LEDの温度係数

LEDの温度係数に関するトピックをいくつかまとめて書きました。

  • LEDはVFの個体差と温度係数により並列にできない
  • 実測から温度係数が負であることを確認した
  • LTspiceのモデルには不備がありそう


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LEDは並列接続できない


GaN系LEDの並列接続についてによると、LEDを個別の電流制限抵抗無しに並列接続することは推奨されません。これはLEDの順電圧VFと順電流IFの関係が非線形であり、順電圧の個体差による順電流のアンバランスが無視できないほど大きくなりうるためです。


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fig.1: LEDの並列化は推奨されない


さらに、LEDの温度係数が負である事もアンバランスに拍車をかけます。fig.2は白色LEDNSCW100の周囲温度-順電圧特性グラフです。


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fig.2: NSCW100の周囲温度-順電圧特性


LEDに順電流が多く流れているほど、発熱による温度上昇も大きなものとなります。
したがって、ばらつきによって順電圧が小さかった個体のほうが電流が大きくなり、温度上昇するため、順電圧が下がりやすい傾向にあります。

基準電圧源として使う


さて、LEDは広い駆動電流範囲にたいして狭い順電圧特性を持っています。そのためツェナーダイオード代わりの簡単な基準電圧源として使われることがあります。以前製作した5-500mA定電流電子負荷でもLEDを基準電圧源としています。

このアプリケーションでは、電流値の設定は可変抵抗で行うためLEDの順電圧の確度自体は重要ではありません。しかしながら、目標電流値設定後のドリフトは、出力電流の変動に直結するため問題となります。

(余談ですが、この定電流電子負荷をLTspiceをもちいて負帰還安定性判別してみたところ、発振する不安定な回路であると言う結果が出てしまいました。実際には製作しない方がいいと思います。すでに作ってしまった方はごめんなさい。負帰還安定性判別の詳細も後ほどエントリにまとめる予定です。)

温度試験


こういった背景から、今回のエントリでは温度変化に対するLEDの順電圧変動に関する定性的な評価を行います。

fig.3に示す実験回路を作成しLEDの順電圧を測定しました。
測定対象のLEDは、手元にあった型番もメーカーも不明な赤色LEDです。
Dummy Loadは、5-500mA定電流電子負荷を使用しました。


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fig.3: 実験回路構成


温度を測定する方法が無いので、測温はしていませんが、30秒あたりから65秒あたりまでドライヤーで温風を当てた際の順電圧VFと順電流IFの測定結果をfig.4に示します。


004_20091220062628.png
fig.4: 順電圧の測定結果


大雑把に1.85Vに対して0.1Vと考えると、約5.6%の変動です。定電流回路のための基準電圧源とすればかなり大きい方だと思いますが、前述の電子負荷の設計思想から考えればまあまあの値だと思います。

LTspiceモデルの温度特性


ところで、LTspiceには各種LEDのモデルが標準で付属していますが、これらのLEDの温度特性のモデル化は成されていないようです。
以下に、LTspiceを用いたLEDの温度特性に関するシミュレーション結果を示します。


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fig.5: スケマティック

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fig.6: 温度特性が正になっている


シミュレーションに用いたLEDのモデルは、fig.2に特性を示したNSCW100です。
ここでfig.6とfig.2を比較すると温度に対する順電圧の変化が逆の傾向を持っていることがわかります。LTspiceに標準で登録されているLEDモデルを用いた温度解析は出来そうにありません。

関連エントリ




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付録


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tag: HP6632A LTspice R6452A 定電流 電子負荷 LED 温度解析 

秋田禎信BOX

本日、以前注文した秋田禎信BOXを買いに行きました。
完全受注生産だったはずですが、Amazonではいまだに予約受付中のようです。


エラーバーは棒です

僕は誤差が見たいとかあんまし思わないんですが、
なんで世の殿方はエラーバーとか誤差棒とかを珍重するのでしょうか。棒じゃん。
わかんない。エルゴード性とかもわかんない。得るものが少ないと思います。
したがってグラフに載ってる誤差をメインテーマにした表記というか
エラーバーもよくわかりません。棒です。

