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LTspiceで高耐圧ボルテージフォロワ

岡村 廸夫著定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている、高耐圧のボルテージフォロワのシミュレーションをLTspiceにて行いました。

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OPアンプの動作電源範囲


最近では、秋月電子通商などのアマチュアが簡単にアクセスできる店舗でもレールtoレール入出力OPアンプ―――OPアンプに入力する負電源と正電源に対してぎりぎりの電圧まで入力電圧・出力電圧を設定できるもの―――が入手できるようになりました。

これは、OPアンプは±15Vの両電源を用意して使うという常識がもはや成り立たなくなってしまっている事を意味します。(僕が電子工作を始めた頃には既に成り立っていなかったという話もありますが・・・)

こういった単電源・低電圧で動作するOPアンプは、しかしながら、多くの場合耐圧が低いため、高耐圧が要求されるアプリケーションでは、従来の汎用OPアンプにもまだ需要があるはずです。

更に、100Vを超えるような電源電圧でOPアンプを動作させたい場合は、OPアンプの動作回路にも一工夫が必要です。
今回は、定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている、高耐圧のボルテージフォロワのシミュレーションをLTspiceにて行いました。

ブートストラップによる電源作成


定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている多少複雑な回路図(fig.2)の前に、基本的な(しかしそのままでは動作しない)回路の説明をします。


001_20120813013219.png
fig.1: 原理的な回路図


この回路の考え方は、極めて単純で、出力電圧を中心に、ツェナーダイオードをOPアンプの電源端子に向けて対称に配置することにより、OPアンプの電源電圧をVout±Vzとなるようにするものです。
こうすることにより、VinをOPアンプの同相入力電圧範囲内に収めつつ、正電源端子と負電源端子の間の電位差ΔVを Vz ≦ ΔV ≦ 2*Vz とすることができます。

同様に入力電圧に応じて出源電圧を自動調整する回路としてハイサイド電流測定回路があげられます。

高耐圧ボルテージフォロワのシミュレーション


定本 OPアンプ回路の設計にて紹介されている回路に対して、シミュレーションに都合のよい定数を入力した回路図がfig.2です。


002_20120813013233.png
fig.2: 高耐圧ボルテージフォロワのスケマティック

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fig.3: 出力電圧、及び各素子の消費電力


シンプルな回路(fig.1)から追加された要素は、OPアンプの電源用トランジスタQ3,Q4とOPアンプの出力ブースーターとなるQ1,Q2です。回路は基本的に上下対称なので、ハイサイド側に限って説明をします。

fig.3に示したグラフは、出力電圧(赤)と各素子の消費電力(緑:D1, 青:Q1, 紫:Q3)です。
こういった類の高電圧を扱う回路では、素子の耐圧と許容損失が重要になってきます。(参考:LTspiceで素子の発熱を見る)

なお、原典では電源電圧は±120Vとなっています。LTspiceで標準的に付属しているトランジスタモデルの中で、最も高耐圧である2N5550/2N5401でも耐圧は150Vだったので、シミュレーションでの電源電圧は差し当たり単電源100Vとしておきましたが、定本 OPアンプ回路の設計には、いつもどおりの景気のよさで下記の通りの記述があります。

Tr1~Tr4の耐電圧さえ許せば,図示の範囲に限らず500Vでも1,000Vでも振ることができます.この方法で製造された高耐圧OPアンプも市販されています.


赤で示した出力電圧は、0V付近と100V付近で多少飽和しています。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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tag: LTspice OPアンプ 

Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎

Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎を購入したので、ざっと目を通した段階ですが、簡単に紹介します。



この書籍は、PICマイコンとPCをRS232Cでシリアル接続し、木下隆さんのEasyCommを利用して、Excel上から計測・制御を行う方法を解説したものです。

内容的には、PICマイコン回路の基礎、シリアル通信の基礎、Excel VBAの基礎を全て解説した上で、ZigBeeを用いた無線計測への応用まで触れられています。

PICマイコンそのものの入門書としては物足りなさがありますが、特にシリアル通信に着目してExcel VBAの使い方を解説した本は多くないので、既にマイコンや電子工作そのものにある程度の知識がある人で、自作回路をパソコンから制御したいという方には良い書籍だと思います。

