Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎

Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎を購入したので、ざっと目を通した段階ですが、簡単に紹介します。



この書籍は、PICマイコンとPCをRS232Cでシリアル接続し、木下隆さんのEasyCommを利用して、Excel上から計測・制御を行う方法を解説したものです。

内容的には、PICマイコン回路の基礎、シリアル通信の基礎、Excel VBAの基礎を全て解説した上で、ZigBeeを用いた無線計測への応用まで触れられています。

PICマイコンそのものの入門書としては物足りなさがありますが、特にシリアル通信に着目してExcel VBAの使い方を解説した本は多くないので、既にマイコンや電子工作そのものにある程度の知識がある人で、自作回路をパソコンから制御したいという方には良い書籍だと思います。

(ずいぶん限定的な読者層のように感じられる書き方ですが、こういう人って意外に多いのではないかと思っています。私も含めて。)


データの記録


データロガーを作るときには、そのデータを記録する媒体が必要です。最近では、SDカードを扱えるソフトウエアライブラリもたくさんあるようなので、ポータブルなデータロガーも簡単に大容量のものが製作できます。

一方で、ポータブルである必要が無い用途では、PCを活用するのが簡単です。PCカメラでなんでも同期データロガーでは、PCに接続したカメラを一定間隔で撮影することで、簡単にデータ計測ができる方法を紹介しました。この方法は、既存の計測器をそのまま手を加えずに利用できるという点でとても便利です。

一方で、連続的にデータを取りながら、その傾向をリアルタイムでグラフ化し、場合によっては測定条件を変えてデータの計測を行うといったような、少し複雑なことをするにはPCとの双方向通信が必要です。

そんなわけで、Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎では、センサとの接続をPICマイコンで行い、シリアル通信でPCにデータを転送し、Excelでグラフ化するところまで一通りの方法が解説されています。

この本の具体的なところは...


最初に気になるところは、紹介している開発環境が微妙に古いところです。

開発環境バージョン
使用マイコンPIC16F88
MPLAB8.1
コンパイラCCS-C
Excel2007
WindowsVista(32bit)
table.1: 開発環境とバージョン


PC側の開発環境はWindows Vista(32bit)ですが、Window 7(64bit)でも動作確認は出来ているとのことです。Excelのワークシートは2007で作ったものと、Excel97-03形式に変換したものがCD-ROMに付属しているようです。

PIC側の開発環境は、MPLABのバージョンが古いことはともかく、有償のCCS-Cコンパイラを使っているところは少し気になります。

そういった所まで含めて考えると、マイコン自体の入門は、ほかの書籍で済ませて、この本ではシリアル通信関連のExcel VBAの勉強をするというのが正しい使い方だと思います。(シリアル通信が出来さえすれば、なにもPICマイコンにこだわる理由も無く、PSoCでもAVRでもルネサスでも、マイコンの種類はなんでも応用できます。)

Excel VBAの解説は、多くの紙面が割かれている訳ではないにせよ、必要最低限な部分は押さえてるように思います。
ただ、当然ながら万全ではないので、必要に応じてExcel VBA自体の入門書も検討する必要があるかもしれません。

書籍のサブタイトルでも触れているZigBeeは、最後の章におまけのように載っているだけですが、それ以前の章を理解していれば充分応用が出来るレベルだと思います。とは言うものの、ZigBeeの入門書ではないことは理解しておくべきです。

付属CD-ROMには
  • Excel2007/97-2003形式のエクセルシート
  • PICのC言語ソースファイル/HEXファイル
  • PCBE用のプリントパターンファイル

が付属しているようです。

以下、Excelを用いた計測制御入門―ZigBeeによる無線制御の基礎の目次です。

第1章 計測制御の基礎
 計測制御とは
 パソコンによる計測制御
 マイコンの概要と働き
 センサの基礎
 A/Dコンバータの基礎
第2章 USBを利用したRS232C制御の基礎
 USB-RS232C変換
 COMポート(RS232C)とは
 RS232CとPICマイコンのUSART機能
 ADM3202ANの利用
第3章 PIC16F88とソフトウェア
 PIC16F88の利用
 開発ツール(MPLAB IDEとCCS-C)
 コンパイラ言語(CCS-C)の利用
 C言語プログラムの構成
 ターミナルソフト(Rs232c)で信号確認
第4章 RS232C通信を利用したPICマイコン制御
 制御基板1の製作
 制御基板1の回路とマイコン設定
 プログラム開発と信号確認
 A/D変換処理の基本
 A/D変換の精度向上について
 基準電圧を設定したA/D変換処理
第5章 Excel VBAの基礎
 Excel VBAの準備
 Excel VBAの概念
 Excel VBEの基本知識
 Excel VBAの構文
 Excel VBAの基本構文
 UserFormの利用
 イベントの操作
 グラフの作成と操作
 マクロの記録
第6章 Excel(VBA)を利用した計測制御
 制御基板2と回路
 プログラム開発
 EasyComm(VBAモジュール)でシリアル通信
 計測プログラム(基本)
 計測プログラム(応用)
第7章 ZigBeeの基礎
 ZigBeeとは
 ZIG-100B(ZigBeeモジュール)の概要
 ZIG-100Bの利用
 ZIG-100Bを利用した無線計測
 コラム
 PIC12F675を利用したAC電力制御
 GPS通信回路と地図表示
 バッテリーカーの電力表示と記録
参考文献
巻末付録
索引


