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Scilabでイジング模型 その3

Scilabでイジング模型 その2では一次元のイジング模型を用いて磁区が形成されていく様子を確認しました。今回のエントリでは、二次元のイジングモデルで同様の計算をおこないます。

001_20150125120301efd.gif

Fig.1: 二次元イジング模型の時間発展。ランダムな初期状態から次第に磁区が形成されていく様子が観察できる。



二次元のイジング模型


Scilabでイジング模型 その2では計算物理学 応用編ising.cをScilabへ移植しました。今回は、このプログラムを二次元へ拡張します。

二次元の場合、スピンの向きも二次元にする(XY模型)ことも可能ですが、今回は一次元の場合と同様にスピンの向きは二つの状態しかとらないイジング模型として扱うことにします。更に相互作用する粒子は、隣接するものだけであるという仮定もそのまま使うと、主な変更点はスピンを保存する変数であるspinをベクトルから二次元の行列へと変更するところという事になります。
これに伴ってエネルギーを計算する関数も二次元へと拡張します。具体的には、列方向と行方向の両方に対してシフトと乗算を行うというだけですが。

Scilabスクリプト


二次元のイジングモデルのScilabスクリプトはising2d_sce.txtとなりました。

clear;

// *** 定数の設定 ***
n = 20; // 粒子の数
kt = 1.0; // 温度
J = 1; // 交換エネルギー (1: 強磁性, -1:反強磁性)
rand("uniform"); // 乱数は一様乱数とする
tmax = 5000; // 時間の最大ステップ

// *** 初期化 ***
// 各粒子におけるスピン
//spin = ones(n,n); // コールドスタート
spin = 1 - 2 * round(rand(n,n));

isoview(0,n,0,n)

// *** エネルギーの計算関数 ***
function e = energy(spin)
e = - J * sum(spin .* [spin(:,2:n), spin(:,1)]) - J * sum(spin .* [spin(2:n,:); spin(1,:)]);
endfunction

// *** 時間発展 ***
for t = 1:tmax do
oldenergy = energy(spin);
// 粒子を一つ選ぶ
elementx = ceil(n * rand());
elementy = ceil(n * rand());
// スピンを反転
spin(elementx,elementy) = -1 * spin(elementx,elementy);
newenergy = energy(spin);
spin(elementx, elementy) = (- 2 * ((newenergy > oldenergy) & (exp((- newenergy + oldenergy) / kt) <= rand())) + 1) * spin(elementx, elementy);
// スピン状態をプロット
Matplot((spin + 1) .* 15);
end


磁区の形成


強磁性的な相互作用を持つ系に対して、ランダムなスピンをもつ初期状態からスタートすると、終状態までに磁区が形成されていく様子を観察することができます。

002_2015012512030057b.png

003_20150125120300b77.png
Fig.2-3: 初期状態と終状態。ランダムなスピン分布をもっていた初期状態から、磁区が形成された終状態まで時間発展する。


gif動画のためのスクリプト


各時間発展サイクルで、ディスプレイにグラフを描きだす代わりに、画像出力を行うようにしておき、あとからgimpなどの画像編集ソフトを用いることでgif動画を作成することができます。ising2d-gif_sce.txt

関連エントリ




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器



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tag: Scilab 確率論 乱数 イジング模型 モンテカルロ解析 強磁性 反強磁性 

Scilabでイジング模型 その2

計算物理学 応用編ising.cをScilabへ移植しました。

001_20141201124503785.png

Fig.1: 一次元のイジングモデル。コールドスタートから磁区が発達していく様子が再現されている。(n=100, kt=1.5, J=1, tmax=1000)


その結果、交換エネルギーJの符号によって強磁性状態や反強磁性状態が安定になることが確認できました。


一次元のイジング模型


一次元のリング状に原子(磁気双極子)が等間隔で並んでいる一次元結晶を考えます。それぞれの原子がもつ磁気双極子は、三次元空間では、さまざまな方向を向く可能性がありますが、一次元空間の場合は、方向が正と負しかないので、上向きと下向きの2種類のスピンのみを考えます。するとi番目の粒子がもつスピンは+1と-1のどちらかを取るとして si = ±1 と書くことができます。

リンク状の一次元結晶にN個の原子があるとすると、一次元結晶全体のスピンの配置は

j> = |s1, s2, ..., sN>
= {±1, ±1, ... ±1} (j = 1, 2, 3, ... 2N)