さらにそもそもなぜ誤差の出るような測定をするのですか。
あまつさえ複数回測定したりするのですか。僕は賛成ですが。
いや賛成なのは標準偏差が出るからじゃないです。なんとなくいいからです。
僕はデータの測定とかそういうものは大好きです。

いや問題なのはデータの測定ではなくて誤差です。
エラーバーが見えててもかまいませんが、棒だと思います。

いやそうではなくて、なぜ誤差の出るような測定をするのかということです。僕は賛成ですが。

すいません。まちがいました。もういいです。

LTspice IV セミナ参加レポート

LTspice IVの無料セミナで書いたとおり、セミナーに参加してきました。
あたらしい発見も多く、面白かったのですが、釈然としない部分も多い内容でした。

東京エレクトロンデバイスのウエブページ上の日程も更新され、2010年も1月-3月にそれぞれ1回ずつ開催されるようなので、今後参加しようとされる方の参考になればと思います。

【日程・時間】
 2010年01月27日(水) 14:00~17:00
 2010年02月24日(水) 14:00~17:00
 2010年03月26日(金) 14:00~17:00
※定員になり次第、締め切らせていただきますので、お早めにお申し込み下さい。


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実習内容以外に関して


会場は、東京エレクトロンデバイス新宿オフィスという所で、とても奇麗なビルの一室でした。
新宿駅はとにかく迷いやすい駅なので、必ず地図を印刷して、時間に余裕を持って向かうのがいいと思います。

受講者は、私を含めて十数名でした。非常に少人数なので、質問は非常にしやすい雰囲気です。定員については、会場の広さを考えると、押し込んだとしても20名ぐらいが上限だと思います。

※定員になり次第、締め切らせていただきますので、お早めにお申し込み下さい。


とのことなので、参加を希望される方は早めの登録を心がけた方がよいかもしれません。また、申し込み欄には会社名と部署名を記入する欄がありますが、学生の参加も問題ないとのことでした。

スイッチングレギュレータIC


内容は大部分がリニアテクノロジのスイッチングレギュレータコントロールICのシミュレーションでした。一般的な回路シミュレータとしてではなく、リニアテクノロジ製電源IC評価ソフトと考えると分かりやすいです。


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fig.1

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fig.2


具体的にやったことは以下のとおりです。

  • 電圧・電流波形の観察
  • 効率・消費電力測定
  • パルス応答
  • FFT


波形の測定やパルス応答、FFTは普通のシミュレーションと同じです。消費電力測定は、LTspiceで素子の発熱を見るで、効率測定はsimさんがLT1172CN8のシミュレーション(2)でやっている内容と同じです。

TIPSは面白かった


知らなかったTIPSを幾つか教えていただきました。以下列挙します。

リニアテクノロジのマクロモデルを回路上で右クリックすると出てくるウインドウから、ネット上のデータシートへ飛べる。

二点間の電位差を表示するときは、測定したい二点間をドラッグすればよい。

グラフウインドウの波形名の上で、「CTRL+クリック」を行うとその波形の表示範囲での平均値・実効値を表示する。

さて、以降は内容的に釈然としなかったことに関してです。

リプル電圧のピークtoピーク


リプル電圧のピークtoピークを測るために、Attached Cursorの説明が終わった辺りで、私の右斜め前に座っていた方が、平均値・実効値だけでなくピークtoピーク値を自動的に計算してくれる方法は無いのかと言う旨の質問をしていました。

講師の方は、無いと答えられていましたが、あります。
GUIからすマートにやる方法ではありませんが、LTspiceで.meas(実効値,積分値など)の方法でいけます。