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tag: 自動計測 データロガー Excel PIC OPアンプ 

PCカメラでなんでも同期データロガー

千石ガイガーキットのバックグラウンド経時変化では1分おきに1時間データの測定をしました。

データの自動計測と言うと、計測器とパソコンを接続するためのハードウエアや自動計測のためのソフトウエアといった難しそうなイメージがありますが、市販のUSB接続のカメラと無料ソフトを使えば、極めてお手軽に実現できます。

  1. PCにUSBカメラを接続
  2. カメラに写るように計測器を設置
  3. フリーソフトを使って一定間隔で写真を自動撮影


ログを採ると言うこと


据え置き型のデジタルマルチメータや三和のPC500aをはじめとする一部の高価なデジタルテスタは、PCと接続してデータのログをとることが出来るようになっています。しかしながら、アマチュア電子工作で使われるようなMAS830Lなどの一般的なデジタルテスターにはそういった機能は普通は付いていません。



また、テスターに限らず、多くの安価な計測器はPCとの接続機能や長期間のログ採取機能を持ち合わせていません。
千石ガイガーキットのバックグラウンド経時変化では、八ヶ岳クラブの出しているCK1026ガイガーカウンターキットのバックグラウンド計測を1時間にわたり1分おきに計測しました。


001_20110614090106.png
fig.1: 測定結果、横軸が時間でデータは1分間隔で採っている


と、言うと、ストップウオッチ片手にガイガーカウンターに張り付くようなイメージがありますが、計測自体はPC接続のカメラと一定間隔で撮影をしてくれるソフトウエアがあれば、放って置くだけで完了します。
準備も簡単です。
プログラミングとか工作とか必要ありません。
ただ、撮った写真から数字を読み出すことだけは目視でやら無いといけないので、面倒くさいです・・・。

カメラの準備


まずカメラについてです。
計測した表示機の数字が読み取れる程度で充分なので、使用するカメラは安物のUSB接続カメラで問題ありません。ノートPCの中にははじめからビデオチャット用のカメラが付いているものがあるかもしれませんが、それでも大丈夫です。

下記は、Amazonで検索した安いUSBカメラですが、もっと低いスペックのもの、秋葉原の店頭でワゴンセールされているものでも充分なはずです。



LiveCapture!で写真を撮る


まず、接続したウエブカメラで写真を撮るためのソフトをインストールします。
ワンクリックで静止画撮影が出来るソフトなら何を使っても構いません。購入したUSBカメラにもソフトが付属しているかもしれません。

私は、この種類の無料ソフトの中では最も有名なLiveCapture2を利用しています。

RGBClickで他のソフトと同期させる


次に、定期的に画像をキャプチャさせるためのソフトウエアを紹介します。
RGBクリックは、画面上であらかじめ指定しておいたポイントを一定時間間隔で自動的にクリックしてくれるソフトです。このソフトを使えば、定期的にUSBカメラの画像を撮影することが出来ます。


snap0000.jpg

snap0001.jpg

snap0002.jpg
fig.2-4: 一定間隔で写真撮影


さらに、クリックする箇所は複数箇所指定できるので、写真撮影の後にデジタルマルチメータからデータの読み出しなどをさせるといったことが出来ます。

一例として、抵抗の温度依存性について調べることを考えます。

セメント抵抗の温度特性 その1その2では、セメント抵抗の自己発熱によってどの程度の抵抗値の変化があるのかを調べました。

さらに、周囲温度によって抵抗がどのように変化するかを調べるには、周囲温度と電気抵抗の両方を同時に測定する必要があります。
温度の測定は市販の温度計をUSBカメラで撮影、抵抗の測定はPC接続可能なデジタルマルチメータを使うとしても、これらの測定を同期させて行いたいと言う要求が発生します。

RGBクリックを使えば、クリックの組み合わせだけでデータを取得できるありとあらゆるソフトに対して同期した動作をさせることが出来ます。

実際にRGBクリックをつかってデータロガーを構成する場合の注意事項を書きます。

まず、自動的に立ち上がる可能性のあるウイルス対策ソフトやWindowsUpdateはOFFにしておく必要があります。スクリーンセーバーや一定時間でスリープや休止モードに入る設定も解除しておく方がいいでしょう。
さらに言うならば、Windows Updateやウイルス対策がOFFの無防備な状態で長時間置くことになるので、インターネットからも切断して置くことを進めます。

もうひとつ。
私が使っていたバージョンのRGBクリックはPCの時計で24時を越えるタイミングでクリックを行わなくなる挙動を示していました。

私の用途では、24時間を越える計測を行ったことは無いので、測定を始める前にあらかじめPCの時計を午前0時に設定する(時計を狂わせる)ということをしていました。こうすることで24時間未満の計測は可能です。
新しいバージョンでどうなっているかは、まだ調べていません。

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