Scilabでブラウン運動 その3

Scilabでブラウン運動 その2では、単位時間あたりに任意の方向に距離1だけ移動するランダムウォークのスクリプトを書きました。これはScilabでブラウン運動 その1では移動できる角度が制限されていたことに対する拡張です。

今回は、さらに発展させて、単位時間あたりに移動する距離もランダムに決定するように拡張を行います。

001_20141109111602617.png
Fig.1: 一次元のランダムウォーク。各ステップでの移動距離を1に固定したもの(青)と移動距離の平均二乗変位平方根が1となるような正規分布から計算したもの(赤)。赤線は、移動距離が1よりも短いこともあれば長いこともある。



一次元のランダムウォーク


二次元から始めてもよいのですが、移動距離を固定したものとの比較が簡単なため、一次元のスクリプトも示します。
各ステップにおける移動量を乱数で与える場合、どのような乱数を使うかの選択肢がいくつかあると思いますが、今回は正規分布(ガウス関数)としました。Scilabにおいてはgrandを利用することによって正規分布に従う乱数を生成する事ができます。

clear;

// *** 計算の設定 ***
u = 1; // 1ステップの間の平均二乗変位平方根
av = 0;
tnum = 20; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
// 移動距離が正規分布に従う場合
xigauss = grand(tnum,1,'nor',av,u);
Sgauss = [0; cumsum(xigauss)];
// 移動距離が一定の場合
xifix = 2 * u * (rand(tnum,1) >= 0.5) - u;
Sfix = [0; cumsum(xifix)];

// *** グラフのプロット ***
plot(t,Sgauss,'-or');
plot(t,Sfix,'-ob');
xlabel("x position");
ylabel("y position");


二次元のランダムウォーク


二次元への拡張を行います。ソースコードを比較するなら今回の一次元のものと比較するよりもScilabでブラウン運動 その2の二次元のものと比較する方がわかりやすいです。ほとんど r=1 を r=abs(grand(1,tnum,'nor',av,u)) にしただけなので。

002_20141109111601aa4.png
Fig.2: 二次元のランダムウォーク


clear;

// *** 計算の設定 ***
u = 1; // 1ステップの間の平均二乗変位平方根
av = 0;
tnum = 10000; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
// 移動する距離
r = abs(grand(1,tnum,'nor',av,u));
// 移動する方向
theta = 2 * %pi * rand(1,tnum);
// 移動量
xi = r .* cos(theta);
yi = r .* sin(theta);
// 最終的な座標
S = [zeros(2,1), [cumsum(xi,'c'); cumsum(yi,'c')]];

// *** グラフのプロット ***
plot(S(1,:),S(2,:),'-b');
xlabel("x position");
ylabel("y position");


三次元のランダムウォーク


三次元への拡張もこれまでと全く同様です。

003_20141109111601d60.png
Fig.3: 三次元のランダムウォーク


clear;

// *** 計算の設定 ***
u = 1; // 1ステップの間の平均二乗変位平方根
av = 0;
tnum = 10000; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
// 移動する距離
r = abs(grand(1,tnum,'nor',av,u));
// 移動する方向
theta = 2 * %pi * rand(1,tnum);
phi = 2 * %pi * rand(1,tnum);
// 移動量
xi = r .* sin(theta) .* cos(phi);
yi = r .* sin(theta) .* sin(phi);
zi = r .* cos(phi);
// 最終的な座標
S = [zeros(3,1), [cumsum(xi,'c'); cumsum(yi,'c'); cumsum(zi,'c')]];

// *** グラフのプロット ***
param3d(S(1,:),S(2,:),S(3,:));
xlabel("x position");
ylabel("y position");
zlabel("z position");


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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Scilabでブラウン運動 その2

Scilabでブラウン運動 その1では二次元のランダムウォークの際に、斜めの方向にしか動けないようなモデル化を行っています。

002_20141109070543ce1.png

Fig.1: Scilabでブラウン運動 その1での二次元のシミュレーションの結果。各ステップにおいては、粒子は斜めの方向にしか移動できない。



二次元への拡張への別アプローチ


Scilabでブラウン運動 その1では、Scilabで楽しむ確率論(PDF)の対称ランダムウォークを三次元まで拡張しました。その際の方針は、Scilabで楽しむ確率論(PDF)で一次元から二次元に拡張した際のものを踏襲しました。

しかしながら一次元のランダムウォークを『単位時間(1ステップ)あたりに絶対値で1だけ移動するが、その方向はランダムである』と解釈するならば、二次元に拡張する際に別の考え方をしなければならなさそうです。

そこで今回はx軸からの角度θが一様分布に従った乱数で与えられるようにして、単位時間後に半径1の円周上のどこかに移動している場合のシミュレーションを行います。移動量はそれぞれ以下のように、極座標で計算することができます。

xi = r cosθ
yi = r sinθ

001_20141109095932f86.png
Fig.2: 二次元のランダムウォーク。任意の角度θへ移動できるようにしたバージョン。


Scilabスクリプトは以下のようになります。

clear;

// *** 計算の設定 ***
r = 1; // 1ステップの間に移動する距離
tnum = 10000; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
theta = 2 * %pi * rand(1,tnum);
xi = r .* cos(theta);
yi = r .* sin(theta);

S = [zeros(2,1), [cumsum(xi,'c'); cumsum(yi,'c')]];

// *** グラフのプロット ***
plot(S(1,:),S(2,:),'-b');
xlabel("x position");
ylabel("y position");