(ずいぶん限定的な読者層のように感じられる書き方ですが、こういう人って意外に多いのではないかと思っています。私も含めて。)


データの記録


データロガーを作るときには、そのデータを記録する媒体が必要です。最近では、SDカードを扱えるソフトウエアライブラリもたくさんあるようなので、ポータブルなデータロガーも簡単に大容量のものが製作できます。

一方で、ポータブルである必要が無い用途では、PCを活用するのが簡単です。PCカメラでなんでも同期データロガーでは、PCに接続したカメラを一定間隔で撮影することで、簡単にデータ計測ができる方法を紹介しました。この方法は、既存の計測器をそのまま手を加えずに利用できるという点でとても便利です。

一方で、連続的にデータを取りながら、その傾向をリアルタイムでグラフ化し、場合によっては測定条件を変えてデータの計測を行うといったような、少し複雑なことをするにはPCとの双方向通信が必要です。

そんなわけで、Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎では、センサとの接続をPICマイコンで行い、シリアル通信でPCにデータを転送し、Excelでグラフ化するところまで一通りの方法が解説されています。

この本の具体的なところは...


最初に気になるところは、紹介している開発環境が微妙に古いところです。

開発環境バージョン
使用マイコンPIC16F88
MPLAB8.1
コンパイラCCS-C
Excel2007
WindowsVista(32bit)
table.1: 開発環境とバージョン


PC側の開発環境はWindows Vista(32bit)ですが、Window 7(64bit)でも動作確認は出来ているとのことです。Excelのワークシートは2007で作ったものと、Excel97-03形式に変換したものがCD-ROMに付属しているようです。

PIC側の開発環境は、MPLABのバージョンが古いことはともかく、有償のCCS-Cコンパイラを使っているところは少し気になります。

そういった所まで含めて考えると、マイコン自体の入門は、ほかの書籍で済ませて、この本ではシリアル通信関連のExcel VBAの勉強をするというのが正しい使い方だと思います。(シリアル通信が出来さえすれば、なにもPICマイコンにこだわる理由も無く、PSoCでもAVRでもルネサスでも、マイコンの種類はなんでも応用できます。)

Excel VBAの解説は、多くの紙面が割かれている訳ではないにせよ、必要最低限な部分は押さえてるように思います。
ただ、当然ながら万全ではないので、必要に応じてExcel VBA自体の入門書も検討する必要があるかもしれません。

書籍のサブタイトルでも触れているZigBeeは、最後の章におまけのように載っているだけですが、それ以前の章を理解していれば充分応用が出来るレベルだと思います。とは言うものの、ZigBeeの入門書ではないことは理解しておくべきです。

付属CD-ROMには
  • Excel2007/97-2003形式のエクセルシート
  • PICのC言語ソースファイル/HEXファイル
  • PCBE用のプリントパターンファイル

が付属しているようです。

以下、Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎の目次です。

第1章 計測制御の基礎
 計測制御とは
 パソコンによる計測制御
 マイコンの概要と働き
 センサの基礎
 A/Dコンバータの基礎
第2章 USBを利用したRS232C制御の基礎
 USB-RS232C変換
 COMポート(RS232C)とは
 RS232CとPICマイコンのUSART機能
 ADM3202ANの利用
第3章 PIC16F88とソフトウェア
 PIC16F88の利用
 開発ツール(MPLAB IDEとCCS-C)
 コンパイラ言語(CCS-C)の利用
 C言語プログラムの構成
 ターミナルソフト(Rs232c)で信号確認
第4章 RS232C通信を利用したPICマイコン制御
 制御基板1の製作
 制御基板1の回路とマイコン設定
 プログラム開発と信号確認
 A/D変換処理の基本
 A/D変換の精度向上について
 基準電圧を設定したA/D変換処理
第5章 Excel VBAの基礎
 Excel VBAの準備
 Excel VBAの概念
 Excel VBEの基本知識
 Excel VBAの構文
 Excel VBAの基本構文
 UserFormの利用
 イベントの操作
 グラフの作成と操作
 マクロの記録
第6章 Excel(VBA)を利用した計測制御
 制御基板2と回路
 プログラム開発
 EasyComm(VBAモジュール)でシリアル通信
 計測プログラム(基本)
 計測プログラム(応用)
第7章 ZigBeeの基礎
 ZigBeeとは
 ZIG-100B(ZigBeeモジュール)の概要
 ZIG-100Bの利用
 ZIG-100Bを利用した無線計測
 コラム
 PIC12F675を利用したAC電力制御
 GPS通信回路と地図表示
 バッテリーカーの電力表示と記録
参考文献
巻末付録
索引


