ハイサイド電流計測回路 その7

まずは超ごめんなさい。その5はひどい。あまりにもひどい間違いだらけ。本当にごめんなさい。

さて、前回のその6では、その2その5で紹介したローサイド電流計測回路のための基準電圧源の話をしました。

しかし、その6にも書いたようにPIC12F683等の8ピンPICにはVref-がなく、Vrefしかありません。また、PIC16F88等を使っていても、ほかのGNDを基準にするアナログ信号と同じ基準電源を使ってA/D変換を行いたいということもあるでしょう。
そこで今回は逆に、アンプの出力をGND基準のレベルに変換する回路の話です。
といっても、いままでのローサイド電流モニタを差動入力回路に入れるだけなのですが・・・




さて、以下がいつもどおりのシミュレーション結果。






緑のV(adc)が出力、青の100*V(shunt)が理論値です。

ところで、折角のCMRRも差動増幅回路に入力してしまっては台無しなのではないかという考えが浮かぶでしょう。
もちろん回路を増やさないほうが望ましいのですが、実を言うとCMRR(というか同相ゲイン)はそんなにひどいことにはなりません。
以下が抵抗に関して5%の誤差を考慮したモンテカルロ解析です。






これは、差動増幅回路のゲインが低いため抵抗の誤差に起因する同相ゲインも小さくなるためです。
また、差動増幅回路の抵抗値がすべて同じであるということは、相対的な特性がそろっていることが保証されている集合抵抗を使うことなども考えられます。

ここで差動増幅回路の各抵抗値が1Megと大きな値になっているのは、ローサイド電流アンプの出力インピーダンスがあまり低くないことを考慮した結果です。差動増幅回路の入力・帰還抵抗を大きくするときにはOPアンプの入力バイアス電流や入力オフセット電流を確認しないといけません。

シミュレーションで利用したマクロモデルは以下のとおり。
NJM2119 - 新日本無線
2SC1815 - 数理設計研究所

ハイサイド電流計測回路 その6

もはや完全にハイサイド電流モニタとは関係なくなってしまいますが、その2その5で扱ったローサイドモニタをPICでA/D変換するときの基準電圧源のおなはしです。

ローサイド電流計測回路の出力電圧は、GNDではなくVCC基準になります。したがって、A/D変換のための基準電圧もVCCに対して安定な電圧を出力する回路が必要です。




TL431と抵抗を入れ替えてVCC基準にしただけの回路ですけど、なんとなく違和感を感じますね。
違和感を感じるのはどうやら私だけではないようで、TL431の製造メーカであるテキサス・インスツルメンツの半導体FAQ電源関連のページにもTL431は負電源に使用可能ですか?TL431を使用して負電源を設計しようと考えておりますが、Vo=Vrefとして使用する場合はTL431のCATHODE(K)端子とREF(Vref)端子を接続する事で可能とデータブックに記載されていますが、Vo=-Vrefとして使用する事は可能でしょうか?といった質問に関する回答があります。

余談ですけど、8ピンPICってA/D変換の基準電圧入力はVref+しかないんですね。
下の図は、PIC12F683のA/D変換回路のブロック図です。VrefがVDDとの切り替えになっているということはそういうことですよね。




更なる余談ですけど、TL431よりもA/D変換に向いたシャントレギュレータを紹介しておきます。
ナショナルセミコンダクタLM4040です。

4.096V出力のLM4040CIM3-4.1が秋葉原の鈴商の店頭で購入できます。5個入りで\250でした。
DIPの74シリーズの棚の上の棚にあります。

なにがA/D変換に向いているのかというとその出力電圧です。
PIC16F88のA/D変換は10bit(1024段階)の分解能を持ちますが、PICに限らずA/D変換の出力は2のN乗段階です。ここで基準電圧が4.096Vだと1LSBあたりの電圧がきれいな値になります。例えば10bitの時には1LSBあたり4mVです。こうすることによってソフトウェアで算術演算を簡略化できます。

