PSoCマイコン入門書籍

改訂 はじめてのPSoCマイコンが発売されました。



これで、現状入手可能なPSoCマイコン関連書籍は、改訂 はじめてのPSoCマイコンこれならわかる!PSoCマイコン活用術PSoCマイコン・スタートアップ[PSoC基板&書き込み器付き]PSoCマイコン・トレーニング・キットの4種類となりました。



そこで、これらのPSoCマイコン関連書籍を初心者・入門者を対象とする観点からの個人的評価をまとめてみました。

最も気楽にはじめられるのは、PSoCマイコン・スタートアップ[PSoC基板&書き込み器付き]です。

最も標準的な入門書は、改定 はじめてのPSoCマイコンだと思われます。ただし、MiniProg(書き込み器)などは付属しないため、PSoCマイコン・スタートアップ[PSoC基板&書き込み器付き]などのMiniProgが付属するものとあわせて購入するのがよいかもしれません。


考えるポイント


解説書の比較をするにあたって、考慮したポイントは以下の3点です。

  • ツールの解説
  • 付属するもの
  • コストパフォーマンス


まず、ツールの解説に関して。
ここで、ツールと言っているものは、プログラミングを行う際のパソコン側のソフトウエア、具体的にいうとPSoC Designerのことです。
ツールの解説が丁寧であること自体も大切ですが、バージョンが新しいことも大切です。
また、PSoC Designerは、GUIベースでより簡単にプログラムができるSystem Level Designという方法と言語ベースでより複雑なプログラムができるChip Level Designという方法の2種類の開発手法が存在します。
日本においては、後者がメジャーな開発方法なので、解説書の多くはChip Level Designのみを解説しています。

次に、付属するものに関して。
新しいマイコンをはじめるときには、どうしても書き込み器や評価基板が必要です。
PSoCマイコン・スタートアップ[PSoC基板&書き込み器付き]PSoCマイコン・トレーニング・キットには、純正の書き込み器が付属します。

最後は、お値段。
まあ、現実的にはあまり選択肢が無いジャンルの本なので、考えても仕方ないかもしれませんが。

改訂 はじめてのPSoCマイコン


2010年6月現在で、一番新しい本です。よって、ツールへの対応状況も最新のはずです。Chip Level Designで開発をすることを前提にまとめられた標準的な構成をしています。ツールの使い方の解説から、応用的な製作例まで入門者から中級者以上までをカバーする内容です。
書籍中で解説したプロジェクトや開発環境が入ったCD-ROMが付属します。MiniProg(書き込み器)などは付属しません。



これならわかる!PSoCマイコン活用術


OHM社のPSoCマイコン入門書です。私は持っていませんが、目次を見る限り、基礎的なツールの使い方からページを割いて解説しているようです。特に、より単純なSystem Level Designとより高度なChip Level Designの両方に触れている点は、他の書籍には無い特徴です。改訂 はじめてのPSoCマイコンと比較すると、より入門者向けかもしれません。
MiniProgなどは付属しません。



PSoCマイコン・スタートアップ


MiniProg(書き込み器)と評価基板が付属します。
MiniProgを単体で購入しようとすると、例えば秋月電子通商では6,000円するため、4,000円のこの書籍を購入する方がお得になると言うコストパフォーマンスに優れた本です。ただし、ツールの解説は日本ではマイナーなSystem Level Designのみである点が注意が必要です。
また、内容の大きなウエイトを占めるのは、CapSense(タッチセンサなど)の使い方です。CapSenseを使いこなすのは、かなり難しいので、中級以上の人にとっても良書となると思います。



PSoCマイコン・トレーニング・キット


MiniProg(書き込み器)、ブレッドボードをはじめ、書籍で解説している回路を実際に組んで試すために必要なほぼ全てのものが付属しているキットです。
コンパイラが有償だった頃は、恐ろしいコストパフォーマンスを誇った本です。当時ほどではないにせよ、現在でも悪く無いコストパフォーマンスです。
ただし、解説しているツールのバージョンは古く、また、書籍の内容もデータシートを大きく超えるものではありません。一般的なマイコンに対する一通りの知識を持った人が、PSoCをはじめて触るときに向くキットです。マイコン工作自体が始めてという人には、改訂 はじめてのPSoCマイコンこれならわかる!PSoCマイコン活用術との併読が必要でしょう。




で、結局どれを買えばいいの?


