ミッドレンジマイコンでマルチタスク

処理性能がさほど高くないミッドレンジのマイコンを利用して、時間的要求がさまざまなタスクを上手に処理しようとする場合、単純なメインループ(+割り込み)のアーキテクチャでは苦しくなることがあります。
具体的には、私がここ数週間取り組んでいたWEM菅生用電気自動車のデータロガーの設計方針の失敗談です。

そういえば、大体似たようなことを以前senshu先生の掲示板に書きました。
少ピンマイコン用組込みOSのメリット


ごめんなさい


数週間ほど、私はWEM菅生に向けてデータロガーを設計・製作していましたが、ちょっとだらだらとしすぎて、完成に至りませんでした。単純にやる気と時間が不足していただけと言う話もありますが、電気自動車に全く興味が無い人にとっても読んでもらえるように概念的な話を書きます。

ロガーの仕様


電気自動車レース用データロガーなので、最低限計測しなければならないデータは「速度」「ラップタイム」「電流」「電圧」です。レギュレーションは2時間耐久レースに分類されるものなので、スタートからの「経過時間」も必要です。
これらのデータをドライバーが読み取れるように「表示」し、ログとしてメモリに「保存」する。これが、ロガーの仕様の核です。

ラップタイマと速度計はレシプロカル方式の周波数カウンタのようなものなので、エッジの検出からタイマの読み込みまでのタイムラグはできるだけ小さい方が好ましいです。このため、ラップタイマと速度計のプログラム全体の中での時間的要求(優先度)は最高です。

ADCのサンプリングレートは、1~10sps程度の超低速でかまわないので、優先度は高くありませんが、取りこぼしがあっては困ります。また、ドライバーのための表示器の更新レートは、「経過時間」の表示を0.1s単位まで見せるとすると、10HzとなるのでADCのサンプリングレートと同等となります。

メモリは、何を使ってもよいのですが、あとでPCをつかって処理することを考えると、SDカードにFATファイルシステムを使って書き込むのがポピュラーです。SDカードにSPIモードで書き込むのはかなり遅いので、ADCのサンプリングや表示機の表示のタスクをSDカーへの保存タスクよりも、一段階優先度を上げたいと考えます。

そんなわけで、優先度の割り振りは以下の三段階となりました。

  1. 速度計・ラップタイマ・経過時間
  2. ADC・表示機への表示
  3. ログデータの保存


優先度に応じたCPUの割り振り


すべてのタスクの優先度が高くないプログラムの場合は、単純にメインループの中ですべての処理が賄えます。

この単純なアーキテクチャに加えて、少数の高優先度のタスクがあるアーキテクチャでは、高優先度のタスクを割り込み処理とすれば、上手に処理することができます。
このメインループ+割り込みのアーキテクチャでは、優先度が上位と下位の2種類に分けられる場合に使われます。

これらの2パターンは、マイコンのプログラムをしている人なら無意識のうちにやっている手法です。そして、多くの場合これだけでうまく処理ができます。更に言うなら、これらの2パターンでうまく処理できるようにシステム全体を考える方が、難しいことをするより多分楽です。

しかし今回のロガーの例では、優先度が3段階必要なので、なんとか上手くごまかさなければなりません。以降は上手くごまかすための方法を思いつく限り列挙しました。

多重割り込みアーキテクチャ


多重割り込み機能を持ったマイコンを選べばスマートに実装できます。
上位割り込み・下位割り込み・メインループで三段階の優先度を賄うことができます。

実を言うと、以前PIC18F452を使って失敗しました。
多重割り込みに関してエラッタが出ていたことに気づかなかったのです。
以下、PIC18FXX2 Rev. B2 Silicon/Data Sheet Errataからの引用です。

4. Module: Interrupts
Under certain conditions, the use of dual priority
interrupts may cause a program instruction to be
skipped entirely. This has only been observed
when both of the following apply:
  • Both high and low interrupts are enabled, and
  • A high priority asynchronous interrupt occurs in

the following cycle after any low priority
interrupts.
The event causes the stack to get pushed twice,
and will eventually result in an overflow.