ただしパッケージはSOT-23、要するにフラットパッケージです。とはいっても、2ピンのデバイスなので2.54mmピッチのユニバーサル基板に半田付けできます。

ハイサイド電流計測回路 その5

途中に初版(?)から修正した部分があります。てか、間違いがあまりにもひどかったです。でも、じゃあ正しくはどうなのかと聞かれると良く分かりません。本当にごめんなさい。

タイトルに偽りあり、実はローサイド電流計測回路の話です。ローサイド側の話を書くなら最初からシリーズ名を「電流計測回路」にすればよかった・・・

ハイサイド電流計測回路 その2のシミュレーション結果です。






黄緑が出力電圧、青が理論値です。

ところで、ローサイドの電流を計測するのなら下記のような普通の差動増幅回路でよいのではないでしょうか。どのような場合に、上記のようなI-V変換方式を使うのでしょう。






それはI-V変換方式の電流モニタの方が普通の差動増幅回路よりもCMRRに優れているからです。

CMRRとはCommon Mode Rejection Rateの頭文字をとったもので日本語に訳すと同相電圧除去比となります。人によってはCMRと略すこともあります。CMRRは差動ゲイン(Differential Mode Gain)と同相ゲイン(Common Mode Gain)の比で表されます。差動ゲインをAvd、同相ゲインをAvcとおくと、以下の式になります。

CMRR = Avd/Avc

ただし、多くの場合CMRRはdB表記でかかれます。また、この定義とは逆にCMRR=Avc/Avdとすることもあります。分母と分子を入れ替えただけですので、文脈からどちらの定義で書かれているのか読み取る必要があります。

差動ゲイン・同相ゲインとは、アンプへの入力信号を差動信号と同相信号に分けて考えたときにそれぞれに対応するゲインのことです。
例えば上記の差動増幅回路で、差動ゲインに対応する差動信号源をVd、同相ゲインに対応する同相信号源をVcとおくと以下のようになります。






差動信号は差動増幅回路において実際に増幅したい信号であり、同相信号は増幅したい信号の両方の端子に共通して乗るノイズであると考えると理解しやすいでしょう。
したがって、差動ゲインというのはいわゆる差動増幅回路の普通のゲインのことであり、同相ゲインとは理想的にはゼロなので普通は考えないということになります。

この辺の話は簡単に書いたのでピンと来ない人も多いかと思います。差動増幅回路とCMRRの関係についてはADMのマッチィ先生の楽しい勉強会のなかの第8回 差動アンプの基礎知識:(PDF,178KB)第19回 差動アンプ回路をマスターする:(PDF,284KB)に詳しく、かつ、分かりやすく解説されています。一読をオススメします。

CMRR悪化の原因は、差動ゲインが減少する場合と同相ゲインが増加する場合の二つがあります。
差動ゲインについて考えると、OPアンプを用いた増幅回路のCMRRは差動ゲインに比例します。したがって、負帰還をかけて利得を制限すると確実にOPアンプ単体のものよりCMRRが悪化します。
また、OPアンプの利得は周波数に従って減少するので、CMRRも周波数に比例して悪化する周波数特性を持ちます。OPアンプのデータシートにはパラメータとしてCMRRが記述されていますが、特記されていない限りCMRRは直流での値です。
しかし、OPアンプ単体ではなく増幅回路全体のCMRRを考える場合は、OPアンプの特性よりも抵抗のアンバランスのほうが問題になります。

LTspiceで直接CMRRを求める方法を私は知りません。
しかし、CMRRの低下の要因のうち支配的であるのは抵抗誤差による同相ゲインの増加であるという仮定の下で、同相ゲインの周波数特性をシミュレーションしてみることとします。

