PWscfの擬ポテンシャル

AkaiKKR(machikaneyama)ecaljが全電子法を採用しているのに対して、Quantum ESPRESSO(PWscf)は擬ポテンシャル法を採用しています。そのためバンド計算を行うためには、入力ファイルとは別に擬ポテンシャルファイルを用意する必要があります。さらにカットオフエネルギーというパラメータを設定しなければいけません。今回のエントリでは、PWscfの擬ポテンシャルファイルに関する基礎知識について書きます。


同じ元素に対しても擬ポテンシャルファイルには色々な種類があるようです。

交換相関汎関数


AkaiKKRやecaljの場合と同様に、交換相関汎関数にどのタイプを使うかを選択できます。計算結果は、どの汎関数を利用するかによって変わってきます(参考: AkaiKKRでLDAとGGA その1, その2)。
どれを使うかのが一番よいのかは、ケースバイケースなのでしょう。とりあえず PBE から試すのが最近の流行なのでしょうか。

擬ポテンシャルファイルの種類


擬ポテンシャルファイルには、以下の3種類の分類があるようです。

  • ノルム保存型
  • ウルトラソフト
  • PAW(Projector Augmented-Wave)


それぞれに特徴があるので、目的によってどのタイプを使うのかを決めます。ただし擬ポテンシャルの種類によって選択できる元素の種類が限定されます。擬ポテンシャルファイルを自作することも可能らしいですが、そうでなければ計算したい化学組成についてどのタイプの擬ポテンシャルが使えるのかはよく確認しておく必要がありそうです。元素ごとに異なるタイプの擬ポテンシャルファイルを混在させることも可能ですが、出来れば避けたほうが良いだろうと思います。

PAWポテンシャルは、おそらく3つの中で最も新しい方法で、計算の高速さと正確さの両方を同時にあげることが出来るらしいです。ただし新しい手法なので(?)選べる元素の種類は少なそう(?)です。

ノルム保存型は3つの中ではおそらく最も古く、そのため選べる元素の種類も多そうです。

ウルトラソフト擬ポテンシャルは、ノルム保存型よりもカットオフエネルギーを小さく出来る、したがって計算速度を上げることが出来るメリットがあるようです。

カットオフエネルギー


カットオフエネルギーは、計算精度に関するパラメーターです。大きくするほど計算結果が正確になりますが、計算時間が掛かるようになります。したがって、必要充分な値を設定する必要があります。この値は擬ポテンシャルファイルの先頭部分に書いてあることが多いようです。以下は Siの擬ポテンシャルファイル の冒頭部分です。

Generated using "atomic" code by A. Dal Corso  v.5.0.2 svn rev. 9415
Author: ADC
Generation date: 11Sep2012
Pseudopotential type: PAW
Element: Si
Functional: SLA PW PBX PBC

Suggested minimum cutoff for wavefunctions: 38. Ry
Suggested minimum cutoff for charge density: 151. Ry
The Pseudo was generated with a Scalar-Relativistic Calculation
L component and cutoff radius for Local Potential: 2 2.0000


波動関数のカットオフエネルギーの最小値は 38 Ry で、電荷密度のカットオフエネルギーの最小値は 151 Ry であると書かれています。利用する全ての擬ポテンシャルファイルの中で、一番大きな値の 1.5 倍程度が目安な様です。


関連エントリ




参考URL




参考文献/使用機器




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