AC解析の入力信号


AC解析の入力信号として、以下のように設定していましたが意味が分かりません。

  • AC amplitude: 10 V
  • AC Phase: 1 deg


LTspiceのAC解析は小信号モデルを用いたものなので、飽和を考慮しません。一方で、LTspiceのBodeプロットのdB表示は、1Vを基準とした、いわゆるdBVです。
したがって、一般的なBode線図を描く場合は、入力信号の振幅を1Vとすべきです。
位相の1度の方は輪をかけて何の意図があるのか分かりません。

効率測定のアルゴリズム


私は講師の先生と以下の内容の質疑応答をしました。

私「効率計算時の入力と出力をシミュレータはどうやって把握しているのか?」
講師「ノード名で行っている」
私「では、例えばINと言うラベルをVCCに変更したら効率計算はできなくなるのか?」
講師「そうだ」

そのときは、なんとなく納得したのですが、考えてみればノードを1点だけ指定しても電圧と電流の積である電力を定義できません。そこで、実際にノード名のINをVCCに変更してシミュレーションしてみたところ、問題なく効率測定ができました。
推測ですが、投入電力は電圧源からの電力を、出力電力はRloadと言う名前の素子で消費されているものを使って計算しているのではないかと思います。

Steady state detection


効率計算を行う際に、安定状態を検出すると自動的にシミュレーションを停止する機能があります。どういった方法で安定状態を検出しているのかを質問したところ、イマイチよく分からないあいまいな回答が返ってきました。

「何らかのノードの値が、ある一定の振幅以内に収まっているなら安定状態と判断する。その振幅の大きさを変更するためのパラメータは、Control Panelから設定できる。」

何らかのノードとは具体的にどこなのか。それを指定する方法はあるのかと、帰ってからhelpを調べてみると、steadyの項目に以下のようにありました。

Steady state detection is written into the SMPS macromodels. Typically they are written to look for zero error amp output current averaged over a clock cycle.


また、

The fraction of peak current that is considered zero current is specified with the sstol option.


とも。

とはいうものの、肝心のスイッチングレギュレータICのマクロモデルはバイナリファイルで、具体的にエラーアンプの監視をどのように行っているのかは分かりません。つまり、現状では、リニアテクノロジのスイッチングレギュレータIC以外の回路で安定状態検出機能は使えないということでしょうか?

関連エントリ




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tag: LTspice セミナー 

LTspiceで自己発熱するサーミスタ

LTspiceは電子回路シミュレータですが、上手にモデル化を行えば熱的特性を含んだ回路シミュレーションを行うことができます。
今回は、サーミスタの抵抗変化にたいして、自己発熱がどの程度影響するのかを調べるシミュレーションを行いました。

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サーミスタの温度解析


サーミスタは、温度に応じて抵抗値が変化する素子です。LTspiceでサーミスタ(温度係数を持つ抵抗)では、周囲温度に応じて抵抗値が変化する抵抗やサーミスタのモデリングを行い、シミュレーションをしました。

これに対して、現実の回路は同一基板内であっても(同一IC内でさえ)温度差を持ちます。LTspiceで温度勾配のある回路では、個別の素子に対して温度を設定する方法を書きました。

さて、回路基板上の温度勾配の原因として、最初に考え付くのはその素子自体が消費する電力による自己発熱です。

サーミスタの熱放散定数


サーミスタの自己発熱は、温度測定の誤差要因となるため、極力小さくするのが基本です。一方で、サーミスタを意図的に発熱させる用途も存在します。
トランジスタ技術2009年2月号P246-253に「乾電池動作のサーミスタ方式風速計」という記事が掲載されています。これはサーミスタを発熱させた上で、空気の流れによって冷やされ抵抗値が変化することを検出し、風速を算出しています。

今回のエントリでは、トランジスタ技術に掲載されているサーミスタの自己発熱を考慮したモデル化を行い、LTspiceを用いてシミュレーションをします。

モデル化


自己発熱と温度上昇の関係は、サーミスタのパッケージの熱的特性によって決まります。サーミスタのデータシートにはこの影響を表すパラメータとして、熱放散定数δがあります。