とはいえ、これは多重割り込みが正常に動作するマイコンなら、上手くいくはずの方法です。

ハードウエアで処理する


今回のロガーの例では優先度の高い処理は、処理内容自体は単純なもので、速度計・ラップタイマともに、トリガ信号を検出した瞬間のタイマの値をキャプチャするだけです。
ハードウエアの処理だけで、最高の優先度の処理を賄ってくれるのなら、CPUはそれ以外の2段階の優先度を持つプログラムだけですみます。

今回はPSoCのデジタルブロックにその役割を果たしてもらおうと考えていました。
できなかったのは単純に私の実力不足だと思います。

複数のCPUで処理する


優先度の異なる処理の一部を、他のハードウエアに分担してもらうと言う考え方自体はひとつまえの「ハードウエアで処理する」と同じです。処理の一部を他のマイコンに負担してもらうことを考えます。

今回の例で言うならば例えば、一番処理が重いSDカードへの書き込み処理を別のマイコンへ追い出します。メインのマイコンでは、データのサンプリング等を行い、書き込むべきデータを書き込み専用の別のマイコンにシリアル通信で送ります。

プログラマーの能力と言うのが、どれだけ限られたりソースに対して処理を詰め込めるのかで決まるのだとすれば、この方法は一番初級者でも上手くいく方法であろうと思います。

リアルタイムマルチタスクOS


マルチタスクOSというとずいぶんと大層に思えますが、PIC16F程度の単純なマイコンでは、ちょっと処理の単位をタスクとして意識しながらメインループを組むだけでもそれらしいものになります。2ちゃんねる電気・電子板のPICにOSは必要か?のはじめの方(PIC16Fより高度な18,24,32,dsPIC等がメジャーになる前)の書き込みはこの考え方のエッセンスです。

ただし、多重割り込み機能もスタックへのユーザによる操作もできないPIC16Fの場合は、タスクが自発的にタスクスイッチャへの復帰をすることが要求されます。
結局のところ、1つのタスクが長時間CPUを拘束してしまうと、リアルタイム性が失われてしまいます。この問題に対して、PICで有名な後閑哲也さんのPICROSをみると、タスクを複数のステージに分割することで1つのタスクが長くなりすぎないようにしているようです。とはいうものの、このステージの分割は人間がコーディングの段階で行わなければならないことなので、OSを使う/使わないの問題とは余り関係がありません。

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tag: PIC PSoC 

FINEPIX F200EXR

FINEPIX F200EXR買いました。
今まで使っていたFINEPIX A330が機械的理由で限界だったので、友人に相談してオススメを紹介してもらったのがF200EXRだったのですが、またFUJIFILMですね。

価格.comで最安値を調べたところ秋葉原にあるイートレンドというお店が一番安いらしい。電子部品の買出しのついでに購入に行きました。場所は若松本店を更に奥の方まで行ったあたり。

店内はいかにも通販がメインです、と言わんばかりの殺風景で、入店直後に店員さんに声をかけられました。下調べ無しに入店するような客はいないのでしょう。

店のお姉さん「なにか、お探しの商品がありますか?」
私「FINEPIXのF200EXRを・・・」

と言うようなやり取りをしていると、会計も終わらぬうちに次のお客さんが入ってきました。

店のお兄さん「お探し物がおありですか?」
次のお客さん「FUJIのF200を・・・」

よっぽど売れているらしい。

KTXO-18Sの疑惑

高精度なクロック源と言えば、秋月の超高精度クリスタルモジュールKTXO-18Sですが、データシートが入手できなかったり、温度特性の項目が秋月のサイトの表記と、購入時についてくるペラ紙の表記とで食い違いがあったりと、よく分からないことが多いです。

今回はKTXO-18Sを使う際に覚悟しておかなければならない問題点を挙げておきます。
本エントリとしては、問題点を挙げるだけで明確な回答を返せないあたりがもどかしくもあります。

001_20090815025157.jpg 002_20090815025157.jpg



超高精度クリスタルモジュール(12.8MHz±1ppm) 18S-03A-4


秋月電子通商で扱っている超高精度クリスタルモジュールKTXO-18Sは、アマチュア電子工作で安価に高精度のクロックを得るためによく使われています。


001_20090815025157.jpg
fig.1: 秋月の超高精度クリスタルモジュール
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-00227/ より