関連エントリ




参考URL




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tag: 自動計測 データロガー Excel PIC OPアンプ 

LTspiceで演算増幅回路

以下(fig.1)に示すような回路があるとします。


001_20120204024428.png
Fig.1: V1の電圧が0Vのとき、outの電圧は何ボルトでしょう?


R1は1Ωで1Aの電流が流れています。
V1における電圧は0Vでした。outにおける電圧は何ボルトでしょうか?

答えは1Vで、単純にオームの法則から求めることができます。

V = R * I = 1Ω * 1A = 1V

です。


反転増幅回路


これと同じ状況は、OPアンプ回路でよく見ます。
OPアンプは、負帰還をかけて、反転入力端子と非反転入力端子が同電位となる様にして使われるからです。(ヴァーチャルショートあるいは仮想短絡などと呼ばれます。)
Fig.2-3は、こういった場合の少し現実的な回路です。


002_20120204024428.png

003_20120204024428.png
fig.2-3: V1の電位はGNDと同電位だとわかる


抵抗値や電流・電圧を計算しやすい値にしていましたが、肝心なのは比率だけなので、実際の回路設計で使いやすい値に変更しても同じことです。(Fig.4-5)


004_20120204024427.png

005_20120204024427.pngfig.4-5: より現実的な回路定数として、R1を10kΩにI1を100uAに変更


これを90度回転させると、よく見慣れた反転増幅回路となります。(fig.6-7)


006_20120204024427.png

007_20120204024508.pngfig.6-7: 一般的な反転増幅回路


もう少し複雑な回路:加算回路, 対数増幅回路


こういった考え方は、『一見すると複雑な回路』の動作を考えるときに役に立つかもしれません。

たとえば、先ほどの反転増幅回路において電流源の数を増やせば加算回路になります。


008_20120204024507.png

009_20120204024815.pngfig.8-9:加算回路


また、R1の代わりに抵抗以外の素子を入れると、その素子の特性を反映した増幅回路になります。
一例として、ダイオードを入れた回路を紹介します。


010_20120204024507.png

011_20120204024506.pngfig.10-11:素朴なログアンプ


ダイオードの電流-電圧特性は、指数(対数)関数的です。
したがって、増幅回路も線形ではなく指数(対数)的なものになります。

『一見すると複雑な回路』もヴァーチャルショートを仮定すると、挙動が追いかけやすくなります。
ただし、OPアンプ素子そのものは、負帰還をかけた増幅回路としても、負帰還をかけないコンパレータとしても使われることがあるので、注意が必要です。(その両方のようなトリッキーな回路にも需要があるようです:しきい値付近で線形増幅器になるコンパレータ)

補足:ログアンプの温度特性


fig.10に示した素朴なログアンプは、通常、実用的ではありません。その原因は、帰還素子として利用するダイオードの温度特性が極端であるからです。

前述の素朴なログアンプを、LTspiceで温度解析したものがfig.12-13です。20℃から50℃まで温度変化が出力に与える影響は、入力電圧に換算すると最大で一桁程度の変化に相当します。


012_20120204024506.png

013_20120204024524.pngfig.12-13:素朴なログアンプの温度解析(20-50℃)


よほど限られた用途以外では、これだけ大きな変動は許容されないはずです。そのため、ログアンプは温度補償を必要とします。温度補償の詳しい解説は、岡村 廸夫著 定本 OPアンプ回路の設計等に書いてあります。

