Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎

Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎を購入したので、ざっと目を通した段階ですが、簡単に紹介します。



この書籍は、PICマイコンとPCをRS232Cでシリアル接続し、木下隆さんのEasyCommを利用して、Excel上から計測・制御を行う方法を解説したものです。

内容的には、PICマイコン回路の基礎、シリアル通信の基礎、Excel VBAの基礎を全て解説した上で、ZigBeeを用いた無線計測への応用まで触れられています。

PICマイコンそのものの入門書としては物足りなさがありますが、特にシリアル通信に着目してExcel VBAの使い方を解説した本は多くないので、既にマイコンや電子工作そのものにある程度の知識がある人で、自作回路をパソコンから制御したいという方には良い書籍だと思います。

(ずいぶん限定的な読者層のように感じられる書き方ですが、こういう人って意外に多いのではないかと思っています。私も含めて。)


データの記録


データロガーを作るときには、そのデータを記録する媒体が必要です。最近では、SDカードを扱えるソフトウエアライブラリもたくさんあるようなので、ポータブルなデータロガーも簡単に大容量のものが製作できます。

一方で、ポータブルである必要が無い用途では、PCを活用するのが簡単です。PCカメラでなんでも同期データロガーでは、PCに接続したカメラを一定間隔で撮影することで、簡単にデータ計測ができる方法を紹介しました。この方法は、既存の計測器をそのまま手を加えずに利用できるという点でとても便利です。

一方で、連続的にデータを取りながら、その傾向をリアルタイムでグラフ化し、場合によっては測定条件を変えてデータの計測を行うといったような、少し複雑なことをするにはPCとの双方向通信が必要です。

そんなわけで、Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎では、センサとの接続をPICマイコンで行い、シリアル通信でPCにデータを転送し、Excelでグラフ化するところまで一通りの方法が解説されています。

この本の具体的なところは...


最初に気になるところは、紹介している開発環境が微妙に古いところです。

開発環境バージョン
使用マイコンPIC16F88
MPLAB8.1
コンパイラCCS-C
Excel2007
WindowsVista(32bit)
table.1: 開発環境とバージョン


PC側の開発環境はWindows Vista(32bit)ですが、Window 7(64bit)でも動作確認は出来ているとのことです。Excelのワークシートは2007で作ったものと、Excel97-03形式に変換したものがCD-ROMに付属しているようです。

PIC側の開発環境は、MPLABのバージョンが古いことはともかく、有償のCCS-Cコンパイラを使っているところは少し気になります。

そういった所まで含めて考えると、マイコン自体の入門は、ほかの書籍で済ませて、この本ではシリアル通信関連のExcel VBAの勉強をするというのが正しい使い方だと思います。(シリアル通信が出来さえすれば、なにもPICマイコンにこだわる理由も無く、PSoCでもAVRでもルネサスでも、マイコンの種類はなんでも応用できます。)

Excel VBAの解説は、多くの紙面が割かれている訳ではないにせよ、必要最低限な部分は押さえてるように思います。
ただ、当然ながら万全ではないので、必要に応じてExcel VBA自体の入門書も検討する必要があるかもしれません。

書籍のサブタイトルでも触れているZigBeeは、最後の章におまけのように載っているだけですが、それ以前の章を理解していれば充分応用が出来るレベルだと思います。とは言うものの、ZigBeeの入門書ではないことは理解しておくべきです。

付属CD-ROMには
  • Excel2007/97-2003形式のエクセルシート
  • PICのC言語ソースファイル/HEXファイル
  • PCBE用のプリントパターンファイル