三次元への拡張


三次元への拡張も問題ないと思います。

xi = r sinθcosφ
yi = r sinθsinφ
zi = r cosφ

002_2014110909593264a.png
Fig.3: 三次元のランダムウォーク。三次元の極座標では角度θとφの二つのパラメータが必要。


Scilabスクリプトは以下のようになります。

clear;

// *** 計算の設定 ***
r = 1; // 1ステップの間に移動する距離
tnum = 10000; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
theta = 2 * %pi * rand(1,tnum);
phi = 2 * %pi * rand(1,tnum);
xi = r .* sin(theta) .* cos(phi);
yi = r .* sin(theta) .* sin(phi);
zi = r .* cos(phi);

S = [zeros(3,1), [cumsum(xi,'c'); cumsum(yi,'c'); cumsum(zi,'c')]];

// *** グラフのプロット ***
param3d(S(1,:),S(2,:),S(3,:));
xlabel("x position");
ylabel("y position");
zlabel("z position");


ランダウの計算物理学による分類


ランダウの計算物理学 基礎編には以下のようにあります。

ランダムステップをどのように発生させるかで,異なる結果に至ることもありうる.以下に, 2次元のランダムウォークを発生するためのいくつかの方法をあげた.

  1. 方位角θを[0,2π]の間の乱数として選ぶ.次にΔx=cosθおよびΔy=sinθとする.(こうすると,一様な乱数を三角関数で写像することになり,当然のことだが水平・垂直の格子点上をランダムウォークするのとは異なる振る舞いとなる.)
  2. Δxを[-√2,√2]の範囲の乱数として選ぶ.これと独立にΔyも[-√2,√2]の範囲の乱数として選ぶ.こうすれば,xとyそれぞれの方向について,正負のステップが同じ確率で発生することになる.
  3. Δxを[-1,1]の範囲の乱数として選ぶ.次にΔy=±√(1-Δx2)とする.(符号もランダムに与える.)
  4. ステップの方向として(北, 東, 南, 西)をランダムに選択する(こうすると三角関数が不要になる).4つの方位から一つを選ぶのは[1,4]の整数を選択するのと等価であることに注意せよ.
  5. ステップの方向として(北, 北東, 東, 南東, 南, 南西, 西, 北東)をランダムに選択する(こうすると三角関数が不要になる).8つの方位から一つを選ぶのは[1,8]の整数を選択するのと等価であることに注意せよ.

今回の例は1.の方法を採用したものです。
そして、Scilabでブラウン運動 その1の方法は4.の方法と同じです。(移動する距離は二次元では√2となっていますが。)

関連エントリ




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付録


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Scilabでブラウン運動 その1

Scilabで楽しむ確率論(PDF)では一次元と二次元のランダムウォークをシミュレーションするScilabスクリプトが紹介されています。これらのスクリプトを参考にして三次元の対称ランダムウォークのシミュレーションを行いました。

003_20141109070543e4d.png
Fig.1: 三次元の対称ランダムウォーク



一次元対称ランダムウォーク


一次元の場合、t=0でx=0にあった粒子が1ステップの時間の間に、x軸の方向に半々の確率で+1または-1だけ移動するとします。この場合、Nステップ後に粒子がどこにいるのかをシミュレーションしました。

001_20141109070543015.png
Fig.2: 一次元の対称ランダムウォーク


以下はScilabで楽しむ確率論(PDF)による一次元対称ランダムウォークのスクリプト(に多少の編集とコメントを加えたもの)です。

clear;

// *** 時間ステップ数 ***
tnum = 10000; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
xi = 2 * (rand(tnum,1) >= 0.5) - 1;
S = [0;cumsum(xi)];

// *** グラフのプロット ***
plot(t,S,'-b');
xlabel("Time");
ylabel("Position");


二次元対称ランダムウォーク


二次元の場合t=0で(x,y)=(0,0)にあった粒子が1ステップの間に、x軸の方向には1/2の確率で+1, もう1/2の確率で-1移動し、同様にy軸の方向に対しても半々の確率で正の方向と負の方向にそれぞれ1ずつ移動するとします。この場合、Nステップ後に粒子がどこにいるのかをシミュレーションしました。

002_20141109070543ce1.png
Fig.3: 二次元の対称ランダムウォーク


以下はScilabで楽しむ確率論(PDF)による一次元対称ランダムウォークのスクリプト(に多少の編集とコメントを加えたもの)です。

clear;

// *** 時間 ***
tnum = 10000; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
xi = 2 * (rand(2,tnum) >= 0.5) - 1;
S = [zeros(2,1), cumsum(xi,'c')];

// *** グラフのプロット ***
plot(S(1,:),S(2,:),'-b');
xlabel("x position");
ylabel("y position");


三次元対称ランダムウォーク


一次元から二次元への拡張を見れば、三次元への拡張もほぼ自明です。
なお、三次元空間における軌跡の表示にはparam3dを利用します。

clear;

// *** 時間 ***
tnum = 10000; // 時間ステップ数
t = (0:1:tnum)'; // 時間のベクトル

// *** 位置の計算 ***
xi = 2 * (rand(3,tnum) >= 0.5) - 1;
S = [zeros(3,1), cumsum(xi,'c')];

// *** グラフのプロット ***
param3d(S(1,:),S(2,:),S(3,:));
xlabel("x position");
ylabel("y position");
zlabel("z position");


関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したScilabのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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