嵐の第33回CMDワークショップとAkaiKKRのYoutube動画

第33回CMDワークショップは、不幸にも上陸した台風とバッティングしたため、2日目が休講になりました。

この日のビギナーコースではAkaiKKR(machikaneyama)のチュートリアルが予定されていましたが、当然ながらそれもキャンセル。3日目の最後に行われた懇談会では、ビギナーコースの方たちからAkaiKKRの演習ができなくて残念だったという声を聴きました。

そこでYoutubeで公開されているAkaiKKRの演習動画を紹介します。



第5回CCMSハンズオン(ソフトウェア講習会): AkaiKKRチュートリアル 1. KKR法
http://www.slideshare.net/cms_initiative/cmsi-38020198
第5回CCMSハンズオン(ソフトウェア講習会): AkaiKKRチュートリアル 2. AkaiKKRの実習
http://www.slideshare.net/cms_initiative/akai-kkr-handson2

アドバンストコース相当の内容と開催場所の関連から、ビギナーコースの講義よりも難易度は高めかも知れませんが、自習も可能だと思います。

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当ブログでCMDワークショップのAkaiKKR演習と関係ありそうなエントリは、以下のような感じ。

tag: AkaiKKR machikaneyama KKR CPA 

Scilabで二次元線形補完



tag: Scilab 補間 

PWscfでZnOの構造緩和

PWscf(Quantum ESPRESSO)を用いてウルツ鉱構造のZnOの高圧力下での構造最適化を行いました。

003_201807261443018d6.png

Fig.1: ウルツ鉱構造ZnOの格子定数の圧力変化



入力ファイルのテンプレート


まずPWscfの入力作成補助で紹介したxlt2pw.pyを利用して、ZnOの入力ファイルの雛形を作ります。入力の元になるxtlファイルは、CIFからVESTAを通じて出力します。CIFはDFT計算用データベース MatNaviで紹介した無機材料データベース(AtomWork)などからダウンロードします。

xtl2pw.py ZnO.xtl vc-relax 1
cp ZnO.in ZnO.relax.in


擬ポテンシャルとカットオフエネルギー


PWscfの擬ポテンシャルを参考に入力ファイルを編集します。
擬ポテンシャルの種類には PAW ポテンシャルを選びました。

ATOMIC_SPECIES
Zn 65.38 Zn.pbe-dnl-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
O 15.999 O.pbe-n-kjpaw_psl.0.1.UPF


カットオフエネルギーは、擬ポテンシャルファイルに書かれている推奨値を参考にします。波動関数のカットオフの推奨値は酸素の方が大きく、電荷密度の推奨値は亜鉛の方が大きいことに注意が必要です。それぞれ大きいほうの1.5倍ぐらいを選びました。

    ecutwfc = 75.0 ,
ecutrho = 420.0 ,


圧力


圧力下の構造最適化を行うこともできます。その場合は press に圧力を設定します。単位は kbar です(1 GPa = 10 kbar)。

原子位置の制約


xtl2pw.py の最後の入力パラメータは、原子位置の制約の有無に関連しています。
0 を入力すると全ての原子について位置の最適化を行います。
1 を入力すると結晶学的に動かなさそうな原子を固定して計算します。

下記は xtl2pw.py の最後のパラメータに 1 をしていた場合の入力ファイルです。原子の座標の後ろに更に3つの数字が続いていますが、これが原子を動かすか否かのフラグになっていて 0 なら固定、1 なら動かせることを意味しています。今回の例では、酸素原子のz方向だけ原子を最適化するようになっていることが分かります。

ATOMIC_POSITIONS crystal
Zn 0.333333 0.666667 0.000000 0 0 0
Zn 0.666667 0.333333 0.500000 0 0 0
O 0.333333 0.666667 0.389010 0 0 1
O 0.666667 0.333333 0.889010 0 0 1