という量子状態ベクトルで表すことができます。

具体的に N=3 の場合に書き下してみます。

1> = {-1, -1, -1}
2> = {-1, -1, +1}
3> = {-1, +1, -1}
4> = {-1, +1, +1}
5> = {+1, -1, -1}
6> = {+1, -1, +1}
7> = {+1, +1, -1}
8> = {+1, +1, +1}

以上のようにN=3のときには23=8種類の状態を取りうることがわかります。
イジング模型では、隣り合う原子だけが相互作用すると考えます。相互作用のパラメータをJとすると、外部磁場がない場合、ある状態αjにおけるエネルギーは

E( \alpha_j ) = - J \sum_{i=1}^{N-1}s_i s_j


この式をすべてのαjに関して計算すればよいことになります。とは言うものの、原子の数がN=3ならば状態の種類が8種類しか存在しないので、すべてを計算することも可能でしょうが、N=100などになってしまうと2100≒1.26*1030となり、とてもすべてを計算するのは現実的ではありません。このため、数値シミュレーションでは乱数を使って計算を行います。

メトロポリスのアルゴリズム


詳しいアルゴリズムの説明は計算物理学 応用編の通りですが、その中のising.cまたはising.fをScilabに移植します。

clear;

// *** 定数の設定 ***
n = 100; // 粒子の数
kt = 1.5; // 温度
J = 1; // 交換エネルギー (1: 強磁性, -1:反強磁性)
rand("uniform"); // 乱数は一様乱数とする
tmax = 1000; // 時間の最大ステップ

// *** 初期化 ***
// 各粒子におけるスピン
spin = ones(1,n); // コールドスタート
//spin = 1 - 2 * round(rand(1,n)); // 乱数スタート

// *** エネルギーの計算関数 ***
function e = energy(spin)
e = - J * sum(spin .* [spin(2:n), spin(1)]);
endfunction

SPIN = [];

// *** 時間発展 ***
for t = 1:tmax do
oldenergy = energy(spin);
element = ceil(n * rand()); // 粒子を一つ選ぶ
spin(element) = -1 * spin(element); // スピンを反転
newenergy = energy(spin);
spin(element) = (- 2 * ((newenergy > oldenergy) & (exp((- newenergy + oldenergy) / kt) <= rand())) + 1) * spin(element);
// 時刻tにおけるスピンを保存
SPIN = [SPIN;spin];
end

// *** スピンの時間変化をプロット ***
Matplot((SPIN' + 1) .* 10);
zoom_rect([0,0,tmax,n]);
xlabel("Time");
ylabel("Position");


反強磁性状態の計算


交換エネルギーを負にとると、反強磁性状態になります。

002_2014120112573532a.png
Fig.2: 反強磁性状態


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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AkaiKKRで反強磁性クロム

AkaiKKR(machikaneyama)を用いて整合反強磁性クロムの計算を行いました。反強磁性の計算の正しいやり方は分かりませんが、格子定数を大きくして無理矢理に強磁性状態にしたクロムのポテンシャルファイルを初期ポテンシャルとして計算を行うと、強磁性状態とも常磁性状態とも異なる反強磁性状態の解が得られませした。
しかしながら、全エネルギーが最小となる格子定数においては、反強磁性状態が安定とはなりませんでした。

CrDOS.gif
Fig.1: 反強磁性クロム(赤)と常磁性クロム(緑)の部分状態密度の格子体積依存性。格子体積が小さくなるとともに反強磁性的な磁気モーメントが消える。



反強磁性クロム


体心立方構造(bcc)のクロムは、反強磁性体の金属として知られています。Wikipediaの反強磁性の項目には以下のように、クロムを広義の反強磁性体として分類しています。

体心立方構造の頂点位置と体心位置のスピンが反対方向を向いているだけでなく、スピンの大きさが単位胞ごとに正弦関数的に変化している。

しかしながら、第一原理計算では、しばしば単純に体心と頂点のスピンが反対を向いているだけの反強磁性クロムの計算がなされます。(例えば第一原理計算ソフトウェア Advance/PHASEの応用機能と解析事例計算機マテリアルデザイン入門 (大阪大学新世紀レクチャー)のABCAPによる計算例など。)このような反強磁性を整合(commensurate)反強磁性と呼びます。