PSoCを最小限の投資で始めることを考えるならば、PSoCマイコン・スタートアップ[PSoC基板&書き込み器付き]がよいと思います。

ただし、これだけでは解説書として貧弱なので、改訂 はじめてのPSoCマイコンまたは、これならわかる!PSoCマイコン活用術とあわせて読むのがスタンダードではないかと思います。この場合は、PSoCマイコン・スタートアップ[PSoC基板&書き込み器付き]は、MiniProgを安価に入手するための裏技のような扱いですね。

最初からみっちりやることを前提としているならば、PSoCマイコン・トレーニング・キット改訂 はじめてのPSoCマイコンの組み合わせを選ぶのもよいと思います。

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tag: PSoC 

PSoCでLED正弦波電流駆動

PSoCは、ワンチップで簡単に正弦波電圧を出力できます。この正弦波電圧出力でLEDを駆動したのがPSoCでLED正弦波駆動です。今回は、PSoCをもちいてLEDを正弦波電流駆動しました。



video.1: LEDの正弦波電流駆動



PSoCで正弦波電圧出力


PSoCでLED正弦波駆動では、PSoCのI/Oから1Hzの正弦波電圧を出力することにより、LEDを駆動するサンプルプロジェクトを動作させました。その結果、LEDがぼんやりついたり消えたりを繰り返す動作をすることを確認できました。

このときの出力電圧と、LEDに流れる電流の関係は、fig.1に示すものでした。


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fig.1: 電圧波形(赤),電流波形(緑)


緑の電流波形(実際はLEDと直列の抵抗の両端の電位差)をみると、正弦波というよりは、ON/OFF動作のON時の波形がなまったような形をしています。
LEDは電流駆動すべき素子です。そこで、本エントリでは、PSoCをもちいて、正弦波電流出力をすることを目的とします。

電流出力回路


正弦波の電流出力が必要になるアプリケーションは数多く存在します。
抵抗の測定には、直流電流源が必要となりました。(100mA定電流源,TL431で低抵抗測定用10mA定電流源)

同様に交流インピーダンスを測定する場合には、交流電流源が必要となります。

たとえば、インダクタンスの測定などです。正弦波電圧を正弦波電流に変換する電圧-電流コンバータ回路に関しては、LTspiceでモンテカルロ解析LTspiceモンテカルロ解析の定数分布 その4でモンテカルロ解析を行いました。これらのエントリから、電流出力回路の発振のしやすさが伺えます。

PSoCオペアンプ


PSoCの連続時間ブロック(CT Block/Continuous Time Block)の中心はOPアンプでできています。しかしながら、このOPアンプの入出力をすべて同時に外部に出力することはできません。

これに対して、JUNK-BOXさんが反転入力側にPGAで作ったボルテージフォロワを追加することによって、擬似的に外部にOPアンプの入出力を取り出す方法を公開しています。(PSoCオペアンプ)

電流値のフィードバック回路


LEDの電流駆動回路の場合は、片方向の電流源でよいのでfig.2-3に示すように電流検出用のシャント抵抗の両端電圧と正弦波電圧をエラーアンプで比較するだけの単純な回路で実現できるはずです。


002_20091019030143.png
fig.2: 電流値のフィードバック回路

003_20091019030138.png
fig.3: LEDの電流波形


OPアンプとしてLMC662を用いてfig.2の回路を作成したところ、シミュレーションどおり正弦波電流出力ができました。しかしながら、前述の方法で外部に取り出したPSoCのOPアンプで同様の回路を構成したところ、1Hzの正常な発振に加えて激しい寄生発振が見られました。