が付属しているようです。

以下、Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎の目次です。

第1章 計測制御の基礎
 計測制御とは
 パソコンによる計測制御
 マイコンの概要と働き
 センサの基礎
 A/Dコンバータの基礎
第2章 USBを利用したRS232C制御の基礎
 USB-RS232C変換
 COMポート(RS232C)とは
 RS232CとPICマイコンのUSART機能
 ADM3202ANの利用
第3章 PIC16F88とソフトウェア
 PIC16F88の利用
 開発ツール(MPLAB IDEとCCS-C)
 コンパイラ言語(CCS-C)の利用
 C言語プログラムの構成
 ターミナルソフト(Rs232c)で信号確認
第4章 RS232C通信を利用したPICマイコン制御
 制御基板1の製作
 制御基板1の回路とマイコン設定
 プログラム開発と信号確認
 A/D変換処理の基本
 A/D変換の精度向上について
 基準電圧を設定したA/D変換処理
第5章 Excel VBAの基礎
 Excel VBAの準備
 Excel VBAの概念
 Excel VBEの基本知識
 Excel VBAの構文
 Excel VBAの基本構文
 UserFormの利用
 イベントの操作
 グラフの作成と操作
 マクロの記録
第6章 Excel(VBA)を利用した計測制御
 制御基板2と回路
 プログラム開発
 EasyComm(VBAモジュール)でシリアル通信
 計測プログラム(基本)
 計測プログラム(応用)
第7章 ZigBeeの基礎
 ZigBeeとは
 ZIG-100B(ZigBeeモジュール)の概要
 ZIG-100Bの利用
 ZIG-100Bを利用した無線計測
 コラム
 PIC12F675を利用したAC電力制御
 GPS通信回路と地図表示
 バッテリーカーの電力表示と記録
参考文献
巻末付録
索引


関連エントリ




参考URL




参考文献/使用機器





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tag: 自動計測 データロガー Excel PIC OPアンプ 

バッテリの直列/並列切り替え回路の検討

1.5Vの電池1本でPICを動かす(2ちゃんねるPIC専用のスレPart32より)で紹介した最後のレスに

PICを1.5Vで動かす話で、どっかのHP (どこか忘れた)に起動時電池2本を使って、動き出したら電池1本に切り替えて動かす話があったのを思い出した


という話が出ていたので、起動時にはバッテリーを直列に、起動後は並列に切り替える回路を検討してみました。(が、どうしたものかという感じです。)


001_20110507051158.png

fig.1: 直列並列切り替え回路



低電圧・低消費電力という壁


原理的にはfig.1の回路で実現できます。
スイッチを閉じると電池が直列接続となり、スイッチを開くと電池が並列接続となります。

ただ、理想はともかく現実はそんなに簡単では無いでしょう。
今回の目標は、マイコン回路で、電源電圧を低くすることによる低消費電力化とそれを半自動的に実現するということです。
問題となるのは、以下の二点でしょう。

  • 並列時接続時のダイオードの順電圧
  • スイッチとしてどの素子を使うか


ダイオードの順電圧


並列接続時には1.5Vの電池からダイオードの順電圧分だけ低い電圧が、電源電圧として取り出されることになります。
通常のシリコンダイオードの順電圧が0.6Vとすると、電源電圧は0.9Vとなってしまいます。順電圧が0.3Vのショットキーバリアダイオードを使ったとしても1.2Vで、これでもまだ損失が大きいです。出来ればFETを使用したい。


002_20110507051158.png

fig.2: PICの出力FETを電源ラインにしてしまう


そこでfig.2のような方法を考えてみました。ダイオード(D1,D2)の代わりに、マイコンの出力端子をオンにし、VCCやGNDと接続してしまおうという考えです。

言うまでも無いですが、とんでもない邪法ですね。
もちろん、素直に、外部にFETを接続するという方法もあるでしょう。

スイッチ素子


ダイオードの順電圧よりも、さらに悩ましい問題が切り替えスイッチとしてどのような素子を選択するかということです。

条件としては

  • マイコンから制御できるスイッチである
  • 電源投入時に閉じている(Normally Close:NC)
  • 低消費電力
  • 低電圧動作
  • 正/負どちらもVCC/GNDから浮いている状態で使える


といったところでしょうか。


003_20110507051158.png

fig.3: 動作電圧が低く消費電力の低いリレーがあれば・・・


イメージとしてはfig.3ですが、リレーは通常は消費電力が高く、今回の用途では(並列接続動作の方が主要だと思われるので)リレーに電流を流している時間が長くなり、低消費電力という目的から考えると不満です。
低電圧動作させなければならないというのもネックでしょう。

余談:低消費電力≠低電圧


ふと思いついたので、メモ。
たまに、消費電力が小さいことと、動作電圧が低いことをごちゃまぜに考えている人がいるようです。

電圧は文字通り電圧で、電力は(電圧)×(電流)です。
したがって、電圧が低くても、電流が大きければ、トータルの電力が大きくなるということはありえます。

低電圧化と低消費電力化は、全く関係が無いとはいえないものの、別の概念であることは確かなので、自分が何を目標に設計をしているのかは、きちんと把握をしておかなければなりません。

