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LTspiceクイック・スタート

LTspiceのインストールと初期設定でLTspiceのダウンロード、インストール、初期設定の方法を順を追って書きました。
本エントリでは、回路シミュレータの使いどころで紹介した、2石弛張発振回路を例にLTspiceの具体的な使用方法を説明します。

  1. 回路図を描く
  2. 解析条件の設定
  3. 実行(RUN)
  4. 信号のグラフ表示


なお、本エントリ中で紹介する回路図の色設定や抵抗のシンボルは、インストール直後のものと異なっていますが、操作方法には影響ありません。
色の変更方法は、LTspiceの色変更(改訂版)に解説があります。


2石弛張発振回路


回路シミュレータの使いどころでは、LTspiceのシミュレーション例としてトランジスタ2石弛張発振回路のシミュレーションを行いました。


001_20100111052224.png
fig.1a: 実際に製作した弛張発振回路の回路図

003_20100111051422.png
fig.1b: LTspiceシミュレーション用の回路図


この回路は、規模が小さいながらもどういった挙動をするのか想像しにくいといった点、小信号トランジスタ2SC1815/2SA1015や赤色のLEDといった定番部品を使っていると点などはじめての回路シミュレーションにはちょうどよい題材だと思います。

今回は、この回路を題材に実際のシミュレーションの手順を解説します。

LTspiceの起動と設定


最初にLTspiceを起動するとfig.2のようなウインドウが立ち上がります。
LTspiceのインストールと初期設定にまとめた初期設定が終わっていない場合は、先にそちらから済ませます。これは、LTspiceのインストール後、最初の一回だけ行えばよい設定です。


002_20100425043201.png
fig.2: LTspice起動画面


LTspiceの基本操作


LTspiceの基本的な操作は、ウインドウ上部に表示されたアイコンをクリックすることによって行います。
以下に示すのは私が良く使うアイコンの一覧です。

名前アイコン動作説明
New Schematicnew.png回路の新規作成
Runrun.pngシミュレーションの実行
Halthalt.pngシミュレーションの停止
Zoom to rectanglezoom.png拡大
Zoom backunzoom.png縮小
Zoom full extentsfit.png全体を表示
Wirewire.png配線
Groundgnd.pngGND
Label Netlabel.pngラベル
Resistorres.png抵抗
Capacitorcap.pngコンデンサ
InductorL.pngコイル
Diodediode.pngダイオード
Componentcom.pngその他の部品
Movemove.png接続を切って部品を移動
Dragdrag.png接続を維持したまま部品を移動
Textcomment.png
コメントの書き込み
SPICE Directivespicedirective.pngSPICE命令の埋め込み
table.1: 良く使うアイコン


以降では順を追って一連の操作を説明します。

回路図の新規作成


入力する回路図の目標は、前述のfig.1です。
新しい回路図を作成するためには、ウインドウの左上にある新規作成のアイコンnew.pngをクリックします。

部品の選択


部品の選択は、NANDの形をしたコンポーネントのアイコンcom.pngをクリックして立ち上がるウインドウから行います。


003_20100423221007.png
fig.3: コンポーネントの選択ウインドウ


2SC1815や2SA1015といったトランジスタや発光ダイオードは、とりあえず標準のNPNトランジスタとPNPトランジスタ、標準のダイオードを選んでおいてください。後ほど「モデルの選択」の段階で対応するSPICEモデルを呼び出します。
電池や電源の部分は、電圧源(Voltage Source)をあらわすvoltageを選択します。

抵抗(res.png)コンデンサ(cap.png)コイル(L.png)ダイオード(diode.png)などの良く利用する部品は専用のアイコンが存在しているので、そちらから選択することもできます。


004_20100424001653.png
fig.4: 部品の選択後

005_20100424001652.png
fig.5: 部品の配置


配置する部品を選択した状態で、回路図上にカーソルを持っていくとfig.4のようになります。この状態でクリックすると、fig.5のようにその場所に部品が配置されます。

部品の回転・左右反転


部品の回転や反転は、アイコンをクリックする方法もありますが、キーボードから行う方が簡単です。部品を選択後、配置を確定する前に(fig.4)CTRL+Rで部品の回転CTRL+Eで部品の反転ができるので、配置したい向きになったら、クリックして確定します。

配線


鉛筆のアイコン(wire.png)をクリックすると部品の配線モードの切り替わります。接続したい部品の端点(四角くなっているところ)同士を線で結びます。
配線の途中で折り曲げたい場合は、折り曲げたいところでクリックを行います。CTRLキーを押しながらで、斜めの配線を行うことができます。


006_20100424001652.png
fig.6: 配線


部品や配線の削除


間違って配置してしまった部品や配線の削除を行うためには、はさみのアイコン(cut.png)をクリックして、カーソルをはさみの形にします。このはさみでクリックされた部品が削除されます。


