LTspiceの標準デバイスでまにあわせる

LTspiceは比較的簡単にメーカー製のSPICEモデルを導入できます。
しかしながら、複数のPCの間でファイルを共有しようとすると、LTspiceだけでなくSPICEモデルも複数のPCに導入しなければならないので手間がかかります。

一番簡単な解決方法は、メーカー製SPICEモデルを極力使わないことですが、この選択肢もなかなか悪くないのです。


ねがてぃぶろぐの付録


本ブログでは、LTspiceを用いてシミュレーションを行った場合、できる限り読者の方々が自分のPCで再現ができるように、回路図ファイルとプロットファイルを公開するようにしています。

例えばLTspiceクイック・スタートでは、エントリの最後の方に付録としてrelax-osc_asc.txt(回路図ファイル)とrelax-osc_plt.txt(プロットファイル,どの信号をグラフ上に表示するかを指定するファイル)へのリンクを設けています。

このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


上記のとおり、relax-osc_asc.txtからrelax-osc.ascへ名前を変更します。
LTspiceが既にインストールしてあれば、アイコンの形がテキスト形式のものからNPNトランジスタの形へ変化し、ダブルクリックからLTspiceで開けるようになります。
LTspiceのインストールをしていない方はLTspiceのインストールと初期設定を参考にインストールしてください。


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fig.1: _asc.txt → .asc


同様にrelax-osc_plt.txtからrelax-osc.pltへ名前を変更します。こちらは、テキスト形式のアイコンから、未登録ファイルのアイコンへ変わるはずです。

付録していないエントリ


一方で、ダウンロードできるようになっていないエントリもあります。
古いエントリの場合は、単純に公開しようと考えていなかっただけというのもありますが、新しいエントリでも、外部のSPICEモデルを利用している場合には、そのままダウンロードしても、各自でSPICEモデルをインストールしてもらわないと使えないことがあるときは、公開しないことにしています。

たとえばTL431で定電流ソースなどです。

とは言うものの、要は、LTspiceで標準でインストールされている素子以外を使うのがよくないので、LTspice標準のデバイスモデルでシミュレーションを間に合わせればいい事になります。

標準デバイスで表現したTL431で定電流ソース


TL431の構成は、データシートのブロック図通り、2.5Vの基準電圧源とエラーアンプ、出力トランジスタの3つの要素でできています。


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fig.2-3: テキサスインスツルメンツのデバイスモデルと同じような結果


上に示したとおり、このシミュレーションではテキサスインスツルメンツのSPICEモデルを使ったときと似たような結果となっています。

いいモデルを使えばいいというものでもない


どんな回路をシミュレーションするときでも、とにかく一番正確なモデルを、使うのが良いと考えている人が少なくなく存在していると思います。

確かに間違ってはいないのですが、アマチュア用途では多くの場合オーバースペックですし、逆にメーカー製モデルではシミュレーションで再現できない場合もあります。TL431で言うならLTspiceでTL431がまさにそれです。

やはり、シミュレーションの成否を決めるほとんどの要素はモデル化です。
目標としているシミュレーションに適したモデル化が出来るようになりたいものです。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


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tag: LTspice 定電流 TL431 

LTspiceでTL431

テキサスインスツルメンツが公開しているTL431のSPICEモデルは、回路的に不適切なコンデンサを接続したとしても、発振に至る様をシミュレーションしてくれません。
そこで、TL431の等価回路からSPICEモデルを作り、不適切な値のコンデンサを接続した場合に発振に至るシミュレーションをLTspiceを用いて行いました。

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TL431の発振


TL431は負荷のキャパシタンスによって発振しやすい回路です。
fig.1は、テキサスインスツルメンツのTL431データシートから引用した負荷と発振に対する安定な領域を図示したグラフです。


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fig.1: 負荷と発振に対する安定領域


2009年12月号のトランジスタ技術には、TL431を発振させずに使うための回路についての問題が載っていました。参考:「詰め回路:TL431」を解く

テキサスインスツルメンツのTL431のSPICEモデル


簡単に回路の発振に対する安定性を検討するために、回路シミュレータが利用されます。しかし、TL431のSPICEモデルは位相の回転まではモデル化されておらず、実回路では発振する回路でもシミュレータ上では発振しないようです。参考:シミュレータでは発振しない TL431 LC 発振回路 - 実回路は TL431 で位相が回ってしまったらしい

等価回路からSPICEモデル作成


そこで、発振に対する安定性を議論するために等価回路図からSPICEモデルを作成します。
と言っても難しい話ではなく、TL431データシートの等価回路をそのままLTspiceのスケマティックにするだけで、トランジスタやダイオードもLTspice標準のものを使いました。


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fig.2: TL431データシートの等価回路図


構成要素は大雑把に言って「バンドギャップ基準電圧」「差動増幅回路」「ダーリントントランジスタ」です。

シミュレーション結果


fig.3-4にLTspiceでのシミュレーション結果を示します。
負荷容量は確実に発振に至るであろう0.1uFとしました。


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fig.3: 過渡解析のスケマティック

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fig.4: 発振している出力波形


以下に示すfig.5-6は、負荷容量の値をパラメータスイープしたシミュレーション結果です。横軸は時間を、R11とC3の時定数で規格化したものです。


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fig.5: 過渡解析のスケマティック

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fig.6: 負荷容量の値によって発振の有無が変化する


負荷容量の値によって発振するかしないかが変化することがわかります。

TIのモデルとの使い分け


本エントリのSPICEモデルは、トランジスタの選択がいい加減であるため、正常動作時でも出力電圧が2.5Vよりも低めに出ます。また、発振に対する安定領域も実際のTL431と正確に一致するわけではありません。したがって、大雑把な傾向をつかむための利用にはよいかと思いますが、回路定数を決定するために使うようなことはできないと思います。