PSoCでLED正弦波電流駆動


寄生発振が無く、LEDを正弦波電流駆動するために行ったことは以下の3点です。

  • OPアンプのPowerを下げる(LOWPOWERにする)
  • PGA_2の接続先を反転入力から非反転入力に変更する
  • LEDと直列に抵抗を挿入



004_20091019030138.png
fig.4: PSoC Designer


fig.4に示すとおり、PGA_2,PGA_3を追加します。PGA_2はゲインを0.25に、入力を正弦波出力に接続します。PGA_3は、入力をPGA_2にし、出力を外部に出します。この時点では接続されていませんが、PGA_3のある列のアナログ入力マルチプレクサの接続先が、OPアンプの反転入力端子になります。

以下に、main.cの一部を示します。

void main()
{
        Counter16_1_Start();
        Counter8_1_Start();
        PGA_1_Start(PGA_1_HIGHPOWER);
        BPF2_1_Start(BPF2_1_HIGHPOWER);

        PGA_2_Start(PGA_2_LOWPOWER);
        PGA_3_Start(PGA_3_LOWPOWER);
        ACB02CR1 = (ACB02CR1 & 0xc7) | 0x38;
}


PGA_2およびPGA_3のPOWERをLOWPOWERに設定します。
ACB02CR1レジスタに書き込みを行うことで、ACB02(PGA_3)の反転入力をPort0[7]に接続します。

出力P0[4]からフィードバック入力であるP0[7]の間に負荷となるLEDを接続しますが、このときLEDと直列に抵抗を挿入します。
以上をまとめた接続の概念図をfig.5に示します。


005_20091019030129.png
fig.5: 接続の概念図


電流波形の測定結果


fig.6にPDS5022で測定した波形を示します。


006_20091019030129.png
fig.6: 電流波形(赤) 基準電圧(緑)


基準電圧のステップ上の信号にも(それがよいことか悪いことかは別として)きちんと追従しつつ、寄生発振も起こしていません。

インダクタンス計への応用


OPアンプのPOWERを下げると、OPアンプの利得帯域幅積が下がるので、ゲイン余裕が作れるはずです。PGA_2がエラーアンプの反転入力側に入っていると帰還部分での信号の遅延が大きくなり、位相余裕の減少につながると考えられます。

今回のような負荷がはっきりしている回路では、カットアンドトライで対策を考えることもできますが、どのような負荷がつながるか分からない計測器の場合はそれも難しいと思います。

PSoCを用いた位相検波方式のインダクタンス計としては、PSoCデジタルLメータのありえない実装があります。しかしながら、この作例でも電圧-電流変換回路部だけは外部のOPアンプを利用しています。

逆に言えば、電圧-電流変換回路さえPSoCで作れれば、ワンチップインダクタンス計が実現するわけですが、なかなか難しそうです。

関連エントリ




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付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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tag: LTspice PSoC 定電流 OPアンプ 

LTspiceでスイッチト・キャパシタの交流解析

LTspiceのAC解析は、スイッチングを含む回路の周波数特性をシミュレーションすることができません。そこで、スイッチング回路の評価に適した過渡解析を反復させることにより、PSoCのスイッチト・キャパシタフィルタのゲイン線図を描いてみました。

その結果、フィルタ設計ウイザードのゲイン線図とよく一致することが確認できました。このことからも、LTspiceでスイッチト・キャパシタのLTspiceモデルが現実の回路をよく再現していることを確認できました。

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連続時間回路に対するAC解析の限界


LTspiceには、回路の交流特性のシミュレーションを行うための小信号交流解析(.acコマンド)があります。このコマンドを使えば、増幅回路やフィルタの周波数に対するゲインや位相の特性を調べることができます。(例:超音波距離計 第三回:受信回路の交流解析,LTspiceでオールパス・フィルタ)