007_20100424001652.png
fig.7: 配線の削除


部品の移動:MoveとDrag


配置した部品の移動には、Move()または、Drag()を利用します。

Moveは、部品の接続を切断して部品を移動させます。BSch3Vでいうところのセレクタに相当します。


00A.png
fig.A: Moveは部品の接続を切断


Dragは、部品の接続を維持したまま部品を移動させます。BSch3Vのドラッグに相当します。


00B.png
fig.B: Dragは部品の接続を維持


GNDの配置


回路図中に必ずひとつ以上のGND記号を配置してください。
GNDを配置せずにシミュレーションを実行してもエラーメッセージは出ませんが、シミュレーションはできません。
GNDのアイコン(gnd.png)を選択して回路図上に配置します。

パラメータの設定


部品やGNDの配置・配線が完了したら、続いて抵抗器の抵抗値やコンデンサの容量を指定します。


008_20100425035722.png
fig.8: 抵抗上で右クリック

009_20100425035722.png
fig.9: Resistance[Ω]に220kと入力


指定したい部品の上にマウスカーソルを当てると、fig.8のようにカーソルの形が指の形に変わります。ここで右クリックをするとfig.9のようなウインドウが立ち上がるので、R1には220kとC1には10uを指定します。他にも(特にコンデンサには)たくさんの値の入力項目がありますが、省略してかまいません。

モデルの選択


次にトランジスタや発光ダイオードのモデルの選択を行います。
残念ながらLTspiceには標準で2SC1815などの日本製のトランジスタのモデルが入力されていません。今回は、似たような小信号トランジスタのモデルで代用します。
もちろんLTspiceでは、メーカーのウエブページなどで公開されているSPICEモデルを入力して使うこともできます。


010_20100425035722.png
fig.10: Pick New Transistorをクリック

011_20100425035722.png
fig.11: 2N3904を選択


R1のときと同様にQ1のNPNトランジスタを右クリックすると、fig.10のようなウインドウが立ち上がるので、Pick New Transistorをクリックします。するとfig.11のウインドウが立ち上がるので2N3904を選択します。
同様に2SA1015と赤色LEDも近いモデルを選びます。

日本製デバイス対応するSPICEモデル
2SC18152N3904
2SA10152N3906
赤色LEDQTLP690C
table.2:似たようなSPICEモデル


ラベルの配置


それぞれのノード(同じ配線でつながっている部分)は、特に指定しなければ番号で管理されますが、電圧波形をグラフに表示したいノードにはあらかじめラベルで名前を付けておくと便利です。
今回は、Q1のベースにbase、D1のアノードにanodeというラベルを付けます。

ラベルのアイコン(label.png)をクリックすると、fig.12のようなダイアログが立ち上がるので、付けたい名前を入力します。この例ではbaseと入力しています。
すると、マウスカーソルがラベルの形になるので、ラベルを付けたい位置をクリックして決定します。


012_20100523192448.png
fig.12: ラベル名の入力

013_20100523192448.png
fig.13: ラベルの位置の確定


なお、fig.12のダイアログでPort Type:を変更するとラベルの形を矢印にすることができます。これは回路図を読む人間が分かりやすいようにするためなので、どの形を選んでもシミュレーション結果には影響しません。

解析条件の設定


解析の種類の選択、及び解析の設定をします。
SimulationからEdit Simulation Cmdを選択します(fig.14)。するとfig.15のようなダイアログが立ち上がるので、行いたい解析のタブを選択します。今回は過渡解析なのでTransientです。

過渡解析では、基本的にグラフに表示する開始時間(Time to Start Saving Data)と終了時間(Stop Time)を設定します。今回は0秒から1秒までを表示します。解析条件を回路図上の分かりやすい位置に設置します(fig.16)。


014_20100523192448.png
fig.14: Simulation → Edit Simulation Cmd

015.png
fig.15: 解析種類の選択・設定

016.png
fig.16: 回路図上に解析条件を表示


シミュレーションの実行


以上で、シミュレーションの前段階の設定は終了です。
この状態でRUNアイコン(run.png)をクリックするとfig.17のように表示が回路図ウインドウとグラフウインドウに分割されます。


017.png
fig.17: 実行結果


以降では、回路図ウインドウとグラフウインドウを最大化し、どちらか一方のみを表示しますが、グラフウインドウを閉じてしまわないようにしてさい。閉じてしまった場合は、もう一度RUNを行う必要があります。

グラフ表示


グラフ表示の基本は、回路図上の電流と電圧です。
今回の例では、発光ダイオードに流れる電流、及び、コンデンサC1に充電されている電圧(baseとanodeの間の電位差)をグラフに表示します。

RUNを行った後の回路図上で、素子の端子付近にマウスのカーソルを持っていくと、カーソルの形状が電流プローブのような形に変化します。この状態でクリックをします。
fig.18は、発光ダイオードD1の電流を測ろうとしているところです。


018.png
fig.18: 電流の表示、カーソルが電流プローブの形状になる


電圧も同様に、測りたい部分をクリックすれば、グラフ上に表示されます。
この際、電圧の基準点はGNDになります。

GND以外を基準とした2点間の電圧を測りたい場合は、測りたい2点間でマウスをドラッグします。fig.19では、baseとanodeの間の電圧を測定する場合を示しています。baseでマウスの左ボタンを押し、指を離さないままanodeまでマウスカーソルを移動した後、マウスの左ボタンから指を離すと、baseの電位からanodeの電位を引いた値のグラフが表示されます。