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tag: PIC トランジスタ 

1.5Vの電池1本でPICを動かす(2ちゃんねる PIC専用のスレ Part32 より)

2ちゃんねるPIC専用のスレ Part32より

318 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 14:02:26.38 ID:MKG18tp3
電池1本 1.5Vで余裕で動く(仕様で動作範囲内の)PICって、
ありますか?
320 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 17:24:11.82 ID:MKG18tp3
>>319
すみません、表現が悪かったでしょうか。
電源電圧が0.9V~3.3Vなど、1.5Vの電池1本でも動くPICって、あるでしょうか?
でした。説明が悪くてすみませんでした。


結論から言うと無いが答えになりますが、1.5Vの乾電池1本でマイコンを動かしたいという要求はよくあることだと思います。(参考:バッテリ動作のマイコン電源に関するメモ)
そういったときの考え方の参考になるかと思います。


根本的な問題:マイコンだけ動いてもしょうがない?


323 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 18:37:32.81 ID:v/hY0Uy0
そんなにDCコンバータ嫌か?
324 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 20:11:30.27 ID:4MONiu0r
ポケッタブルオーディオかラジオにでも入れるの?
325 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 21:30:14.96 ID:gx5jzKvF
PICは動いても、さらに何か動かすものはいいのか


ほとんどの人が意識していないようですが、PICはPeripheral Interface Controllerの頭文字をとったもので、読んで字のごとく周辺機器接続制御のためのICです。
マイコン用の電源問題は悩ましいですが、回路上にその他の回路が存在しているなら、その周辺機器の電源も賄えないと意味がありません。

後に示す>>327さんは『電池アラームのLEDを動かすにしても、PICが動いてくれないと点滅もできない。』と書いていますが、PICが動作したとしてもLEDのVFを供給できなければやはりLEDを点灯させることは出来ません。

素直に昇圧コンバータを用意するのが結局のところベストな方法なのだと思います。

電池の本数・電源電圧問題


327 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 23:51:38.30 ID:MKG18tp3
>>323-325
電池2本(3V)で動かす機器を作ったとき、PICでは最低が2V(だったと思う)、
しかもADを使うと2.2V以上必要ですよね。
ところが、電池を終止まで使うと1.8Vくらいになりますよね。
だとすると、2VのPICは使えないと思うんです。
電池アラームのLEDを動かすにしても、PICが動いてくれないと点滅もできない。

そういう意味では、1.5V(min)のPICがあれば、問題解決なんですが。
電源電圧=1.5Vの上で、
・ADが動いて、
・clock=4MHzくらいも使えて、
・内蔵の32.768kHzも出来て、
・BORもできて、
・WDTもできて、
・UART内蔵で、
・PWMできて、
・Input captureもできて、
・Vref(1.23Vくらい)を内蔵してて、
・OP AMP(入出力レールtoレール)、コンパレータが入っていて、
・I2Cモジュールが入っていて、
・消費電流が50uAくらいで、
これらの機能が載っていて、DIP8とSOP8の形状のあるPICは 無いかしら、と思ったのです。


俗に言う「ぼくのかんがえたさいきょうのぴっく」。


001_20090805175828.png
fig.1: PIC12F683の動作可能電圧範囲


実際のPICマイコンは、最低でも2V以上必要で、消費電流も実測では1mA近く必要になるようです。(参考:PICマイコンのNOPとGOTOの消費電力)

他のマイコンを使うという選択肢


330 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/24(木) 00:13:52.90 ID:rADQeVaJ
>>327
テキサスのMSP430が低電圧・低消費電力をウリにしてたはず。

ま、俺なら>>323>>329だが。
>>323 そんなにDCコンバータ嫌か?
>>329 オレならうまいこと普通のを使う
334 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/24(木) 02:53:55.94 ID:f+QLUzqf
>>330
コレの事だよね

0.9ボルト「完全」駆動マイコン「MSP430L092」
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=262214&lindID=1