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付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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tag: LTspice OPアンプ  

OPアンプのバイアス電流と高抵抗

一般的に、OPアンプ回路に使う抵抗は1k-100kΩ程度が良いとされています。しかしながら、ほとんどの使い方では、メガオーム以上の抵抗を使うことがないので、高抵抗を使うとどうなるのかを実感することは、多くありません。
今回は、低周波数のフィルタ回路を作る際に、OPアンプの入力バイアス電流の大きさと抵抗値の関係性が問題になった例を紹介します。

001_20120128192250.png 002_20120128192249.png 003_20120128192249.png 004_20120128192248.png


カットオフ周波数100mHzのハイパスフィルタ


趣味の電子工作で作るフィルタの帯域は、可聴域であることがほとんどで、広帯域のフィルタと言われると、高い周波数まで性能がよいフィルタということになります。

しかし、今回は、それとは逆の話で、低周波数の交流フィルタ回路の話を紹介します。
地惑実験(電子回路)のときの話です。
(厳密に言うと、回路設計や対処をしたのは私が休んだ日の話なので、私がやったのは、後日行った原因解明です。)

地震の研究は、地球惑星科学の中でも王道のひとつです。地震による建物の固有周波数は、およそ数Hz程度です。
地球惑星科学科の電子回路実習では、実験室がある建物の固有周波数が計測できれば面白いということで、秋月電子通商の3軸加速度センサをデータロガーに接続して、計測を行いました。

秋月の加速度センサは、単電源動作をさせるため、出力電圧にVcc/2のバイアスがかかっています。しかしながら、これでは、信号を増幅する際うっとおしいので、交流結合して直流分をカットしてしまおうと思いました。ただし、計測したい信号周波数が低いため、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を低くしなければなりません、そんなわけで設計した100mHzのハイパスフィルタがfig.1-2です。


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002_20120128192249.png

fig.1-2: カットオフ周波数100mHzのハイパスフィルタ


しかしながら、この回路を実際に組んでみると、期待通り動作する学生と、無信号時でも出力に数百mV程度のオフセット電圧が乗ってしまう学生とが出てきました。
それぞれの回路を比べると、どうやらOPアンプにuA741を選択した学生の回路ではオフセット電圧が発生し、TL071を選択した学生にはオフセットが現れないということでした。

原因はOPアンプのバイアス電流


uA741は、バイポーラトランジスタ入力のOPアンプです。これに対して、TL071はJFET入力のOPアンプです。
これらの構成上の違いは、OPアンプの入力インピーダンスに現れます。

uA741の入力バイアス電流の標準値は80nAで、TL071の65pAと比較すると3桁以上悪い値です。
バイアス電流の影響をモデル化するためにfig.1の回路の非反転入力端子に電流源I1を接続し、出力にあらわれるオフセット電圧のシミュレーションを行いました。


003_20120128192249.png
004_20120128192248.png

fig.3-4: 入力バイアス電流が出力のオフセットに与える影響


シミュレーション結果fig.4から明らかなように、バイアス電流10nAあたり100mVのオフセット電圧が発生しています。これは、数十nAのバイアス電流を持つuA741を使った学生の回路で数百mVのオフセットが見られたことを定量的に説明できます。

電流源I1の電流はR2に流れることにより電位差を発生させます。この電圧が出力のオフセット電圧の原因です。したがって、(C2を大きくできる、カットオフ周波数がより高いなどの理由で)R2の値が小さければ出力のオフセットはより小さくなることになります。

高抵抗・高容量を必要とする回路


一般論として、OPアンプの帰還抵抗や入力抵抗に利用する抵抗の値は1k-100kΩ程度が良いと言われています。
可聴域のフィルタを作っている限りは、メガオームを超える抵抗を扱うことはほとんどないので、抵抗値が高すぎることに頭を悩ますことは稀でした。