Web上でも周波数カウンタの自作記事などでよく目にします。

データシートが見つからない


非常に頻繁に利用されているKTXO-18Sですが、ネット上でデータシートを探しても何故か見つかりません。2007年のマイコン工作の実験室→FORUM MC9S08QG8で外部クロックを適用するでも、見つからない旨の報告がされています。(この会話してるのはのりたんさんですね・・・趣味の電子工作業界は狭いなあ。)

秋月のペラ紙


仕方たが無いので、データシートの代わりに秋月で購入した際についてくる「ペラ紙」の画像を上げます。


002_20090815025157.jpg
fig.2: 秋月のペラ紙


温度係数の怪


秋月の商品ページでは、この発振器の性能に関して以下のように書いています。

■12.8MHz ±1ppm/年 超高精度クリスタルモジュール
◆電源:DC5V
◆温度特性:±3ppm/℃(-20~60℃)
◆エージング特性:±1ppm/年
◆出力レベル1Vp-p


気づかれたでしょうか?温度特性の項目がfig.2のペラ紙の記述と異なっています。
2ちゃんねる電気電子板水晶振動子&水晶発振器を鋭く語るスレ 2 >>-157-158では、このことに関して以下のようなレスがついています。

157 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2007/12/29(土) 23:36:29 ID:RZ58im/9
秋月で売っている超高精度クリスタルモジュール12.8MHz[KTXO-18S]を使って
PICマイコンで時計を作ったのですが、10時間で1秒ほど遅れます(電波時計との比較)
ソフトの方は 12.8MHz÷4÷8(プリスケラー)÷40000(タイマキャプチャ) で
1/10秒で割り込みかけているので 1時間に一回割り込みを取りこぼしていると
すれば計算が合うのでソフトの問題かもしれませんが調査中です。

無調整の場合 これくらい(-27ppm位)の誤差は普通なんでしょうか?

158 名前:774ワット発電中さん[sage] 投稿日:2007/12/30(日) 04:56:30 ID:Zayu2Cbs
>>157
まずは、問題の切り分け。
[KTXO-18S]の仕様は
◆温度特性:±3ppm/℃(-20~60℃) ←※
◆エージング特性:±1ppm/年

周波数カウンターを入手して、モジュールの周波数を確認するのが先決。
(周波数を確かめる方法は他にもあるが、これが一番確実。
まあ、今回に限りなら27ppm(346Hz)も違うので、他の手でもいけるが・・・)

モジュールに問題がなければ、PICの方に問題あり・・・と。

※これ、10度違えば最大30ppm違うという事になる。
しかし、これだと通常のAT水晶発振子(器)より特性が悪い事になる。
多分±3ppm(-20~60℃) なのだろうが・・・・一応秋月に問い合わせた方がいいかも。


また、杓子定規さんがKYOCERA 高精度水晶発振器 18S-03A-4 12.8MHzのエントリにてKTXO-18Sの分解、および温度試験を行っています。

18S-03A-4 12.8MHzを解剖して見た。基板に乗っているのはTRとCとRと思われる。高精度と付属のデータシートにあるが、周波数への温度管理をしている素子は私が浅学のためか見つからない。 温度特性が良いX'talを使用していることでの性能か?  様々な記事ではTCXOと誤解されて書かれているだけのことか。

X'talを交換してTS-830Sに実装しようと思ったのだが・・・・。 温度計を本体につけドライヤーで60℃まで炙ってみた なんと70Hz以上も動いた。 これは基準には使えない。極普通の発振器なら、200円は妥当な値段!?


温度に対する周波数変化を秋月のペラ紙を信じて±3ppmとすると±38.4Hzとなり、60℃にて70Hzずれたとする報告と一致しません。
逆に秋月のウエブページの±3ppm/℃を信じるとすると、周波数での変化はΔT=35℃(周囲温度25℃と仮定するΔT=60-25)とすると±1344Hzとなります。

KTXO-18SはTCXOではないのか?