今回はAkaiKKR(machikaneyama)を用いて上記の単純な整合反強磁性クロムの計算を行いうことを目標にします。

反強磁性体のポテンシャルファイル


クロムの入力ファイルを作成し、そのままmagで計算を行っても反強磁性状態の解は得られません。

計算機マテリアルデザイン入門 (大阪大学新世紀レクチャー)のAkaiKKRの項目には、強磁性状態の鉄のポテンシャルファイルからfmgを用いてスピングラス状態のポテンシャルファイルを作成する方法が書かれています。さらにそのページには反強磁性状態の計算をする場合にも同じようにしてデータファイルを作ることができるとあります。

スピングラス状態の計算では、強磁性状態の計算で得られたポテンシャルファイルのスピンの向きを反転させたポテンシャルファイルを作成し、それらをCPAする事でスピングラス状態を実現していました。いうなればスピンの異なる原子の不規則合金です。ねがてぃぶろぐでもAkaiKKRで鉄のキュリー温度にて計算を行いました。
このことから類推するに、反強磁性状態も、スピンの異なる原子を交互に並べることで実現できそうです。つまりスピンの異なる原子の規則合金という事です。

そのためにはまず、強磁性状態のポテンシャルファイルを作成します。bcc構造のクロムの格子定数はa=2.88Å(a=5.45bohr)程度ですが、この格子定数で磁性状態を含む計算(mag)を行っても、常磁性状態の解が得られるのみです。
そこで意図的に大きな格子定数(例えばa=8.0bohrなど)を指定して強磁性解を得ておきます。

その後、utilにあるfmgを用いて、反転させたポテンシャルファイルを初期ポテンシャルとしてgo計算を行います。
シェルスクリプトやfmgのための入力ファイル、計算のテンプレートなどは以下のようになりました。実行ファイルfmgはパスの通ったところにおいてあるとし、入力ファイルのテンプレートはtemplateという名前のフォルダを作成して入れておきます。

#!/bin/csh -f

set A_LIST=( 5.60 5.55 5.50 5.45 5.40 5.35 5.30 5.25 5.20 )

rm analysis/CrAFM.dat
rm analysis/CrNMG.dat

specx < in/CrFMG.in > out/CrFMG.out
fmg < crafm

foreach A ( ${A_LIST} )
sed 's/'ABOHR'/'${A}'/g' template/CrAFM0.in > in/CrAFM_${A}.in
specx < in/CrAFM_${A}.in > out/CrAFM_${A}.out
sed 's/'ABOHR'/'${A}'/g' template/CrNMG0.in > in/CrNMG_${A}.in
specx < in/CrNMG_${A}.in > out/CrNMG_${A}.out

sed -e '$d' data/crafm.info | sed -n '$p' >> analysis/CrAFM.dat
sed -e '$d' data/crnmg.info | sed -n '$p' >> analysis/CrNMG.dat
end

grep "spin moment" out/CrAFM_*.out | awk 'NR % 4 == 1;NR % 4 == 2'




結果


ある一つのクロム原子に着目した部分状態密度(PDOS)の格子体積依存性がFig.1のgif動画です。格子体積が大きく、反強磁性的な磁気モーメントが存在する間はDOSの形状が非磁性状態のものと異なっていますが、体積が小さくなり磁気モーメントが消えるとともにDOSの形状も非磁性状態のものと同じになります。

DOS.png
Fig.3: 格子定数a=5.45bohrにおける反強磁性クロム(赤)と常磁性クロム(緑)の部分状態密度


Fig.3に示したのが実験により得られた格子定数付近(a=5.45bohr)における反強磁性クロムと常磁性クロムの部分状態密度です。反強磁性状態ではフェルミ準位近傍に特徴的なふくらみを見ることができます。

CrAFM-Energy.png
Fig.4: 全エネルギーの格子体積依存性


Fig.4に示したのが全エネルギーの格子体積依存性です。磁気モーメントが大きい間は、反強磁性相の方がエネルギー的に安定であることがわかります。磁気モーメントが小さくなるにしたがって全エネルギーの差が小さくなることも読み取れます。
しかし、全エネルギーが最小化するのはほとんど磁気モーメントが消失しているa=5.40bohr付近でエネルギー的にはほとんど差が見られません。それどころか、残念なことにわずかながら常磁性状態の方がエネルギー的に安定であるという結果になっています。

これが整合反強磁性を仮定したためなのか、単純にbzqlty(k点の数)が低いためなのか、数値計算の限界なのかは私には判断できません。

関連エントリ




参考URL




付録


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