_eq_g76c.png

ここで、Pが抵抗での自己発熱で、ΔTが自己発熱による温度上昇です。

自己発熱による温度上昇ΔTを含むサーミスタの抵抗値は、以下のように書き表されます。

_eq_g76k.png


前述の熱放散定数とジュールの法則をもちいて、ΔTを書き換えると以下のようになります。

_eq_g76n.png


トランジスタ技術の記事にあるパラメータは、Rr=2100Ω,B=3850,δ=0.7mW/℃,Tr=25℃です。

自己発熱を回路シミュレータから入力するためには、LTspiceで電圧制御抵抗(VCR)の方法を用います。

シミュレーション


以上を踏まえて、自己発熱を考慮したサーミスタのLTspiceを用いたシミュレーションを行いました。


001_20091213230412.png
fig.1

002_20091213230412.png
fig.2


サーミスタは定電流駆動としましたが、電流値によって得られる抵抗値が変化することがわかります。

関連エントリ




付録


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参考文献




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tag: LTspice 熱設計 温度解析 

LTspiceで温度勾配のある回路

トランジスタやダイオード、サーミスタといった電子部品は、その温度条件によって特性が変化します。LTspiceで温度解析では、回路全体が一様に温度変化をする場合についてシミュレーションをする方法を書きました。
今回は、個別の素子ごとに温度を設定することによって、回路中に温度差がある場合のシミュレーションを行いました。

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LTspiceの温度解析


LTspiceで温度解析では、.tempを用いて異なった温度条件でのシミュレーションを行う方法を書きました。この方法では、回路全体が一様の温度であるという条件を暗黙のうちに考えていますが、現実の回路では個々の素子がそれぞれ異なった温度条件で動作しています。

LTspiceのtempは、そもそもローカル変数(と言う表現が適切化は知りませんが)なので、おのおのの素子に別々の温度を設定することによって、基板内で温度差のある回路のシミュレーションを行うことができます。

一様温度条件


fig.1-2は、従来の方法で、1つのトランジスタを持つ回路に対して、異なる温度条件で3回の繰り返しシミュレーションを行った結果です。


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fig.1: 一様温度のスケマティック

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fig.2: 一様温度のグラフ


温度勾配条件


fig.3-4は、1つの回路基板上に3つのトランジスタを並列に接続したスケマティックで、それぞれのトランジスタが別々の温度で動作しているシミュレーションです。


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fig.3: 温度勾配条件下のスケマティック

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fig.4: 温度勾配条件下のグラフ


個別温度の設定方法


それぞれの素子の温度を個別に設定するには、各素子の名前のあとに、temp=<温度>の形式で指定します。<温度>の部分は摂氏です。

スケマティック上の名前の上の辺り(この例では2N22222と書いてある辺り)で右クリックをすると、fig.5のようなウインドウが立ち上がるので、値を書き込みます。


005_20091210062008.png
fig.5: 個別温度の設定方法


関連エントリ




付録


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tag: LTspice トランジスタ 温度解析 

LTspice IVの無料セミナ

Simさんの12月08日(火)のつぶやきで知ったのですが、LTspice IVの無料セミナが2009年12月14日(月) 14:00~17:00に行われるようです。無料(要事前登録)ということで、ギリギリなのですがとりあえず申し込みをしてみました。受け付けられるかは微妙ですが。

申し込みは以下から

リニアテクノロジー社 LTspice IVセミナー

【会場】 東京エレクトロンデバイス 新宿オフィス


【参加費用】 無料(要事前登録)


【内容】
    1. LTspice IVとは?
    2. 入手方法
    3. アップデート方法
    4. GUI操作方法
    5. シミュレーション回路作成方法
    6. シミュレーション項目 電源編およびオペアンプ編
    7. シミュレーション例
    8. ライブラリ追加方法 *
    9. 周囲温度変更方法 *
    10. モンテカルロ解析 *
    11. 演習