特に出力電圧が2.5V程度であることが重要な用途では、TIのモデルを利用するほうがよいです。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


参考文献




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tag: LTspice TL431 パラメトリック解析 

「詰め回路:TL431」を解く

トランジスタ技術2009年12月号に、「詰め回路①3端子基準電圧源TL431を発振させずに使う」と言う記事が載っています。これはトラ技の新しい連載で、今月号で出した問題の答えを来月号に載せるというもののようです。
今回のテーマは、タイトルのとおりTL431を発振させないようにするためには、出力と並列に入れるコンデンサの容量をいくつにすればよいかと言う問題です。


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fig.1: 詰め回路の問題


ちょっと難しかったので、私なりに解いてみたものをエントリとしてまとめます。
(別にこのエントリに限った話ではありませんが、)間違っているかもしれません。まだ自分で考えたい、と思っている方はこれ以降を読まないでください。

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tag: トランジスタ技術 詰め回路 TL431 LTspice パラメトリック解析 ナイキスト線図 負帰還安定性 

TL431で定電流ソース

TL431で低抵抗測定用10mA定電流源では、定電流シンク回路の検討をしました。今回は、この定電流シンク回路にカレントミラーを追加して定電流ソースとした回路のLTspiceシミュレーションをしました。

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TL431で定電流シンク


TL431で低抵抗測定用10mA定電流源では、TL431を用いて定電流シンク回路が簡単に作れると書きました。


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TL431で定電流ソース


TL431で作った引き込み電流をカレントミラーでコピーすれば、定電流ソースとすることができます。

カレントミラー回路はトランジスタを2石つかって、片方の経路の電流を他方の経路にコピーするような動作をします。エミッタフォロワのベース同士を接続したものと考えれば挙動を理解しやすいと思います。

TL431を用いた定電流ソース回路をLTspiceを用いてシミュレーションしました。TL431のSPICEモデルは、テキサスインスツルメンツのものを利用しました。
電源電圧5Vとし、負荷RLの大きさを変化させて定電流特性が維持されるかを確認しています。


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fig.1: 定電流ソースのスケマティック

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fig.2: 負荷(RL)電流(緑)、コピー元の電流(青)


負荷が大きくなるにつれて、定電流特性が維持できなくなっていることが読み取れます。特に500Ω前後から、大きく理想特性から離れています。

TL431で低抵抗測定用10mA定電流源にも同様のことが言えますが、電源電圧によって定電流を維持できる負荷の大きさが変わってくるので注意が必要です。

関連エントリ




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tag: LTspice トランジスタ TL431 定電流 カレントミラー 

TL431で低抵抗測定用10mA定電流源

TL431の内部ブロック図を眺めていたら、低抵抗測定用10mA定電流源と構成が似ていることに気がつきました。
そこで、TL431をつかって低抵抗測定用10mA定電流回路を設計しました。(実際には極性が逆で、以前の定電流回路はシリーズレギュレータっぽい挙動、一方でTL431はシャントレギュレータっぽい挙動です。)

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TL431と定電流回路


TL431の内部ブロック図をfig.1に示します。


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fig.1: TL431の内部ブロック図


基準電圧源と誤差増幅器が接続されていて、NPNトランジスタを駆動している回路と考えれば、この回路は、100mA定電流源の回路図と似ています。


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この定電流回路の構成は、居酒屋ガレージ日記さんの低抵抗測定用10mA定電流源です。負荷が低抵抗であるとき、すなわち電流を流したときの電圧降下が小さいときは、TL431と抵抗だけで定電流回路が作れることに気がつきました。

低抵抗測定用10mA定電流源


TL431と抵抗だけで構成した10mA定電流回路のLTspiceシミュレーションをfig.2-3に示します。


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fig.2: TL431使用低抵抗測定用10mA定電流源のスケマティック

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fig.3: R2の抵抗値(横軸)、R2の両端の電圧降下(緑)、R1の電流(青)


TL431のSPICEモデルはテキサスインスツルメンツのものを利用しました。

利点と欠点


定電流回路は多くの場合、基準電圧源とシャント抵抗の電圧降下を比較することによって成り立っています。TL431は、こういった基準電圧源として最もポピュラーなICのひとつですが、今回の回路では、TL431自身にエラーアンプの役割を担わせているため部品点数を削減することができます。

一方で、シャント抵抗の両端の電位差が必ず2.5Vとなってしまうと言う制約があります。こういった理由から、可変電流源のアプリケーションには適さないと思います。
電流値の微調整は、シャント抵抗の大きさを微調整することによって可能です。とはいえ、もともと基準電圧用ICなので、そこそこの精度のシャント抵抗を用意して、無調整で使うぐらいがよいのではないでしょうか。

定電流シンク


テキサスインスツルメンツのTL431のデータシートを最後の方まで見ていくと、NPNトランジスタを1石追加した定電流シンクが載っています。


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fig.4: データシートの定電流シンク


この回路では、TL431でレギュレーションしなければならないのがNPNトランジスタのベース電流だけなので、R1を小さく大きくすることができます。

内部ブロック図レベルの理解でも、思わぬところでICが使えて、回路を簡略化することが出来ることがあります。よく使われるICはさすがによくできていると考えさせられました。

関連エントリ




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