設計、試験、本製作のツール

趣味の電子工作といえど、色々なツールが必要になります。
ソフトウエア的な意味でも、実在する工具という意味でも。

今回のエントリでは、趣味の電子工作において設計、試験、本製作の時系列にしたがってどのようなツールが登場するのかをまとめました。


シミュレータ/ブレッドボードは役に立たない!?


しばしば「回路シミュレータは役に立たない」とか「ブレッドボードは使ってはいけない」といったような極端な主張を耳にすることがあります。

こういった主張は、例えば「回路シミュレータは必ずしも現実の回路の挙動を再現するわけではない」や「ブレッドボードは接触不良が起こり易いため、特に長期にわたって使用する回路の製作には適さない」と言った意味においては確かに正しいのですが、それが直接「使えない」という結論に至るのだとすればやや短絡的です。

逆に、あまり本質的で無い理由からシミュレータ・ブレッドボードを薦める意見を聞くこともあります。曰く「回路シミュレータなら部品を買わなくて済む」「ブレッドボードなら半田ごてを使わないから危なくない」などです。
こういった主張もある側面では正しい訳ですが、やはり、長期的に利用する回路を完成させることが目的なら、部品の購入もハンダ付けも、最後まで避けて通るというわけには行きません。

回路の設計・製作をするときは、お手軽で大雑把なところから始めて、次第に手間がかかる詳細な部分に手を付けていくというのが普通だと思います。
具体的には、私の場合は以下のような手順で開発を進めることが多いです。

  1. 回路シミュレータ
  2. ブレッドボード
  3. ユニバーサル基板
  4. プリント基板


もちろん、工程の途中で逆戻りしたり、間を飛ばしたりすることもあります。
今回のエントリでは、製作の工程順に沿って、どういったツールが有用なのか、私の考えをまとめておこうと思います。

回路シミュレーター


回路シミュレータは、文字通り回路を実際に組み立てなくても回路の挙動を知ることが出来るツールです。例えば回路シミュレータの使いどころでは、回路図を眺めただけではどちら向きに電圧がかかるか分かりにくい回路に対してシミュレーションを行い、コンデンサを接続する極性を決めています。

このような回路シミュレータの利点は、挙げればキリがありません。
とにかく手軽で、実測では困難な波形の観測(たとえば電流波形の測定、実回路では高価な電流プローブが必要になる)がクリック一発、部品定数の変更も簡単であり、部品定数の変化が回路の挙動にどのように影響するかといったグラフを描かせることも容易です。(例:LTspiceで可変抵抗 その-1)

しかしながら、回路シミュレータはあくまで回路の挙動を、あらかじめ与えられた数式をとくことによって計算しているだけであり、実際の回路の挙動とは異なる可能性があるという点は忘れてはいけません。LTspiceの使い方の第10章 失敗例/問題点あたりにいくつか例を挙げてあります。

ブレッドボード


ブレッドボードを用いた試作は、回路シミュレータと異なり現実の回路でありながら、半田付けを必要とする作業に比較すると手軽に進めることができるというメリットがあります。
CMOS4050の出力抵抗のように回路定数を変更しながらの測定の場合は、半田付けを必要としない点が生きてきます。

逆に回路シミュレータと比べると、実回路の測定なので計測器が必要になってきます。
最低でも、テスターは必要です。回路シミュレータとの比較というところまで行くならデジタルオシロが欲しくなることは間違いありませんし、RCサーボモータの電流波形で使った電流計測アダプタのようなちょっとした小物の製作が必要かもしれません。



ブレッドボードでのテストのコツは(これは回路シミュレータにもいえることかもしれませんが)必要以上に大きな規模の回路を組まないことです。挙動を調べたい回路ブロックだけをブレッドボード上に組み上げ、電源や信号は、できる限り信頼できる電源装置や信号発生器から与えるようにします。

また、私は回路を組むのに必要最低限なものよりも大きなブレッドボードを使うほうが好みです。余裕を持って配線の取り回しができますし。後から追加の回路が必要になることも珍しくありません。

ユニバーサル基板


回路シミュレータやブレッドボードで回路の挙動をはっきりさせたら、次はユニバーサル基板に半田付けをします。
あるいは、部品交換による回路定数変更が無い回路(ほとんどがプログラムで賄えるマイコン回路など)ではブレッドボードではなくユニバーサル基板でテストをする方がいいかもしれません。

当然ながら半田付けが必要になるので、材料のほかに工具が必要になります。



ついでに書いておくなら、基板への半田付けには逆作用ピンセットTS-16P-69があるととても便利です。

ブレッドボードや回路シミュレータで回路の挙動がきちんと追い込めているのなら、デジタルオシロなどの立派な計測器の出番は減り、相対的にテスターの出番が増えてくるはずです。