TCXOとは、温度補償型水晶発振器(Temperature Compensated X'tal Oscillator)の略称であり、その名のとおり温度変化に対して周波数が変化するのを補償する発振器のことです。

これまでの議論を総合すると、KTXO-18Sは、±3ppm/℃が正解で、温度補償がなされていないと言うことになりそうです。
しかしながら、私はKTXO-18Sが、温度特性±3ppm(-20~+60℃)で温度補償されている可能性を捨てていません。
と言うのも、トランジスタと抵抗、コンデンサさえあれば温度補償回路が組めるからです。

LTspiceでトランジスタ温度計のエントリで書いたとおり、トランジスタは原理的に温度計としてつかえます。
ケース自体の保温性がよければ、周囲温度が60℃以下の条件で、トランジスタを発熱させケース内を60℃以上の一定温度の恒温槽にすることができます。
私も浅学なので、TCXOが実際にはどのようなメカニズムで温度補償を行っているのか知りません。したがって以上の話は仮説です。

とはいえ、温度を上げることにより周囲温度の変化に対応しているとすると、杓子定規さんの実験は別の示唆を与えてくれます。発振子の温度が周囲温度と等しいはずの電源投入直後と、恒温槽が機能して60℃以上となったときのKTXOの発振周波数は70Hz以上異なるはずだということです。
具体的にどの程度の時間が必要となるのかは分かりませんが、この手の温度補償を行う回路ではエージングが非常に重要だと言うことです。

直流動作点


Webで探すことのできるKTXO-18Sの回路例として超音波と赤外線の伝播時間差に着目したM系列変調方式距離測定法(PDF)では、出力端子をそれぞれ10kΩの抵抗でプルアップダウンしています。


003_20090815025207.png

京セラ製12.8MHz 水晶発振器”18S-03A-4”。出力がコンデンサ・カップリングされているので2.5V に抵抗でバイアスしてある。


他の多くのサイトでも、抵抗により動作点を決定しているようです。

出力レベルとインターフェース


秋月のサイト・ペラ紙ともに1Vp-pとされている出力電圧ですが、実際にはもう少し大きな振幅が取れるようです。出力波形はしっかりとしたデータを公開しているページがあるので、これを紹介するにとどめます。

Asa工房:KTXO-18S-03A-4 (京セラ), 12.8MHz 発振出力(PDF)
趣味の電子工作の部屋byすん:秋月 12.8MHz 高精度クリスタルモジュール(KTXO-18S)  波形です

クロック入力端子のしきい値電圧の条件によっては、プルアップダウン抵抗の選択はかなりシビアなようで、5V動作のPSoCの外部クロック入力に直結する場合の最適値は22kΩでプルアップ、10kΩでプルダウンとのことです。

関連エントリ




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tag: PSoC トランジスタ 熱設計 

PSoC/SMP効率測定

AN2097は、負荷電流と効率の関係を表すグラフが無かったので、この関係を調べるため測定をしました。
その結果、最高の条件下では出力電流は100mA程度まで取り出せ、効率は80%前後になることが分かりました。

001_20090807133548.png 003_20090807133548.png


AN2097


PSoCのSMPについて書かれた文章としては、AN2097:Power Management - Switch Mode Pumpが挙げられます。このアプリケーションノートでは、3.3V動作と5V動作のそれぞれに関して、インダクタンス・入力電圧・周囲温度を変更したときの最大出力電流・変換効率に関してのデータがまとめられています。

一般的に、DCDCの変換効率を低下させる損失は、低負荷電流領域ではコントローラの静的な消費が、高負荷電流領域ではコイルやスイッチ(MOSFET,SBD)でのジュール損がそれぞれ支配的です。

バッテリー動作において、その動作可能時間を見積もるために必要なのは、その負荷電流領域におけるバッテリの初期電圧から終端電圧までの変換効率です。
そこで、本エントリではSMPの負荷電流-効率特性の測定を行いました。