入力ファイル


結局、入力ファイルは以下のようにしました。

&control
calculation='vc-relax' ,
restart_mode='from_scratch' ,
prefix='ZnO' ,
outdir = './ZnO/' ,
wfcdir = './ZnO/' ,
pseudo_dir = './' ,
disk_io='default' ,
forc_conv_thr= 0.001 ,
verbosity = 'default' ,
nstep = 100 ,
/
&system
ibrav= 4 ,
celldm(1) = 6.14709011 ,
celldm(3) = 1.60158627686 ,
nat = 4 ,
ntyp = 2 ,
ecutwfc = 75.0 ,
ecutrho = 420.0 ,
/
&electrons
electron_maxstep = 100 ,
mixing_beta = 0.7 ,
! use smaller conv_thr for better results ,
conv_thr = 1.0d-12 ,
/
&ions
ion_dynamics='bfgs' ,
/
&CELL
cell_dynamics = 'bfgs' ,
press = 0.001,
press_conv_thr = 0.05 ,
! cell_dofree = 'xyz' ,
/
ATOMIC_SPECIES
Zn 65.38 Zn.pbe-dnl-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
O 15.999 O.pbe-n-kjpaw_psl.0.1.UPF
ATOMIC_POSITIONS crystal
Zn 0.333333 0.666667 0.000000 0 0 0
Zn 0.666667 0.333333 0.500000 0 0 0
O 0.333333 0.666667 0.389010 0 0 1
O 0.666667 0.333333 0.889010 0 0 1
K_POINTS automatic
6 6 4 0 0 0


結果


圧力を変化させながら格子定数がどのように変化するかを調べた結果が Fig.1 です。40 GPaまでは正常に圧縮されていっていますが 50 GPa で異常が見られます。
pwout2xtl.pyをもちいて出力したxtlファイルをVESTAで描画してみると、酸素原子のz位置が大きく動いて、結晶全体がc軸方向につぶれたことが良く分かります。

001_20180726144258855.jpg
002_20180726144259aba.jpg

Fig.2-3: ZnOの結晶構造の変化


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tag: PWscf QuantumESPRESSO 最適化 ZnO 

DFT計算用データベース MatNavi

AkaiKKR(machikaneyama)ecalj, Quantum ESPRESSO(PWscf)といった第一原理計算パッケージを用いるには、色々なデータベースがあると便利です。

物質・材料研究機構(NIMS)が、この目的に適したデータベースを公開しています。
利用にはユーザー登録が必要ですが無料です。ユーザー登録自体はとても簡単です。今回は、雰囲気を紹介するためにいくつかのデータを見てみます。


状態図


実際に計算する物質が組成や温度によってどのような相を撮るのかを確認しておくことは重要です。計算状態図データベース(CPDDB)には、熱力学パラメータから計算された状態図が収録されています。例えば、以下に示すのは Fe-Cr の二元系状態図です。

crfe_lee.png
Fig.1: 計算状態図データベース(CPDDB)で見ることが可能な状態図の一例、 Fe-Cr 二元系状態図。


結晶構造


実際の第一原理計算には、格子定数や原子位置などの詳細な結晶構造データが必要です。

無機材料データベース(AtomWork)では、これらのパラメータやX線回折パターンを表示することが出来ます。

2018y06m10d_005628909.jpg
Fig.2: 無機材料データベース(AtomWork)で見ることの出来る結晶構造の一例、MgAl2O4の結晶構造。ただし、実際にはCIF形式のファイルをダウンロードしてVESTAなどで描画するほうが便利なことが多い。


更に結晶構造を記述するCIF形式のファイルをダウンロードすることも可能です。色々な第一原理計算パッケージがCIFから入力ファイルを作成する機能を持っています。たとえば本ブログでもCIFからecalj入力の作成, CIFからecalj入力の作成 その2です。

またCIFから直接入力ファイルを作る機能が無いDFTパッケージであってもVESTAなどを経由して比較的に簡単に入力ファイルを作成することが出来る場合も多いです。例えばVESTAでAkaiKKRのための基本並進ベクトルPWscfの入力作成補助などです。

バンド構造


第一原理計算を実行する際、既知のバンド構造の計算結果と比較して、答え合わせを行っておくことはとても重要です。電子構造計算データベース (CompES-X)を利用してバンド構造や状態密度などを確認することが出来ます。