しかしながら、このAC解析は連続時間的な回路の周波数特性を調べるためのものであるため、スイッチングを含む回路の周波数特性を調べることができません。
スイッチングを含む回路にも、周波数特性が重要になってくるものがたくさんあります。例えば、A/Dコンバータのサンプル&ホールド回路やスイッチト・キャパシタ・フィルタなどです。ADCの並列動作 その1では、スイッチングの効果を考慮せずにサンプリングスイッチのON抵抗とホールドコンデンサによって構成されるRCローパスフィルタの周波数特性のみをシミュレーションしました。

今回は、ゲインの周波数特性がフィルタ設計ウイザードに書かれているPSoCのBPF2に関して、シミュレーションと理論値との比較を行います。

過渡解析


フィルタ自体は、LTspiceでスイッチト・キャパシタで作ったモデルに対して、中心周波数が1kHzとなるように、サンプリング周波数を50kHzとしたものにしました。

解析の基本となる過渡解析のシミュレーション結果をfig.1-2に示します。


001_20091010201651.png
fig.1: スイッチト・キャパシタ・バンドパスフィルタのスケマティック

002_20091010201651.png
fig.2: 入力電圧(赤) 出力電圧(緑)


fig.2のグラフは、出力電圧が定常状態に入ったあとのものです。
入力電圧の周波数を100Hz,10kHzと変更してシミュレーションしたところ、最初の数msは出力が安定しないようです。


003_20091010201650.png
fig.3: 入力周波数100Hzの出力波形

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fig.4: 入力周波数10kHzの出力波形


このため、交流特性は10ms以降の1周期分のデータに対して処理を適用することにより議論します。

スイッチング回路のAC解析


周波数-ゲイン特性図(ゲイン線図)を書くために、.measと.stepを組み合わせた過渡解析を行います。
ゲインは(出力電圧)/(入力電圧)なので、それぞれの1周期分の実効値を.measで計算します。


005_20091010201221.png
fig.5: スケマティック

006_20091010201650.png
fig.6: 横軸が時間,縦軸が入力電圧波形(赤)と出力電圧波形(緑)

007_20091010201221.png
fig.7: 横軸が周波数,縦軸がゲインで、単位はdB


fig.7がもとめるゲイン線図です。

フィルタ設計ウイザードとの比較


フィルタ設計ウイザードによって得られたゲイン線図をfig.8に示します。
青の破線で書かれたのが理想特性(Nominal)で、緑の実線で書かれたのが実際の回路で予測される特性(Expected)です。


008_20091010201650.png
fig.8: フィルタ設計ウイザードのゲイン線図


これに対して、LTspiceのシミュレーションから得られたfig.7のゲイン線図を画像として重ねたものをfig.9に示します。


009_20091010201220.png
fig.9: フィルタ設計ウイザードとLTspiceのゲイン線図の比較


赤のラインで示したLTspiceのシミュレーション結果は、フィルタ設計ウイザードのゲイン線図と非常によく一致しました。

ただし、よりよく一致したのは残念ながら、緑のExpectedではなく、青のNominalでした。
スイッチト・キャパシタのモデル化の際に、OPアンプやスイッチ、コンデンサ等すべてを理想的な部品としたため、ある意味当然と言えば当然の結果です。
この差を埋めるための要素としては、OPアンプの周波数特性、スイッチのON抵抗、コンデンサの漏れ電流など候補はいくつか考えられそうです。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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tag: LTspice PSoC スイッチト・キャパシタ スイッチング回路 

LTspiceでスイッチト・キャパシタ

PSoCは、そのプログラマブルなアナログ回路機能の大部分をスイッチト・キャパシタの技術により実現しています。スイッチト・キャパシタ回路は、単純な連続時間のアナログ回路と異なり、スイッチングにともなう周波数成分を含みます。
このスイッチングノイズをLTspiceによりシミュレーション的に評価するために、スイッチトキャパシタ・フィルタのモデル化を行いました。

このモデルに基づくLTspiceの解析は、実測データをよく再現し、また、解析自体も高速に完了することを確認しました。PSoCのスイッチト・キャパシタを含む回路システム全体のシミュレーションも十分現実的だと思われます。