019.png
fig.19: 電位差の表示、2点間をドラッグする


このようにして表示されたグラフがfig.20です。


020.png
fig.20: 表示されたグラフ


グラフウインドウの基本操作


グラフの表示の仕方は色々と変更することができます。
基本的な機能として、グラフを複数のパネルに分割する方法と簡単な演算結果をグラフに表示する方法を書きます。

まずは、コンデンサの電圧と発光ダイオードの電流を別々のパネルに分けて表示する方法です。
Plot SettingsからAdd Plot Paneを選択。あるいは、グラフウインドウ上で右クリック→Add Plot Paneとすると、グラフウインドウに新しいパネルが追加されます。

この状態で、移動したいTraceの名前(今回はV(base,anode))を新しいパネルの上にドラッグします(fig.21-23)。


021.png

022.png

023.png
fig.21-23: ドラッグでパネル間をTraceが移動


次はごく簡単な算術演算結果をグラフに表示する方法です。
先ほど2点間の電位差を表示するために、回路図上でドラッグを行いましたが、2点の電位V(base)とV(anode)を引き算することによっても2点間の電位を表示することができるはずです。

上のパネルに移動した、Traceの名前の部分(V(base,anode)と書いてあるところ)を右クリックするとfig.24のようなウインドウが立ち上がります。そこでEnter an algebraic expression to plot:と書いてあるテキストボックスに表示したい数式を書き込みます。今回はV(base)-V(anode)です。


024.png
fig.24: 数式の入力

025.png
fig.25: 演算結果のグラフ


fig.25が結果です。当然ながらfig.23とおなじ形状のグラフとなります。
この機能は非常にさまざまな応用が利きます。たとえばLTspiceで素子の発熱を見るでは、電圧と電流の掛け算からその素子での消費電力を計算しています。この場合、LTspiceは計算結果の単位も自動的に表示してくれます。

ファイルの保存


最後にファイルの保存、というよりも保存するファイルの種類について。
LTspiceにおいて、重要なファイルは"ASC形式"のもの、"PLT形式"のもの、"RAW形式"のものの3種類です。

基本的に、LTspiceでのファイルの保存はファイルの保存アイコン(save.png)をクリック、あるいは、FileSave(またはSave As)で行います。普通のWindowsプログラムと特に変わったところはありません。
保存されるファイルの種類は、アクティブになっているウインドウの種類によって変わります。

回路図ウインドウがアクティブな状態で保存を行った場合、ASC形式のファイルが保存されます。これは、回路図の接続情報を保存したファイルです。

グラフウインドウがアクティブな状態で保存を行った場合、PLT形式のファイルが保存されます。これは、グラフ上にどの情報を表示するかを保存したファイルです。今回の例では、「C1の両端の電圧と発光ダイオードに流れる電流を別々のパネルに表示する」という情報です。

"RAW形式"のファイルは、計算結果をすべて保存するファイルで、シミュレーションをRUNするときに自動的に保存されます。このため、このファイルは他の二つに比べて大きなファイル容量を持つ場合が多く、また、他の二つがテキスト形式であるのに対して、バイナリ形式となっています。

私のブログでは、しばしばASC形式のファイルとPLT形式のファイルをエントリの付録としてアップロードしています。

例えば、本エントリあるいは回路シミュレータの使いどころの付録の項目には、今回のエントリでシミュレーションしたトランジスタ2石弛張発振回路のASCファイルPLTファイルを公開しています。
relax-osc_asc.txtASCファイルです。ダウンロードした後に、relax-osc.ascという様に名前を変更します。
同様にrelax-osc_plt.txtPLTファイルで、ダウンロードした後にrelax-osc.pltとリネームします。
これら2つのファイルを同じフォルダにおいて、relax-osc.ascをLTspiceでRUNすると、今回試したものと同じシミュレーションができます。

関連エントリ



付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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tag: LTspice 

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反重力四方向すべり台

ウエブで重力に逆らって玉が転がる台を見つけました。
まあ、とにかく動画を見ていただければ。




サムネイルでネタバレになってしまうので避けましたが、高解像度版がYoutubeにあります。

参考URL

PDS5022SでリアルタイムなFFT

PDS5022SとExcelで高速フーリエ変換では、デジタルオシロスコープPDS5022Sから取得したデータをExcelを使ってFFTする方法を書きました。
しかし、この場合は一度取得したデータをPCの上で編集する必要があるためリアルタイム表示はできませんでした。

これにたいして、私自身は未確認の情報ですが、最近のPDS5022Sでは標準的にFFTの機能を備えており、リアルタイムでスペクトル表示ができるようです。



また、FFTのついていない古いバージョンのPDS5022Sを使っている方にも朗報があります。
T. NakagawaさんOWON製オシロスコープPDS5022Sの活用と言う記事の中でPDS5022Sとパソコンを接続し、パソコン上でリアルタイムにFFT表示をするプログラムを公開されています。

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