AkaiKKRのk点メッシュ

AkaiKKR(machikaneyama)の計算に使われるk点の数は、入力ファイルの bzqlty で指定されます。計算で実際に使われた既約的ブリルアンゾーンのk点の数は、出力の nk に表示されます。

計算に使用したk点の数の表し方には、既約的ブリルアンゾーンの中のk点数のほかに、全ブリルアンゾーンの中でそれぞれの逆格子ベクトルをメッシュ状に何分割したかを N1 × N2 × N3 のような形で表すやり方もあります。
この分割数の情報は、通常出力されないのですが、必要なら source/bzmesh.fend 文の直前に以下の行を追加することで、出力されるようにできると教えていただきました。

      write(*,'(3x,3(a,i3))')'nfa=',nfa,'  nfb=',nfb,'  nfc=',nfc


fcc等の立方晶の場合は単純に nfa=nfb=nfc=bzqlty となります。

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tag: AkaiKKR machikaneyama KKR bzqlty 

AkaiKKRのewidth対応表

AkaiKKR(machikaneyama)を使って状態密度(dos)やバンド構造(spc)を計算する場合、セルフコンシステント計算(go)のときと ewidth の範囲が異なります。(参考: AkaiKKRのewidth その1, その2)

デフォルトでは、go計算よりdos計算やspc計算のときに1/4だけエネルギー範囲が正の方向へずらしてあります。
したがって、go計算のときにエネルギー範囲の底がコアにかかっていないかを確認したいときには、状態密度(dos)やバンド構造(spc)を計算するときに、すこし大き目の ewidth を選ばなければなら無い事になります。別に厳密な値にしなくてもいいのですが、キリのよさそうな値を一覧にしました。

godos/spc
0.60.8
0.91.2
1.21.6
1.52.0
1.82.4
2.12.8
2.43.2
2.73.6
3.04.0
table.1: go計算とdos計算で計算範囲の底が同じになるようにするためのewidthの設定値


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tag: AkaiKKR machikaneyama KKR ewidth 

AkaiKKRでPd-Rh二相共存領域

二元系の状態図には、全率固溶型や共融型などいくつかのパターンが存在します。Pd-Rhの二元系では、端成分が共に面心立方構造となっています。そのため高温では固溶体となります。しかしながら、低温では二相に分離します。今回はAkaiKKR(machikaneyama)を利用して、この境界となる温度を求めてみます。

Pd-Rh-520.png

Fig.1: Pd-Rh二元系の合金状態図とAkaiKKR(machikaneyama)によって計算された固溶と二相共存の境界温度(紫:マフィンティン近似, 緑:原子球近似)



熱力学


全エネルギーの組成依存性が上に凸の形になる場合、定性的に二相分離が予想されます。境界温度を推定するためには、二相分離した状態と固溶した状態のギブスエネルギーの差がゼロになる条件を探せばよいことが分かります。

\begin{equation}
G = E + PV - TS
\end{equation}

まず、常圧のみを考えると P≒0 としても影響はほとんどありません。エネルギー E の項には、第一原理計算から得られる全エネルギーの他に格子振動の寄与などが考えられますが、二相分離状態と固溶状態の差は小さいと仮定して無視します。

エントロピーSについても配置のエントロピーのほかに格子振動の寄与などが考えられますが、配置のエントロピーのみを考えることにします。するとRh濃度が x のときの全エネルギーの差と、固溶体の配置のエントロピーは、以下の様になります。

\begin{equation}
\Delta E(x) = E_{\mathrm{Pd_{1-x}Rh_{x}}} - \{ (1-x)E_{\mathrm{Pd}} + x E_{\mathrm{Rh}} \} \\
S_m(x) = - k_B \{ (1-x)\ln (1-x) + x \ln (x) \}
\end{equation}

したがって求める温度は以下のようになります。

\begin{equation}
T(x) = \frac{\Delta E(x)}{S_m(x)}
\end{equation}

計算手法


AkaiKKR(machikaneyama)を用いてPd-Rh合金系の全エネルギーを計算しました。交換相関汎関数にはpbeを用いました。シェルスクリプトPdRh_sh.txtを用いて、組成と格子定数を変化させながら、各組成における最安定な格子定数とそのときの全エネルギーを決定しました。ポテンシャルの形状は、マフィンティン近似と原子球近似(ASA)の両方を試しました。

全エネルギーを計算する際に、状態密度の計算も行いました。端成分の状態密度に関してはecaljでも計算し、クロスチェックしました。

結果と議論


Fig.2-3に純粋なPdとRhの状態密度を示します。AkaiKKRで計算した結果とecaljで計算した結果が良く一致していることが分かります。

Pd-DOS.png
Fig.2: Pdの状態密度

Rh-DOS.png
Fig.3: Rhの状態密度


Fig.4にPdの体積と全エネルギーの関係をプロットしたものを示します。ゼロ気圧における体積V0とそのときの全エネルギーE0を得るためにBirch-Murnaghanの状態方程式にフィッティングしました。

\begin{equation}
E(V) = E_0 + \frac{9V_0B_0}{16}\left\lbrace \left[ \left( \frac{V_0}{V} \right)^{\frac{2}{3}} -1 \right]^3 B_0^\prime \\
+ \left[ \left( \frac{V_0}{V} \right)^{\frac{2}{3}} -1 \right]^2 \left[ 6 -4 \left( \frac{V_0}{V} \right)^{\frac{2}{3}} \right] \right\rbrace
\end{equation}