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PSoCのスイッチト・キャパシタフィルタ


PSoCのアナログブロックは、連続時間ブロック(CT)とスイッチト・キャパシタブロック(SC)で構成されています。スイッチト・キャパシタは、コンデンサをアナログスイッチでスイッチングすることにより、通常の連続時間的な回路では難しい処理を行うことができます。フィルタはその一例で、スイッチング周波数を変更することにより、キャパシタンスや抵抗値などの回路定数を変更することなくカットオフ周波数を変更することができます。


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fig.1: BPF2のブロック図


PSoCでLED正弦波駆動では、矩形波をスイッチト・キャパシタで構成したバンドパスフィルタに通すことにより正弦波を得るアプリケーションを紹介しました。
その実測波形を見ると、正弦波が階段状のノイズを含んでいることが確認できました。


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fig.2: 出力電圧波形(赤)は階段状のノイズを含んでいる


BPF2やLPF2といったアクティブフィルタのユーザーモジュールは、そのフィルタ特性の設計のために、フィルタ設計ウイザードが用意されています。
これを用いれば、簡単に目標の特性を満たすフィルタを設計できます。


002_20091005030629.png
fig.3: BPF2のフィルタ設計ウイザード


しかしながら、前述の階段状のノイズがどのように出力波形に現れるかを、フィルタ設計ウイザードから読み取ることは困難です。
そこで今回は、LTspiceを用いて、PSoCのスイッチト・キャパシタフィルタのシミュレーションを行い、実際の出力波形を設計段階から評価できるようにすることを目標とします。

スイッチト・キャパシタのSPICEモデル


今回は、BPF2ユーザーモジュールを、fig.2のとおり、PSoCでLED正弦波駆動PSoCの正弦波出力をFFTで利用した構成とします。
スイッチト・キャパシタフィルタは、fig.1のブロック図のとおり、以下の要素で構成されています。

  • コンデンサ
  • アナログスイッチ
  • OPアンプ


コンデンサに関して


PSoCのスイッチト・キャパシタは、1ユニット80fF(typ)のコンデンサを複数ユニット組み合わせて任意のキャパシタンスを得る構成になっています。

fig.2から、table.1に示すように指定しました。

Parts No.UnitCapacitance
C1180fF
C24320fF
C34320fF
C48640fF
CA322560fF
CB322560fF
table.1: BPF2のキャパシタンス


アナログスイッチに関して


アナログスイッチ自体のパラメータであるオン抵抗/オフ抵抗は、詳細が分からなかったので、LTspice標準のものとしました。

スイッチトキャパシタに存在するアナログスイッチがONになるタイミングは、2種類存在します。Φ1のみがONとなるacquisitionフェーズと、Φ2のみがONとなるtransferフェーズです。トランジスタ技術 2009年 01月号のP146には以下のようにあります。

ASC/ASDで使われるクロックは、モジュール外部から与えられるクロックを1/4にして利用しています。詳細は書かれていないようですが、Φ1→(両方OFF)→Φ2→(両方OFF)→Φ1…というぐあいに、Φ1とΦ2のいずれかがONになる期間と両方がOFFの期間が交互になっているのでしょう。


と言うことなので、LTspiceのシミュレーションでもΦ1,Φ2それぞれがONとなるフェーズのほかに両方がOFFとなるフェーズを挟むこととします。

OPアンプに関して


OPアンプに関しては、さしあたりLTspice標準のUniversal Opampを利用しました。

以上でスイッチト・キャパシタフィルタのシミュレーションに必要なモデル化ができました。

過渡解析


fig.4にLTspiceシミュレーションのスケマティックを、fig.5に過渡解析の結果を示します。


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fig.4: 過渡解析のスケマティック

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fig.5: 過渡解析のグラフ


赤で示した波形が入力の矩形波で、緑で示した波形がBPF2の出力です。電源投入直後から正弦波が成長していく過程は、現実の回路の実測波形でも、(本ブログで紹介したことはありませんが、)こんな感じです。