フィルタ回路だけでなく、発振回路の場合も、低周波数を実現するためには高抵抗・高容量の素子が必要になります。
高容量かつ高精度のコンデンサは高価なので、結果的に高抵抗を使うことを選ばざるを得ないことはあると思います。
今回の問題の本質は、uA741がTL071よりも劣っていたというよりは、高抵抗を使うような設計に対して無神経であったところにあると思います。

関連エントリ




付録


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tag: LTspice OPアンプ 

LMC662で試作チョッパアンプ

汎用OPアンプをチョッピングで高精度化の方法を用いて、実測で約440μVの入力オフセット電圧を持つLMC662を低オフセット化する実験を行いました。このチョッパアンプのオフセット電圧の測定をしたところ、約55μVとなり、実際にオフセット電圧が小さくなっていることが確認できました。

004_20110328022019.png 005_20110328022019.png



LTspiceでのシミュレーション


汎用OPアンプをチョッピングで高精度化では、PICなどのマイコンと組み合わせることによって(オフセットの小さくない)汎用OPアンプを利用して、微小電圧の高精度測定を行うシミュレーションを行いました。


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fig.1: マイコン利用チョッパアンプのスケマティック

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fig.2: 入力電圧-出力電圧特性。横軸が入力電圧で、縦軸が出力電圧。赤で示したラインがチョッパ増幅器の出力電圧を表していて、緑が理想的な出力電圧をあらわしています。


その結果、5mVの入力オフセット電圧を持つOPアンプでも0-25mV程度の微小電圧を測定することができることがわかりました。
そこで今回は、現実のOPアンプでもシミュレーション通り低オフセット化が実現できるのかを確認するために、単電源OPアンプLMC662を対象に実験を行いました。

回路構成


利用した回路の概念図をfig.3に、もう少し詳細な回路図をfig.4に示します。


003_20110328022007.png
fig.3:測定回路の概念図

004_20110328022019.png
fig.4:ChopAMPの詳細な回路図


制御用のPICマイコンは8ピンのPIC12F683を利用しました。
基準電圧源には、鈴商で購入したLM4040で作成した4.096Vを利用しました。
A/D変換後のデータは、シリアル通信で(別のPICに接続した)キャラクタLCDに表示しました。
被測定用の微小電圧は、5mΩの抵抗(ミリオーム抵抗 前編)に0-5Aの電流を流すことによって生成しました。電源はHP6632Aシステム電源、電流とシャント電圧の測定はR6452Aデジタルマルチメータを利用しました。

測定結果


測定結果をfig.5に示します。


005_20110328022019.png
fig.5: マイコン利用自作チョッパアンプの測定結果


緑の十字シンボルが実測値で、赤のラインは測定値を線形フィッティングしたものです。

Vout = a * Vin + b
(Vout: 出力電圧, Vin:入力(シャント)電圧, a:ゲイン, b:出力オフセット電圧)

フィッティングの結果から a=102.129, b=0.0055435 という値が得られました。
従って、入力換算オフセット電圧が約55μVと求められました。

通常の差動増幅回路との比較


比較のために同じ個体のLMC662で通常のゲイン100倍の差動増幅回路を構成し、フィッティングから入力換算オフセット電圧を計算したところ440μVとなりました。

もともと入力オフセット電圧の低い個体だったようですが、それでも入力オフセット電圧の影響が、チョッピングによって改善されていることがわかります。

四端子法の必要性に対する補足


ただし、ミリオーム抵抗 後編での考察の通り電流測定を行う際には、正しい四端子測定を行わないと測定値が正しく得られません。

そういった意味では、今回のチョッパアンプは、シャント抵抗のプラス側とマイコンのGND端子の間の電圧を測定していることになるので、四端子測定とは言えません。
技術奴隷さんの指摘の通り、入力側のチョッピングは外付けスイッチを用意した方がよさそうです。

一方で、R6452Aデジタルマルチメータは、fig.3に示したとおりちゃんと四端子測定になるように接続してしまったので、今回のチョッパアンプの出力と直接比較することは、厳密に言うならば、できないということになります。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したBsch3V形式回路図ファイルとチョッパアンプの測定データを添付します。回路図は、ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。



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