異なるGNDレベル間でI2C その4

絶縁双方向インターフェースの高速化として、I2C高速モードである400kHzでの通信を目標として、異なるGNDレベル間でI2C その1その2その3と続けて、設計・試作を行ってきました。
今回は、その2で設計したTLP552を用いた高速版回路の試作を行い、400kHzまでの動作を確認しました。

002_20081207205817.jpg 003_20081207205822.png 006_20081207205840.png




低速版の問題点


異なるGNDレベル間でI2C その3では、その1で設計した汎用フォトカプラを用いた低速版双方向絶縁インターフェース回路をブレッドボード上に試作し、その特性を測定しました。
その結果、シミュレーションから得られたものよりも性能で劣るため、実用は難しいだろうということが分かりました。
この低速版回路の問題点は以下の二つです。


  • 立ち上がりの遅さ

  • フォトトランジスタのドライブの力不足



信号の立ち上がりの遅さは、その1のシミュレーションから明らかでした。そして、この問題に対する解答が高速フォトカプラTLP552を用いるというものでした。詳しくは、その2を参照してください。

一方TLP552のドライブ能力は、出力電流Io=50mAと十分です。以下の絶対最大定格の表はTLP552のデータシートからの引用です。


001_20081207205808.png
fig.1: TLP552の絶対最大定格


測定


試作した回路の外観をfig.2に示します。fig.3が回路図です。


002_20081207205817.jpg
fig.2: 高速版絶縁双方向インターフェース試験回路

003_20081207205822.png
fig.3: 回路図


クロック周波数は、約100kHzと約400kHzを試しました。
電源は、両側で共通とし電源電圧は5Vです。電源装置には、安物のスイッチング電源を使いました。
測定にはPDS5022Sを用いました。

100kHz


以下に約100kHzの時の波形を示します。赤のラインが送信側の波形で、橙のラインが受信側です。
100kHzはI2C低速モードのクロックに相当します。


004_20081207205828.png
fig.4

005_20081207205834.png
fig.5


立ち上がりに多少のなまりが見られるのと、受信側の"L"レベル出力の電圧が1SS108のVf分高くなっていますが、かなり綺麗な波形です。

400kHz


次に約400kHzの時の波形を示します。同様に赤のラインが送信側、橙が受信側です。
400kHzはI2C高速モードのクロックに相当します。


006_20081207205840.png
fig.6

007_20081207205846.png
fig.7


なまりと送受信間の遅延が見られますが、実用レベルだと思います。

参考文献/使用機器



tag: I2C 絶縁 フォトカプラ TLP552 インターフェース ISO-I2C ブレッドボード 

異なるGNDレベル間でI2C その2

異なるGNDレベル間でI2C その1にて、絶縁された2つの回路でI2C通信をするための回路を紹介しました。
しかしながら、シミュレーション結果によると、I2Cの標準モードである100kbit/sでも波形のなまりがはっきり見える比較的低速なものでした。送信クロックは10kHzなので、標準モードの10分の1以下の速度と非常に低速な条件でも波形がなまるというものでした。そこで今回は、この回路の高速化を考えます。と、言っても汎用フォトカプラを高速フォトカプラに変更するだけですが。


○低速版の問題点
もう一度、前回紹介した回路のシミュレーションを見てみます。


002_20081106233829.png

003_20081106233835.png



受光側の立ち上がり特性と立ち下がり特性を比較すると、立ち上がり特性のほうが悪いことが分かります。
これは、どうやら汎用フォトカプラの特性のようです。
以下に、TLP621のデータシートからの引用を示します。


001_20081107004354.png


○対策
そこで、ボトルネックとなっている立ち上がり時間(とついでにたち下がり時間も)が短い高速フォトカプラに変更すれば、高速化ができるのではないかと考えます。
以下に、高速フォトカプラの例としてTLP552のデータシートの引用を示します。


