーボードとマウスは高級ではないものの、そんなに悪いわけでもないので、そのまま使われ続けるのではないでしょうか。
しかし、何かのきっかけで高級なキーボードやマウスを使いたくなる場合があります。(そういった人は多くの場合長時間PCを触る立場にある人でしょう)

高級キーボードを購入しようと思ったとき、候補に上がる方向性は大きく3パターンが思い浮かびます。
  • ワイヤレスキーボード
  • エルゴノミクスデザインキーボード
  • 正統派高級品キーボード


ワイヤレスキーボードは必要ないときの机の上からどけられるので、日本のコタツPCなどで重宝します。
エルゴノミクスデザインキーボードではKinesis Advantage USB Contoured Keyboardなどが有名でしょう。私にはそこまで手を出す勇気はありませんでしたが。

さて今回レビューするRealforceは、正統派の高級キーボードとしてはHappy Hacking Keyboard (HHK)と並んで有名な物です。



今回NG0100 REALFORCE91Uを選んだ理由は、テンキーレスの日本語キーボードが欲しかったからです。HHKという選択肢もあったのですが、ファンクションキーはあったほうが良いと思ったのでRealforceの方を選びました。

当然ながらファンクションキーが不要と思う方はHHKも選択肢になるでしょうし、逆にテンキーも欲しいなら東プレ Realforce108US 静電容量無接点方式 ALL30g ホワイト USB SJ38D0などのフルキーボードも存在します。



NG0100のレビュー


さて、ココからが肝心のレビューです。

実を言うとNG0100 REALFORCE91UのレビューはAmazonにもたくさんあります。ただ、感覚的なものを表現することの難しさもあってか、どうも普通のキーボードと比べて何が違うのか良くわかりません。安物のキーボードと比べて高級感がある、とはどういう意味かなど、少し具体的にレビュー出来ればよいなと思います。

まず、キーボードを箱から取り出してみて気づくことは、キーボードが重いという事です。これはキータッチのことではありません。キーボードを持ち上げると物理的に重いのです。これは物理的に重くしておくことで、キーをタイプしたときキーボード自体が揺れてしまったり、動いてしまったりすることを避けているのだと思います。

次に、PCに接続しタイプしてみた感想なのですが「スコスコスコ...スコ」と、キータッチの軽さも手伝ってなんだか頼りない感じでした。高級キーボードに対して「カタカタカタ...ターン!」みたいなイメージを抱いていた私にとっては、ちょっとした落胆すらありました。店頭で触ってみて購入をためらった人には私と同じ落胆を感じた方も多いのではないかと思います。私も恐らく店頭で触っていたら購入をしていなかったと思います。

しかしながら、使い続けて気づいたこともあります。
それは、キーを押下したとき、必ず全くぐらつかずに真下に押し込まれるという事です。たくさんあるRealforceのレビューを読むと「キータイプが気持ち良い」とか「安物のキーボードが使えなくなる」といった意見が頻繁に見られます。この理由こそが、キータイプの際にキートップがぶれずに押し込まれるという事実ではないかと思っています。

そう考えるとキーボード自体を重くして動かないようにし、キータッチは軽くして弱い力でタイピングをさせるという仕様も、タイピング時にキーボードがぶれさせないというコンセプトに合致しています。

NG0100 REALFORCE91Uの特徴についてまとめます。

  • キータッチは非常に軽く滑らかにタイプできる
  • キーボード自体は重くタイプしても動かない
  • キーの押し下げはまっすぐぶれない


「高級感がある」とか「キータイプが気持ちいい」というのはこういった特徴を指しているのだと思います。

また「ちょっと触っただけで良さが分かる」という様な事は(もともとキーボードにこだわりを持っていた人以外には)考えにくいです。逆に「安物のキーボードと違いが良くわからない」という意見も日常的に使い続けていれば何が違うのか体感できるようになると思います。

お値段がお値段なので、万人にオススメできるものではないのは間違いないですが、少し良いキーボードをと考えている方には、正統派キーボードとしては良い選択だと思います。

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tag: Realforce キーボード 

Scilabでマグヌス効果

今回も微分方程式による物理現象のモデル化(PDF)を元ネタとして、例題4のプログラムをScilabに移植します。

Scilabで2次元の放物運動では、物体が2次元空間の中で空気抵抗の影響を受けながら運動する様子をScilabを用いてシミュレーションしました。
今回は、これを更に拡張して、ボールの回転の効果をモデルに取り込みます。

001_20130711225638.jpg

Fig.1: 卓球の球は重力と空気抵抗による力だけでなく、回転によってもその軌道が変化する。写真は(c) *嘟嘟嘟*



マグヌス効果


野球のには、様々な変化球を投げるピッチャーがいます。この変化球というのは、ボールにかかった回転が重要な役割を果たしています。この現象をマグヌス効果とよび野球や卓球などで重要な理論となっています。マグヌス効果の説明は、微分方程式による物理現象のモデル化(PDF)では、以下の様になされています。

ボールに回転をかけながら投げると曲がります.これは回転によって空気の流れが変化し,速度ベクトルV と直角方向に力が生ずるためです.回転ベクトル(大きさを回転数,向きを回転の軸)ω とすると,生ずる力は,図17のように回転ベクトルと速度ベクトルの外積ω×V に比例することがA.Magnus(1853) の研究で示されました.したがって,この横向きの力の発生はマグヌス効果と呼ばれます.

