AkaiKKRとUbuntu 12.04 のスワップ領域

AkaiKKR(machikaneyama)をつかっていると、メモリ不足で実行ファイルの作成ができないことがあります。実際の第一原理計算で使うメモリは、実行ファイル作成時と比べてはるかに少ない場合が多いので、スワップ領域を大きくすることで、(実行ファイル作成にかかる時間を我慢すれば)原子数の多い計算もある程度可能になります。

今回は、swapファイルを追加するを参考に Ubuntu 12.04 のスワップ領域を追加してみました。


メモリ不足でAkaiKKRのmakeが失敗する場合


AkaiKKR(machikaneyama)は、実行ファイルを作成するときにメモリを最も使うようです。
そこで、スーパーセルのなかに多くの原子を含む計算を行うような場合、第一原理計算そのものには、そんなにメモリを必要としないはずなのに、実行ファイルを make する際にメモリ不足となって、計算ができないという事態に陥ることがあります。
実行ファイルを作成するときだけ、ハードディスク上のスワップ領域を使うことによって、この問題に対処することができるかもしれません。
今回は Ubuntu 12.04 でスワップ領域を増やし、実行ファイルを作成できるようにする方法について書きます。

specx.fのパラメータとメモリ


AkaiKKRは計算する系の大きさに応じて、実行ファイルをコンパイルしなおさなければならない場合があります。この際 source/specx.f の natmmx や mszemx の値を大きく変更します。(参考: AkaiKKRでスーパーセル その1, AkaiKKRの角運動量(方位量子数)のメモ)

この際にパラメータを大きくしすぎると、実行ファイルを作成できない、または、見かけ上、一瞬で実行ファイルが作成されるものの、実際には実行することができないということになります。これは、スワップ領域を含むメモリが足りていないということが原因です。

素直な解決策は、メモリを買ってきて増設することなのですが、別の解決策としてスワップ領域のサイズを大きくするという方法が考えられます。

スワップ領域の実体は、ハードディスクなので第一原理計算の際にスワップ領域にアクセスが頻繁に起こるようだと、ハードディスクへのアクセス速度がボトルネックとなって計算速度が非常に遅くなってしまいます。

しかし、実際に実メモリすべてと、実メモリの数倍のスワップ領域を利用してコンパイルした実行ファイルであっても、実際の第一原理計算では、実メモリを使いきらないことが多いです。
したがって、実行ファイルの作成のときだけ時間がかかることを我慢すれば、スワップ領域を大きく取ることによって、大きな計算セルを持つ系の計算ができる可能性があることが分かります。

Ubuntu 12.04 でのスワップ領域の追加


Ubuntu 12.04 をデフォルトの設定でインストールすると、スワップ領域のサイズは実メモリと同じぐらいの大きさになるようです。これは Ubuntu をハイバーネートするときにメモリにあったデータをスワップ領域に保存するためと思います。当然ながら Ubuntu をインストールした後からメモリを増設することもあるので、スワップ領域を後から追加する方法もネット上に多く紹介されています。
今回は Linux Salad のswapファイルを追加するのエントリにて紹介されている手順に従いました。

わたしの環境(のうちのひとつ)では、実メモリ 8 GB で、インストール時のスワップ領域が 8 GB となっていました。更に 16 GB のスワップファイルを作成して 24 GB のスワップ領域とします。

sudo dd if=/dev/zero of=/swap bs=1G count=16
sudo mkswap /swap
sudo swapon /swap
sudo emacs -nw /etc/fstab


として /etc/fstab を管理者権限で emacs で開いて下記の行をファイルの最後に追記します。

/swap    swap    swap    defaults    0    0


スワップ領域の大きさは、システムモニタなどで確認することができます。

2*2*2 fcc スーパーセル


計算セルに32原子を含む系の計算のため、イカのパラメータで実行ファイルを作成してみました。

     & (natmmx=32, ncmpmx=32, msizmx=288, mxlmx=3, nk1x=500, nk3x=701,


コンパイルには、実メモリとスワップ領域を合わせて 20 GB 程度必要でした。

関連エントリ




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ecaljのインストール(Ubuntu + gfortran)

ecaljは鳥取大学の小谷先生が開発しているGW近似を用いた第一原理計算コードです。
ecaljのインストール方法は、ecaljのgithubのページにまとめられています。
今回は、その中でubuntuでgfortranを使ってコンパイルする方法に絞って紹介します。
大まかにいうと、以下の4つのステップです。

  1. 各種ツールのインストール
  2. ecaljのダウンロード
  3. InstallAll.gfortranの編集
  4. InstallAll.gfortranの実行



各種ツールのインストール


ecaljをインストール、実行するために必要なプログラムをインストールします。Ubuntuを使う限り、すべてsudo apt-get install なんちゃらでインストールできてしまいます。
sudo apt-get install git
sudo apt-get install gitk
sudo apt-get install gfortran
sudo apt-get install openmpi-bin libopenmpi-dev
sudo apt-get install libfftw3-3
sudo apt-get install libblas3gf
sudo apt-get install liblapack3gf
sudo apt-get install csh bash tcsh gawk

既にインストールされているものもあるかもしれませんが、気にせずにすべて実行してしまいます。

ecaljのダウンロード


上記のツールのインストールの段階でgitをインストールしてあれば、以下のコマンドを実行することによりecaljのフォルダがホームディレクトリいかに作成されます。

git clone https://github.com/tkotani/ecalj.git


InstallAll.gfortranの編集


ecaljディレクトリに移動すると、それぞれのコンパイラに対応したインストール用のシェルスクリプトが見つかります。
今回はgfortranを利用するので InstallAll.gfortran を使います。基本的にはそのまま使えば良いはずなのですが、私の環境では以下のエラーメッセージが出てインストールに失敗するようです。

gfortran: エラー: /usr/lib/x86_64-linux-gnu/libfftw3.so.3: そのようなファイルやディレクトリはありません


そこでlibfftw3.so.3がどこにあるのか探します。

whereis libfftw3.so.3


私の環境では、以下の結果が返ってきました。
libfftw3.so: /usr/lib/libfftw3.so.3 /usr/lib/libfftw3.so

そこで InstallAll.gfortran を以下のように編集します。
MATH='/usr/lib/libfftw3.so.3 /usr/lib/liblapack.so.3gf /usr/lib/libblas.so.3gf'


InstallAll.gfortranの実行


最後にInstallAll.gfortranを実行します。端末に以下のように入力します。

./InstallAll.gfortran


ずらずらと結果が表示され、インストールが完了すると、次々とテスト計算を行います。
テスト計算は、それなりに長い時間(数時間程度)がかかるかもしれません。

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