002_20081107004418.png


○TLP552使用高速版I2C絶縁回路

003_20081107004443.png


好都合なことに、オープンコレクタ出力なので直結できます。

○高速版の問題点
問題点の1つとして、シミュレーションモデルが無いので本当に高速化しているのかシミュレーションできてい無いと言うことがあげられます。もちろん実機を作って確認するのが一番なのですが・・・もちろんやってません。

また、この回路には決定的な問題点があります。すなわち、「わざわざ高速フォトカプラを調達するなら、素直にI2C絶縁専用ICを買ったほうがいい」と言うことです。

○付録
このエントリで使用した、BSch3V用TLP552の部品を添付します。枠の中のテキストをコピーしてBSch3V上で貼り付けすれば使えるはずです。

+BSCH3_DATA_V.1.0
+COMPONENT
+BSCH3_LIB_V.1.0
+PTN,N:TLP552,X:81,Y:81
+L,W:1,S:0,X:53,Y:60,X:45,Y:60,-L
+L,W:1,S:0,X:45,Y:60,X:45,Y:40,-L
+L,W:1,S:0,X:45,Y:40,X:53,Y:40,-L
+C,W:1,S:0,F:-1,X:68,Y:47,X:62,Y:53,-C
+L,W:1,S:0,X:68,Y:50,X:70,Y:50,-L
+AR,W:1,S:0,X:52,Y:50,R:10,B:4320,E:1516,-AR
+L,W:1,S:0,X:45,Y:50,X:40,Y:50,-L
+L,W:1,S:0,X:40,Y:30,X:40,Y:50,-L
+L,W:1,S:0,X:80,Y:30,X:40,Y:30,-L
+L,W:1,S:0,X:80,Y:50,X:70,Y:50,-L
+L,W:1,S:0,X:0,Y:30,X:20,Y:30,-L
+L,W:1,S:0,X:20,Y:30,X:20,Y:34,-L
+L,W:1,S:0,X:20,Y:44,X:20,Y:50,-L
+L,W:1,S:0,X:20,Y:50,X:0,Y:50,-L
+L,W:1,S:0,X:20,Y:47,X:20,Y:45,-L
+L,W:1,S:0,X:20,Y:37,X:20,Y:34,-L
+L,W:1,S:0,X:30,Y:42,X:34,Y:46,-L
+L,W:1,S:0,X:34,Y:46,X:31,Y:48,-L
+L,W:1,S:0,X:31,Y:48,X:34,Y:51,-L
+PG,W:1,S:0,F:1,N:3,X:35,Y:52,X:34,Y:49,X:32,Y:51,-PG
+L,W:1,S:0,X:20,Y:36,X:20,Y:37,-L
+PG,W:1,S:0,F:1,N:3,X:20,Y:43,X:14,Y:37,X:26,Y:37,-PG
+PG,W:1,S:0,F:1,N:4,X:14,Y:43,X:14,Y:44,X:26,Y:44,X:26,Y:43,-PG
+PG,W:1,S:0,F:-1,N:4,X:0,Y:0,X:80,Y:0,X:80,Y:80,X:0,Y:80,-PG
-PTN
+COMP,N:TLP552
X:8,Y:8,B:1
R:U
P:TLP552
+PIN,N:,L:R5,T:,M:6,-PIN
+PIN,N:,L:R3,T:,M:7,-PIN
+PIN,N:,L:L5,T:,M:3,-PIN
+PIN,N:,L:L3,T:,M:2,-PIN
+PIN,N:N.C,L:L1,T:,M:1,-PIN
+PIN,N:N.C,L:L7,T:,M:4,-PIN
+PIN,N:GND,L:R7,T:,M:5,-PIN
+PIN,N:VCC,L:R1,T:,M:8,-PIN
NOTE:,-COMP
-BSCH3_LIB_V.1.0
L:0,X:90,Y:80,LIB:TLP552,DIR:0,BLK:0,N:TLP552,ND:1,NX:2,NY:20,R:U,RD:1,RX:2,RY:10,NOTE:,-COMPONENT
-BSCH3_DATA_V.1.0

tag: I2C 絶縁 フォトカプラ TLP552 インターフェース ISO-I2C 

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