PdRh_0.png
Fig.4: Pdの体積と全エネルギーの関係


フィッティングする体積の範囲はV0付近でフィッティング結果が良くなるように適切に選びます。

得られた全エネルギーから固溶と二相分離の境界の温度をプロットしたのがFig.1です。計算結果は、二元合金状態図集の状態図と比較してあります。Pd-Rh合金の計算ではASAの結果が実験結果を驚くほどよく再現しています。しかしながら、今回のような良い結果が得られるのは、どうやら周期表で同じ周期に隣接している元素同士の合金だけのようです。

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tag: AkaiKKR machikaneyama KKR CPA 二相共存 状態密度 DOS 

AkaiKKRでウルツ鉱構造ZnO

AkaiKKR(machikaneyama)をもちいてAkaiKKRでルチル構造SnO2 その1その2ではルチル構造の計算をし、AkaiKKRで岩塩構造 BaO2では岩塩構造の計算をしました。今回はそれらに続いてウルツ鉱構造のZnOの計算を行います。

wZnO.png
Fig.1: ウルツ鉱構造のZnO



ウルツ鉱構造


Fig.1に示したのがウルツ鉱構造のZnOです。亜鉛原子を六方最密充填構造のように配置し、その四面体格子間位置のうち、半分のサイトを酸素が占めたような結晶構造をしています。この入力ファイルは、以下のようにしました。
四面体サイトのうち半分しか酸素が存在しないので、残りの格子間位置にも空孔をおくほうが精度が上がる可能性はありますが、今回はそのままにしてあります。

c------------------------------------------------------------
go data/ZnO
c------------------------------------------------------------
c brvtyp a c/a b/a alpha beta gamma
hcp 6.1415 , 1.602064 , , , , ,
c------------------------------------------------------------
c edelt ewidth reltyp sdftyp magtyp record
0.001 1.5 sra mjw nmag 2nd
c------------------------------------------------------------
c outtyp bzqlty maxitr pmix
update 8 200 0.035
c------------------------------------------------------------
c ntyp
2
c------------------------------------------------------------
c type ncmp rmt field mxl anclr conc
Zn 1 1 0.0 2
30 100
O 1 1 0.0 2
8 100
c------------------------------------------------------------
c natm
4
c------------------------------------------------------------
c atmicx atmtyp
1/3a 2/3b 0c Zn
2/3a 1/3b 1/2c Zn
1/3a 2/3b 0.3819c O
2/3a 1/3b 0.8819c O
c------------------------------------------------------------


結果


Fig.2-3がZnOのバンド構造と状態密度です。やはり、バンドギャップが小さく出ていて、半導体なのか金属なのか微妙です。

wZnO-DOS.png
ZnO-band.png

Fig.2-3: ウルツ鉱構造ZnOの状態密度とバンド構造


フェルミエネルギー付近を拡大した計算を行うと(ewidth=0.8Ry)、一応バンドギャップがあるらしいことは確認できます。ただし、フェルミエネルギーが価電子帯の中にめり込んでしまっています。前回同様、この点は気にし無い事にします。

ZnO-band2.png

Fig.4: フェルミ準位付近を拡大したバンド構造


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AkaiKKRでルチル構造SnO2 その2

AkaiKKRでルチル構造SnO2 その1と同様にルチル構造のGeO2とTeO2の状態密度とバンド構造を計算しました。

002_20160710125630226.jpg
Fig.1: ルチル型結晶構造



ルチル構造半導体


AkaiKKRでルチル構造SnO2 その1では、ルチル構造を持つSnO2のバンド構造と状態密度の計算をしました。ルチル構造を持った化合物としては、他にGeO2等があります。また、TeO2もルチル構造に良く似た結晶構造です。そこで今回は、前回と同様にこれら2種類の物質のバンド構造と状態密度の計算を行いました。

入力ファイル


格子定数はSvane and Antoncik (1987)にあわせて以下の値を用いました。

SnO2GeO2TeO2
a (Å)4.737 4.3954.790
c/a0.6730.65050.787
u0.3070.3070.31
table.1: 格子パラメータ


原子番号はそれぞれ8O, 50Sn, 32Ge, 52Te です。
前回と同様に ewidth の選び方は難しいのですが、今回の二つの場合は、コアを含めずに収束させました。go計算の入力ファイルは、以下のようになりました。

c------------------------------------------------------------
go data/GeO2
c------------------------------------------------------------
c brvtyp a c/a b/a alpha beta gamma
st 8.305, 0.6505, , , , ,
c------------------------------------------------------------
c edelt ewidth reltyp sdftyp magtyp record
0.001 1.8 sra vwn nmag 2nd
c------------------------------------------------------------
c outtyp bzqlty maxitr pmix
update 4 200 0.023
c------------------------------------------------------------
c ntyp
2
c------------------------------------------------------------
c type ncmp rmt field mxl anclr conc
Ge 1 1 0.0 2
32 100
O 1 1 0.0 2
8 100
c------------------------------------------------------------
c natm
6
c------------------------------------------------------------
c atmicx atmtyp
0.0a 0.0b 0.0c Ge
1/2a 1/2b 1/2c Ge
0.307a 0.307b 0.0c O
0.693a 0.693b 0.0c O
0.193a 0.807b 1/2c O
0.807a 0.193b 1/2c O
c------------------------------------------------------------


結果


Fig.2-3が GeO2の状態密度とバンド構造で、Fig.4-5がTeO2の結果です。どちらの結果もフェルミエネルギーが伝導帯に少しめり込んでしまっていますが、今は気にし無い事にします。

GeO2-DOS.png
GeO2-band-narrow.png
Fig.2-3: GeO2の状態密度とバンド構造


TeO2-DOS.png
TeO2-band-narrow.png
Fig.4-5: TeO2の状態密度とバンド構造


GeO2は、明らかに大きなバンドギャップが開いています。TeO2は、状態密度だけを見るとバンドギャップに重なりがあるようにも見えますが、バンド分散のほうを見るとどうやらバンドは開いているようです。

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