*2009年7月からの追加項目


【講師】 東京エレクトロンデバイス社
      フィールドアプリケーションエンジニア


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tag: LTspice セミナー 

LTspiceの接頭語

LTspiceでは、色々なところで、数字に付ける接頭語(kとかmとか)がつかえます。
便利な接頭語ですが、LTspiceは大文字と小文字の区別をしないため、注意をして使わなければ、とんでもない間違いをすることがあります。

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LTspiceで使える接頭語一覧


LTspiceの接頭語の一覧を以下に示します。

SuffixMultiplier
T1E12
G1E9
Meg1E6
k1E3
Mil25.4E-6
m1E-3
u1E-6
n1E-9
p1E-12
f1E-15
table.1: 接頭語一覧


"μ"は、"u"で代用します。

大文字と小文字を区別しない


LTspiceは、大文字と小文字を区別しません。これに関連する罠として有名(?)であるのが、Megとmです。
10の6乗を意味するM(メガ)は、LTspiceではMegとかく必要があります。大文字のMはm(ミリ)、すなわち10の-3乗と解釈されます。

スーパーキャパシタのシミュレーション


秋月電子通商で、耐圧が5.5V、内部抵抗30Ωで容量が1Fの電気二重層コンデンサを扱っています。
非常に大容量であるこのコンデンサは、5V系マイコンのバックアップ電源などに使われるようです。

この内部抵抗30Ω、静電容量1Fのコンデンサに5V電源を接続したときの充電波形のシミュレーションを試みました。


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fig.1: 充電のシミュレーション

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fig.2: 充電波形


さて問題です。fig.1-2はどこが間違っているでしょうか?
私はシミュレーションを走らせてみるまで間違いに気がつきませんでした。

付録


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tag: LTspice 過渡解析 失敗談 

セメント抵抗の温度特性 その2

セメント抵抗の温度特性 その1から、セメント抵抗の抵抗値が温度によって変化するという説を立てました。今回は、定性的に異なる温度条件での抵抗値測定を行い、抵抗値の変化が温度に起因するものであると確認しました。

また、抵抗値変化を温度計として、セメント抵抗のパッケージの熱的特性に関する議論のアイデアについても触れました。

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その1の再確認


セメント抵抗の温度特性 その1では、セメント抵抗を基板上に四端子接続し、その特性を測定しました。
その結果は、測定電流によって抵抗値が異なると言うものでした。


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fig.1: 測定電流-抵抗値


抵抗は温度によって抵抗値が変わると言う性質があります。そのため、この抵抗値の変化は、測定電流による自己発熱の結果であると考えました。

今回のエントリでは、定性的ではありますが、異なる温度条件での抵抗値測定を行い、前述の抵抗値の変化が温度変化に起因するものであることを確認しました。

初期温度と抵抗値


まず、三段階(冷たい・普通・熱い)の温度に対して抵抗値を求めることを考えました。
回路構成は、fig.2のとおりで前回と同じです。測定電流はすべて約5Aで固定としました。


002_20091117050949.png
fig.2: 回路構成


冷たい条件での測定は、抵抗を冷蔵庫にしばらくおいておいたあと、「できるだけ手早く測定する」と言う方法で行いました。
普通の条件は、しばらく室温においておいた抵抗を、「できるだけ手早く測定」しました。
「できるだけ手早く測定」というのは、自己発熱によって温度が上がってしまわないうちにと言う意味です。
最後に、熱い条件は通電状態で10分程度放置したものを測定しました。

table.1に結果を示します。


条件電流[A]電圧[mV]抵抗[mOhm]
冷蔵庫4.9951494.999.08
室温4.9950495.999.28
触れないほど熱い4.9966506.9101.4
table.1: 温度と抵抗値


温度が高い条件の方が抵抗値が高いことが確認できました。

通電時間と温度の関係


次にデジタルマルチメータR6452Aをパソコンとシリアル接続し、連続的にデータをサンプリングしました。
fig.3に横軸に通電開始時間、縦軸に抵抗値の変化を示すグラフを掲載します。
測定電流は5Aです。