002_20130711230302.png

図17 マグヌス効果:ボールの回転によって生ずる横向きの力


マグヌス効果の比例定数をS0とおくと

\vec{S} = S_0 \vec{\omega} \times \vec{v} = S_0 (-\omega v_y, \omega v_y, 0)

前回と同様に、普通の空気抵抗は速度の2乗に比例するとした運動方程式は

m\frac{\mathrm{d}v_x}{\mathrm{d}t} = - S_0 \omega v_y - b v_x \sqrt{v_x^2 + v_y^2}

m\frac{\mathrm{d}v_y}{\mathrm{d}t} = S_0 \omega v_x - b v_y \sqrt{v_x^2 + v_y^2} - mg

本来ならここで、マグヌス効果による比例定数S0の値を物理的考察から見積もる、ということをやらなければならないのですが、Wikipediaのマグヌス効果循環 (流体力学)を見る限りちょっとややこしそうなので、今回はパスということにします。

S0を求めないこととするのでωとあわせて

s_w \equiv S_0 \omega

と書いてしまいます。

そのほかのパラメータであるピンポン球の質量mや速度の2乗に比例する空気抵抗の係数bは、Scilabで大きな雨粒の落下運動と同じ方法で1次元運動の終端速度から求めることが出来るはずです。

これらをまとめてScilabで計算するために dx/dt = ...の形に変形すると解くべき連立方程式は以下のようになります。

\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t} = v_x

\frac{\mathrm{d}v_x}{\mathrm{d}t} = - \frac{s_w}{m} v_y - \frac{b}{m} v_x \sqrt{v_x^2 + v_y^2}

\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t} = v_y

\frac{\mathrm{d}v_y}{\mathrm{d}t} = \frac{s_w}{m} v_x - \frac{b}{m} v_y \sqrt{v_x^2 + v_y^2} - g

余談ですが元PDFには、この辺りにずいぶん誤植があります。順番に行くとP22の9.2.1のy方向の運動方程式は重力の項が-gとなっていますが、これは-mgの間違いだと思います。同様にP23の9.2.2マグヌス効果のy方向の運動方程式も同様の間違いがあります。この質量mの誤植はリスト12のスクリプト中にもバグとして存在しています。解くべき運動方程式parab(x,t)のdx(2)とdx(4)の左辺第一項は両方とも質量Mで割られてなければいけないはずです。バグが発覚しなかったのはM=1でしか計算がされていないからだと思います。更に本文中に戻ると、同じ運動方程式の左辺は分子に微分記号のdが抜けている誤植も見つかります。

数値シミュレーション



シミュレーション結果とソースコードを示します。

003_20130711225637.png

Fig.2: マグヌス効果のシミュレーション結果。横軸がx方向の位置、縦軸がy方向の位置。回転ベクトルの大きさω(または比例定数S0のどちらか、または両方)が大きい場合はボールが宙返りをするような魔球のような挙動になる。


clear;

// *** 入力パラメータ ***
m = 1; // 物体の質量 (g)
b = 0.15; // 速度の2乗に比例する空気抵抗の係数 (g/s)
g = 9.8; // 重力加速度 (m/s^2)
v0 = 10; // 初期速度 (m/s)
deg = 30; // 角度

// 解くべき方程式の定義
function dx = magnus(t,x)
// dx/dt = vx
dx(1) = x(2)
// dy/dt = vy
dx(3) = x(4)
// dvx/dt = - (sw/m) * vy - (b/m) * vx * √(vx^2 + vy^2)
dx(2) = - sw * x(4) / m - b / m * x(2) * sqrt(x(2) ^ 2 + x(4) ^ 2)
// dvy/dt = (sw/m) * vx - (b/m) * vy * √(vx^2 + vy^2) - g
dx(4) = sw * x(2) / m - b / m * x(4) * sqrt(x(2) ^ 2 + x(4) ^ 2) - g
endfunction

// 度からラジアンへの変換
function ret = torad(angle)
ret = %pi * angle / 180;
endfunction

// *** 常微分方程式の計算 ***
// 時間ベクトル
T = linspace(0,5,1000); // 2(s)後まで計算
th = torad(deg); // 度からラジアンへの変換
// 常微分方程式の数値解
for k = 1:3 do
sw = 1.5 * k; // 比例定数と回転ベクトルの積をパラメータとして変化させる
vx0 = v0 * cos(th); // 水平方向(x)の初速度
vy0 = v0 * sin(th); // 垂直方向(y)の初速度
X0 = [0; vx0; 0; vy0]; // 初期条件(位置と速度)ベクトル
X = ode(X0, 0, T, magnus); // 常微分方程式ソルバ
plot2d(X(1,:),X(3,:),k);
end