MSP430は、超低消費電力・超低電圧動作可能マイコンとして有名ですが、アマチュア電子工作ではそこまでの性能が要求されない為か、あまりメジャーではありません。

入門書籍もほとんど名前を聞きません。MSP430 リファレンス・ガイドも以前は書店で見かけましたが・・・



また、PSoCはSwithch-mode pumpという昇圧型スイッチングレギュレータの制御ICとしての機能を内蔵しています。(参考:PSoC/SMP効率測定,PSoC/SMP電流増強の考察)

こちらは、必要充分な入門書がそろっています。詳しくはPSoCマイコン入門書籍を。

PICでも昇圧


342 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/25(金) 01:34:57.61 ID:qUC6fDBK
PICを1.5Vで動かす話で、どっかのHP (どこか忘れた)に
起動時電池2本を使って、動き出したら電池1本に切り替えて動かす話が
あったのを思い出したので、手持ちの12F683で試してみた。

・動作内容 INTRC_IO 31kHzで1秒おきにGP0をON/OFF

起動した後電圧下げていくと、1.2Vぐらいで出力動作停止。
でも、内部発振は一旦動き出せば、1V以下でもねばってる。
PICが1.5Vで動かないのは、この内部発振の起動にある程度の電圧がいるためらしい。
そこで電源ラインに適当なコイルを入れて、電源ON時のスイッチのチャタリングで
一瞬過電圧かかるようにしたら電源1.4Vでも動かすことは出来た。
時々起動に失敗するが、その場合パスコンの電荷が抜けきるまで再起動出来ないっぽいので、
Vdd-Vssを適当な抵抗かまして電荷抜ける様にした方が良さそう。

まあ、そのうちPIC壊しそうなのでオススメはできんな。


一連のレスの中で一番興味が引かれたのが上記のものです。
着眼点は、マイコンの動作に高い電圧が必要なのは起動時のみであるという点です。

ただ、いずれにせよ動作周波数も最低で何の外部機器との接続も無い状態で、動作がギリギリだとすると実用性はなさそうですね。

関連エントリ




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tag: PSoC PIC スイッチング回路 2ちゃんねる 

LMC662で試作チョッパアンプ

汎用OPアンプをチョッピングで高精度化の方法を用いて、実測で約440μVの入力オフセット電圧を持つLMC662を低オフセット化する実験を行いました。このチョッパアンプのオフセット電圧の測定をしたところ、約55μVとなり、実際にオフセット電圧が小さくなっていることが確認できました。

004_20110328022019.png 005_20110328022019.png



LTspiceでのシミュレーション


汎用OPアンプをチョッピングで高精度化では、PICなどのマイコンと組み合わせることによって(オフセットの小さくない)汎用OPアンプを利用して、微小電圧の高精度測定を行うシミュレーションを行いました。


003_20110306112150.png
fig.1: マイコン利用チョッパアンプのスケマティック

005_20110306134701.png
fig.2: 入力電圧-出力電圧特性。横軸が入力電圧で、縦軸が出力電圧。赤で示したラインがチョッパ増幅器の出力電圧を表していて、緑が理想的な出力電圧をあらわしています。


その結果、5mVの入力オフセット電圧を持つOPアンプでも0-25mV程度の微小電圧を測定することができることがわかりました。
そこで今回は、現実のOPアンプでもシミュレーション通り低オフセット化が実現できるのかを確認するために、単電源OPアンプLMC662を対象に実験を行いました。

回路構成


利用した回路の概念図をfig.3に、もう少し詳細な回路図をfig.4に示します。


003_20110328022007.png
fig.3:測定回路の概念図

004_20110328022019.png
fig.4:ChopAMPの詳細な回路図


制御用のPICマイコンは8ピンのPIC12F683を利用しました。
基準電圧源には、鈴商で購入したLM4040で作成した4.096Vを利用しました。
A/D変換後のデータは、シリアル通信で(別のPICに接続した)キャラクタLCDに表示しました。
被測定用の微小電圧は、5mΩの抵抗(ミリオーム抵抗 前編)に0-5Aの電流を流すことによって生成しました。電源はHP6632Aシステム電源、電流とシャント電圧の測定はR6452Aデジタルマルチメータを利用しました。

