Scilabの論理演算で条件分岐

Scilabで条件分岐:テント写像ではif then elseを利用して条件分岐のプログラムを書きました。
しかしながらScilabで繰り返し計算: ロジスティック写像で指摘したとおりScilabではループ計算をさせるととたんに計算速度が遅くなります。

前回のプログラムではif then elseを使うためにforループを二重になってしまっています。
そこで今回は、論理演算を用いてループが減るようにしました。

texclip20130718112739.png

nmax = 200;
nout = 100;

Mu = [1:0.001:2];
X = 0.5 * ones(nmax,length(Mu));

for n = 1: nmax - 1 do
X(n+1,:) = Mu .* X(n,:) .* (X(n,:) < 0.5) + ..
Mu .* (1.0 - X(n,:)) .* (X(n,:) >= 0.5);
end

plot(Mu,X(nout:nmax,:),'.r','markersize',1)
xlabel("$\mu$");
ylabel("$x_n$");



論理演算


Scilabでは結果をT(true, 真)とF(false, 偽)で返す論理演算があります。
例えば、以下のようなものです。
M = [0:0.1:1]
M > 0.5
この結果は F F F F F F T T T T T といった様に要素にTとFを持つ行列になります。

これを F=0,T=1 の数値としてそのまま計算に使うことが出来ます。例えば
M = [0:0.1:1]
1 * (M > 0.5)
の結果は 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 です。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)




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Scilabで条件分岐:テント写像

Scilabで繰り返し計算: ロジスティック写像ではforを使ったループを利用してカオス理論に現れるロジスティック写像の図を描くプログラムを作成しました。

今回は、更に条件分岐をプラスしてテント写像のプログラムを作成します。

001_20130718113839.png

Fig.1: テント写像の分岐図



Wikipediaのテント写像の項にある通り、テント写像は以下の式で表されます。

texclip20130718112739.png


条件分岐はScilabではifを使って実現することが出来ます。(参考:if then else)
Scilabで繰り返し計算: ロジスティック写像の繰り返し計算を入れ子にしたものに少し手を加えるだけでテント写像のプログラムになります。

nmax = 200;
nout = 100;

Mu = [1:0.001:2];
X = 0.5 * ones(nmax,length(Mu));

for m = 1:length(Mu) do
for n = 1: nmax - 1 do
if X(n,m) < 0.5 then
X(n+1,m) = Mu(m) * X(n,m);
else
X(n+1,m) = Mu(m) * (1 - X(n,m));
end
end
end

plot(Mu,X(nout:nmax,:),'.r','markersize',1)
xlabel("$\mu$");
ylabel("$x_n$");


なお、Scilabのグラフのラベルには$記号で囲うことによってTeX形式で文字を書くことが出来ます。(参考:Scilabのグラフの凡例)

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このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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Scilabで繰り返し計算: ロジスティック写像

Scilabを使えば、非常に簡単に数値計算のプログラムを書くことができます。例えば、たった8行のプログラムでFig.1のような計算が出来てしまいます。

今回は、プログラミングの基本のひとつであるループ処理の例としてロジスティック写像の計算を行いました。Scilabはインタープリタなので、ループ処理は苦手です。そのため出来る限りループを無くすようにする実例にもなっています。

001_20130520003209.png
Fig.1: ロジスティック写像。横軸が繁殖率a、縦軸が100世代目から200世代目までの個体数X(n)。



ロジスティック写像


生物の個体数Xが世代nに従ってどのように変化するかという研究からロジスティック方程式というものが知られています。

X(n+1) = a \times X(n) \times (1-X(n))

この式の見た目はとても簡単であるにもかかわらず、個体数の初期値X(1)や繁殖率aに対して、充分時間がたったときの個体数(例えば100世代目の個体数X(100)など)が非常に敏感に反応するため、カオス理論と関連して議論される面白い方程式となっています。(参考:ロジスティック写像:長崎県立大学伊藤研究室)

002_20130520024958.png
Fig.2: 繁殖率aに関して 3 < a < 4 の部分を拡大したもの


また、数値計算の例題としてもシンプルな繰り返しのコードで思いもよらないほど複雑な、かっこいい結果が得られるので良く見かけます。Fig.1,2はロジスティック方程式を繁殖率aを0<a<4の間で計算したもので、縦軸に個体数X(n)を100 < n < 200の範囲でプロットしてあります。個体数の初期値はX(1)=0.2としました。
本エントリではScilabを用いたループ計算の例としてこのロジスティック写像のプログラムを紹介します。特にScilabのようなインタプリタではループ処理と非ループ処理で計算速度に大きな差が出るため、この点についても書きます。

繰り返し計算


まずは、簡単のために繁殖率をa=3.5に固定して、世代数nを順次変化させるプログラムを書きます。
Scilabで繰り返し処理をするにはforを使います。(参考:繰り返し:Scilab簡易リファレンス-PukiWiki)

nmax = 50;

a = 3.5;
x = 0.2 * ones(nmax,1);

for n = 1: nmax - 1 do
x(n+1) = a * x(n) * (1.0 - x(n));
end

plot(x,'o-r');
xlabel("n");
ylabel("X(n)");

plot([0,0],[0,1]);


最後の行の(0,0)と(0,1)のプロットは描画領域を調整するためのダミーです。


003_20130521000718.png
Fig.3: a=3.5 X(1)=0.2のときの個体数X(n)の世代発展


Fig.3を見ると30世代ぐらいまでは過渡領域で、それ以降は4つの値を行き来していることが分かります。
Fig.1-2は充分時間がったったときの個体数で、a=3.5において4つの値を行き来する事は四本の線に分かれている事から読み取れます。

繰り返し計算の入れ子


それでは次にFig.1-2を描くプログラムについて考えます。
先ほどは世代数nを変更するために繰り返し命令forを使いました。このことを応用してforを入れ子にすれば、さらに繁殖率aを変更した繰り返し計算のプログラムがかけます。

nmax = 200;
nout = 100;

A = [0:0.001:4];
X = 0.2 * ones(nmax,length(A));

for m = 1:length(A) do
for n = 1: nmax - 1 do
X(n+1,m) = A(m) * X(n,m) * (1.0 - X(n,m));
end
end

plot(A,X(nout:nmax,:),'.r','markersize',1);

このプログラムは悪くないのですが、ベストではないです。

繰り返し計算は出来れば避ける


ループ計算は遅いので,できるだけ使わないでは、同じ内容の計算であってもForループの有無により数10倍計算速度が変わる例が示されています。

ループを使わずに済ませることができるかどうかはケース・バイ・ケースなのですが、今回は入れ子にせずとも1段階のループで処理することが出来ます。
今回のロジスティック写像のプログラムは、私の環境では数10倍どころか、ループ部分の計算時間が約14秒から約0.03秒まで短縮できました。(もっとも、そのあとのグラフの描画に数秒程度かかってしまうのですが。)

nmax = 200;
nout = 100;

A = [0:0.001:4];
X = 0.2 * ones(nmax,length(A));

for n = 1: nmax - 1 do
X(n+1,:) = A .* X(n,:) .* (1.0 - X(n,:));
end

plot(A,X(nout:nmax,:),'.r','markersize',1);


ただし、Scilabは細かいことを気にせずにプログラムが書けることが最大の利点なので、計算速度向上のために腐心して時間を無駄遣いするぐらいなら、多少効率が落ちようともさっさとコードを書いてしまうほうがいいという面もあります。

関連エントリ




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このエントリで使用したScilab用のソースコードを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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