想定する動作条件


今回の測定では、1.5V乾電池を3直列で初期電圧4.5Vから終端電圧3.0Vまで使用することを想定して、以下の条件としました。

  • 出力電圧:5V
  • 入力電圧:3.0~4.5V(1.5V電池3直列)
  • システムクロック周波数:6MHz,24MHz


実験回路


実験に使用した回路の回路図を以下に示します。


001_20090807133548.png
fig.1: 全体の構成

002_20090807133649.png
fig.2: SMP基板の回路構成


負荷は自作の電子負荷、電圧測定はR6452A、電流測定はMETEX P-10のGreenとYellowを用いました。

インダクタはトーキンSNT-D20TFノーマルモードチョーク1.5A/10μH/45mΩを、ショットキーバリアダイオード(SBD)は11EQS04をそれぞれ用いました。どちらも秋葉原の鈴商で購入できます。

fig.2の回路は、PSoC/SMP電流増強の回路の流用ですが、PNPトランジスタの部分は今回は使用していません。

結果


以下に結果のグラフを示します。


003_20090807133548.png
fig.3: 負荷電流-効率曲線


低負荷電流領域では、コントローラの静的消費により効率が低い。高負荷電流領域に行くにしたがって静的消費の割合が相対的に減るため効率が上昇するが、インダクタやスイッチのジュール損の影響で頭打ちになる。同じ負荷電流では、入出力電位差が小さい方がコイルやスイッチに流れる電流が小さくなるため、効率がよくなり、システムクロック周波数が低い方が静的消費が少なくなるため効率がよくなる。といったことが読み取れます。

無負荷時の入力電流・消費電力


ブーストコンバータの効率低下の要因は、静的消費とジュール損です。
システムクロック周波数に応じて静的消費が変化すると考えれば、同一クロックにおける入力電圧に起因する入力電力の変化は、入力電力にともなうジュール損の変化を表していると考えられます。

3.0V 24MHz4.5V 24MHz3.0V 6MHz4.5V 6MHz
入力電流[mA]38.619.423.38.73
入力電力[mW]115.887.1269.6737.66


CPUのトリップ


fig.3において、Input:3.0V,6MHz(青の点)100mA付近での効率が特異的に悪化しているのは、SMPの出力電流の限界を超えてしまい、出力電圧が低下し、CPUがトリップして動作が不安定になったためMCUでの消費電力が増えたのではないかと考えています。


004_20090807133649.png
fig.4: 負荷電流過多による出力電圧の低下


結果の意味するところ


PICマイコンのNOPとGOTOの消費電力等を見ても分かるとおり、MCUの消費電力は、その実行している命令の種類や動作させている内部モジュールの種類や数・設定に応じて変化します。
このため、スイッチングレギュレータ制御ICでつくったDCDCコンバータと同様な理屈で効率を議論するのは、少しおかしく感じるかもしれません。

今回の効率測定の結果は、あくまで最大値だと考えるべきでしょう。

関連エントリ




参考URL




参考文献




付録


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tag: PSoC SMP スイッチング回路 

PSoC/SMP電流増強の考察

SMPの出力電流増強アプリケーションであるAN2349は外付け部品が多く、スイッチングコンバータ制御ICを追加するのと比較してメリットが少ない。
PSoCのSMPの機能を有効利用して部品点数を削減しながら、高出力電流を達成する回路構成を検討したが、芳しくなかった。


Switch Mode Pump(SMP)


バッテリー動作を想定した多くのマイコンでは、バッテリの本数を減らすための方法として低電圧動作を可能とするように設計されています。
例えば、PIC12F683では、動作周波数が8MHz以下の条件では、2.0Vから動作します。これは、1.5V電池2本を直列にしたときに1本あたり1.0Vまで使う場合の電圧に相当します。


001_20090805175828.png
fig.1: PIC12F683の電源電圧-動作可能システムクロック領域


一方PSoCは、Switch Mode Pump(SMP/スイッチモードポンプ)と呼ばれる電源電圧の昇圧機能で、低電圧電源動作を実現します。数本の電池から安定化された3.3Vや5Vの電源電圧を生成することが出来るため、消費電力が低いながらも安定化された電源を要求するモジュールなどを使うときに便利です。


002_20090805175828.png
fig.2: SMPの回路構成


AN2349


SMPの電流増強のアプリケーションとしてAN2349が挙げられます。AN2349では、外部に低ON抵抗のMOSFETと反転ゲートドライバを追加することにより出力電流の増加を実現しています。