測定結果


測定結果をfig.5に示します。


005_20110328022019.png
fig.5: マイコン利用自作チョッパアンプの測定結果


緑の十字シンボルが実測値で、赤のラインは測定値を線形フィッティングしたものです。

Vout = a * Vin + b
(Vout: 出力電圧, Vin:入力(シャント)電圧, a:ゲイン, b:出力オフセット電圧)

フィッティングの結果から a=102.129, b=0.0055435 という値が得られました。
従って、入力換算オフセット電圧が約55μVと求められました。

通常の差動増幅回路との比較


比較のために同じ個体のLMC662で通常のゲイン100倍の差動増幅回路を構成し、フィッティングから入力換算オフセット電圧を計算したところ440μVとなりました。

もともと入力オフセット電圧の低い個体だったようですが、それでも入力オフセット電圧の影響が、チョッピングによって改善されていることがわかります。

四端子法の必要性に対する補足


ただし、ミリオーム抵抗 後編での考察の通り電流測定を行う際には、正しい四端子測定を行わないと測定値が正しく得られません。

そういった意味では、今回のチョッパアンプは、シャント抵抗のプラス側とマイコンのGND端子の間の電圧を測定していることになるので、四端子測定とは言えません。
技術奴隷さんの指摘の通り、入力側のチョッピングは外付けスイッチを用意した方がよさそうです。

一方で、R6452Aデジタルマルチメータは、fig.3に示したとおりちゃんと四端子測定になるように接続してしまったので、今回のチョッパアンプの出力と直接比較することは、厳密に言うならば、できないということになります。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したBsch3V形式回路図ファイルとチョッパアンプの測定データを添付します。回路図は、ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。



参考文献/使用機器




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tag: PIC OPアンプ スイッチング回路 チョッパアンプ 2ちゃんねる HP6632A R6452A 

汎用OPアンプをチョッピングで高精度化

オフセット電圧の低くない単電源OPアンプであっても、マイコンと組み合わせてチョッパアンプとすることにより、高精度の直流微小電圧測定を行うことができます。
PIC16F785には入力オフセット電圧が5mV(typ)のOPアンプが内蔵されています。今回のエントリでは、5mVのオフセットを持つOPアンプを用いてチョッパアンプを構成し、出力にオフセット電圧の影響が出なくなることをLTspiceによるシミュレーションから確認しました。

003_20110306112150.png 005_20110306134701.png


オフセット誤差


マイコン回路において、GND基準の電圧出力をA/D変換したい用途はたくさんあります。測定したい電圧信号が小さい場合は、OPアンプを利用して増幅をすることになりますが、被測定信号が極めて微小な場合は、OPアンプの入力オフセット電圧に埋もれて正しく増幅することができません。

以下に示すfig.1-2は、入力オフセット電圧が5mVのOPアンプを用いて、101倍の非反転増幅回路を構成したときに、0-25mVの入力信号を増幅したLTspiceによるシミュレーション結果です。


001_20110306112038.png
fig.1: 入力オフセット電圧5mVのOPアンプによる101倍非反転増幅回路

002_20110306112038.png
fig.2: 赤が実際の出力電圧、緑が理想的な(オフセットの無い)出力電圧


赤で示したのが実際のシミュレーション結果で、緑で示したものがOPアンプの入力オフセット電圧がゼロという理想的な状態での出力結果です。
入力電圧の25mVという値に対して、近い値である5mVというオフセットを持つOPアンプでは、オフセット電圧の影響が無視できないほど大きいことが読み取れます。

したがって、微小電圧の増幅にはオフセットの小さい、高精度OPアンプと呼ばれる種類のものを利用するのが王道です。
高精度OPアンプとして代表的なOP07などは両電源を要求するので、チャージポンプ負電源などの簡易的な負電源を用意する必要があります。場合によっては、負電源三端子レギュレータを正電源用にするとドロップ分が負電源になるのようなトリッキーな手段が使えるかもしれません。
また、NJM2119のように低入力オフセット電圧である単電源OPアンプも存在します。

型番電源特徴オフセット(typ)オフセット(max)
OP07両電源高精度60uV150uV
NJM2119単電源高精度90uV450uV
LM358単電源汎用2mV7mV
LMC662単電源汎用1mV6mV
PIC16F785単電源マイコン内蔵5mV-
table.1: 各種OPアンプのオフセット電圧(OPアンプの値は新日本無線とナショナルセミコンダクタのデータシートより)