// グラフの体裁
zoom_rect([0, 0, 10, 5]); // 地面まで落下したあとは表示しない
xlabel("x position (m)");
ylabel("y position (m)");


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabソースコードファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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Scilabで2次元の放物運動

Scilabで霧雨粒の落下運動Scilabで大きな雨粒の落下運動を更に拡張して速度の2乗に比例する空気抵抗が存在する条件での2次元の放物運動をScilabでシミュレーションしました。

001_20130710093246.png

Fig.1: 色々な角度で投げ上げた物体の軌跡


Scilabで霧雨粒の落下運動Scilabで大きな雨粒の落下運動では空気抵抗を受ける(霧)雨粒の落下運動を題材に1次元の物体の運動を計算しました。

これらに引き続き、今回も微分方程式による物理現象のモデル化(PDF)の例題3の再現として2次元空間での物体の運動の計算をScilabで行います。


速度の2乗に比例する抵抗


これまでに速度に比例する空気抵抗速度の2乗に比例する空気抵抗という条件の下で運動方程式を立ててきました。今回も空気抵抗は速度の2乗に比例するとして計算を進めます。その比例係数をbとして dx/dt = ... の形にした運動方程式は以下の連立方程式となります。

\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t} = v_x

\frac{\mathrm{d}v_x}{\mathrm{d}t} = -\frac{b}{m}v_x \sqrt{v_x^2 + v_y^2}

\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}t} = v_y

\frac{\mathrm{d}v_y}{\mathrm{d}t} = -\frac{b}{m}v_y \sqrt{v_x^2 + v_y^2} - g


(x: 水平方向の位置, y: 鉛直方向の位置, vx: 水平方向の速度, vy: 鉛直方向の速度, t: 時間, b: 速度の2乗に比例する空気抵抗の係数, m: 物体の質量, g: 重力加速度)

上記と何も変わらないのですが、d/dt をドットにして行列の要素として書き直すと

\begin{displaymath} \left( \begin{array}{cc} \vspace{10pt} \dot{x} \\ \vspace{10pt} \dot{v_x} \\ \vspace{10pt} \dot{y} \\ \dot{v_y} \\  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} \vspace{5pt}v_x \<br />\vspace{5pt}\displaystyle -\frac{b}{m}v_x\sqrt{v_x^2+v_y^2} \\ \vspace{5pt}v_y \\ \displaystyle -\frac{b}{m}v_y\sqrt{v_x^2+v_y^2}-g \\  \end{array} \right) \end{displaymath}


となります。

比例定数bはScilabで大きな雨粒の落下運動の方法と同じように1次元運動の終端速度の考察から決定できますが、今回は微分方程式による物理現象のモデル化(PDF)と全く同じパラメータを用いることとします。

プログラム


以下にScilabに移植したプログラムを示します。

clear;

// *** 入力パラメータ ***
m = 1; // 物体の質量 (g)
b = 0.15; // 速度の2乗に比例する空気抵抗の係数 (g/s)
g = 9.8; // 重力加速度 (m/s^2)
v0 = 10; // 初期速度 (m/s)

// 解くべき方程式の定義
function dx = parab(t,x)
// dx/dt = vx
dx(1) = x(2)
// dy/dt = vy
dx(3) = x(4)
// dvx/dt = - (b/m) * vx * √(vx^2 + vy^2)
dx(2) = - b / m * x(2) * sqrt(x(2) ^ 2 + x(4) ^ 2)
// dvy/dt = - (b/m) * vy * √(vx^2 + vy^2) - g
dx(4) = - b / m * x(4) * sqrt(x(2) ^ 2 + x(4) ^ 2) - g
endfunction

// 度からラジアンへの変換
function ret = torad(angle)
ret = %pi * angle / 180;
endfunction

// *** 常微分方程式の計算 ***
// 時間ベクトル
T = linspace(0,2,1000); // 2(s)後まで計算
// 常微分方程式の数値解
for k = 1:5 do
deg = 15 * k; // 15度ごとに75度まで計算
th = torad(deg); // 度からラジアンへの変換
vx0 = v0 * cos(th); // 水平方向(x)の初速度
vy0 = v0 * sin(th); // 垂直方向(y)の初速度
X0 = [0; vx0; 0; vy0]; // 初期条件(位置と速度)ベクトル
X = ode(X0, 0, T, parab); // 常微分方程式ソルバ
plot2d(X(1,:),X(3,:),k);
end

// グラフの体裁
zoom_rect([0, 0, 6, 3]); // 地面まで落下したあとは表示しない
xlabel("x position (m)");
ylabel("y position (m)");


2次元の運動であっても1次元ずつの方程式を立てて連立させればScilabのode関数を利用して微分方程式を解くことが出来ます。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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