003_20090805175828.png
fig.3: AN2349の回路構成


しかしながら、最終的な外付け部品がIC、FET、インダクタ、SBDとなり、スイッチングコンバータ専用ICを使う場合と比較して実装面積的にはあまりメリットがありません。

PNPトランジスタ


SMP端子の有効利用を考える際に問題になるのが、「1.3MHz固定のスイッチング周波数」と「出力論理」の二つです。
出力論理に関しては、Nch-MOSFETを接続するためには論理反転を行わなければなりません。また、1.3MHzという比較的高いスイッチング周波数を考えると、ゲートドライブにはそれなりの回路が必要です。

そんなわけで、インバータもゲートドライバも必要ないPNPトランジスタをスイッチとして採用してみたらどうかと思い実験してみました。


004_20090805175829.png
fig.3: PNPトランジスタを使ったSMP


結果は惨敗。
昇圧そのものはできましたが、無負荷状態でも入力電流が1Aと言うとんでもない事態に。

この回路は、SW1を切り替えることによって普通のSMPの実験もできるようにしました。
次回から普通のSMPの特性試験を行っていこうと思います。

関連エントリ




参考URL




参考文献




付録


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tag: PSoC SMP スイッチング回路 

HAKKO PRESTO No.984-01

先週の話になりますが、今までメインで使っていた半田ごてHAKKO PRESTOを他所に置きっぱなしにすることにしたので、新しく家用の半田ごてを購入することにしました。

折角なので、使ったことのない温調ゴテを試してみようかとも考えたのですが、それは今後に見送って、またHAKKO PRESTOに落ち着きました。
本エントリでは、半田ごて選択に際して考えたことについて書きます。

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○セラミックヒーターとニクロムヒーター
正直に言うと、私には何が違うのかよく分かっていません。
『漏れ電流』とか『絶縁抵抗』とかのキーワードをよく聞きます。

セラミックヒータの半田ごての方が高性能であることは共通認識となっているようで、高級品になりますが、実際に値段を比べてみるとそれほど大きな隔たりがあるというほどでもないので、セラミックヒーター型を選ぶ方が無難でしょう。

○コテ先の熱容量とワット数
半田ごて選択の基本となるのは、コテ先の熱容量とワット数の二つです。
コテ先の熱容量は、コテ先の大きさでほぼ決まると考えて良いとします。半田ごてはコテ先がついた状態で売られているのが普通で、付属しているコテ先の大きさは、半田ごてのワット数に対して適切なものが選んであります。

この観点から行くと、ハンダ付けしたい部品(母材)の大きさ(熱容量)に対して適切なコテ先の大きさ(熱容量)を持ったものを選べば、おおよそうまくいくと言うことになります。

ハンダ付けする部品の大きさが大体同じぐらいのものばかりならば、1本の半田ごてだけですべてカバーできることになります。
パッケージがDIPのICやリード部品の抵抗・コンデンサのハンダ付けがメインになるマイコン関連の電子工作では、20-30W程度の半田ごてを選べばおよそ問題がないと思います。

しかしながら、もう一歩進んだ趣味の電子工作では、チップ部品(熱容量小)、リード部品(熱容量中)、リレーやコネクタ(熱容量大)といったさまざまな熱量量の部品が混在した回路のハンダ付けを行うことになります。特殊な半田ごてを使わずにこれらの部品をハンダ付けする場合、何本かの半田ごてを使い分けるか、何とかだましだましハンダ付けをするかということになります。

○コテ先の温度とワット数・熱容量の関係
冷静に考えれば、ハンダの融ける温度は(ハンダの物性から)決まっているはずです。
温度が低すぎると半田が溶けないことは当然ですが、温度が高すぎてもいわゆる「つのハンダ」になってしまいよくありません。

温度調整機能つきの半田ごては、コテ先温度をハンダの融ける温度になるようにフィードバック制御する機能を持った半田ごてです。

実を言うと、温調でないコテを使った普段のハンダ付けでも、無意識のうちにコテ先のコントロールを(手動で)やっています。
半田ごてのワット数、コテ先の熱容量、コテ先と大気の間の熱抵抗(空気への熱の逃げにくさ)の間には、電流源、コンデンサ、抵抗で構成された回路と似たような関係が見られます。
参考:放熱器の使い方 - ELM