本製作はプリント基板で、と考えている場合も、一度はユニバーサル基板で組んでおいた方がいいと思います。すべての回路を組み上げてみて、初めて新たに回路を追加しなければならないことに気づくというのはよくある話ですし、そういったときはユニバーサル基板の方が多少対処がし易いです。もうどうしようもないというケースもしばしばですが・・・

本製作


本製作は、そのままユニバーサル基板のこともありますが、プリント基板にできればよりよいです。当然、回路むき出しよりもケースにしまう方がいいです。

ケース加工は「ピンバイス」→「リーマー」→「ハンドニブラ」→「ヤスリ」という手順です。



関連エントリ




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tag: LTspice PDS5022 ブレッドボード 

LTspiceでチャージポンプ負電源

見城尚志著電子回路入門講座よりチャージポンプ型の負電源回路のシミュレーションをLTspiceで行い、負荷電流の増大にともない出力電圧が降下し、リプル電圧が増える様子を確認しました。この場合の電力の変換効率は、最大でも50%程度であり、DCDCコンバータとしてはかなり低い方です。

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簡単な負電源の必要性


マイコン回路などの単電源で動作させることが多い回路であっても、2-3個のOPアンプを利用したい場合はよくあります。
こういった場合は、単電源OPアンプを利用することになるかと思いますが、単電源OPアンプは、各種のパラメータで両電源OPアンプに劣っている場合が多いですしGND付近での非線形性など、単電源であることに起因する問題も存在します。

要求される出力電流が小さい場合、簡易的な負電源を用意する方が手間が化からない事も多いです。
手軽にn倍電圧やn倍負電圧を用意する方法として、チャージポンプ型(スイッチトキャパシタ方式、コッククロフト・ウォルトン回路とも)の電源が挙げられます。
今回のエントリでは、見城尚志著電子回路入門講座のP339よりNE555を用いた負電圧発生回路をLTspiceを用いてシミュレーションします。

ロードレギュレーション


ダイオードのモデルには1N4148を用いました。

負荷電流を0-60mAまで変化させたときに、出力電圧やその変動がどのようになるかをシミュレーションしました。
以下にLTspiceによる結果を示します。


001_20110128034301.png
fig.1: チャージポンプ負電源のスケマティック

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fig.2: 出力電圧波形

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fig.3: 出力電流に対する出力電圧、及び、出力電圧変動


fig.2に示したのが、それぞれの出力電流における出力電圧波形をプロットしたものです。

これを、LTspiceで.meas(実効値,積分値など)の方法を使って、分かり易くプロットしなおしたものがfig.3です。横軸に出力電流をとっています。
赤のラインで示したのが、出力電圧の絶対値です。理想的には12Vとなるはずですが、出力電流が大きくなるにつれて電圧降下が起こっていることが確認できます。
このグラフに関しては、電子回路入門講座に実測データが示されています。比較を行ったところ、LTspiceのシミュレーション結果の方が現実の回路よりも優れた特性を示しているため、実際に製作する場合は充分に余裕を持った設計をする必要があります。

同様に、出力電圧の変動(リプル)をピークtoピークでプロットしたのがfig.3の緑のラインです。出力電流が大きくなるほどリプルも大きく、ノイジーになっていることが分かります。

変換効率


LTspiceで.meas(実効値,積分値など)の方法を使い、入出力間の変換効率を求めました。


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fig.4: 変換効率のシミュレーション用スケマティック

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fig.5: 出力電流に対する変換効率(%)


変換効率は、最大でも50%程度となっており、DCDCコンバータとしては極めて悪い値です。

アプリケーション例


チャージポンプ式電源は、電力を取り出すための電源回路としては必ずしも優れているわけではありませんが、簡単に高い電圧を作り出すことができるという点では優れています。

応用回路としては、以下のようなものがあげられます。



タイマIC:NE555について


さて、今回の回路の中心部分となっているタイマICの555ですが、最近は話題に上がることが多くなっています。
トランジスタ技術2010年12月号2011年01月号では555の特集を行っていましたし、WEB上では555を題材にしたコンテストが開催されています(応募締め切りは2011年3月1日!)。

このタイマICであるNE555は古いICですが、今でも頻繁に利用されます。
特にCMOS版の互換ICであるLMC555は秋月電子通商で極めて安価に販売されているため、アマチュア電子工作で非常に良く使われます。私も以下のような点でとても気に入っています。

  • 安い
  • 電源電圧範囲が比較的広い
  • 出力電流容量が大きい


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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tag: LTspice NE555 LM555 