フーリエ解析


続けて、PSoCの正弦波出力をFFTの実測波形と比較するために、フーリエ解析を行います。


006_20091005030746.png
fig.6: フーリエ解析用のスケマティック


フーリエ解析では、PDS5022での実測と同じ条件での解析を行うため、解析点を4096点としました。


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fig.7: シミュレーション結果の時間領域表示

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fig.8: 実測波形の時間領域表示


時間領域表示(通常のオシロスコープでの表示)では、階段状のノイズも非常によく似た形をしています。

以下に、シミュレーションと実測データのFFT表示を示します。


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fig.9: シミュレーション結果の周波数領域表示

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fig.10: 実測波形の周波数領域表示


全体的にシミュレーションの方がキレイなスペクトルとなっていますが、主要なピークの位置は共通しています。

結論


1Hz前後の低周波では、十分と思われる正確な結果が得られました。フィルタ設計ウイザードとあわせて利用すれば、設計段階から完成品の性能の予測精度が上がると思います。

ただし、より高周波のシミュレーションでも十分な精度が得られるかは、今後検証していく必要があるかもしれません。特に今回はLTspice標準のOPアンプモデルを利用したので、PSoC内部のOPアンプとの周波数特性の差が効いてくる可能性はあります。

スイッチング回路のシミュレーションなので、計算にはかなりの時間がかかるであろうと想像していましたが、現実には非常に高速に解析が完了しました。LTspiceは回路規模に制限が無いので、PSoCのスイッチト・キャパシタを含む回路システム全体をシミュレーションすることも十分現実的であると考えられます。

SIMetrix/SIMPLIS


アナログ信号の離散時間処理というか、スイッチング動作を含むアナログ回路は、ぜひシミュレーションしたい回路である反面、SPICEが苦手としている領域でもあります。
こういった回路の解析には、非SPICE系の特化したシミュレータを使うほうがよいのかもしれません。

そう考えて、実を言うと電子回路シミュレータSIMetrix/SIMPLISスペシャルパック―複雑なトランジスタ回路やスイッチング電源も高速解析 (ツール活用シリーズ)を購入していたのですが、思いのほかLTspiceの解析速度が速くて出番がありませんでした。

とは言うものの、この本の内容は凄く面白く、参考になりました。
私のブログでは、A/Dコンバータのサンプルホールド回路に関するシミュレーションを題材としたエントリをいくつか書きましたが、これらや今回のスイッチト・キャパシタのシミュレーションに興味がある方にはお奨めできます。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


参考文献




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tag: LTspice PSoC PDS5022 FFT スイッチト・キャパシタ スイッチング回路 

PSoCの正弦波出力をFFT

PSoCの正弦波出力波形に対してFFTをおこない、階段状のノイズの周波数スペクトルを求めました。

001_20090924234832.png 002_20090924234832.png


PSoCでLED正弦波駆動


PSoCは、デジタルブロックで生成した方形波をアナログブロックで構成されたスイッチトキャパシタバンドパスフィルタを通すことにより、外付け回路無しで正弦波を生成することができます。参考:PSoCでLED正弦波駆動

しかしながら、スイッチトキャパシタフィルタを通したフィルタは細かく見ると階段状になっているのが分かります。PSoC/GPIOのしきい値とヒステリシスPSoC/GPIOのしきい値と電源電圧では、この階段状のノイズを取るために、抵抗とコンデンサで構成したローパスフィルタを使いました。


001_20090924234832.png
fig.1: PSoC正弦波出力波形(赤)とRCローパスフィルタを通したもの(緑)


ExcelでFFT


PDS5022SとExcelで高速フーリエ変換では、方形波の測定波形の周波数スペクトルをExcelを用いた高速フーリエ変換(FFT)を用いて行いました。

今回は同様に、PSoCの正弦波出力に対してFFTを行い、周波数スペクトルを求めました。


002_20090924234832.png
fig.2: 出力波形のFFT(赤)とLPF後のFFT(緑)


関連エントリ




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tag: PSoC PDS5022 FFT スイッチング回路 スイッチト・キャパシタ 

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