以下に示すのは、半田ごての電源を入れてから温度が平衡に至るまでのモデルを、電流源、コンデンサ、抵抗であらわしLTspiceでシミュレーションしたものです。
単位は適当ですが、電流原が半田ごてのワット数を、コンデンサがコテ先の熱容量を、抵抗がコテ先と空気の熱抵抗を表しています。電圧がコテ先の温度に相当します。GNDが大気温度です。


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002_20090803170028.png
fig.1 & 2: コテ先温度の立ち上がりモデル


発生した熱がコテ先の熱容量に蓄積されることにより、温度が次第に上昇しますが、大気との温度差が大きくなると、熱抵抗を通じて放熱される量も大きくなるため、一定の温度で平衡に至ります。この平衡温度がこの半田ごてに出せる温度の上限です。

次に示すのが、熱容量C2、熱抵抗R2をもつ物質に断続的にコテ先を当てたときのコテ先温度と簿材温度の変化を示したものです。


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fig.3 & 4: 断続的にハンダ付けを行うモデル


このC2//R2を水を含んだスポンジだと考えれば、コテ先の温度をハンダ付けに適した温度に下げるための温度調整を行っているところのモデルだと考えることができます。
また、C2//R2という熱容量//熱抵抗をもった部品をハンダ付けしているところだと考えることもできます。

以降のシミュレーションは省略しますが、パラメータをさまざまに変更してみると、コテ先の熱容量が大きい方がハンダ付けする際の温度変化が小さく、ワット数が大きいほど熱回復特性が良い一方で平衡温度が上がる、また、母材の熱抵抗が小さい場合はワット数が大きくないとハンダ付け可能温度に至らない、などということが分かるはずです。

○結論
以上の考察から、コテ先の温度の低下時のみ高いワット数で加熱され、コテ先温度が高いときには自動的にワット数が下がる半田ごてが望ましい、また、コテ先の熱容量は大きい方が温度の変動が少なく望ましい、と言うことが分かります。

具体的な半田ごての理想像に焼きなおすとするならば、最大ワット数が大きい温度調整半田ごてで、コテ先の熱容量が大きな物というところでしょうか。

○コテ先形状
最初に書いたとおり、コテ先の熱容量はコテ先の物理的な大きさによってほぼ決まります。
熱容量を大きく確保しようとすると、必然的に大きなコテ先を選ばなければなりません。
しかしながら、小さい部品を半田付けする際には大きなコテ先は使いづらいです。

比較的大きな熱容量と、小さい部品のハンダ付けのやり易さを両立するコテ先として、円柱形を斜めに切断した形のコテ先が人気があります。私は使ったことがないのですが、機会があったら試そうと思っています。

○わたしがPRESTOを選んだわけ
HAKKO PRESTOは温度調整半田ごてではありませんが、状況に応じてワット数が切り替えられる半田ごてであり、切り替えの幅も大きく、なにより普通の半田ごてとお値段が大差ないところが特徴です。

○関連エントリ


○参考URL




○付録
このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


○フィードバック

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tag: LTspice 熱設計 開発環境 

PSoC ユーザー・モジュール日本語データシート

PSoC情報館@ ウィキの日本語データシートのページにユーザー・モジュールの日本語データシートへのリンクがありますが、一部リンクの無いものもあるようで。(AMUXとか?)

本家から言語をJapaneseとすれば、日本語データシートの一覧が得られます。


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tag: PSoC 

マイコン使用60V電圧計入力回路

60Vフルスケールの電圧計をマイコンで実現する際の入力回路に関してのメモ。
アッテネータ・短絡保護・電源への回り込み対策

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○マイコンを用いた計測システム
Ariesの表示機にはバッテリー電圧とキャパシタ電圧を測定するために60Vフルスケールの電圧計が必要です。
A/Dコンバータを持ったマイコンを使えば、電圧計は簡単に作れます。以下のように電圧計の入力回路の設計をしました。


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fig.1: 入力段回路図


○ヒューズ
バッテリーにせよキャパシタにせよ、インピーダンスの低い電圧源なので短絡させると大電流が流れます。正常動作時にはほとんど電流が流れないはずなので、遮断電流は適当に小さなものを選びます。