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3月30日追記
まず、この時点でおかしいです。CMRRの低下要因のうち最大のものが抵抗誤差によるものなら周波数依存性は無いはず。でもシミュレータではそうでもないですね・・・。
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上記のシミュレーションは、差動信号が0Vで同相信号を周波数スイープしたときのゲイン-周波数特性をプロットしたものです。抵抗は、炭素皮膜の誤差5%を想定してモンテカルロ解析を行いました。
もっとも特性が良好なものはDC領域で-80dB程度の同相ゲインにとどまっていますが、悪いものでは-20dB程度です。

一方で、I-V変換方式の電流モニタに関して同様のシミュレーションを行った結果が以下のとおり。差動増幅回路と比較して格段に低い同相ゲインとなっているのが分かります。






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追記
ちょっとまった!最後のシミュレーションは間違ってる気がしてきた。






こうじゃね?ごめん眠い。そしてあんまり考えてる余裕がない。
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3月30日追記
そしてさらにおかしい。まず抵抗誤差が1%に改善されているのは明らかにずるい。比較にならない。ということで、5%のものにしたものが以下。もっとも、この回路の売りは抵抗誤差によるCMRR低下が無いというところなんですが・・・






しかし、そもそもこの方法が本当に電流モニタの同相ゲインの推定になるのかは怪しい気がしてきました。かといって実機で確認するような計測器も時間も気力もありませんけど。

というわけなので、あまり真に受けないでください。特にこの文章は。

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シミュレーションで利用したマクロモデルは以下のとおり。
NJM2119 - 新日本無線
2SC1815 - 数理設計研究所

ハイサイド電流計測回路 その4

denshiyorimichiさんのブログ電子工作、エレクトロニクスの寄り道逆単電源OPアンプ?という記事があります。

同相入力電圧範囲にV+(正電源の電圧)を含むのでそのように名づけたということですが、出力電圧範囲もV+まで振れないとあまり使い道が思いつかないと思っていたのですが、前回のハイサイド電流計測回路 その3の最後のほうで上記の回路は作ると確実に1回路を無駄にするというおまけ付き。と書いたところで思いつきました。

そうだ!あまったOPアンプを有効利用すればいいんだ!






構成はハイサイド電流計測回路 その1と全く同じです。

前述のとおり、TL072等の一部のJ-FET入力OPアンプは少なくとも標準値では正の電源電圧いっぱいまで入力を受けることが出来ます。




最悪値はかなり低いので個体差から無理かもしれませんが。

前回までののV-I変換回路方式の電流モニタは入出力ともにV+まで振れる必要がありました。
出力側がV+まで振れる必要があるのは、PNPトランジスタを利用するとベース電圧が正電源電圧V+からR1の両端の電圧降下とトランジスタのベース-エミッタ間電圧(Vbe≒0.6V)を引いた値となり、R1の電圧降下もVbeも検出する電流の値が小さいときはほとんどゼロになってしまうからです。

そこで、これを直接OPアンプでドライブせずにトランジスタともうひとつのOPアンプでレベルシフトをしようと考えたのが上の回路です。

・・・が。

この回路・・・実際に組んだら、まともに動かないような気がします。

シミュレーションにはLTSpiceを使いました。
TL072のデータシートおよびSPICEモデルはテキサスインスツルメンツの物を利用しました。

ハイサイド電流計測回路 その3

今日は簡単なシミュレーションと結果だけ。

ハイサイド電流計測回路 その1と全く同じ形をした回路ですが、OPアンプとトランジスタを具体的なものにしてみました。






OPアンプは入出力レールtoレールのOPA2340としました。Texas Instrumentsのものが若松通商の本店(駅から遠いほう)で購入できました。税込み409円です。
トランジスタは2SA1015です。
誤差はトランジスタのベース電流が主な原因です。hFEの高いトランジスタを使えば誤差が小さくなります。

OPA2340オススメ。といいたいところなんですけど、まだ現実の回路を組んでないのでなんとも。
そしてOPA2340は2回路入りなんですが、上記の回路は作ると確実に1回路を無駄にするというおまけ付き。
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