2018y06m09d_234430344.png
Fig.3: 電子構造計算データベース (CompES-X)で確認できるバンド構造の一例、PbTeのバンド構造。


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tag: AkaiKKR machikaneyama ecalj QuantumESPRESSO 状態図 分散関係 状態密度  

PWscfの入力作成補助

Quantum ESPRESSO(PWscf)の入力ファイル作成支援に使えるソフトウエアとして、以下の3つがあげられます。


cif2cell


cif2cellCIFからecalj入力の作成
でCIFファイルからecaljの入力ファイルを作成するために利用しました。インストール方法はそちらのエントリに書いてあります。

cif2cellがインストールしてあれば、格子定数や原子位置が記入された入力ファイルの雛形を作成することが出来ます。
フォーマットは以下の通りです。
cif2cell -p プログラム -f CIFファイル -o PWscf入力ファイルの雛形


例えばシリコンのCIFファイル Si.cif の場合は、以下のようにします。

cif2cell -p pwscf -f Si.cif -o Si.in


他にも cif2cell -h とタイプすることによってヘルプを表示することが出来ます。

とはいえ、擬ポテンシャルの設定などの自明でないパラメータは一切出力されないため、追加の編集が必要になります。私は、追加の編集をPWguiで行いたいと考えたのですが、非自明なパラメータが一切出力されないため、そのまま PWgui で開くことが出来ないようです。

xtl2pw.py


他の入力支援用のPythonスクリプトがQuantum-ESPRESSOとVestaの連携QuantumESPRESSO_空間群入力で公開されています。

ダウンロードした後、適当にPATHの通ったディレクトリへ置いて実行権限を付けます。

wget http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~masami/xtl2pw.py
mv xtl2pw.py ~/bin/
chmod +x ~/bin/xtl2pw.py


wget http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~masami/pwout2xtl.py
mv pwout2xtl.py ~/bin/
chmod +x ~/bin/pwout2xtl.py


wget http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~masami/vesta2pw.py
mv vesta2pw.py ~/bin/
chmod +x ~/bin/vesta2pw.py


xtl2pw.py は cif2cell と異なり、色々なパラメータをとりあえず埋めてくれるため、直接 PWgui で開くことが出来ます。ただし変換するのは cif ファイルからではなく xtl ファイルからなので、 VESTA で xtl ファイルをあらかじめ出力しておく必要があります。
具体的には、以下の手順になると思います(シリコンの例)。

  1. VESTA で cif ファイルを xtl ファイルへ変換する。
    File → Export data → Fractional Coordinate (*.xtl) のファイル形式で保存
  2. xtl2pw.py Si.xtl scf 1
    2つ目の引数は scf, relax, vc-relax が選べる
    3つ目の引数は原子位置の制約
     0:制約を点けない
     1:制約をつける
  3. 出力された入力ファイル Si.in をpwgui で編集


Ubuntu への PWgui のインストール


PWguiのページから Self-contained standalone executables つまりコンパイル済みのバイナリをダウンロードします。
そのまえに iwidgets4 をインストールしておく必要があるかもしれません。

sudo apt-get update
sudo apt-get install iwidgets4
wget http://www-k3.ijs.si/kokalj/pwgui/download/pwgui-6.1-linux-x86_64.tgz
tar xzvf pwgui-6.1-linux-x86_64.tgz


必要に応じて pwgui を PATH に追加します。

Windows への PWgui のインストール


Linuxサーバー上で動作する PWgui の GUI を転送して Windows クライアントで動作させるのは重いので、Windows 上で PWgui が動作するとありがたいのですが、ネットで探してみても最新版の PWgui に関しては失敗報告しか見かけません。古いバージョンの2.1.3ならWindows版がPWgui の旧バージョンのダウンロードページから入手できますが、最新版は無いようです。

恐ろしく回りくどい方法ですが、現状では VirtualBox 上で Ubuntu を動かして、そこで PWgui を動かすのが一番マシかもしれません。

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