PICの電源電圧低下でLED点灯

PICなどのマイコンを乾電池で動作させる場合、電池電圧を安定化させずそのままマイコンの電源として利用することがしばしばあります。こういったときマイコンに電源電圧の監視をさせたいならば、基準電圧源を用意しなければなりません。
この基準電圧源としてLEDの順方向電圧VFはそこそこの定電圧特性を持っており、電源電圧低下のインジケータの役目も兼ねられるので部品点数の削減にもつながります。

今回のエントリではLTspiceなどを用いて、この方法について検証しました。

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2ちゃんねるPIC専用のスレ Part31


PIC専用のスレ Part31の>>658-677あたりの書き込み。

658 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 23:04:02 ID:Nx6qLASu

教えてください。

AD内蔵の8ピンのPICで、電源電圧低下したらLEDを点滅させる回路が作りたいです。
そこで質問ですが、
ADコンバータのVrefを内蔵したものはありますか?
つまり、電源電圧が変化しても(低下しても)
ADの変換値が「あんまり」変わらないようにしたいのです。
BrownOutでは、2Vの固定値になってしまうので、ADで電源の電圧低下を知りたいのです。
今は12F683を使おうと思っています。
よろしくお願いします。


667 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 02:45:57 ID:DxrlNeq9
>>658 >>665
LEDのVFそのものをリファレンスにするというのはどうだろう。

以下、思いつく限りでもいろいろ問題はあるけど・・・
・I/Oの節約が主目的なら駄目かもとか。
・A/Dするときはパルス的に点灯させなきゃいけないとか。
・パラメータは実測から決めないといけないかもとか。
・経年変化とか。


そこで、このアルゴリズムの部分だけをLTspiceでアナログ回路としてシミュレーションしてみました。

アナログ回路による表現


1.5Vの乾電池を2本直列で電源電圧とするという前提で、電源電圧が2.2Vを切ったら出力がHになるコンパレータ回路としてシミュレーションを行いました。
赤色LEDのモデルとして、順方向電圧VFがおよそ1.7V程度になるQTLP690Cのモデルを採用しました。


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fig.1-2: アナログ回路による実装のシミュレーション


より正確にやるにはTL431等の基準電圧源を用意するところですが、部品点数が増えるという欠点があります。
電池の交換時期が分かる程度でいいので基準電圧源が正確でなくてもかまわないという考えから行くと、LED以外も電源電圧との比較対照として利用できそうです。
つまるところ、電流と電圧の関係が比例で無い(非オーミックな)素子で、その特性が既知のものであれば何であっても利用できるはずです。

ソフト上での実装


669 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 02:47:57 ID:DxrlNeq9 [2/3]
電源電圧をリファレンスにLEDのVFを測定の方がいいか・・・


実際にマイコンのソフトウエアで実装する場合は、電源電圧をA/D変換の基準電圧とし、LEDの順電圧VFを測定する方が好都合でしょう。


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fig.3: 実装する場合のマイコン回路


LEDの順電圧VF=1.7Vで、一定と仮定すると、10ビットA/Dコンバータの変換値は以下のように求まります。

AD value = (1.7/VCC) * 1023


004_20110127235630.png
fig.4: 電源電圧の変化に対するA/D変換値の変化


fig.2とfig.4を比較すると、大雑把に見ると、ちょうど色の関係が反対になっているように見えます。
どちらも赤のラインがLEDのVFに対応していて、緑のラインが監視対象の電源電圧に対応しています。fig.2では、定電圧特性に近いLEDのVFに対してマイコンの電源電圧が変化しているように見えています。一方で、fig.4では変化している電源電圧を基準に、変化の小さいVFをプロットしているため、相対的にA/D変換値が変わっていっているように見えています。

673 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 09:15:36 ID:QD/J+SZB
俺は電源電圧をリファレンスにして、ダイオードのVFを測定して判定ってよくやるよ。
線形じゃないし、温特もあるから精度は出ないけど、電池残量の目安には十分。


674 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 11:54:33 ID:cHdjpw7o [3/4]
>>673
なぜ
Vrefピン==測定電圧  A/D入力ピン==一定電圧(LEDのVf)
なのでしょうか?

Vrefピン==一定電圧(LEDのVf)  A/D入力ピン==測定電圧
のような気がしますが。


675 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 12:24:41 ID:xgQnDYa7
横から失礼
>>674
PIC12F675のVrefは最低2.0V、10ビットの精度を確保するには最低2.5V
まして、VrefがAD変換の最高値になるのでそれより高い電圧は変換できない



関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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tag: LTspice LED PIC 

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