003_20091202040304.png
fig.3: 時間-抵抗値変化


熱のローパスフィルタ


これまでの考察から、セメント抵抗の抵抗値の変化は、抵抗の温度変化を表しているであろうという結論に至りました。そこで、この抵抗値の変化を温度変化とみなして、抵抗器の熱的特性に関して議論を行います。

熱抵抗を電気抵抗に、熱容量を静電容量に、熱源を電流源にそれぞれ置き換えれば、熱的特性は電気回路でモデル化することができます。このモデル化では、温度と電圧が対応します。

抵抗での発熱は、抵抗値の変化が小さいため一定と考えると、定電流源のモデルで表せます。セメント抵抗のパッケージを熱抵抗と熱容量が1つずつのもっとも単純なモデルとして考えると、fig.4のようになります。


004_20091202040303.png
fig.4: 熱のローパスフィルタモデル

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fig.5: パッケージの温度変化


ここで、R1はセメント抵抗の発熱部とパッケージ間の熱抵抗、R2はパッケージと大気間の熱抵抗で、C1はパッケージの熱容量です。Tjは発熱部の温度、Tpがパッケージの表面温度、GNDに相当するのが大気温度です。

LTspiceでのシミュレーション結果から、fig.3の抵抗値変化の波形と形の似たパッケージ温度の波形が得られました。

デジタルマルチメータに熱電対を接続し、抵抗値変化の代わりにパッケージ温度を測定すれば、フィッティングからR1,R2,C1の値が得られるのではないかと思っています。(が、実際にやるつもりはありません。)

関連エントリ




参考URL




付録


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tag: LTspice 温度解析 熱設計 HP6632A R6452A 

LTspiceで入力インピーダンス

増幅回路において、入力インピーダンスは重要なパラメータの1つです。今回はLTspiceを用いて交流アンプの入力インピーダンスの評価をしてみました。
その結果、ブートストラップ方式の非反転増幅回路が高い入力インピーダンスを持つことを確認しました。

001_20091127175723.png 002_20091127175723.png


交流アンプの入力インピーダンス


OPアンプを用いた直流増幅回路を考えたとき、入力インピーダンスが入力抵抗によって決まってしまう反転増幅回路よりも、非反転増幅回路のほうが入力インピーダンスを高くすることができます。

しかしながら、これをそのまま交流結合した非反転増幅回路に転用しようとしても、入力インピーダンスはあまり大きくすることができません。なぜなら、直流カットコンデンサとバイアス抵抗の直列合成インピーダンスによって、入力インピーダンスが決まってしまうからです。

こういった場合は、ブートストラップの手法を用いて入力インピーダンスを大きくすることができます。
本エントリでは、LTspiceを用いてブートストラップ式高入力インピーダンス交流非反転増幅回路の入力インピーダンスを評価する方法を書きます。

ブートストラップ回路のシミュレーション


fig.1にブートストラップ回路のスケマティックを示します。
回路の出典は、岡村 廸夫 著「定本 OPアンプ回路の設計」の「7.2 ブートストラップの技法」で私の手元にある第21版ではP195です。


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fig.1: スケマティック

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fig.2: 周波数-入力インピーダンス特性


10Hzの段階でも1.2MΩ程度の入力インピーダンスを持ち、周波数があがるにつれ上昇しますが、3kHz付近で頭打ちになります。
頭打ちになる理由は、ボルテージフォロワ自体の入力抵抗と容量と定本にはあります。

蛇足


定本の解説では、10Hzで12MΩの入力インピーダンスになるとありますが、シミュレーション結果は一桁低い値でした。
何かシミュレーションの方法が間違っている可能性もあります。

実を言うと、定本の回路図のコンデンサの容量には、「2」と書いてあるだけで単位がついていません。今回は2uFでシミュレーションをしましたが、20uFでシミュレーションをすれば10Hzで12MΩになります。

なお、反転増幅回路において、入力インピーダンスを高くする手法としてはT型帰還回路を用いる方法があります。

付録


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参考文献




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tag: LTspice OPアンプ 

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