ヒューズの直列抵抗は、抵抗で構成されるアッテネータに直列に入るため、誤差の要因となりますが、さほど精密測定と言うわけでもないので余り気にしないことにします。

○フォトカプラ
マイコン利用の電圧計の場合、電圧計側の電源が入っていない状態で測定端子に電圧を入力すると端子の寄生ダイオードダイオードから電源に電流が流れ込み中途半端にマイコンが動作してしまうため、対策が必要になります。

今回はフォトカプラでスイッチにしました。フォトカプラは汎用品ですが、コレクタ-エミッタ間耐圧は80VあるPC817Cを選びました。

○アッテネータ
マイコンを5V動作させる前提で、12:1のアッテネータで60Vフルスケールを5Vに分圧します。


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fig.2

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fig.3


フォトカプラ1次側の順電流がもったいないので、普段はoffとしておくとC1への充電に10ms程度の時定数を要します。

○関連エントリ


○付録
このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルとBSch3V形式の回路図ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


○フィードバック

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tag: LTspice A/Dコンバータ 

METEX P-10 電流レンジのばらつき

3つのMETEX P-10(Red/Yellow/Green)に関して、電流レンジの誤差のばらつきを測定しました。その結果、オートレンジの切り替え前後で測定の不連続がはっきりと見えました。

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○複数テスタの個体間の差
以前DCDCコンバータの変換効率の測定を4つのデジタルテスタで行った際、テスタの位置を入れ替えると組み合わせによっては効率が100%を超えてしまった、と言う話を聞いたことがあります。当然ながらテスタの表示には誤差が含まれていて、それらの誤差は固体によってばらばらです。

私の手元には、秋月電子通商で購入したMETEXのP-10が3台あります。
本エントリでは、METEX-P10の大きい方の電流レンジ(mA)レンジについてこれら3台のばらつきをR6452Aを基準に測定します。

○基本確度
P10の基本確度はMETEXの該当ページによると

±2.0%+4dgts

です。
±2.0はrdg.だと思いますが、言及がありません。rdg.だと信じることとします。

○測定回路

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fig.1: 測定回路


測定には蒸気の直列回路を用いました。識別のため、P-10にはコードネーム(Red/Yellow/Green)をつけました。
システム電源HP6632AのCCモードは低電流域では電流を絞りきれなさそうだったので、自作の電子負荷を用いました。

○測定結果
以下に示すのが測定結果です。横軸にR6452Aで測定した電流、縦軸にP-10とR6452Aの差(I{P10}-I{R6452})をとりました。


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fig.2: R6452Aとの差


○トレンドと不連続点に関する考察
fig.2をみると3つとも40mA付近に不連続点があります。Greenの不連続点は特に顕著です。
これは、P-10のmA電流レンジには、0-40mAと40mA-200mAの2レンジ存在し、これがオートレンジ機能によって切り替わったためと考えられます。

Greenに関しては、150mA付近からトレンドが変化しているように見えますが、これは何が原因であるか分かりません。

○基本確度の公称値との比較
以下に示すのは、前述の測定データに加えて、P-10の基本確度から求めた誤差の最悪値を実線としてプロットしたグラフです。


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fig.3: 基本確度との比較


(R6452Aの測定値が正しいとするならば)METEX P-10の電流レンジの確度はそこそこの値に収まっていると考えることができます。

○関連エントリ


○参考URL


○付録
このエントリの測定データとBSch3Vの回路図ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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tag: HP6632A R6452A P-10 電子負荷 

PSoC CY8CKIT-001

Cypress Semiconductorから購入したCY8CKIT-001が先日とどきました。
まだ、PSoC1も使いこなしていない段階から、PSoC3もないもんですが、PSoC1のテストボードとしても普通に使える(はずな)ので、ゆっくりと行こうと思います。

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コメを噛めのrerofumiさんも購入されたようで、こんにちは!PSoC3 ~ 開発ボードがやってきたこんにちは!PSoC3 ~ PSoC Creator の世界にて、紹介されています。
参考になります。

○参考URL


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tag: PSoC 

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