しかしながら、LM358,LMC662といったような単電源利用可能な汎用の(必ずしも低オフセットで無い)OPアンプが利用できると便利です。あるいは、OPアンプを内蔵したPIC16F785のようなマイコンを使えれば、部品点数削減になります。

今回のエントリでは、PICマイコンと汎用単電源OPアンプを組み合わせてチョッパアンプを構成し、高精度に微小電圧信号の測定を行う回路の設計、及び、LTspiceによるシミュレーションを行いました。

チョッパアンプの設計


チョッパ増幅器に関する解説は、(絶版のようですが)はじめてのトランジスタ回路設計―回路を設計製作しSPICEで検証!の第五章にOPアンプICの無かった時代にどのようにして直流増幅器のオフセットやそのドリフトを軽減していたかの説明として載っています。

マイコンと汎用OPアンプを組み合わせて構成する方法としては、MOSFETのローサイド電流をPICで計測 (2ちゃんねる ★ オペアンプ スレッドより)にてまとめた通り、技術奴隷さんの提唱している『ACアンプ+スイッチング』を利用します。

451 名前:439[sage]:2007/06/15(金) 18:19:35 ID:MHgqsRv+
>450
すみません。聞き方がよくありませんでした。>432を見て私が想像したのは
ttp://www.tij.co.jp/jsc/psheets/SBOA099A.pdf?application_note--appli_report.ht
の中の「古典的なオートゼロアンプ方式」のようなものだったのですが、この回路では
信号をチョッピングするために何らかのスイッチが必要になりますよね。

このスイッチには何を使えばよいのでしょうか?
まったく見当違いな事言ってたらすみません。

001_20110304192733.png

452 名前:技術奴隷[]:2007/06/15(金) 22:10:18 ID:ABKqkZjs
>>451
面白い資料を見つけてきましたね。基本はそれでOKです。
とりあえずこんな回路でOKだと思うけどいかが?
ttp://www.geocities.jp/one_prisoner/AIF.html

AIF.png



この回路では、古典的なオートゼロアンプにおける最も信号源側のスイッチを抵抗で置き換えているため、ACアンプから見た信号源抵抗が高くなっています。(逆に信号源から見ると、この抵抗がACアンプの入力インピーダンスになるため、極端に低い値にすることも難しいです。)

このため、ACアンプ自体の入力インピーダンスが高くなければならなくなるので、LTspiceで入力インピーダンスでシミュレーションをしたブートストラップ回路を利用します。またブートストラップ型交流増幅回路にゲインを持たせる方法は定本 OPアンプ回路の設計―再現性を重視した設計の基礎から応用までを参考にしました。

通常のチョッパアンプでは、直流→交流変換を行い、増幅した後に、交流→直流変換を行いますが、マイコンでA/D変換をする前提の今回の回路では直流へ戻さず、交流信号に同期してA/D変換を行うことにします。

交流非反転増幅回路のゲインは101倍とし、チョッピングの周波数は100Hzとしました。
OPアンプはfig.1-2のシミュレーションと同様に5mVの直流オフセット電圧を持たせ、マイコンのI/OはLTspiceでビヘイビア電源ほかの電圧制御スイッチでモデル化しています。

シミュレーション結果


入力電圧を0Vから25mVまで1mVごとにシミュレーションを行っています。
以下に、LTspiceによるシミュレーション結果を示します。


003_20110306112150.png
fig.3: マイコン利用チョッパアンプのスケマティック

004_20110306134952.png
fig.4: 過渡解析の結果による出力電圧波形

005_20110306134701.png
fig.5: 入力電圧-出力電圧特性。横軸が入力電圧で、縦軸が出力電圧。赤で示したラインがチョッパ増幅器の出力電圧を表していて、緑が理想的な出力電圧をあらわしています。


過渡解析の結果からLTspiceで.meas(実効値,積分値など)を用いて入力電圧-出力電圧グラフを書いたのがfig.5です。
赤で表したラインがシミュレーションから得られた出力電圧で、緑のラインが理想的な101倍の増幅器に期待される出力電圧です。

通常の非反転増幅回路によるシミュレーション結果であるfig.2と比較して、チョッパアンプの結果であるfig.5は赤と緑の線の差が小さく、入力オフセット電圧の影響が除去されていることが分かります。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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